本当の感情や思いは言葉の裏に潜む

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

人はすべての思いや感情をなかなか言葉にしません。なので、言葉の裏にはいろいろな思いや感情が隠されています。

反動形成でもお話しましたが、言葉にしないその裏にあるものは、

  • 心配をかけたくない。
  • 手間をかけさせたくない。
  • 嫌われたくない。
  • 生活(仕事)に支障が出る。
  • それくらい汲み取ってほしい(察してちゃん)。
  • 面倒くさい。

など、相手との関係や距離の中で、意識的、無意識的かは関係なく、さまざまな複雑な思いや願望、思いやりや甘えなどが交錯しているものです。

だったら思ってることを言えばいいんじゃないの?』

そう思う人もいると思います。

仮に、皆がみな、自分の感情に正直(これは大切なことですが、それは自分の感情に“自分自身が”素直になることで、必ずしも他者に向けてではありません)に思っていることすべてそのまま言葉にすると、人間関係ではどのようなことが起こるでしょうか。

あなたがやらかしたわけではなく、上司の指示が曖昧だったため起きたミスを責任転嫁/理不尽な理由で「ホントに君は何度同じことを言わせるんだ!」と皆の前で叱られたとしましょう。相手は上司という立場であり、関係が悪化すると仕事がとてもやりづらくなります。心の中では『うっせぇハゲ!テメェの指示がわからな過ぎなんじゃい!』と思っても実際には「申し訳ありません」と謝るしかありません。心の声を口に出したらどのようなことになるのか、火を見るより明らかなのがわかるからです。

ポジティブなものだけではないのが感情や気持ちですから、受け取る側がどう受け取るか、感じるのかを考えずにそのまま正直に口にしたとすると、果たして円滑な人間関係が築いていけるでしょうか。

相手には「無礼だ」「無神経」「思いやりがない」「自分勝手」と映ってしまいます。たとえあなたに相手を不快にさせよう、傷つけようなんて気持ちは1mmもなく、『思ったことを言っただけ』であってもです。

とても簡単な例を挙げます。

両手に重たい荷物を持っている彼女に「大丈夫?」と聞いたとします。

「う〜ん・・・大丈夫、重いけど・・・。」と返ってきたら、それは本当は大丈夫ではないのです(笑)

『持ってくれたら嬉しいな(助かるな)』で、この「・・・」の部分に隠されているのが言葉の裏にある思い、ということになります。

大丈夫だって言ったから持たなくていい、ではないということです。この場合、「重そうだね、持とうか?」が言葉の裏を読んだコミュニケーションの正解になります。

もちろん、お互いの距離が近くなり付き合いも長くなれば「重いから一つ持ってもらえる?」と言えるようになると思いますし、「僕が(わたしが)持つよ」と言いやすくなるでしょう。

この事例は職場でも当てはまるのではないでしょうか。締め切り間近にも関わらず、まだ終わる目処が立っていそうもない人、残業が多い人、あまり休めていない人などには「大丈夫?」と声をかけたり、逆に声をかけられたことはありませんか?仕事内容によっては手伝えたり、手伝えなくても、相手の「うん・・・大丈夫・・・」の言葉に隠れた「・・・」を感じ、励ましの言葉をひと言ふた言かけたことはあるのではないでしょうか。例えば「このプロジェクトが終わったら飲みに行こう」「週末、美味しいものでも食べに行こうよ」などと。

また、「〇〇やっといてね、わかった?」「・・・わかった」

なんて場面も結構あります。ノンバーバルに目を向けると口を尖らせていたり、目を合わせなかったりソッポを向いている時があります。思いっきり“異議あり”or“不満”のサインです。

言葉の表面だけを拾うと「わかった、って言ったじゃない!」になります。だいたいこの「わかった?」「・・・わかった」の言葉の裏(・・・の部分)には「うわメンドクサー、わかったって言っておこう」が見え見えに隠れているのがわかると思います。

人の言葉の裏には隠された本音や気持ち、思いが隠されているものだということを頭の片隅に入れておきましょう。

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反動形成〜防衛規制の話【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【1】で、反動形成はフロイトが提唱した、自分の立場を守ったり上手く人間関係を維持しようとする防衛規制という概念なのだとお話しました。

働き過ぎる防衛規制は良くないのですが、防衛規制には無意識に不安や恐れ、葛藤を回避、緩和しようとして働く誰にでもある心を守るための大切な作用でもあるのです。

防衛規制はさまざまな不安や葛藤を何とか処理しようとする場面でも表れます。

<例>
●欲しいブーツがある→すぐに流行は終わるだろうと諦める。
●成績が悪い友達に「もっと頑張らなきゃ」と説教してみる。
●「明日は運動する、ダイエットもする」と今日はいっかとドカ食いする。
●私だって頑張ってるんだから、多少ダンナに迷惑かけてもいっか、と家事をサボる。
●あの人は私を嫌っているんだと思い込もうとする。

このように防衛規制を使うことで、苦しかったり認めたくないことを一時的に自己正当化して心を守ることができます。防衛規制という心の機能があるおかげで、私たちは衝動的、感情的な欲求に飲み込まれず社会に適応できていると言えます。

ただ、この防衛規制は安全装置とはいえ一時的なもので、言い方を変えれば心の自由を奪うものでもあるので、防衛規制という機能をずっと働かせたままだとメンタルバランスを崩し、心の病気になってしまう可能性が高まります。

バランスよく防衛規制を使うことで、ストレスの多い社会で上手く折り合いをつけながら生きていっているのが私たちですが、その多くは無意識での働きなので、自分でコントロールするのは難しく、防衛規制という機能が働いているのだと意識もできないことがほとんどです。

理想は、

しなやかで柔軟な防衛規制

です。

頭でわかっていても、私たちの感情や気持ちはいつも一定ではありませんから、精神的に余裕がなかったり疲れている時は“今の自分を直視しないようにする心の作用”である防衛規制はしなやかで柔軟には働きません。

【1】で“今”を感じるマインドフルネスのお話をしました。マインドフルネスには『無意識を意識する』『今ここ』を感じる練習があり、じっくり自分(と自分の内側)と向き合う瞑想が軸になっています。

練習をして慣れれば移動中の電車内、昼休みのわずかな時間でできるようになるマインドフルネスで、あなたも自分自身とじっくり向かい合ってみませんか。

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反動形成を知っていますか?【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

気持ちとは正反対の行動を取ってしまうことを、心理学では【反動形成】といいます。

わかりやすいのが『辛い(悲しい)けど、人前では明るく振る舞わなきゃ』『本当は嫌いだけど仲良いフリをしてしまう』←子供関係が絡むと本当によくあるようです。・・・などです。

反動形成はフロイトが提唱した防衛規制という概念で、“自分自身の受け入れたくない(受け入れ難い)感情や衝動を隠すために本心とは正反対の行動を取る”ことで、心の安全装置を働かせるのです。

「悲しみや辛さなど落ち込んだ姿を見せるのは良くない(心配させる/嫌な気持ちにさせてしまう・・・などから)、明るくしてなきゃ」という、弱っていたり落ち込むことに否定的な気持ちが強すぎることが、ネガティブな態度を表すことに対して不安や恐れという感情と結び付きます。そんなネガティブな気持ちを和らげる無意識な行動が、本心と正反対の行動になります。

この【反動形成】、実は悪いことだけではないのです。

会社、私生活と私たちはさまざまな人間関係の中で日常生活を営んでいます。果たして、その場面場面でいつも行動と本心が一致しているでしょうか?自分の思いどおりの生き方をしている人のほうが少ないはずです。

無人島で誰とも交わらず気ままな独り生活を送っているのでもなければ、どのようなカタチであれ人間関係が発生します。

人間関係を円滑に送るために無意識に私たちは反動形成をおこなっており、それが結果として自分の立場や心を守ってもいるのです。

だからと言って、四六時中気持ちと行動が正反対だと、それはそれで凄まじいストレスですよね。心には許容範囲があるので、反動形成だらけの状態が長く続くと、生きづらさを感じたり、さまざまな精神疾患を引き起こすことにも繋がります。

両面ある反動形成のどちらかにも偏らず、上手く付き合っていくにはどうすればいいでしょうか。

そのポイントは、

今の自分の気持ちに目を向ける

ことです。ここで大切なのは、“自分の本心”だけでなく、“それを否定している自分”や“思い込み”という隠された本心にも気づくことです。

「なぜ好きでもない先輩の飲みに付き合うのか?」→そこには「好きじゃない(嫌いだ)」という本心と、仕事を教わっている立場だし、先輩に嫌われると仕事がやりづらくなる、という隠れたもう一つの本心があります。

「なぜ何とも思ってないのに優しい素振りをしてしまうのか」には「どうでもいい」と思っている本心と、冷たい人だと思われたくない、独りぼっちになりたくない、というもう一つの隠された本心があります。

肯定的な気持ち、否定的な気持ち、その両方に気づき『私にはそんな気持ちがあるんだな』をそのまま受け止めていくことが大切です。

“今ここ”に気づき、受け止めていくのにマインドフルネスがとても有効です。

マインドフルネスもコツがあり練習も必要ですが、しなやかで柔軟性のあるメンタルを目指すという点では【アサーション】【アンガーマネジメント】【マインドフルネス】がこれからの人間関係のカギになっていくのではないかと思っています。

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