ストレス対処のための情動ラベリング【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

ポジティブシンキングやネガティブな気持ちを無くそうだとか、世の中はやたらとポジティブ善に傾いている気がしませんか?

私たちはネガティブな感情(不安、不快、恐怖、怒り)を忌み嫌い避けようとしますが、実はそれが逆効果であることを案外知りません。

生きていれば楽観的(ノーテンキ?)にポジティブでいられない時も多いものですし、必ずしもネガティブ悪ではないのですが、何かと悪者扱いされてしまうネガティブ感情。

ただ、やはりネガティブな感情は気持ちを波立たせたり辛さを伴う時が多く、それが強いストレスになりますよね。ネガティブ塗れだと眠れなくなったり胃に穴が開いたり、ハゲ散らかしたりするのでそれなりの対処は必要だと思っています。

ネガティブ→ポジティブにはなれないまでも、せめてフラットに近い状態を保ちたいと誰もが思うはずです。

そのために効果的なのが“情動(感情)ラベリング”という方法です。

なぜ情動ラベリングが有効なのか、その理由ややり方をお話ししたいと思います。

感情ラベリングとは科学的に根拠があり効果が出ている手法であり、誰でも高度なテクニックいらずで簡単に始められることが特徴です。

認知行動療法や認知再構成法にはワークがあったりシートを使ったり書き出したりと準備が必要な時もありますが、感情ラベリングに必要なもの(?)はあなたの“感情”だけ。

手ぶらスタートできるわけです。まるでchoco ZAPみたいですね(笑)

今感じている不快、不安、恐怖、怒りといったネガティブな感情を認め(否定しない)言葉として口に出すことにより感情を司っている“扁桃体”とう脳の一部の活性を抑制する事ができるとわかっています。

口に出すと言ってもそれを目の前にいる人にぶつけたり、関係ない誰かに八つ当たりするのではなく、独り言のように口に出すだけ。

●自分のネガティブ感情を認め→言葉にして口に出す。

これが感情ラベリングです。

高度なテクニックは必要ありませんが、効果的に行うコツというものがありますので、次回は引き続き感情ラベリングのコツをお話ししたいと思います。

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ASD積極型/受動型【2】

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、周囲の無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

三つ組の特性があるASDにはさまざまなタイプがあります(ADHDにも3つのタイプがあります)。何度も書いていますが、三つ組の特性にも人により濃淡があります。こだわりの種類も違えば、こだわりの強さも違う、他者への共感が低いASDでもADHDを重複していると共感力を持ち合わせていたり・・・。

  • 一人が好きで他者との関わりをできるだけ避けようとする故に、ミステリアスで“変わり者”と見られやすい孤立型
  • 自分から積極的に社会や人と関わるのは苦手だが、基本受け身で誘いがあれば交流するので、一見何の問題もないように見える受動型
  • 他者と積極的に関わりを持とうとするが、空気を読めず失礼な発言、場違いな言動が多く、「ちょっと、ヘン?」と遠巻きにされがちな積極奇異型。

息子はADHD(不注意/衝動性/多動混合型)強めのASD積極奇異型で、人が大好きで他者と関わりたい、コミュニケーションを取り仲良くなりたいタイプです。彼のさまざまな特性をわかってはいても、共に生活をしている親としては、しょっちゅう小地雷を踏まれ傷ついたりモヤモヤしています。

「母さんの唐揚げ美味しいよね」と言ってくれれば素直に喜べるものを「母さんの唐揚げは○○(スーパーや店)よりマシだよね」という言い方をニコニコしながらするので、モヤったりイラッとします。彼としてはきっと褒めているつもり、感謝しているつもりなのでしょう。

ある時は「○○って知ってる?」と聞くので「知らないなぁ」と言うと、「知らないの!?」と、さも知らないことが信じられないという返し方をしてきます。「そうなんだ、○○というのはね・・・」と繋がればモヤらないものを「そんなことも知らないんだ」ニュアンスで返してくるので微カチンです。親がそう感じるのですから、真っ赤な他人や他者はどう感じるのか言わずもがなです。

毎回毎度「言い方考えなさいよっ!」です。

この“微妙さ”は他者を微カチンさせるのに十分で、これが繰り返されると「なんかあの人と話してるとイライラするんだよね」「楽しくない」になります。もちろん彼らにまったく悪気はないのをわかっていますが、悪気がなければ他者の気分を害してよいわけでも、発達障害があったとしてもそれが免罪符にもなりません。裏を返せば、百歩譲って正直で素直という言い方ができなくもありませんが、やはり他者を不快にしやすいことに変わりはありません。

積極奇異型はバウンダリーオーバーしがちなので、それを不快と感じる人も出てきやすい気がします。知り合ってから関係を築いていくには、それなりの時間が必要だと思いますが、積極奇異型にADHDもあると人見知りをせず人懐っこいので、他者ペースを考えずグイグイ行きがちで、時としてそれは無神経で無礼に映ります。無邪気なのですが「関わって大丈夫な人かな?」と不安になる人、疎ましく思う人もいるでしょう。

これはどちらのタイプにも言えることですが、言ったことはやってくれるのですが(息子はADHDもあるのでマッハで抜け落ちますが)、「えっ!?そこまで言わなきゃわからない?」「考えればわかるよね?」も日常的に多くあります。ASDがイマジネーションの障害と言われる所以です。

ずいぶん前ですが「食べ終わったらお皿、洗っておいてね」と言ったところ、お皿しか洗ってなかったことがありました(笑)お茶碗は?お椀は??と思いましたが、字義どおりにしか受け取れず、その先にまで考えが及ばないASDの息子に、私は「食べ終わったら使った食器類を全部洗ってね、お皿の裏も忘れずに」と言わなければいけなかったのです。←定着するまでそれを毎回毎回言うのはかなり面倒に感じます。

同じように受動型と思われるパートナーを持つ友人も、「指示を出せばそのとおりに動いてくれるけど、なぜその指示を出したのかその意図、意味までは考えられないから、少しでも指示が足りないと物の見事に抜け落ちる」と話していました。

また、ASDには抽象的/概念の理解は難しい人が多く「適当に」「そのあたりを」「なるはやで」などはまず伝わりません。「3ページまで」「一番上の引き出しと本棚の二段目まで」「午後までに」のように具体的な指示が必要です。

抽象的な概念といえば、例えば“反省”を例に出します。

何かしでかしたり間違った時に言葉として(形として?)、“謝罪”はできますが「何について叱られた」のか、わかっていないことが多いので、謝罪→反省(どこが悪かったのか)→振り返り(自分はこうやってしまってたな)→行動変容(次はこうしよう)に繋がらず、同じ過ちを繰り返しやすい傾向にあります。もちろん、そこには先の見通しを立てることが苦手、イマジネーションの障害、独特の捉え方をする認知の歪みなど、特性からくるものもあるので、互いの認知を出し合い、擦り合わせや打開策を考えなければ「いつも口ばかり」で使えない人と映ってしまいます。

ワーキングメモリーが少なくキャパシティも小さいため、幾つもの事案が重なって叱責されていると、一体何について言われているのかわからなくなります。『遅刻が多く朝礼に間に合わないため業務連絡が行き届かない!』と叱責されると“何について”叱られているのかわからなくなります。要は『遅刻するな』ですが、文節が多く長いと理解しにくい特徴があるのです。

最終回となる次回は、受動型にフォーカスしてお話ししたいと思います。

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エチケットとマナー

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。 

今回は心理学とは少し離れますが、目についたことについてお話ししようと思います。内容に汚話を含んでいるので、読むタイミングに注意してください。

読者の皆さんは【クチャラー】という造語、意味をご存知でしょうか?知っている人は一気に思い出し、食事中の人は不快感が押し寄せてきたかもしれません・・・。

私も書きながら不快になっているのですが、今回はなぜ【クチャラー】が人をそんなに不快にさせるのかを考えてみたいと思います。

随分昔に『自分の食事風景をマナーとエチケットという視点から他者と一緒に評価してみる』という、いろいろな意味でとんでもなく恥さらしで穴があったら入って埋めたくなってしまう講義がありました。

それは定点カメラで自分一人と、グループで食事中の自分の姿を記録して『評価し合う』という考えただけでも恐ろしいもので、それが原因で人間関係が拗れてしまったという笑えない話もあるとかないとか。

幸いなことに、箸の持ち方、使い方、肘を付くなどテーブルマナーにも問題はなく、クチャラーについても無問題でしたが、グループの中に3人、一人は肘を付いて食べる人、もう一人は食器に顔を近付け、皿に顔が付かんばかりの食べ方をする、いわゆる“イヌ食い”、そして今回のテーマであるクチャラーがいました。

無自覚な人が多いのだと思いますが、咀嚼する時に口を閉じず(閉じられず?)、咀嚼音を周りに響かせながら「クッチャクッチャ」と音を立てて食べるのがクチャラーです。誰でも咀嚼時には多少は音が出るものではありますが、彼らは食べ物を噛む度に「クチャクチャ」と咀嚼音、そして舌鼓を打つという文字通り舌を鳴らしたりします。

クチャラーと言われる人たちの多くは、口を閉じずに食べている人で、咀嚼音だけではなく、口腔内にある咀嚼中の食べ物が見えたりします・・・。

「食事くらい好きに食べたっていいじゃん!」そう思う人もいるでしょう。確かにそうかもしれません。

クチャラー同士だとわかりませんが、目の前でクチャクチャ音を立てて食べられると、周りは不快になるものです。咀嚼音ではありませんが、音を立てて啜って美味しそうだと思うのは蕎麦やラーメンぐらいでしょうか。これからの季節はそうめんや冷や麦が美味しそうです。

そして、クチャラーに対して不快になるにはもっともな理由もあるのです。

クチャラーではない人は、食べ物を咀嚼したり飲み込む時には口を閉じます。しかし、

クチャラーの咀嚼音が大きいのは、口を開けたまま咀嚼したり飲み込んだりするから

です。

咀嚼は、歯で食べ物を細かくし飲み込みやすくするためにおこなわれる行為です。

クチャラーのように口を開けたままの状態でクチャクチャ噛むと、当然、細かくなった食べ物や唾液が飛び散りやすくなります。潔癖症でなくても、どれほど仲が良いカップルや家族でも、目の前の他者の口から飛び散った食べ物のカスが、テーブルや自分の食器に付いていい気持ちの人はいません。

開口して食べるクチャラーは、その様子を見たくなくても口腔内が視界に入ってきてしまうのですが、舌を突き出したり食べ物を丸めたり、口腔内の都合のいい場所に移動させたりと舌の動きが忙しなく、とても品の良い食べ方とは言えません。

人が食事を楽しむのに使っているのは味覚だけではありません。美味しそうに見える(視覚)、美味しそうな匂い(嗅覚)、そして、例えば肉のジュージュー焼ける音、鍋のグツグツ煮える音(聴覚)、いろんな感覚をフルに使い、食事を味わっています。

そこに、口を開けて食べている口腔内が見え、クチャクチャと音がする・・・これはもう食事を楽しむどころか、不快感満載の雑音でしかないわけです。

私自身、元祖昭和(笑)なので、息子にも厳しくマナーやエチケットを教え込んでいる真っ最中ですが、マナーやエチケットは

“その人のため”にだけあるのではなく、同じ空間、時間を過ごす他者を不快にしないために身につけるもの

だと思うのです。

クチャラーに限らず、人混みをかき分けて降車しなければならない時に、ただただ力業でグイグイ押し退けるのではなく、ひと言「すみません、降ります(通してください)」が言えること、店で料金を渡す時に投げるように放り出す(案外見るのでびっくりします)、見ている人を不快にする行為はいくらでもあります。

自分に置き換えてみてください。

満員電車で身動きが取れない中、力任せにグイグイ押し退けられるのと、「すみません、降ります」とひと言あるのとでは、どちらに好感が持てますか?

あなたがコンビニスタッフでカウンターにいたとしましょう。トレーにお金を置いてくれたり、手渡すお客さんと、カウンターに小銭を放り投げるように払う(時々転げ落ちて拾わないといけない)お客さん、どちらに好感を持ちますか?

年齢や性差に関係なく見られます。『自分は客なんだ!』を“偉い”と勘違いして横暴、横柄な振る舞いをする人たち。目にする度に残念な気持ちになります。相手はロボットではなく人間です。自分が逆の立場だったらどう感じるでしょう。

クチャラーや食事中のゲップ、『自分は気にならない』という人も少数いると思いますが、言わない、表情に出さないだけで不快に感じている人が大多数ではないでしょうか。

エチケットやマナーは他者を不快にさせないために身につけておく(自分の品を守るためにも)ものであるということを意識すると、それが結果、他者への気遣いに繋がると思うのです。

箸を上手に使い、キレイな食べ方をしている人は見ていて気持ちいいものです。せっかくの楽しいはずの食事、皆で楽しい時間が過ごせるといいですね。

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全5回:感情と表現【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【1】に続き感情マネジメントについてですが、【2】では

感情とストレス

についてお話します。

まず前回の終わりに

感情とはいったいどこから来ると思いますか?

という質問があったと思います。

感情を引き起こし影響を与えているのは、脳の原始的中枢の、とある部分です。そこは言語を使うことでもっと高等な脳中枢部の影響を受け、支配されています。

私たち人間の感情と行動は、思考と起こった出来事をどのように受け取り、評価するかの影響によって生まれていると考えられています。

よく言われる「お父さんに似て短気だよね」という遺伝的要因は、その人の性格傾向に多少の影響を与えますが、実際はほんのわずかです。『ウチの家系はみんな爪の形が丸い』とはまったく違うのです。

次に感情がストレスを生み、健康に及ぼす影響についてお話します。

誰にでもあるストレスですが、同じ事が起こってもある人にはストレス、他の人にはストレスにならないことがあります。

なぜそのようなことが起こるのでしょうか?

それは不快な出来事をその人自身がどう解釈、評価するのかによって心が動揺するかどうか、またその動揺の振れ幅で決まるからです。ストレスの原因となる不快な感情を例にとり意識的、無意識的両面から、身体にはどのような症状が表れるのかを考えてみましょう。

無意識に筋肉が緊張し強張ることから、肩凝りや頭痛が引き起こされ、偏頭痛の原因にもなります。不快感情である怒りや恐怖は、血圧の上昇と同時に血栓を増加させる物質が分泌され血栓ができやすくなります。慢性的な情緒不安定は免疫力を弱めてしまい、風邪をはじめさまざまな感染症を引き起こしやすくなり、湿疹や脱毛も現れることがあります。円形脱毛症はよく耳にすると思います。

ストレス性胃炎があるように、継続した悩みや苦しみを抱え続けることで、胃が刺激され胃酸過多となり胸焼けや胃炎、嘔吐や下痢といった胃腸に症状が現れます。

ストレスは完全になくすことはできませんし、完全になくすことが必ずしも善とは言えません。ただ、気持ちを落ち込ませ、荒ませるストレスは生活の質と仕事のパフォーマンスを低下させてしまうので、ストレスを生んでしまう自分の感情を理解し、コントロールできないと健康面だけでなく、家庭、社会生活へのモチベーションが下がり、やる気がなくなり無気力無関心、抜け殻のようになってしまいます。

自分の感情を理解し、コントロールできないことで、自分自身の健康だけでなく、人間関係や目標達成などクオリティ・オブ・ライフに知らず知らずのうちに影響を及ぼしかねないのです。

こうして考えていくと、そうならないためには、メンタルにおける健康をいかに意識し維持していくかがポイントとなると言えます。

次回(15日)は、感情と行動を振り返り改善していく方法を、認知療法や論理療法(REBT)を交えながら思考、感情、行動をABC分析してみましょう。

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