レジリエンス

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

何度かコラムでも取り上げていますが、レジリエンスとは失敗したり傷ついて気持ちが落ち込んだ時に気持ちを立て直していく力のことを言います。心の自己治癒力とでも言うのでしょうか。

生まれ落ちた時には既にレジリエンスが備わっていた!という驚異的な人は存在しません。

レジリエンスは一体どこでいつ頃どのようにして備わっていくのでしょうか?言葉として知っていても、学校で教わった、親から教わったという人はいないと思います。

レジリエンスを育む環境とは具体的にどのような環境を指すのでしょうか。

①家庭環境の安定
互いに尊重し合いコミュニケーションがある対等な夫婦関係、自由で感情表現が抑制されない親子・夫婦関係、誰かが誰かの脅威にならず家族一丸となり、さまざまなことに前向きに取り組んでいける。
②両親がロールモデルとなる
子供は一番近くにいる親を見本として、言動や態度、思考を模倣しながら成長するので、困難な問題に直面した時に諦めず前向きに対処していく親の姿勢は、子供のレジリエンスを育む最高のロールモデルとなる。

子供に接する時間が長い親(ほとんどの家庭では母親でしょう)の影響を受けやすくなるので、悲観的な考え、ネガティブ発言が多い親の場合、子供の考え方や捉え方もネガティブに傾きやすくなります。否定的、攻撃的な親の影響も同じです。
③子供にマッチした学校選び
学童期以降の子供にとって学校は生活の大部分を占める場所であり、レジリエンスを形成する大切な外部要因になる。

家庭が生活のほとんどだった子供は、学校生活の中で失敗や傷つき体験を繰り返しながら、他者との関わり方を学び同じ年代の子供たちとグループを作ります。グループ(小集団)で自分の立ち位置を確認しながら他者間で承認し合うことも学び、これらはすべてレジリエンス向上に繋がっていきます。学力だけを重視せず、子供のレジリエンスを育てるための適切な環境が整っているのかを気にすることも大事ではないかと考えています。

子供にレジリエンスが備わっていくために親が心掛けていくポイントは、

  • 子供の話しに共感的に耳を傾ける(小さな訴えも蔑ろにせず、手を止めて意識を向けて、話し途中に口を挟まず最後まで聴く)。
  • 失敗をバカにしたり叱責せず、失敗は学習経験であり、失敗しても大丈夫なことを教える。
  • 困った時の問題解決方法を一緒に考え教えていく。

感情、認知、レジリエンス発達など、すべて安定した家庭環境あってのことですから、子供の安心して過ごせる環境整備は親の責任です。

安心して失敗できる環境を整えてあげたいものですね。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

ファシリテーション【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

ファシリテーターが守らなくてはいけない(参加者にも守ってもらうよう周知する)ことに、“守秘義務”があります。

ここではDVに悩む人が集まる自助グループのファシリテーターで考えてみましょう。

DV問題自体が表に出にくくプライベートでとてもデリケートな問題であり、最初に参加するのにハードルが高いだろうことは、想像に難しくありません。

ただでさえ初対面の人を相手に自己開示するのは、とても勇気がいることですし、いくら同じDVに悩んでいる人の集まりとはいえ、最初からオープンマインドは難しいものです。

誰からも否定されず、あたたかく受容してもらえる安全地帯であると感じることに加え、この場の話は外に一切持ち出されないことがわかれば、張り詰めた気持ちに多少は安心感が生まれるのではないでしょうか。

相手を認めることは、信頼関係を強化します。

最初に顔を合わせる人に対して不安はあっても信頼なんかありません。笑顔で声がけ、挨拶、自己紹介、「感じよい人だな」「話しやすそうな雰囲気」このように感じてもらうのが最初の一歩です。ビジネスでも同じことが言えますね。

先ほども書きましたが、受容は信頼関係を強化します。この場合、受容は傾聴とほぼ同じ意味を持ちます。

傾聴は“安心感”“信頼”“本音”“気付き”を与えます。そして、参加者の話に集中し最後まで遮らず、目線や頷きを交えながら話を聴きます。沈黙があっても無理に発言を促さず、あたたかい気持ちで見守りながら言葉が出るまで待ちます。自分の価値とは違う考えであってもジャッジすることは避けましょう。

否定されず遮らず、肯定的に自分を受け止めてもらえたと感じると人は安心感を覚えます。安心感がなければ本音も出ないものですよね。特に管理職やチームのリーダーである立場の人は、身につけて損はないコミュニケーションスキルだと思います。

受容は安心感のベースに、安心感は信頼関係のベースになります。

信頼できると感じれば自己開示のハードルは低くなり、本音が話しやすくなります。

ここまででお気付きだと思いますが、ファシリテーターは「自分は/自分が」が強い人には向いていません。自分(の考えや意見/感情)を前面に出やすい人は他者を肯定的に受容するスキルが低いので、まずはアサーションから傾聴を学んでみるのがよいと思います。いますよね、こういう上司(笑)

(営業マンという)プレイヤーとしては優秀でも(部下を管理する)マネージャーとしては必ずしも優秀とは限らない、周りに思い当たる人はいませんか?

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 人望を集めるのも失うのも『聴き方』次第?

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回はアクティブ・リスニングについて書こうと思います。読んで字のごとく、積極的な聴き方のことで『傾聴』ともいいます。

『積極的な聴き方?積極的な聴き方があるなら消極的な聴き方もあるの??』 

消極的という表現は多少語弊がありますが、実はあるのです。それは人を不安や不快にさせたり、下手をすれば人間関係が壊れてしまうかもしれないという取り返しのつかない聴き方です。

【 傾 聴 】

私たち心の専門家はもちろん、そうしたサポート場面だけでなく、職場でのビジネスコミュニケーション、家庭での夫婦間や親子間においても重要で、信頼関係を築く上でこの“聴き方”は大きく影響します。

〜 信頼関係を築く“聴き方”のポイント 〜

話を遮らない:助言、批判、分析をせず、相手の話に耳を傾けます。沈黙の時間があっても口を出したり質問を挟まず、相手のペースに任せます。

聴いているということを示す:相手の人に身体を傾けます。適当に頷いたり相槌を打つのではなく、言葉を噛みしめるようにゆっくり頷きましょう。適切なタイミングで相槌を打ち、相手の話への関心を表します。

キーワードを復唱する:相手が言葉を切った時、こちらの意見を言うより相手が使ったキーワードを繰り返します。「新しい職場に馴染めるか不安なんです・・・」に対し、(気持ちゆっくりめに)「そうですか、職場に馴染めるのか不安に感じているんですね」これは相手に“ちゃんと聴いている”という前記の行動を強め、共感している姿勢も伝えることができます。また、相手のキーワードを使うことで自分の解釈で言葉を変えない、自分自身の理解を確認し、さらに相手に話を促すことに繋がります。

言葉の奥にある相手の気持ちを考える:表面的な言葉だけでなく、言葉を通して相手が何を言いたいのかを考えながら聴きます。「『理由も聞かず一方的に怒鳴りつけるなんてどうなんだ!』と思いました」に対し「理由も聞かずに怒鳴りつけられたことを怒っているんですね?」と、その受け答えが合っていても間違っていても、それから先、相手は自分の気持ちを口にしやすくなります。

話しながら相手が気持ちを整理できる質問を織り交ぜる:YES、NOなど答えをその中からしか選択できないクローズドクエスチョンより、「どうしたらよいと思いますか?」「あの人に何と言いますか?」のような【WHAT?WHY?HOW?】のオープンクエスチョンを適宜入れます。課題や目標がなるべく明確になる質問が良いでしょう。

『話を聞く』 と 『話を聴く』 は違います。

いかがでしたか?

最後にオマケで『じゃぁ、消極的な聴き方は?』と思っているあなたへ。心当たりのある人は気をつけましょう!

相手に対し背を向ける、相手側と反対側に脚を組む、手を止めない(書類などから目を上げない、髪をいじりながら、爪をいじりながら、スマホやゲームをしながらは言語道断)など、聞こえてはいるものの内容を理解せず、適当に相槌を打つことです。

これをやられると大切な話をしていると思えば思うほど不愉快になりますし、不信感を持ってしまうのが人間です。コミュニケーションは会話のキャッチボール。投げっぱなしは寂しいですよね。

私自身も投げっぱなしになっていると感じると「あれ?あれ?あら〜?」になり、再度確認したほうがいいのか、終わらせていいのか戸惑いを覚えます。

人と人を繋ぎ、相互理解を深めるために一番有効なツール、それがコミュニケーションです。いずれコミュニケーションについては、話し方(伝え方)にもフォーカスして書きたいと思います。