PTSDとは【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

PTSDとは外傷後ストレス障害のことで、誰にでも起こりうる不安障害の一つです。言葉を聞いたことがある人は多いと思います。

実際に命の危険に晒されることや身体的な統合性の危険が起こったり、本人がそのような危険が生じていると感じた時、またその出来事を想起させる体験、目撃した後に生じます。

具体的には戦争、災害、犯罪被害者になる、事故に巻き込まれたり事故の目撃、養育者からの虐待、パートナーからのDVなどですが、そのような出来事があると人は戦慄や恐怖、無力感などを感じます。これはすべての人に同じように起こるというものではなく、同じ体験をしてもPTSDにならない人もいます。しかし、PTSDにならないから心的外傷がないというわけではありません。

震災時に被災者PTSDのためにチームの一員として被災地入りした際、実際に次のような症状が現れ、また消失していきました。

PTSDに起こる、また起こる可能性が高い症状を順を追い説明します。

【1】
再体験症状
●出来事の苦痛を伴う反復的な想起、夢などで、実際には目の前で現実に起こっていないにも関わらず知覚、心象や思考を伴う。

回避症状
●外傷(苦痛)と関連した感情や思考、会話などを回避しようとする。
●外傷(苦痛)と関連した場所や人物を避けようとする。

過覚醒症状
●苛立ちや怒りの爆発。
●入眠障害や入眠後中途覚醒。 
【2】
再体験症状
●外傷的な出来事が今まさに起こっているかのように感じたり行動する(再体験しているような感覚や幻覚を感じたりフラッシュバック)。

回避症状
●出来事の重要な部分にある想起が不能となる。

過覚醒症状
●集中が困難。
【3】
再体験症状
●外傷的出来事にある一つの側面に対し、何かのきっかけにより類似する内外的に暴露された場合に生じる激しく強い心理的苦痛/生理学的な反応。

回避症状
●今まであった社会活動への関心、興味の著しい減退。
●変わらない人間関係が存在しているにも関わらず感じる疎遠、孤立感。
●持ち合わせていたはずの感情範囲の欠如や減退(労りや思いやり、愛の感情など)。
●持ち合わせていたはずの未来感の欠如や減退(思い描いていた仕事、結婚、子供、老後など)。

過覚醒症状
●取り巻く環境や他者に対して過度な警戒心を持つ。
●現実に起こった事象に対して過度な驚愕反応。

時間の経過と共に軽くなっていく症状がある反面、ショッキングな記憶からPTSD症状がそのまま慢性化し、今までのような日常生活が送れなくなるケースもあります。

とても辛いと思います。

次回は、PTSDに対する治療として効果的と言われる情動処理理論からお話しします。

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心の生活習慣

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は私が普段から意識したり、実践していることについてお話ししようと思います。

当然疲れ果ててできない日もありますし、何となくサボってしまう時もありますが、それこそ“人間だもの”と自分を許し(甘やかし?)、「明日はやろっと!」と思うだけです。

普段から常に意識しているのはマインドフルネスです。

私は主に脳の疲れをリセットしたい時やストレスマネジメントに使っています。慣れると電車内でも自転車に乗りながらでも、周りに注意は払いながら瞑想モードに入れます。

私は本来感情の起伏もなだらかでイライラしやすいタイプでもキレやすいタイプでもありませんが、モヤモヤしたり『?!』は感じるのでマインドフルネスを心掛けています。

折り合いをつけづらい(理不尽が多い)気持ちはコラム法で視覚化し、自分の中に認知の歪みが出ていないか確認し、ごちゃごちゃになりやすい問題は課題の洗い出しでマインドマップを使います。

コラム法:その時の出来事とその時の感情、思考を紙に書き出し、自分の認知の癖に気付きバランスを整えていく認知療法。

一番気持ちがザワつくことが多いのは、やはり発達障害重複(ASDとADHDの両方)を持つ思春期真っ只中の手強い息子に対してで、普段から気持ちをフラットにしておくことを心掛けないと、あっという間にバイアスがかかり親子関係が悪化します。

私のスキルは息子に鍛えられていると言ってよいかもしれません(笑)。手強い息子に感謝です。

人は思考、感情の生き物です。感情がなければ人間とは言えないかもしれませんね。考えなくなったらただの葦ですし・・・。

ただ、感情のままに生きる、感情を他者にぶつける、これでは自分も苦しいことがあります。そんな感情マネジメントができない人が相手だと、他者も付き合いづらいと感じるでしょう。当然人間関係に齟齬や軋轢を生みやすくなります。

感情マネジメントとアサーションを身につけるのは、気持ちよい人間関係構築のための社会人必須のスキルではないか、と思う今日この頃です。

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モヤモヤする違和感

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

これほど“猫も杓子もマインドフルネス”になるずいぶん前から、パーソナルでも企業講習でもマインドフルネスセッションをおこなっているのですが・・・。

マインドフルネスは“今ここ”に意識を集中させ感じていくことからスタートします。その中で“ありのまま”(例えば負の感情)をそのまま、何もジャッジせず意識し、受け取っていくのですが、社会的にまだまだネガティブな感情を【悪/マイナス/敵】、ポジティブな感情を【善/プラス】と見なし、やれポジティブになろうだとか、ポジティブになるためにだとか、ネガティブを捨てようだとか・・・。

“今の感情をありのままジャッジせず受け取る”のがマインドフルネスなのに、ネガティブ=悪、のような先入観があると自動的に「ネガティブ良くない」フィルターがかかり“そのままの自分の感情”を受け取ることができません。

物事には裏表があるように、光があるところには影ができるように、ポジティブだけでルンルン生きていける人などいないのです。楽観的だけ!なのもどうかと思いますが・・・。

大切なのは“○○があってネガティブな自分”になっていることに気付き、そんな自分も自分の一部であることを否定、拒否せずに受け止めていけることです。

人は多面体で感情も然り

マイナスをマイナスと決めつけるのではなく(実際にマイナスと思えても)、「今自分は、うまくいっている〇〇さんを妬んでいる」「騒ぎながら道いっぱいに広がって歩いていた高校生に腹が立った」の“妬み”“怒り”といった感情を「そんなふうに思ってはいけない(否定)マイナス」「当たり前だ(肯定)」と自分フィルターをかけず、「自分は妬んでいる」「自分は怒っている」をそのままあるがまま感じ、受け取るのです。

感情だけではありません。

『この卵焼きは美味しい』を“柔らかくて”“歯触りが良くて”“塩みと甘味がちょうど良くて”としっかり意識して味わう。これもマインドフルネスセッションでお伝えすることです。

実際にレーズンや浅漬け、チョコレートや飴を使ったワークもやります。もちろん瞑想がベースのマインドフルネスですから、レーズンを“味わう”ことばかりにフォーカスしていませんが(笑)

ストレスマネジメントでいくつかある方法の中でも、マインドフルネスはやりやすさと継続しやすさで群を抜いています。

キリキリすることが多い毎日をマインドフルネスでラクにしませんか?

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メンタルを弱らせるもの

メンタル・イデア・ラボ、AEのスミです。

私はたまに、特に何かあったわけでもないのに、急にメンタルが弱ることがあります。

私が言うメンタルが弱るとは、ネガティブ思考になっていくことです。『病む』とはちょっと違います。ただ進行すると『病む』ほうへ行くというか、落ちるというか、そんな状態に陥りやすくなると思います。

そういう意味では、メンタルが弱るとはメンタルが病む前兆なのかもしれません。

何がそうさせているのか?

メンタルが弱っている時、努めて冷静になぜ弱っているのかを考えてみました。最初は具体的に何かあったか、そのキッカケとなる出来事を振り返りました。しかし、メンタルが弱るほどの出来事で思い当たることはありません。

では一体この状態にさせているのは何なんだろう?

そして、過去の時も含めて振り返って考えてみました。すると、ある共通点に気づきました。それは『疲れている』時にメンタルが弱ってくる傾向にあるな、ということです。

疲れている、だけではメンタルが弱すぎると思われる読者もいると思いますが、私はその『疲れ』の種類に注目しました。

疲れにも、さまざまな種類があります。例えば、ランニングなど運動をした後の気持ちいい疲れ、仲のよい仲間と飲んだ後の楽しい疲れ、恋人と旅行へ行った時の心地よい疲れ、仕事で失敗してしまった日の重い疲れ、友人と喧嘩してしまった後の苦々しい疲れ、などなど疲れにも種類があります。普段はそんな疲れの種類を考えていない人が多いと思いますが、言われてみれば何となくわかると思います。

それで、メンタルを弱らせる疲れは一体どんな種類の疲れなのか、ということですが、私の場合、『充実感がないことが続いた時の疲れ』でした。一体いつまで続くのか?終わりがあるのか?先が見えない状況への焦燥感と相まって、充実感を感じない日々が続いた時、ふと生きていることに対する疲れの感覚が、黒い雨雲のように立ち込めてくるのです。

充実感がないことが続くとメンタルは弱りやすい、ということに気づきました。

たまたま今日は充実感がなかった、だけではメンタルは弱りません。続いているかがポイントです。特にコロナ禍で制限がかかり在宅の日々が多かった時、コロナ前と同じように充実感を感じながら過ごせてきたでしょうか。店を開いても客が来ない日が続いた時、在宅が増え夫婦仲の雲行きが怪しい日が続いた時、学生なら学校へも行けずアルバイトもできず、なんとなくモヤモヤ悶々とする日が続いた時、など、読者の中にも思い当たる人がいるかもしれません。

あるいは生活のためだけに働く日々、何をやっても上手くいかない日々、夫あるいは妻から文句ばかり言われる日々、などそういう充実感とは真逆のことが続くとメンタルは蝕われ、弱っていくのではないかという結論に行きつきました。

メンタルを弱らせる正体は、充実感なき日々の連続、が私の出した解です。

そうであるなら充実感を感じられるようにすればいい、と思うかもしれませんが、現実というか現状を変えるのは簡単ではありません。例えば生活のためだけに働いている場合、その仕事を簡単に辞められるでしょうか?その後の生活は?と考えた時、簡単には辞められないのが現実です。年齢が中年にもなると再就職先は難しくなるし、給料も今より減りかねない。いろいろな不安要素が頭を巡ります。

対策と言うと大袈裟ですが、本城が書いた前回のコラムがヒントになるかもしれません。

“あるがままを受容する”

です。それでメンタルが弱らなくなるわけではありませんが、少なくとも弱っていることを自覚でき受容することで、気持ちが一旦は冷静になることがあります。私は「疲れるな、んー、なんだかメンタル(気持ち)が弱ってきてるな」と心の中で呟きます。そしてその気持ちに抗おうとはせず、どうにかしようとも考えず淡々と過ごすことに徹します。

明日は(次の休みは)、ちょっと大好物の〇〇を食べよう、など充実感のない日々を頑張っている今の自分に対して、ご褒美のようなことを考えられるくらいにはなります。実際私はそうです。明日は休みだから昼飯はお気に入りの町中華屋へ行って、餃子をつまみながらビールでも飲もうかな、といった具合です。そしたら明日が少し楽しみになり、経験的にメンタルの弱りの進行を食い止めることができます。

私は『メンタルが弱ってきたな』と思ったら、上記のように明日できる些細な楽しみを具体的に計画することを心がけています。

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番外篇:感情解放

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

良くも悪くも“感情”は、私たちをザワつかせ振り回します。

嬉しい楽しいといったポジティブな感情は解放しやすいのですが、不安やイライラ、妬み、悔しい、怒り、悲しい、孤独というネガティブな感情は、無意識に自身で恐怖や不安という堤防を作るので、解放しにくいと言われています。

解放=(誰かに)ぶつける

ではありません。

そもそも“感情”とは一体何なのでしょうか?

感情は潜在意識(無意識)と深く結びついています。自分の感情を意識し受容していくことは、自分自身を深く知ることにも繋がっていくのです。

厄介なことに潜在意識は抑え込もうとすればするほど反発する性質があります。悲しい時に我慢して泣きもせず、悲しい気持ちから目を逸らしても、いつまでも突き刺すような悲しみがそのままの形で心の底に澱(オリ)のように降り積ります。

私たちは感じたくない、受け入れたくないネガティブな感情をよくないもの、邪魔なものと考え意識の外や横に追いやろうとしたり、何とか抑え込もうとします。先ほど書いたように、感情は抑え込もうとすればするほど反発する性質があります。

感情とは形を持たない“力”であり“エネルギー”です。

見えなくても確かに存在する掴みどころのないもので、数値化も難しく視覚化もできません。それは経過と共に形を変えることもありますし(不安→不信→怒りや孤独など)、人を動かす大きな影響力もあります。以前【感情は感染する?】というコラムでも書きました。

感情は何も他者に向けるだけではありません。上手くいかないことがあると不安になりますし、プレゼン前には緊張もするでしょう。大丈夫だと思っていたのに失敗すると、そんな自分に腹が立つこともあります。

ポジティブな感情も受け入れたくないネガティブな感情も共にエネルギーで、表出しやすい/表出しにくいだけの差です。

言葉にしなくても感情は伝わりますよね。険しい表情をしていれば怒りや不快感だとわかりますし、ニコニコしていれば「いいことでもあったのかな」とわかります。

そう、感情はあなたがあなた自身を知るため、他者があなたを知るための大切なノンバーバルコミュニケーションでもあるのです。

ネガティブな感情にフタをせず、ありのままを受容していくのは怖くもあり不安でもあるものです。その恐怖から感情に抗ったり見て見ぬフリをしたり、何とか収まらないかと気を紛らわせてみたり・・・。

マインドフルネス、聞いたことがあると思います。『今ここ』に意識を集中し、あらゆることを感じ、ありのままを受け入れていく一つのストレスマネジメント方法です。

いつも口だけで有言不実行な同僚にイライラする→自分は今とてもイライラしている、を意識します(イライラの原因を追求するのではありません)。→ただただ「ああ、自分は今とてもイライラしているんだな」と自身の感情に向き合い、感情を把握するだけです。

それが“あるがまま”です。

「イライラしちゃいけない」と自分の感情を否定することも、「イライラするのは自分の心が狭くて余裕がないからだ」と分析してもいけません。

受容するというのは、そもそも“受容する”ことがどういうことかを知らなくてはできません。

どんな感情もジャッジせず、目も背けず、そのままの状態で取り出すイメージです。

今、怒っている。今、嬉しいと感じている。今、妬んでいる。今、悲しい気持ち・・・

自分を知るために、感情に振り回されないために感情を解放する練習をしてみると、少しだけ自分がラクになります。

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GWですね。

メンタル・イデア・ラボのAEのスミです。

昨日からGWが始まりましたね。

一応マスク着用以外の制約はなく、ちょっと開放感がありますね。

人事異動で新しい職場になった人、大学を出て社会人になった新入社員の人、新人研修でクタクタな総務・人事・労務などの部署の人、4月はいつの間にかいっぱいいっぱいになってしまう時期だったと思います。

このGWはちょっとした小休止。思い思いに過ごしたいものですね。束の間、仕事のことは忘れてボーッとするもよし、どこかへ行くもよし、ふらっとドライブ、散歩するもよし、年明けから頑張ってきた心身をとにかく労ってほしいと思います。

GW関係なく仕事の人は、本当にお疲れ様です。規制や制約がない分、人の移動と人出の種類がいつもと違うので、疲れ方も違うかもしれませんね。

リラックスタイムに今日の自分を2〜3個褒めてみてくださいね。何事もなく平凡に終われた、ランチを美味しく食べれた、頑張って残業しちゃったな、今日も元気だったな、など、そんな感じでいいのです。難しく考えないことが肝です。反省ばっかりしてると“ダメ人間かも”と思ってしまい、本当に“ダメ人間”になってしまうこともあるので、反省はほどほどに(笑)

仕事の人も仕事でない人も、とにかく風邪をひかず、事故に遭わず、元気に過ごせるGWになるといいですね!それでは、よいGWを。

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5月は5日木曜日はGWのため休載し、10日火曜日より掲載します。

承認欲求【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

2021年最後のコラムになりました。

【1】【2】で承認欲求についてお話ししてきました。最終回となる今回は、少し長くなりますが、承認欲求は必ずしも『悪』ではない、強過ぎる承認欲求が引き起こす弊害、承認欲求が強くなる原因などをお話ししていこうと思います。

組織において自分を積極的にプレゼンしなくてはいけない場面で承認欲求は当然高まります。その高まりはモチベーションとなり“やる気”に繋がっていくこともあるので、ポジティブな承認欲求となります。

しかし、四六時中自分を認めてほしい、となると人間関係構築に支障を来します。

感情が不安定で衝動的な境界例(パーソナリティ障害)アタッチメント不全などが根底にあり、認められていないと不安で承認欲求を満たすことができず、依存的に他者承認欲求を求めてしまうと持続的に安定した人間関係構築は難しくなります。

承認欲求の強い人にはいくつかの傾向があります。「自分は承認欲求、強いのかな」と思う人は振り返ってみましょう。そうでないと思っている人も、確認してみてください。

【羨み妬みやすい】
他者承認欲求は自己承認欲求と違い他者基準になるので、常に他者と比較しながら自分の価値を決めることしかできません。

いろんな意味で自分より上だと思う人に対し、劣等感(負の感情ですから心地良い感情ではありませんよね)を持ち、負の感情を浮き彫りにされる(と感じる)相手を嫌います。負の感情のベースにあるものが“自分の承認欲求のせいで相手を妬み、嫉妬している”と気付けないことがほとんどなので、これが厄介です。無意識に人を嫌いになっていくこともあり、人間関係はますますうまくいかず、ストレスに苛まれます。「私だって〜なのに〇〇ばかりズルい!」←この考えに傾きがちな人は要注意です。

【寂しがりや】
自分で自分を認められないので誰かに自分を認めてもらわないと不安になります。他者に認めてもらうことでしか自分を満たすことができないため、常に他者(認めてくれそうな)を求め、寂しがりやになっていくようです。

【常に周りの評価を気にする】
自己承認できない人は自分の基準がブレブレなので、他者評価を気にし頼りにします。周りが褒めてくれた、周りが羨ましがってくれた、のように、他者基準で自分の幸不幸を判断します。軸足が自分になく、常に他者視点の評価になり、他者はコントロールできないことから些細なことにも一喜一憂し、振り回されストレスを溜めやすくなります。

【自分に自信がない】
他者から認めてもらいたい!という他者承認欲求が強すぎるのは、自分で自分のことを認められないからです。

何があっても自分で自分を認められる人は、他者にその欲求を満たしてもらわなくても自分で自分を満たすことができるので、他者承認欲求が過度に強くなることはありません。

【空虚である】
承認欲求が強い人は自分でありのままの自分を認められないため、他者ありきになってしまいます。

自分自身が認められないものを他者に満たしてもらっても、常に(無意識に)心のどこかで自己否定を繰り返していて、心が満たされることがありません。そのため空虚な気持ちを持ってしまいます。

承認欲求が強くなり過ぎると考えられている原因に、親(養育者)からの愛情不足(アタッチメント不全)や偏った愛情、家庭や学校での教育があります。

【親・養育者からの愛情不足】
子供は幼少期のアタッチメント形成期に愛情を与えられないと、「自分は愛される価値がない」「大切にされる価値もない」と無意識に自分の存在価値を信じられないまま成長します。

愛情不足にはさまざまなパターンがあります。必ずではありませんが、そのいくつかを挙げておきます。

  • 母子家庭(あるいは父子家庭)で親がいつも忙しく甘えられなかった。
  • ギャンブル、アルコールなどに過度にのめり込む親だった。
  • 感情的に不安定や暴力的で怖かった。
  • いつも誰かと(兄弟姉妹・他者)比較され、褒められたことがない。
  • できないことをしょっちゅう叱られてばかりだった。
  • 養育者自身が精神的に未熟、承認欲求が強く子供に愛情を注ぐことができなかった。

自分の価値を自分で信じられないまま大人になった人は、常に他者から認められることを求める承認欲求が強い人になっていきます。

【家庭や学校での教育】
学校教育や家庭での教育方針も子供に影響します。

子供の教育方針には、

  • 子供の個性(違いの尊重)を大切にし、良い部分を伸ばす。
  • 子供の凹部分を埋め、周囲と合わせていこうとする。

大きくこの二種類の考え方に分かれると思います。

子供の凹部分を埋めて〜の教育方針だと、親の常識、社会の常識に当てはめようと凹部分を補おうとします。そのため、世間でいう“一般的”に問題ない子供に育てようとすることが主軸となり、子供に対し指示的(支配的?)になります。

子供の気になる悪い面にばかり目が行き、悪い面を見つけて正そうと型に嵌めようとします。悪い面が正され型に嵌ると子供を認め褒めます。

子供は親に認められたい、褒められたいと思うので、自分のマイナス面ばかり目がいく癖が身についてしまいます。自分のマイナス面にばかり目がいくと、自分には悪い部分ばかりでいいところがないと思い込み、自分に自信が持てずに成長します。

承認欲求が強過ぎると仕事でも人間関係(恋愛含む)でも上手くいかない場面が増え、生きづらさを感じます。承認欲求が強い人は、自分で自分を認め満たすことができず、常に誰かが満たしてくれることを求めます。誰かに何かを与えたりしてあげたいという気持ちよりも、自分を満たしてほしい気持ちのほうが強く、つい自分本位な欲求ばかりが目立ちます。実際には要求しなくても、その気持ちが大きい、も同じです。

前にも書きましたが、他者を変えることはできませんし、他者をコントロールすることもできませんから、相手の些細な言動/行動に不満を溜めやすく、ストレスが増えると同時にぶつかり合いも増えてしまいます。

自分に自信がないので嫉妬しやすく、いつも不安を抱えた不安定な関係になりやすい特徴があります。恋愛も含め、人間関係が長続きしづらく悩むことも多くなります。

仕事で認められたい気持ちが強いと、自分一人で何もかも抱え込み、他者を頼れません。人には誰でもキャパシティがあることはわかると思います。一人で抱え込もうとすることで心身が疲弊しストレスを溜め、心が折れたり潰れやすくなってしまいます。

また、承認欲求が強い人は他者からの評価を気にするので、他者基準でしか自分を評価できず、常に比較しながら自分の幸不幸の評価をします。他者と比較しかできないと妬みや嫉妬が生まれやすく、いつも誰かと比較しながら自分を評価していることでストレスが溜まりやすくなります。

自分が幸せかどうかは自分自身が決めること。

誰かと比較して勝った負けたではないはずです。

勝ち負けにこだわると、本当に大切なものや人、“自分”すら見失います。幸せは勝つとか負けるとかの次元ではないはずなので、「勝負」と考えること自体ナンセンスではないでしょうか。

あなたはあなたのままで価値がある人間です。どんなに上手くいかなくてもヘマをしても、情けなくてもあなたの価値は変わりません。

「もうダメだ、自分なんてダメダメだー!」と思ってしまう時、自分で自分の体に腕を回し、自分を抱きしめてください。

【セルフハグ】

頑張っている自分を「お疲れさま、ワタシ(オレ)」と抱きしめてください。

あなたを、あなた自身が認めてあげてほしいと思います。

年末年始、お仕事の人もお休みの人も、少しでも心穏やかに過ごせますよう願っています。それでは、よいお年を・・・。

本年も本コラムを読んでいただき、ありがとうございました。来年は1月10日月曜日から掲載し、その後は5の倍数日に掲載してまいります。来年もよろしくお願いいたします。

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承認欲求【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

2回目となる今回は【一般的承認】【集団的承認】についてからスタートします。

一般的承認は自分で自分を評価する<自己承認>、集団的承認とは他者から評価される<他者承認>になります。

「あの人は承認欲求強いよね」と言われる人が欲しがるのは【集団的承認】です。SNSで「いいね!」がたくさん欲しい人、インスタグラムでせっせとリア充っぷりをアピールしたい人が良い例です。

集団的承認欲求が強い人は自己顕示欲が強く、注目を浴びたい目立ちたがりが多い反面、誰か(他者)に自分を認めて(承認)してもらわなければ不安になりやすい特徴も持ち合わせています。

他者に認めて(承認)もらいたいがために、自分を取り繕ったり我慢し過ぎるのも自分に自信がない表れと言えます。

また、自己愛が強すぎる人も承認欲求が強い傾向にあります。わざわざブランド品に囲まれた部屋や、恋人と高級レストランでの食事、貰った高級なプレゼント、高級車や海外旅行などリア充っぷりをアピールしてみたり、大昔のヤンキー時代(死語?)の犯罪紛い、もしくは思いっきり犯罪の痛々しい武勇伝を恥ずかし気もなく「昔は俺もヤンチャだった」と自慢気に語ってみたりします。

見ている側は滑稽でも「集団的承認により他者承認欲求を満たしてるんだね〜、なるほどなるほど」となま暖かく見守るのが大人な対応かもしれません。

私は「それもういいや、お腹いっぱい!」と大人気ないシオシオな塩対応をしていますが(笑)

自己承認欲求は自分を自分で認めたい(承認したい)欲求で一般的承認欲求です。“誰か(他者)”に自分を認めてほしいと思うのではなく、“自分自身”が自分を認めたい、という欲求です。

自分は自分のままで価値のある存在である、と自認できることは、自己肯定感、自尊感情、自己信頼感に繋がり人が成長する上で欠かせない重要な要素です。

自己承認欲求に対し他者から注目を浴びたい、羨ましがられたい、尊敬されたい、名誉名声がほしい、を他者承認欲求と言います。

他者承認欲求(集団的承認)が強い人は自己承認欲求が低い場合が多く、他者依存の欲求は自己承認欲求よりも低次欲求と言われています。

行き過ぎ膨らんだ他者承認欲求は問題ですが、他者承認欲求も人には必要な欲求であり、自己承認欲求と他者承認欲求が満たされることが自己肯定感へと繋がります。

自己の存在意義や価値を他者から承認されることが間接的に自己肯定にも繋がるので、自己承認欲求と他者承認欲求は切っても切り離せない関係にあるのです。

本年のコラムの掲載は2021年12月25日土曜日までとさせていただきます。来年は2022年1月10日月曜日から掲載し、その後は5の倍数日に掲載してまいります。

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承認欲求【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

誰もが持っている欲求【承認欲求】。

言葉は知っていても「人に認めてもらいたい気持ちのことでしょ」とかなり大雑把な捉え方をしている人が多いのではないでしょうか。

今回から3回に分けて承認欲求について、その種類や承認欲求と自己顕示欲、承認欲求と自己肯定感の関係、承認欲求が強くなってしまう原因、承認欲求が強い人の特徴などをお話ししたいと思います。

承認欲求には【自己承認欲求】【他者承認欲求】があります。

そして承認欲求の“承認”には【集団的承認】と【一般的承認】がありますが、まずは人は誰でも5つの欲求を持っていることからお話しします。

これはアメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した自己実現論から【マズローの欲求断層説】と呼ばれ、それぞれ【生理的欲求】【安全欲求】【社会的欲求】【承認欲求】【自己実現欲求】になり、その中で承認欲求は4番目とされています。

生理的欲求から始まった欲求は、満たされると次の欲求に向かい、最終的に自己実現に向かいます。欲求が段階的にステップアップしていくので、自己実現に至る過程で生まれるのが承認欲求なのです。

それぞれの欲求について解説します。

【生理的欲求】
人が生命を維持していくための根源にある欲求が生理的欲求。
代表的なものが『食』『睡眠』『性』で、『食』の欲求は強く、飢餓状態にあると他の欲求を感じません。

【安全欲求】
生理的欲求が満たされると危険を回避しようとする欲求が生まれます。
危険に対する不安や恐怖から予測不可能なことは避けようとします。

【社会的欲求】
生理的欲求と安全欲求が満たされると、より高次的な欲求が生まれます。
社会的欲求は愛と所属とも呼ばれます。人は共同体の一人として所属し、コミュニティに好意的に迎え入れられたいという欲求を持っています。

【承認欲求】
社会的欲求が満たされると次が承認欲求です。
自己の自己への評価を満たそうとする欲求が“自己承認欲求”です。自己承認欲求(自尊心とも置き換えられます)を満たすために『自信』『自由』『自立』などを求め、他者からの他者承認欲求を満たしたいために、“受容されること”、“名声”、“理解”を求めます。自己承認欲求と他者承認欲求が満たされていると自分を肯定でき自信に繋がります。

【自己実現欲求】
前記の欲求が満たされることで自己実現への欲求が生まれます。
自己の力でなりたいものになろうとする欲求と言えばわかりやすいと思います。

次回は【一般的欲求】【集団的欲求】からスタートします。

本年のコラムの掲載は2021年12月25日土曜日までとさせていただきます。来年は2022年1月10日月曜日から掲載し、その後は5の倍数日に掲載してまいります。

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組織のメンタルヘルスについて考える【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

脳とメンタルヘルス(ストレス)は密接な関係があり、うつ状態は神経伝達物質であるノルアドレナリンとセロトニンの働きが低下することにより起こると言われています。

セロトニンが十分分泌されていると気分が安定し安らぎを感じることができます。気分が安定し安らいだ状態だと、体も心も元気でいられる、ということです。セロトニンが不足すると、イライラしやすく不安も感じやすくなります。

組織全体でセロトニン対策を講じるとすれば、マインドフルネスが効果的です。マインドフルネスはストレス対策として導入する企業も増えてきました。

当ラボでもマインドフルネス、アンガーマネジメント研修は人気で、その企業に一番合った形で研修会や講習会、パーソナルトレーニングをおこなっています。

企業を挙げて全従業員が一緒に取り組むことが一番でも現実的ではないので、まずは『マインドフルネスとは何ぞや?』を知ってもらい、部署ごとにどのように導入すれば効果的かを一緒に考えていきます。

研修をやれば大丈夫、話を聞いたからできるようになる、というものでもないため、その組織にマッチした方法で計画を立て、研修内容を考え、フィードバック(アフターフォロー)がなければ最大限の効果は望めません。

企業、組織においてこのような取り組みをおこなう意義は、従業員に如何にモチベーションを保持し生産性を高め業務を遂行してもらうか、に他なりません。これは結果的に利益を出せる企業、組織の可能性を高めることになり、従業員も活き活きと活躍できる環境ということで、双方にとって好循環なことだと言えます。

たまに、メンタルヘルスに取り組めば売り上げが伸びるのか?と質問を受けることがありますが、例えば社員食堂を設置している企業は、売り上げを伸ばすために設置しているでしょうか。決してそうではないはずです。『従業員の健康』がまずあって設置していると思います。そして従業員がいつまでも健康で会社に貢献することで、それが結果的に売り上げ増に繋がれば、ということではないでしょうか。企業によっては従業員への利益還元策の一環かもしれませんね。メンタルヘルスへの取り組みも社員食堂を設置することと似ています。福利厚生とはそういうものではないかと思うのです。

個人においては、メンタルクリニックなどで処方される薬に頼らなくても、日常生活の中に取り入れると簡単にセロトニンを増やせる行動があるので、是非やってみてください。

ゆっくり散歩、ではなく、少し早歩き(ジョギングとウォーキングの間くらい)で30分程度歩く。

自分の呼吸や歩くリズムといった“今”に意識を向け、集中するとより効果的です。呼吸に集中するのは鬼滅の刃ではなくとも、大切で意味があることなのです。

セロトニンを増やすサプリメントなどもありますが、できれば食事で摂取したいものです。セロトニン合成に必要なトリプトファンは、豆腐や納豆といった大豆製品や乳製品に多く含まれます。ここは社員食堂の出番かもしれませんね(笑)

質の良い睡眠、自分に合ったストレスコーピング、適度な運動、日々の食生活。メンタルを守るためにできることもたくさんありますから、取り組みやすいところから意識を変えていくといいと思います。

繰り返しになりますが、日常の小さなイライラモヤモヤを放置するとメンタル不調を引き起こします。

あなたがイライラ、モヤモヤするのはどんな場面ですか?

一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

私は思春期真っ只中の可愛げのない息子の言動/態度に日々イライラしています(笑)手強い発達障害の息子と生活していると、残念ながら胃が痛くなったり円形ハゲができることもありますが、私がメンタル不調にまでならないのは、アンガーマネジメントにじっくり取り組んできていること、何かあればすぐに書き出し、視覚化してストレスコーピングすることが習慣化しているからです。

ストレスはなくならないものです。仲良くはなれないかもしれませんが、少しでもストレスとラクに付き合いたいものですね。

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