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学習障害(LD)について深掘りする【5】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

いよいよ最終回となる今回は、自分で(お子さんと一緒にも)ゲーム感覚でおこなえるトレーニングを幾つかご紹介しようと思います。

(1)渦巻きを書く。

・テーブルや床に“右手人差し指で右巻き渦巻き”(ぐるぐる)を書く練習をします。
・次に“左手人差し指で左巻き渦巻き”を書く練習をします。
・スムーズにできるようになったら、次に“右手で左巻きの渦巻き”を書く練習をします。

これは視覚、触覚を使ったボディーイメージを鍛える訓練で、指でできるようになったらペンを使って書いてみましょう。左右弁別(違いを見分ける)があやふやなお子さんにも効果的です。
(2)パズル(タングラム)で、図形見本のとおりに作る。

これは私立小学校受験問題集(図形探し/いくつもに区切られた大きな四角の中に、いくつ三角形があるかなどを探す)を使うと案外楽しくカタチ認識を鍛えることができます。いくつか挙げておきます。→【例本】
(3)間違い探しで遊ぶ。

雑誌の懸賞や100均でも売っている“間違い探し”。これは背景の中にある見たい(見つけたい)モノを見つけ出す、という図地弁別です。この図地弁別が苦手だと似た文字を間違えたりが起こります。一時期流行った“ウォーリーをさがせ”などがとてもオススメです。
(4)視線移動する。

・部屋の1、2メートル離れた場所にあるモノ(例えばカレンダー、時計など)を、首や頭を動かさずに交互に素早く視線移動させる。
・両腕を真っ直ぐに伸ばし、両人差し指を立て、首や頭を動かさずに交互にその人差し指を素早く視線移動させる。
・紙にランダムに数字を1〜20ほど散らばせて書き、これも首や頭を動かさずに視線だけで1から順に追う。

これは3つとも視覚機能の“跳躍”のトレーニングになります。
目と手の協応を鍛えるには、あやとりやお手玉、輪投げやけん玉、ジェンガが有効です。けん玉やジェンガは協応だけでなく、注意・集中・視空間認知も鍛えられるので特にオススメです。

次に、視覚記憶、聴覚記憶のトレーニングです。

(1)神経衰弱

これはわかりやすい視覚記憶を使うゲームです。
(2)しりとり1

ただのしりとりではなく、これを複雑しりとりにしてやります。
しりとりは言葉の“音”を意識したり、弁別認識する力をトレーニングするのにはうってつけです。
複雑しりとりのルールは、“前の人が言った言葉をリピートしてから自分の言葉を言う”それだけです。
相手が「リンゴ」と言ったら、「リンゴ、ゴミムシダマシ(ゴーヤ、ゴシキヌマ、ゴリョウカク・・・)」というふうに。

相手が小さな子供であれば、わかりやすい短い言葉が良いと思いますが、大人同士なら頭を捻りに捻って長い言葉にしてみるとよいのではないでしょうか。

(3)しりとり2

複雑しりとり2です。ここでは相手が言った言葉を反対に繰り返ししりとりをします。
例)リンゴ → ゴンリ と繰り返してからゴーヤ、次の人もヤーゴ → ヤジルシ、と続けます。ワーキングメモリーも鍛えられ、言葉をひっくり返す時にも頭を使います。

『あっち向いてホイ!』も、ボディーイメージを鍛え、左右弁別の訓練になります。

昔からある手遊びや言葉遊びには、偶然にも脳を発達、訓練になる要素がたくさんあるので、改めて見直してみると楽しいかもしれませんね。

余談ですが・・・。

私は大人げないので、寒い朝のゴミ出しを賭けて、中学生の息子とジェンガでガチンコ勝負したり、晩ご飯作りを賭けて、けん玉真剣勝負をしています。結果、私が勝つと晩ご飯が目玉焼きと丸ごとキュウリ1本になることもありますが、14歳の息子とこんなふうに笑い合い、ぶつかり合う時間はもう10年もないことを思うと、この時間も貴重な時間だと感じています。

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学習障害(LD)について深掘りする【4】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

ディスレクシアについて理解するシリーズ、今回は【ディスレクシアの人に最後まで残ってしまう課題】についてです。

ディスレクシアの人にはダブルビジョンという、文字が重なり合って見えたり、文字が揺れ動いたり、歪みに歪んでダブって見えたりするという特徴的な見え方になる人がいます。

これは視覚機能訓練をしてくれる大きな眼科や、子供であれば専門家がいる療育施設などでの訓練で改善が見込めますが、とても数が少ない現状があります。

今回のシリーズでも少し書いた【流暢性】、覚えていますか?

これは処理速度の問題です。文字が読めるようになっても、一文字一文字拾うようにしか読めなければ当然スピードは遅くなります。

一文字ずつゆっくり読んでいると、最終的に何が書いてあったのか理解できない、だったり、記憶の一時保持(ワーキングメモリー)に弱さがあることで、理解したことも記憶からこぼれ落ちていってしまったりします。

また、書くことにも苦手があって時間がかかると、書いているそばから『・・・何を書こうとしてたっけ??』が起こったり、テストが時間内に終わらない、資料が時間内に仕上げられないということも起こります。

学校でも社会人になっても困り感がありそうです。

最終回となる次回は、私が自宅で息子にやっている【視空間認知】【図の弁別(違いを見分ける)】【追従性眼球運動/跳躍性眼球運動】【粗大運動/微細運動】【協応】【聴覚記憶】【ボディイメージ】など自分でできる超簡単なトレーニングをいくつか紹介します。

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学習障害(LD)について深掘りする【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は視覚機能から【眼球運動】【視覚情報処理】【視空間認知】【協応動作】についてお話していきたいと思います。

視力(モノを見る)の他に、大事な視覚機能がいくつかあり、その一つが【眼球運動】という機能です。この眼球機能には“追従性眼球運動”と“跳躍性眼球運動”があり、対象物を目でゆっくり追うような動きが追従、ドッジボールで素早い動きのボールを追ったり、ホワイトボードから手元の資料に視線を移動するような動きを跳躍と言います。

字を覚えるためには追従機能が、読書やスポーツには跳躍機能が大切になりますが、眼科でおこなう視力検査では残念ながらチェックできません。

ビジョントレーニングという言葉をご存知でしょうか。脳力検定にもあるようですし、書籍も出ていて簡単に自分(あるいはお子さん)でトレーニングに取り組むことができますので、気になる人は探してみてくださいね。

今回お話する【協応】は目と手の協応動作のことで、どのようなことかというと、

目から情報を使い(情報処理)、体を動かす

ことです。わかりやすい例だと、三角定規を2枚使い平行な線を引く、折り紙を折る、点と点を結ぶ、箸で豆を摘む、キャッチボールをする・・・などです。

目と手の協応に問題があると、目から情報を使い予測をして、体を協調させ動かすことが苦手になります。これは、視空間認知にも関わってくることで、私たちは視覚情報から自分と対象物の距離や位置を把握し、方向や向き、奥行きや高さ大きさという空間を予測し理解しているのですが、視空間認知に弱さがあると左右認識が曖昧、立体的な絵が描けない、よく物にぶつかる、という日常生活での困り感も表れてきます。

この力が弱いと学校ではひらがな、カタカナ、アルファベットを覚えるのが苦手で、“さ”と“ち”や、“b”“d”“q”などの、反転したり回転させると同じ形になる文字(記号)が捉えにくいということが起こり、結果、字を間違えたり書く読むことが苦手に繋がっていきます。

ビジョントレーニングと同様、自分(家庭)でも簡単にトレーニングできるので、最終回にいくつか紹介しようと思います。

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学習障害(LD)について深掘りする【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回はなぜディスレクシアだと困るのかと、実際の“苦手”とは?についてお話します。

前回、ディスレクシアだと読んだり書いたりすることが苦手だとお話しました。ただこれは、脳の機能不全からくる目につきやすい症状の一つであり、実際の生活では他にもさまざまな課題が持ち上がっています。

  • 鏡文字(反転文字)を書いてしまう。
  • 無意識に文字を入れ替えてしまう。
  • とっさに名詞が出てこない。
  • 耳慣れず見慣れない単語を読み間違えたり発音を間違える。
  • 人名や地名を間違える。
  • 長文に集中が続かず、読み飛ばしや読み間違え、何が書いてあったかわからなくなる。
  • 似た音を聞き間違える(カギ→カキなど)
  • 日本語の特殊音節や助詞を使うのが苦手(デパートがデーパートになったり、デーパト、デパトになったりする)。
  • 空間認知が弱いので、よく物にぶつかる、落とす落ちるなど怪我が多い、また、よく物をひっくり返したり壊す、など。

実生活でもいろいろ困りそうですよね。おっちょこちょい、慌てん坊、これももしかしたら脳の機能不全からくるのかもしれません。

ここまでで気付いたことはありませんか?

そうです、

ADHDに表れる特徴と被っているのです。ADHDだとディスレクシアも重複しやすかったり、苦手部分が被ったりしています。

ディスレクシアという視点から“聞いて理解、見て理解”を少しお話します。

【音を聞き】取る。とてもザックリしていますし、「耳は悪くないよ、聴力検査でも異常なしだったし」と思う人もいるでしょう。音がしているかどうか気付くこと、これは耳が機能しているか(ちゃんと聞こえているか)どうか知覚的にわかるかどうかですが、ディスレクシアがあると『ぼうし(帽子/防止)』や『チョコレート』『りょこう(旅行)』『サッカー』など伸ばす音や、『ちゃ』『りょ』『ッ』『パ』などの特殊音や破裂音を正しく聞き取ることが苦手で、聞き間違い、聞き漏れが出ることがあります。

知覚的に音がするかどうかに気付くと、次にどんな音が出ているかという“言葉”の聞き取り、聞き分けになります。言葉の聞き分けとは似ている言葉(はし/かし、ろば/おば)を聞き間違えないかどうかです。

そして、次に周りにある関係のない音の中から自分に必要な聞きたい音だけを選択して聞き取れるかどうかです。以前のコラム【さまざまな注意】でもお話しましたが、選択的注意のことです。

知覚的に聞き取りが苦手だと、周りにある関係のない音も同じ大きさで一緒に拾ってしまい、必要な音だけを選択して聞き取ることも苦手です。

音に気付くことができ、聞き取りもできて、選択的に自分に必要なことを拾い聞くことができても、最後にある“言葉の意味が理解できない”という課題があると、『音は聞こえる、音の聞き取り聞き分けもできる、単語も拾える、でも文章としての意味がわからない』ということが起こります。最近注目されるようになった【聴覚情報処理障害/APD】です。

次回以降は【見て理解】するから、言語理解〜流暢性についてお話しようと思います。

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学習障害(LD)について深掘りする【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

本年最初のコラムは学習障害(LD)についてです。何回かに分けて学習障害(LD)の特性や自宅でもできるトレーニングについてお話していきたいと思います。

今回取り上げる読み書きのLDはディスレクシアとも言います。視力や聴力に問題はなく、知的な遅れもないのに中枢神経に機能不全があることで、文字(記号)と言葉(音)が結びつきづらく、読み書きに関して躓きや学習面での困り感が出てしまう“機能障害”です。知的障害ではないので注意してください。

発達障害と併発することも多く比較的気付かれやすいのですが、LDだけだと気付かれにくく“知能が低い”“勉強ができない”と思われがちです。

ディスレクシアの特性として、

知能の高さに比べ、読むこと書くことや記憶に特徴的な困難さがありますが、論理的能力は問題なく、話し言葉は高いレベルで理解できます。

  • 視力(視る力)に問題はありませんが、視覚情報処理(図、地を見たり、見たものを理解する力)や、見たことを一時的に記憶として保持する力が弱いので、左右がわからない、板書や書き写しが苦手、文字の見間違いが起こります。
  • 聴力(聴く力)に問題はありませんが、聴覚情報処理(聞いたことを一時的に記憶として保持する力や聞いたことを理解する力)に弱さがあるので、聞き間違い、聞き漏らしが多く(聞き直しも多い)、電話対応は苦手です。

文字(記号)と言葉(音)が結びつきにくい、とはどのようなことでしょうか。例えば、

【ま】← “記号”は【m+a】← “音”

ということがわからないので、読むことや書くことに時間がかかります。

文字を読む、ということは【音声化】と【理解】がセットになって情報処理されるのですが、ディスレクシアは音韻理解の力が弱く、音声化に問題を生じると言われています。

ここで課題になるのが、普通の速さで滑らかに読める(流暢性)で、一文字一音節の平仮名、カタカナは読めても、漢字の読みが苦手などが起きます。声に出しての音読をしなければ、字面を拾いながら書かれている意味はそれなりに理解できるので、本人は読みが苦手という意識を持ちづらいのです。

書くことに困り感があると、字のバランスが悪くマス目や罫線からはみ出したり、字が汚く読めない(時には書いた本人すら読めない)ということが起こります。息子はこのタイプで、丁寧に観ていくと視力に問題はなくても“視覚機能の跳躍”に弱さを抱えていることがわかりました。

また、文章構成が苦手で正しい文法で文章が書けないという困り感や、視空間認知や記憶に弱さがあると、目で見たとおりに書けない、字の細部まで覚えられないので正しく書けない(れ/ね/る、や、鏡文字になるなど)という問題が生じます。

ディスレクシアがあると作業記憶(ワーキングメモリ<一時的に記憶を保持しておく力>)にも弱さがある人が多いので、指示行動が苦手だったり、電話の要件を聞き取りメモすることや、次にやろうと思っていても他に注意を移した途端にやろうとしていたことを忘れたりと、日常生活いたる場面で失敗を繰り返すなどが出てきます。

次回は、ディスレクシアだと学校ではなぜ困り感が出るのか、社会に出た時にどのような困り感に繋がるのかをお話します。

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年頭のご挨拶

新年、明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

メンタル・イデア・ラボ代表のスミです。旧年中はコラムをお読みいただき、誠にありがとうございました。本年も引き続きお読みいただければ幸甚に存じます。

さて、年が明けて早速、東京、埼玉、神奈川、千葉に緊急事態宣言が発令されることになりました。それだけで気分は滅入り気味です。昨年の春に緊急事態宣言が発令され、リモートワークが叫ばれました。今ではリモートワークも一定程度の定着をみせているようです。しかし、その弊害も生まれました。

その弊害は報道されることは滅多にないのでわかりにくいですが、よく聞くのはプライベートと仕事の切り替えが上手くできない、長時間労働になって疲れる、など人それぞれですが、弊害は確実に発生しています。

そしてまた緊急事態宣言の発令・・・メンタルがますます不安に包まれやすい環境になります。疲弊と言ってもいいかもしれません。ちょっと深刻な様相を呈してきています。よく『心が折れる』と言われますが、その前になんとかできないか、という思いで2019年にメンタル・イデア・ラボを立ち上げました。経営陣はじめ社員のメンタルを少しでもケアし、ストレス緩和、低減のヒントを一人ひとりに合った方法で提供しています。

ぜひ企業の人事・労務ご担当者の方は、社員のメンタルに今こそ目を向けてもらいたいと思います。社員の『心が折れてしまった』後では、組織にとってもいいことはありません。リモートワークを推奨するということは社員の顔が見えなくなる、ということなので、メンタルケアの体制を同時に確立する時期だと思います。急速なストレスに個人で対処するにはあまりにも負担が大きいと推察します。その急速なストレスの緩和・低減をサポートする環境の整備が必要な時にきているのではないか、と思わずにはいられません。

どうか本年も経営者、社員が“心身ともに”元気で過ごし、貴社の今後のますますの発展のためにも、メンタル・イデア・ラボをどうぞよろしくお願いいたします。

2021年 丑

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セクシャルマイノリティーへの理解を深める【3/3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

最終回となる今回は、LGBTQの『Q』になります。

複雑で一番理解が難しいと感じるであろう部分についてお話しようと思います。現実にあなたが出会う確率は低いか、知らないままだろうと思いますが、知識として知っておくと、SDGsが叫ばれている昨今において有益かもしれません。

『Q』はQueer(クィア)、Questioning(クエスチョニング)で、多様な性自認、性指向があります。前回、前々回をおさらいしつつ整理しましょう。

大きく分類すると、

身体的性別(sex:セックス)
身体的性別とは、生まれ持った性染色体、性線、性ホルモンや生殖器などの身体上の男女の区別。これはわかりやすいですね。

●社会的性別(gender:ジェンダー)
身体的性別に対し、文化的、社会的に形作られた“女らしさ”“男らしさ”の区別。宝塚歌劇団の世界を想像するとわかりやすいかもしれません。役者の身体的性別は全員女性ですが、役となると男役、女役とわかれますね。

●性自認(gender-identity:ジェンダーアイデンティティ)
自分が認識している自分自身の性別。心で感じている性と言えます。

●セクシャリティー(sexuality)
性指向、恋愛指向と考えるとわかりやすいです。

『Q』と呼ばれる中のクエスチョニングには、

性自認をどちらかに決めたくない人。
●どちらも持ち合わせている人。
●場面によりどちらかの性を行き来する人。
●まだどちらか決めかねている人。
●わからない、が一番しっくりくる人。

など、いろいろな人が含まれます。最初の4つの身体的性別、社会的性別、性自認、セクシャリティーを確定できない、確定したくない人々ということです。

また『Q』のクィアには、

Asexual:アセクシャル=他者に性的欲求や恋愛感情を持たないセクシャリティーを持つ人。
さらに分類すると、
▷“他者に性的魅力を感じない人”はアセクシャル。
▷“他者に恋愛感情を抱かない人”はアロマンティック。
▷“他者に恋愛感情を抱くが性的魅力は感じない人”はノンセクシャル。
と分けているようです。

Intersex】:インターセックス=身体的な構造が一般的な男性、女性どちらも一致しない状態の人になりますが、インターセックスという表現を使いたくないという人も増えてきたことから、DSD(性分化疾患)と表現されることが多くなりました。

Xgender】:エックスジェンダー=男性、女性どちらにも当てはまらないと感じている人や、性自認が男性、女性の間で揺れている人の性自認です。

Polyamory:ポリアモリー=関係者全員の合意の上で複数のパートナーと関係を持つ恋愛スタイルで、そこに性的関係がある場合も性的関係がない場合もあります。

日本では珍しい一夫多妻(二妻/日本は重婚が認められていないので、それぞれの女性と結婚→離婚されており、名字は同じでも戸籍上は独身)、実際に3人+子供達で暮らしている家族が九州にいますが、わかりやすいポリアモリーかもしれません。

合意の元、複数と関係を築くポリアモリーの反対が、一夫一婦のモノガミー(monogamy)で、ご存知のとおり、日本はこの恋愛スタイルや結婚スタイルが主流です。

こうして見ると、性自認から性指向に恋愛指向と多様であることがわかります。まだまだ多くの分類があるのですが、ザックリ大きく分けて説明してみました。人類の性は実に奥が深いですね。

本年もご愛読いただき、ありがとうございました。本年はこれで終了です。2020年はコロナで本当に大変な1年でした。多くの人々のメンタルにも甚大な影響を及ぼしました。来年は少しでもコロナ前のような生活に戻ることを祈るばかりです。

来年のコラムは1月10日日曜日から掲載を始めます。原則毎月5の倍数の日に掲載していきます。来年もよろしくお願いいたします。それでは良いお年を。

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セクシャルマイノリティーへの理解を深める【2/3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

LGBTQのLGBは、“性的指向”の三要素であり、トランスジェンダーやトランスセクシャルの『T』は“性自認”により決定されるものです。

改めて整理してみましょう。

  • 性的指向→どんな性別の人を好きになるか。
  • 性自認→自分の性をどう認識しているか。

マジョリティーでは、性自認(気持ち/心の性)が女性の場合、身体の性も女性。性自認が男性の場合、身体の性も男性と言われています。

上記が一致していても、

性的指向(性的対象)がマジョリティーではない、または、身体の性と性自認(心の性)が一致せず違和感を持つ人がLGBTに該当します。

この先なるべくわかりやすく、私が自分(女性)とパートナー(男性)を例にさまざまなパターンを考えてみましょう。現実の私とパートナーは次のようになります。

【私】身体:女性性自認:女性
▷性指向:女性・男性→両性なのでバイセクシャルということでセクシャルマイノリティー。

※これが、男性/女性だけでなくトランスセクシャルやトランスジェンダー、Xジェンダーなど、まだまだある性自認の人たちすべてが性指向となる人のことを“全人愛”<バンセクシャル>と呼びます。
【パートナー】身体:男性性自認:男性
▷性指向:女性→セクシャルマジョリティー。

※医学的性別(身体の性)、性自認が一致していることをシスジェンダーと呼び、異性愛者をヘテロセクシャルと呼び、これが一般的にセクシャルマジョリティーと言われていて、パートナーはそのまんまセクシャルマジョリティーですね。

それではさまざまなパターンを例として列挙してみます。

【私】身体:女性/性自認:男性
【パートナー】身体:男性性自認:男性
▷私の身体の性が女性でも、性自認が男性でパートナーが性自認・身体共に男性の場合、私は“男性として男性が好き”なので『ゲイ』になります。

一般的な男女のカップルに見えても、実はゲイカップル、ということになります。
【私】身体:女性性自認:女性
【パートナー】身体:男性性自認:女性
▷パートナーの身体が男性であっても、性自認が女性で性指向も女性の場合、身体・性自認共に女性である私を好きなのでレズビアンになります。

一般的な男女のカップルに見えても、実はレズビアンカップル、ということになります。

大丈夫ですか?こんがらがってませんか?

また、身体の性が私(女性)、パートナー(男性)であっても、私たちの性自認が私(男性)、パートナー(女性)である場合、FTMヘテロセクシャルが私で、MTFヘテロセクシャルがパートナーということになります。

※FTM:フィメール・トゥ・メールの略(女性の身体でありながら性自認は男性)

※MTF:メール・トゥ・フィメールの略(男性の身体でありながら性自認は女性)

図で表すと以下のようになります。

一度パートナーに聞いたことがあります。「黙っててごめん。私、見た目は女だけど、実は心は男で、男として男のあなたが好きなんだ、って言ったらどうする?」と。

こんがらがっていました(笑)その後に「ゲイやレズビアンは当然認めてるけど、自分事となるとオレはノンケ(ヘテロセクシャル)だから、パートナーには身体はもちろん、性自認も女性の人に、オレのことは男性として愛してほしい・・・かな」ということでした。

最終回となる次回は、さまざまな性自認、性指向ということでLGBTQの『Q』部分についてお話しようと思います。

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セクシャルマイノリティーへの理解を深める【1/3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

個性的であることより協調性があることを幼少期より求められ、出る杭(個性的、少数派)は打たれやすく、異端(?)と思われると差別や偏見、排除の対象として弾かれやすいのが日本ではないか?と感じているのは私だけではないと思います。

今回は多様性を叫びながら、なかなか理解が進まないセクシャルマイノリティーについてお話しようと思います。

私の周りにはパートナーを始め、マイノリティーと言われる人も多く、当然セクシャルマイノリティーの友人も多くいます。LGBTQという表現が社会認知されてから随分経ちますが、言葉だけが先歩きして本当に理解できている人はひと握り、わかるようなわからないような・・・が現実ではないでしょうか。

今回から3回にわたり、性の多様性を理解する上で避けられないさまざまな【性自認】【性指向】についてお話したいと思います。

  • 身体的性と自認する性別が一致している。
  • 異性愛(男性×女性)。

をセクシャルマジョリティーと考えるならば、それ以外のすべてがセクシャルマイノリティーになります。

誰もが最初に思い浮かべるのが“同性愛”だと思いますが、本来、男女の関係なく同性愛者は“ゲイ”と呼ばれますが、わかりやすくするために女性の同性愛者を“レズビアン”、男性の同性愛者を“ゲイ”と呼んでいます。

LGBTQはレズビアンの『L』、Gはゲイの『G』です。Bはバイセクシャルの『B』、Tは身体的性と性自認が一致しないトランスジェンダー(トランスセクシャル)の『T』、Qはクエスチョニング、クィアの『Q』、となります。

間違って理解している人も多いようですが、バイセクシャル=異性とも同性とも“肉体関係を持てる人”、ではありません。肉体関係を伴わなくとも恋愛関係は成立するので、肉体関係云々は関係なく、異性も同性も“同じように恋愛対象になる人”のことをバイセクシャルと言います。

たまたま酔った勢いや好奇心から「あたし、女の子とエッチしちゃった!キャハ!」はバイセクシャルではありませんし、学生のノリで女子が「(同性の)友達とキスしちゃったもんね」も、バイセクシャルやレズビアンではありません。

なぜLGBTからLGBTQという表記になっていったかというと、

自分の性自認や性指向を決めたくない。
●まだ定まっていない。
●どのセクシャリティにも違和感がある。

・・・というクエスチョニングのQと、数多いセクシャルマイノリティーの総称として使われるクィアを追加したことによります。

実は以前、このクィアという表現はダイレクトに“変態”のような意味で差別的に使われていたのですが、多様性が叫ばれる中、近年は良い意味での開き直り(?)のように使われているようです。

▷性自認が女性で性指向が女性である人をレズビアン。
性自認が男性で性指向が男性である人をゲイ。
●性自認が女性(男性)で性指向が自分と異なる性の人をヘテロセクシャル←セクシャルマジョリティー。
身体的性が女性で性自認が男性である人をトランスジェンダーFTM(フィメール・トゥ・メール)。
身体的性が男性で性自認が女性である人をトランスジェンダーMTF(メール・トゥ・フィメール)。

となりますが、ややこしいことに、身体的性は男性<見た目が男性、中性っぽい、性別再適合手術(SRS)を受けていない、でも“その人の性自認が女性”で、それに加え、性指向が女性の場合、見た目が男性であってもレズビアン(MTFレズビアン)>になるのです。

性自認とは、

自分が自覚している性別(「私は男(女)である」ということ)

性指向とは、

性自認とは関係なく誰が性愛対象になっているか、

になります。間違いなくこんがらがるので、次回はそれらをわかりやすく整理してみます。

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カースト制がないこの国に存在する謎のカースト

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。少し間が空いてしまいました(笑)。

タイトルの謎のカースト・・・ママ友カースト、スクールカースト、本来の使われ方とは違う意味で、○○カーストというものを見かけます。

自分がどの立ち位置にいるのかを無意識下で常に意識し、上層カーストは下を見下し、カースト落ちしないように必死で、中間層カーストは上層カーストの様子(ご機嫌?)を伺いつつ、下層カーストでなくて良かったと胸を撫で下ろし、下層カーストは大人しくしながら、その外側に位置する(ような)アンタッチャブルにはなりたくないと下を見る。・・・というのが私が知る、カースト制のない国にある謎のカーストの認識です。

息子に「スクールカーストってわかる?」と聞いてみたところ「うん、わかるよ」とのこと。今回は息子にスクールカーストの実態を聞き取りしてみました。飽くまでも息子の通う中学校の、息子が感じるスクールカーストになります。

当時はよくわからなかったみたいですが、小学校高学年ぐらいからはあったと言います。それが中学になると顕著になってきた、と。スクールカーストはどのような子供たちがどこのカーストに位置するのでしょうか。

息子の通う中学校は普通の公立ですが、近隣の中学校に比べ礼儀作法や校則が厳しく、そのせいが学校訪問するとどの生徒たちも立ち止まって頭を下げ、元気よく挨拶をしてくれます。少しでも制服を着崩していたり、髪を染めてるようなヤサグレてしまった生徒は一人も見かけたことがありません。見かけだけ、ですが。

飽くまでも息子が通う中学校、息子の主観になりますが、トップカーストにいるのは“成績が良い”“スポーツ万能”もしくはその両方を兼ね備えている子供たちらしく、クラス委員や体育委員、生徒会の主要役員をやっていたり、声も大きく、クラスの雰囲気をガラッと変える力(?)がある目立つ子供たちだそうです。ヤンチャと言われる子供がいない中学校だからでしょうか。ちなみに女子にそのような生徒はいないそうです。

息子が1年生の時は登校渋りが出かけてヤキモキしましたが、2年生になって一人一人を丁寧に見てくれる担任になったことと、たまにふざけることがあっても、まとまりのあるクラスでクラス全体が仲が良く、イジメもなく居心地がとても良いそうです。・・・なのにスクールカーストがある不思議。

息子自身は中間層カーストの、そのまた真ん中ぐらいと自覚していて、クラスのほとんどがこの中間層カーストに位置するそうで、その中に“班”のような仲良しグループが幾つもあり、その中を行き来している子ばかり、クラスではおとなし過ぎず悪目立ちし過ぎない、平均的な子供たちが集まっている、と。

仲が良いらしいクラスに存在する下層カースト、そこにいるのは“ふざけ過ぎる子”“面倒くさい子”“面白くない子”“暗い子”“クラス対抗で協力しない子”たち。こんなくだらないことが理由で下層カーストとは随分と乱暴で理不尽です。

下層カーストの子供たちが何か発言しても周りの空気がシラっとしたり(アクションが薄い)、給食のおかわりは一番最後にされたりするらしいのですが、無視されたりイジメがあったりはないという。

誰がどことはっきり明記されてはいないものの、暗黙の空気みたいなものがあって、誰もがそれを意識しながら学校生活を送っているように見えるらしいのです。休み時間を過ごす場所もカーストにより違うらしく、上層カーストの生徒たちは教室の後ろに溜まり、中間層カーストの生徒たちは自分の席周りやグループの生徒たちの席、下層カーストの生徒たちは廊下や教室の端、図書館にいることが多いとか。私が知るイジメがあったりクラスが荒れたりするスクールカーストとは違い、随分ほのぼのとしたカースト。

どの社会にも“おとなしい子(人)”はいるもので、それがただただ声が小さいとか人見知り、どうでもいいことは自己主張しない、自己主張をするのが苦手な子、他者にあまり関心がない・・・など理由はいろいろあるもので、時間をかけると仲良くなれる子、ということも多いですよね。

5人に1人がHSP、HSE(HSS型HSP、HSEという社交性があるHSPもいます)と言われる時代、当然子供たちの中にもいるわけですが、子供はHSCと呼ばれます(C=Childの「C」)。しかし、

HSPという医学的な診断名はなく、心理学的には“気質”として扱われます。つまりHSPは精神疾患でもなく、発達障害でもないのが現状です。

私はHSPについては部分肯定派なのでそれについてはまたの機会に。

息子が話していて気になった言葉があります。

「普通にしてたら中間層にはいられるんだよ」

普通、普通・・・。普通って何なのでしょうか?

中央値、平均値みたいなもの?普通というからには何らかの基準があるのでは?その基準はどこにあるの?誰が作ったの?

普通から外れたら中間層(大多数、マジョリティーと理解)には入らないの?普通じゃなきゃダメなの?

・・・と沸き上がる疑問が・・・。成績は良くも悪くもありませんし、最近は友人関係のトラブルもありませんが、発達障害重複を持ち、さまざまな生きづらさを感じている息子は、間違いなくマイノリティーに分類されるはずで、そうなると“普通”とは外れるのでは?普通から外れたら中間層にいられないんじゃ?だとしたら息子は“必死に”中間層から外れないようにしているとか?

やはり疑問だらけです。

疑問だらけついでに、次回はジェンダー、セクシャリティーを考えてみたいと思います。

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