よく聞くけど意味はまったく違う【自己肯定感】と【自己正当化】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

皆さんは【自己肯定感】【自己正当化】と聞くと、どのようなイメージを持ちますか?今回は混同されがちで、わかっているようでイマイチよくわかっていない自己肯定感と自己正当化についてお話ししたいと思います。

最近は子育てから企業研修、カウンセリングや学校カウンセリングの場面でも【自己肯定感】という言葉をよく聞くようになりました。

自己肯定感とは・・・自分の長所も短所も認めて、それを肯定的に受容することです。

「失敗したっていいんだもーん!」なんて軽くチャラいノリや開き直りではなく、プレゼンで失敗しても「自分は今の自分にできる精一杯で頑張った、結果は惨敗だったけど自分お疲れさま!」と思えること、これが自己肯定感です。つまり、

失敗してしまった自分、カッコ悪い自分、認めたくないドロドロした感情を燻らせる自分。そんな自分も「これも私の一部分」として、そのまま受容していく、これが【自己肯定感】です。

自己肯定感の高い人は、自分のマイナス面よりもプラス面に目を向けることができるという特徴もあります。自己肯定感は高過ぎても厄介ですが、低過ぎるとそれ以上に厄介です。

自己正当化とは・・・他者から否定されないように自分の行動などに正しいと(無理矢理にでも)理論付けをし、自分を受け入れられようとする行為です。

自己正当化をする人は他者からの否定を恐れ、嫌います。否定されることを避けるために、自分の意見は正しいのだと無理にでも理由付けをしたがります。

わかりやすい例だとセクハラ/パワハラがあります。

「今日のスカートはもっと短いほうが可愛いよ」という発言がセクハラに当たると訴えがあった時に「親しみを込めたつもりだった」「場を和ませようとして言った」という上司、いますよね。あくまでも親しみを込めた、あくまでも場を和ませようとした、ここには自分を正当化する気持ちがあり、非を認めていません。

わざわざ皆の前で失敗を挙げ、激しく叱咤するなども「パワハラに当たるのでは」と訴えがあった時に「彼のためを思って敢えて」「恥ずかしさをバネに成長してもらいたかった」などと非を認めず自己正当化します。

どちらもが“自己受容”という点では同じように見えますが、自己肯定感には自分の意思や意見がある自分視点なのに対し、自己正当化は他者視点のため自分の意見はありません。

前記のセクハラではスカートの短さと可愛さには何の根拠もなく業務にも関係ないはずです。場を和ませようとした、親しみを込めた、という“セクハラやらかした”理由を周囲に認めてもらうための勝手な自己正当化しかしていない、ということです。

先ほどの自己肯定感が低い人に特徴があったように、自己正当化する人にも特徴があります。

自己正当化する人は他者の評価を気にするので、自分が否定されることがないように自己正当化した意見を押し通そうとします。自己肯定感の高い人は他者の意見を受け止めながら自分の意見を伝えることができますが、自己正当化する人は他者の意見を受け入れられません。

話をしていて、自分正当化したがる人は自己肯定感が低い人に多いように感じます。

「屁理屈ばかり」「身勝手」な言い訳ばかりする人が周りにいると、かなり疲れますようね。否定されるかもしれない、と思うと怖くなって傷付かないために予防策として自己正当化してしまう人がいるのも事実です。

自他の認知の違いや自他境界を理解し、アサーションスキルやアンガーマネジメントを身につけることで気持ちよくコミュニケーションができるようになります。

企業研修や勉強会でもアサーション、アンガーマネジメントは人気があります。ただ人によって習得していくスピードは違います。

一生もののスキルですから途中で投げ出さず、ひとりひとりに合ったやり方とペースでじっくり取り組んでいけるよう、いつもプログラムを考えています。

もっとあたたかな人間関係を築いていきたいという表れなんだろうと私は受け取っています。

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アンガーマネジメント【5】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

シリーズ最後となる今回は怒りを感じた場面でどう考えて(行動して)いくのかを具体的にトレーニングしていきます。

私たちが普段行動している根幹には

【その人自身の信念、善悪の判断をしているもの=コアビリーフ】

があり、コアビリーフはその人の“価値観そのもの”と言えます。

このコアビリーフが「〜であるべき」を引き起こす(コア)ので、人それぞれにあるコアビリーフが怒りをコントロールする重要なカギになります。

困ったことに、このコアビリーフには一般常識や他者の理屈は通用しません。人の数だけ存在するのがコアビリーフなのです。

わかりやすいコアビリーフの例を挙げてみます。

<例>
「子供は親に言うことを聞くものだ」というコアビリーフを持っていると、「子供は親の言うことを聞かなくてはいけない」から「子供は親の言うことを聞く“べき”だ」が生まれやすくなります。

子供は親の所有物ではなく、親とは違う考えや感情、意思を持ち、親とは違う人生を送る血の繋がりはあるけれど“別人格の他者”という現実が薄くなってしまい、“頭で”わかっていても(わかっていない人もいますが)、思いどおりにならず言うことを聞かない子供に対し、「あなたのためを思って←(これすら押し付けで虐待ですが)」と怒りを感じやすくなります。

私も発達障害を持つ手強い中学2年男子の母親なのでイライラする気持ちは物凄くわかりますし、課題が多くオレ様論をぶちかます息子に怒りを覚えます。

ただ、アンガーマネジメントを知らなかった以前とアンガーマネジメントに取り組んでいる今は、コアビリーフを知り、怒りを客観視できるようになり、一層感情マネジメントができるようになりました。それは、気持ちの折り合いがつけやすくなったことや、いつまでもイライラしなくなったこと、なかなか話の通じない息子ですが、コミュニケーションを積極的に取る時間を作るようになったことで、相互理解に繋がったのではないかと感じます。

アンガーマネジメントを身につけていく上で重要なのは、

  • 最初の6秒。
  • 自身がどのようなコアビリーフに持っているのかを知る。
  • 私たちを怒らせるものの“正体”を知る(図2)。
  • 課題の修正/行動の修正(図1)。

です。

  • コアビリーフを知るためには、怒りを感じた時にアンガーログという記録を取っていきます(図3)。
  • アンガーログを記録する時に、イライラ/怒りの点数を一緒に計りましょう(スケールテクニック)(図4)。

面倒なことだと思いますか?では、あなたはどのようになりたいのかを想像してみてください。

“怒りに任せて行動して失敗したくない”、“売り言葉に買い言葉で人間関係を悪くしたくない”、“自分の意見や考えに対し反対意見があっても、感情的にならず冷静に対処できるようになりたい”、“ぶちギレた後に自己嫌悪に陥ったり後悔したくない”、大体このような感じではないでしょうか。

怒りを感じた時の自分を、“紙に書く”ことで、感情を客観的に認識するのが目的なので、最初のうちは図3のようなアンガーログを付けていくことが必要です。

私は“パートナーを大切にしたい、無駄な強い怒りで心を荒ませたくない、感情的なやり取りで子供の心を傷つけたくない”が最初のモチベーションでした。すぐに記録できるように小さなメモ帳を持ち歩き、すぐに書くことがコツです。スマホ使用に問題がない場所なら、スマホ記録でも構いません。

わかりやすく図を書きましたが、必要な項目は

  • 日時
  • 出来事(怒りを感じた状況を簡単に)
  • 思ったこと(その状況をどう思ったか)
  • 感情(その時にどのような感情を持ったか)
  • 感情の強さ
  • 行動(自分がどんな行動を取ったのか)
  • 結果(あなたの行動の結果、どのような結果になったか)
  • 違う考え方(他の視点から考えることはできなかったのかを書く)

です。

「いちいち書き出すなんて面倒くさい」「そんなことしなくたって自分はアンガーマネジメントできる」「怒っても周りに迷惑なんかかけないし(無人島でもなければ誰かを不快にしているものなので、自分を客観視できていないただの勘違い)」「自分を怒らせるほうが悪い(オレ様何様殿様気質でスペシャル身勝手ですね)」などと思う人は、途中で放り出す可能性が高いので、アンガーマネジメントには不向きかもしれません。そういう人は、

ハッキリ言います、やるだけ無駄です。

誰でも簡単に身につけられるアンガーマネジメントですが、多少の面倒くささは伴います。何かを身につける、覚えて応用していくにはそれなりの【努力】をしてきたことを思い出してください。

何度もおはじきを数えて数を覚え、学校で漢字小テストのためにノートにひたすら漢字を書き、九九はお風呂でのぼせるほど繰り返し、語呂合わせで歴史年表を覚えてきませんでしたか?資格試験のために参考書に線を引き、ノートで問題を解きませんでしたか?仕事も覚えるまでは【多少の面倒くささと努力(あるいは忍耐)】を伴ったはずです。何かを身につけることは口で言うほど簡単なことではありません。

アンガーマネジメント自体は簡単です。ただ、身につけるまでには今まで気にも留めなかったことに目を向けたり、意識し考えていくステップがあるので面倒に感じます。企業で働いていれば、多かれ少なかれ部下なり後輩は必ずいると思います。彼らとの相互理解を短時間で深める、あるいは信頼関係を短時間で築いていく【スキル】である、と考えたらどうでしょう。アンガーマネジメントも仕事の一部となれば話は違ってくるのではないでしょうか。

他者を変えることは困難です。でも、自分自身の認識をほんの少し変えるだけで、あなたに対する周りの見方や評価、あなたへの接し方にも変化が表れます。

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アンガーマネジメント【4】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

適切な感情コントロールやコミュニケーションスキル(アンガーマネジメント、アサーション)を身につけることは、相互理解が深まるだけでなく、健全なコミュニケーションが社内の風通しを良くし、モチベーションアップや生産性にも関係してきます。

わかってはいるけど、どう手をつけたらいいのかわからない、まず役員から取り組んでみたい、もっと社員皆に知ってもらいたい、よりパーソナルに取り組みたい・・・など、さまざまな理由でいろいろな企業や個人からの要望や相談があり、カウセリングだけではなく研修会、スキルトレーニングの機会も増えてきました。

アンガーマネジメントは、何より“あなた自身”のメンタルヘルスを守り、ストレスになりやすい人間関係の根元改善に役立ちます。

本を読んで「そうか、わかった」、一度だけの研修会で「できるできる」と思っていても、実際は一人で努力をしてもフィードバックが上手くいかず、途中で「面倒くさい」「無理無理、できない」と放り出してしまう人も多いので、研修会だけではなく個人個人がどう取り組んでいるのかをフィードバックしていくことが有効です。

怒りの種類には問題となる4つの怒りがあります。

  • 強度が強い➡︎わずかな出来事でも激昂する、強く怒り過ぎる(事柄に対し不必要な強さの怒り)。
  • 持続性がある➡︎ 思い出して怒る、根に持つ。
  • 頻度が高い➡︎カチンとくることが多く、しょっちゅうイライラする。
  • 攻撃性がある➡︎自分や他者を傷つけたりモノを壊す(モノに当たる)。

直近1週間で、このような怒りはありませんか?

自分の怒りを客観的に見るために視覚化してみましょう。

また、自分の怒りをどう思うかを他者に聞いて照らし合わせてみましょう。

氷山モデルで考えると、怒りは第二次感情(氷山の見えている上の部分)です。

下にある見えない表に現れない部分が第一次感情で、それらは“不安”、“苦しい”、“嫌悪”、“心配”、“寂しい”、“後悔”、“虚しい”、“辛い”などの一次感情です。

怒りを伝える時に、第二次感情でぶつけるのではなく、第一次感情で説明します。そのためには、自分の怒りにある隠された第一次感情を理解する必要があるのです。

怒りという強い衝動をコントロールするには最初の6秒がとても大切です。瞬間的に怒る“反射”は絶対にNGです。

最初の強い怒りが持続するのは長くても6秒と言われているので、この6秒を無事に(?)やり過ごすことができれば怒ってはいても瞬間的に反射せず、かなり冷静になります。

6からカウントダウンで数字を数えるでもよし、例えばリンゴやバナナを思い浮かべ、それを頭の中で数えても、池のアヒルでも、目の前のボールペンでも構いません。

まず6秒を意識してください。

怒り沸騰中の6秒は案外長く感じるものですが、この6秒が最初にトレーニングする要となる部分になります。

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アンガーマネジメント【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

モヤモヤやイライラ、怒りを生んでしまう背景には社会不安からくる焦燥感や不満はもちろんですが、“忙しさ”や“多様化する価値観”というものがあります。

多様化する価値観が悪いのではなく、価値観を認め合うことができないから生まれてしまうイライラと、多様化する価値観を擦り合わせる場面が増えることで生まれるイライラです。

【2】でもお話しましたが、立場や意見の違い(多様性)をお互いに認め合うことができず感情を適切にコントロールできないと、イライラや“怒り”を“個人のやりたいことを優先、押し通そうとする”ぶつかり合いの道具にしかできなくなります。

この価値観の多様化が進むと、自分“以外”の意見や立場がうまく通らなくなると思い、不機嫌な人達で溢れ返ることになってしまいます。

会社でも私生活でも“自分の思い通りにならない”“自分の思った通りの反応が返ってこない”“自分の都合を考えてくれない”と、「自分の、自分が」ばかりで、それが叶わないとすぐに不機嫌になり、イライラオーラを撒き散らし、言動に表す“お子ちゃま”はいませんか?

適切に怒りをコントロールできなければ、“扱いづらい人”“感情的になる面倒な人”“話し合いができない人”という、対人的マイナス評価にしか繋がらず、結果あなたに良いことは何一つありません。

怒りが生まれる3段階というものがあります。

アンガーマネジメント【1】で取り上げた例を思い出しながら考えてください。

<第一段階>
“出来事に遭遇する”:スマホ歩きをしていた人にぶつかられる。

<第二段階>
“出来事の意味づけをする”:同じ出来事でも、彼女にプロポーズしようとウキウキな時と、仕事でやらかしてしまった時ではイライラ度合いが違いましたよね。起こった出来事が同じでも自分の置かれた状況が違えば、まったく違う感情が生まれることがおわかりいただけたはずです。

<第三段階>
怒りの感情が発生する

第一段階の“スマホ歩きでぶつかられた”だけの“出来事だけ”では、あなたを怒らせることはできません。

起こった出来事に対し、怒りの感情が生まれるかどうかは、第二段階の【意味づけ】があり、その結果、第三段階の【怒りの発生】へと繋がっていくのです。

アンガーマネジメントでは、この【意味づけ】の部分に意識的に目を向けることで、怒りの感情をコントロールしていくテクニックを学びます。

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アンガーマネジメント【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

アンガーマネジメントの【2】では、怒りが生まれる原因からスタートします。会社という組織で考えてみましょう。

“自社新商品の売上を伸ばす”というゴールを目指す時に、そこにはいろいろな部署の人たちがさまざまな関わりを持ちながらプロジェクトを進めます。それぞれ立場が違う人がいろいろな考え(意見)を出し合う場面もあります。

当然ながら立場が違う人たちが自分の考えや意見を最優先させよう(させたい)とすることで衝突が起きます。まず、

考え方や意見、立場の違いは問題ではありません。

問題となるのは、

意見や立場の違いを受け入れたり認めることができない、あなた自身の『〜すべき』という“思考”です。

自動思考になってしまっていて自分が『べき』思考になっていることにさえ気づけないこともあります。

商品開発部VS営業部、という構図で考えてみましょう。

営業部はその新商品の素晴らしさは知っています。が、操作がごちゃごちゃと分かりづらいというお客様からの声を受け、「確かにその通りだ、商品自体は素晴らしいのだから、もう少し使い勝手よくシンプルで分かりやすくなればお客様は喜ぶ。絶対に売上は伸びるはず。ここは開発部がお客様の意見に耳を傾けるべきなんじゃないか」と考え、意見を出します。

開発部は、技術のすべてを投じた商品に絶対の自信を持っており「多少の複雑さがあっても商品自体は素晴らしいのだから、その素晴らしさをもっと説明して納得してもらうような営業をするべきだろう」と考え衝突します。

クリエイティブの現場でも衝突はしばしばです。映像業界なら監督と役者、広告業界なら営業部と制作部、カメラマンとアートディレクター・・・、共通の目的は『良いものを創る』ということですが、建設的な衝突を繰り返しながら、協働で一つのものを創っていきます。まさに現場は人間臭さに溢れています。

この“べき”は正しい意見のようにも聞こえますが、実は“自分サイド”の要求(欲求)でしかないことが多くあるのです。

“新商品の売上を伸ばす”、“良いものを創る”というゴールを目指し、より良い着地点を模索するために立場や部署が違う人たちが意見や考えを出し合うわけですから、

怒りの引き金になりやすい『〜べき』思考にならないように意識しましょう。

言い換えれば、怒りに任せた感情的なぶつかり合いだけで終わらせず、共通の目的を意識して、互いの納得点や共通認識点を確認するという人間臭い作業を丁寧に繰り返し、擦り合わせていく、と言えます。その仕事に携わる誰もが気持ち良い充実感を体感できる環境を、お互いで創出していきたいものです。それができた先には、きっと立場を超えた信頼感や絆みたいなものが得られるのではないでしょうか。

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アンガーマネジメント【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

インターネットや雑誌、テレビでもアンガーマネジメント、アンガーコントロールという言葉を聞くようになりました。

本来、アメリカのエグゼクティブがマイナスになりやすい感情に冷静に対処できるように考えられたプログラムですが、トレーニングで誰もが身につけられる技術です。

人間関係を円滑にする上でアサーション同様、社会人の必須スキルではないかと考えています。特に雇用する立場の経営層、幹部の人には必須と考えます。

キレやすい思春期の子供たちを相手に息子が通う公立中学校では、人間関係教育で大切なアサーションやアンガーマネジメントを取り入れており、一定の効果は上がっているようです。残念ながら、発達障害のある息子はストレス耐性も低く衝動性もあるので、感情マネジメントはなかなか上手くいきませんが・・・。

怒りを感情的にぶつけて言い合いをしても解決に繋がることは少ないもので、自分自身はもちろん相手にもイライラと嫌な感情だけを残し、何より人間関係に決定的なヒビを入れてしまうかもしれません。

“怒り”の感情自体が悪いわけではありません。『適切な怒り』は相互理解に繋がる場合もありますし、怒りがモチベーションとなり、やる気に結びつくこともあるからです。例えば新しい事業のキッカケが『怒り』ということがあります。ある問題にただ文句や不満を言うことを超え、その不満などを解決する方向に怒りのエネルギーを転嫁させ、新しい事業を立ち上げる、といった具合です。そのような経験がある経営者もいるのではないでしょうか。

では、『適切に怒る』とはどういうことでしょうか?

その前に怒りという感情が生まれる仕組みについて理解しましょう。怒りに仕組みがあることにちょっとした驚きを持つ人もいるかもしれませんね。

怒りは不快感情に分類されるので、どんなに怒りっぽい人でも怒るのが好きな人はまずいないと思います。他者に向ける怒りの多くは、自分も含め誰もハッピーにはなりませんから、マイナスになりやすい感情と言えます。怒りを感じるような状況でも、自分のその時の状況で怒りは怒りでも、その度合いが変わります。『虫の居所が悪い』という諺もあるぐらいです。

次のような時の例を挙げます。

  • 大好きな人にプロポーズされ、嬉しくてたまらないウキウキな時。
  • 大きな商談をまとめた手腕が社内で評価され昇進が決まった時。
  • ビッグプロジェクトのプレゼンで他社に競り勝った時。
  • 念願叶って第一志望校に合格した、あるいは第一希望の企業に内定をもらった時。

そんな時に、前から歩きスマホをしてきた人にぶつかられたとしましょう。歩きスマホで前方不注意、相手に落ち度があってぶつかられたのですから、多少ムッとするのは当たり前です。

では、あなたの状況が、

  • 指輪も準備してプロポーズしようと待ち合わせ場所に向かっている途中、恋人が他の人と手を繋ぎ親密そうに歩いている場面を見た。
  • 自分が頑張って準備をし臨んだ商談がうまくいった。なのに何故か同僚の手柄になってしまい、まったく評価されなかった。
  • 第一志望どころか、行きたくもないけど仕方なく受けた滑り止めの学校も全部不合格だった。あるいは、どんなに就職活動しても内定がもらえない、採用されない。
  • プレゼンは実は茶番で、裏の政治力で既に他社に決まっていたことを知った。

こうした状況で同じように歩きスマホの人にぶつかられたら、上手くいった時と怒りの度合いはまったく同じでしょうか。

同じ状況なのに、感情や怒りの度合いは違いますよね(ムッとする程度は怒りではなく、“不快だな”くらいではないでしょうか)。置かれた状況が違えば、同じ出来事に遭遇してもまったく違う感情(あるいは度合い)を持つことにお気付きいただけたと思います。

さらに考えてみると、

出来事そのものはあなたを怒らせることはできない、

にも気付けませんか?例を思い出してください。歩きスマホでぶつかられた時・・・。好ましい状況に自分が置かれている時と、不快不愉快な状況に自分が置かれている時では、自分の反応が違ったはずです。

ここまででわかった人もいるかもしれませんが・・・

あなたを怒らせているものの正体は、実はあなた自身

だとも言えるのです。

次回から、何故イライラや怒りが生まれてしまうのか、そもそも怒りとは何か、怒りが生まれるステップについてお話していこうと思います。

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