社内保健室という考え方

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

アンガーマネジメントやアサーション、マインドフルネスなど、さまざまな社内研修や講習会でも企業に伺っています。一方で“空いた時間にいつでも相談できるカウンセリングルーム”として一定時間社内に私が在室している企業もあります。

カウンセリングと聞くと、最初はクリニックや病院を想像して敷居が高かったり、利用の仕方がよくわからないと感じる人も多かったようですが、「気分が悪かったり、何だか教室にいたくないと感じる時に保健室へ行って、養護の先生にちょっと話をして休むだけでラクになった経験はありませんか?難しく大げさに考えずに、そんな利用の仕方でいいんですよ」と話すと、ラクに利用できるようになるようです。

課題があれば相談者と共に対応策を考えていくのも私の役割ですが、働くことで溜まりやすい小さなストレスを話す(アウトプットする)ことで、ガス抜きしてもらうという側面もあります。

話したことや相談内容が完全に守られることで、話したことがどこからか漏れて人間関係がギクシャクする、人事査定が気になる・・・そのような心配や不安がないことから、肩に背負った重たい荷物(抱えたモヤモヤやストレス)を下ろしに気軽に顔を見せてくれる社員の方も増えてきました。

何を話したらいいのかわからない、何か話さなきゃいけないんじゃないか・・・そんなことはないので、ちょっと気分転換で利用してください、と伝えています。

ただ気持ちを落ち着けたい(カームダウン)、そんな時は何も話さずにいてもいいですし、吐き出したい時はパンパンになった愚痴袋(笑)を片手にいらしていただけたらと考えています。

産業医面談のように最初は緊張感から恐る恐る扉を開けていた人が、何度か顔を合わせるうちに、「また来ちゃいました、話を聞いてください」と気軽に訪れてくれるようになります。社内では誰の耳に入るかわからないし、迂闊に話せない、家庭に愚痴を持ち込むのも(反対に家庭の愚痴を会社に)・・・、友人に愚痴るのも何だか空気を悪くするみたいで申し訳ない、愚痴るほどはないけどちょっとモヤモヤする、など、人それぞれいろんな事情や考え方があります。

コラムでも何度かお話していますが、モヤモヤや愚痴は澱となって蓄積されるので、まずは抱え込まずアウトプットすることが大切です。アウトプットの仕方は“話す”“書き出す”などですが、振り返ることが目的、ただ垂れ流してガス抜きするのが目的、と、目的が違えば対処も違います。

即解決に繋がらなくてもアウトプットすることが溜め込まないコツで、とても大切です。

話すことで頭が整理され、解決策が見つかることも少なくありません。アウトプットするということはガス抜きと同時に、一旦外に置くことで冷静に考えられたり、俯瞰できるという意味もあります。

上手にアウトプットして心の負荷を軽くできるといいですね。

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愚痴の効用/副作用

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

普段からさまざまなストレスに囲まれて生活する私たちにとって、切っても切り離せない【愚痴】、今回は愚痴についてお話します。

愚痴には、

前向きな愚痴

ただ垂れ流す愚痴

の二種類があることをご存知でしょうか。

誰でも嫌なこと(理不尽、不快、怒り、悲しみ)がなければ愚痴はこぼしません。

その愚痴には、

  • 気持ちを落ち着ける。
  • 気分を切り替える。
  • 口に出すことで頭(あるいは気持ち)を整理する。

という効用があります。これは愚痴をこぼす側からの視点です。

愚痴をこぼされる側の視点で効用を考えると・・・、

  • 何で怒って(不快になっているのかわかることで、その人をより理解することに繋がる。
  • 自身の傾聴力が上がる。
  • 傾聴姿勢を持つことで、その人との間に信頼関係が生まれる。

こういったところでしょうか。

愚痴にはマイナスイメージばかりで、特に男性には『カッコ悪い(みっともない)から愚痴は吐きたくない』という人が多いように思います。世代にもよるかもしれませんが、私のパートナーもまさにこのタイプです(笑)。

確かに、会えば愚痴、口を開けば愚痴オンリー、では疲れるものです。ただ頑張っている人の愚痴(弱音と言い換えてもいいかもしれません)と現状を変える気もなく努力もしていない人の愚痴には、聞く側の気持ちは違うと思いませんか?

「共働きなのに旦那が全然家事を手伝わないのよっ!」という愚痴を例に考えてみると・・・。

毎回イライラを吐き出すだけで改善策(感情的にならず落ち着いて家事分担について話し合う)を講じず、「手伝ってくれない!」という愚痴だけを延々とリピートされるのと、最初は「家事を手伝わない!」という愚痴でも、次に「ちゃんと話をしようとしてるんだけど、『疲れてる』とか『今度聞くから』とか言って話し合いから毎回逃げるんだよね・・・(どうすれば話し合えるかなぁ)」になると、多少前進しているように感じませんか?

同じ話を何の進歩もなく(ないように感じる)、何の努力もしていない(ように感じる)と、愚痴を聞かされる側は疲れてくるものだとわかっていただけましたか?

関係や距離をわきまえず、誰かれ構わず話といえば愚痴や他者の悪口ばかり・・・そんな人もいます。聞いているだけで負のパワーがこちらのエネルギーを吸い取りそうです。一定の関係、距離で、ある程度の信頼関係がないと、愚痴を聞かされる側はその人物の性格や背景がわからないことで、『また(同じ)愚痴か・・・』とウンザリするものです。

先ほど、パートナーは愚痴をこぼさないタイプだと書きました。突然彼がポツポツ愚痴(らしきもの)をこぼすようになったのは、信頼関係がしっかり出来てからだったように思います(それまで数年は要した気がします)。側にいて彼の頑張りを見てきている私は、ようやく愚痴をこぼしてくれるようになったと嬉しく思ったものです。でも、親友以外の相手や馴染みの飲み屋などではまったく愚痴は言わないか、あるいは言いたくない心理が強く働き、それは今でも変わらないようです(笑)

●コップから溢れそうだから、溢れないためにこぼす愚痴。
●コップから溢れてしまった部分を愚痴としてこぼす愚痴。

二つの意味が愚痴にはあると考えています。

私も信頼関係があり、互いの背景がわかっている時には愚痴を言います。一旦立ち止まり頭を整理する、疲れたからリカバリーする・・・ための愚痴ですね。

愚痴を受け止めてくれる存在の、長い付き合いの親しい友人たちやパートナーは、私の今までの経緯や背景をよく知っており、共感と共に聞いてくれます。ただ聞いて共感してくれる、手厳しいアドバイスをくれる、どちらも本当にありがたいと思っていますし、周りに恵まれていることに感謝しています。

彼らも当然愚痴をこぼすことはありますが、ただただ垂れ流すだけの疲れる愚痴ではなく、もがき悩み、何とかしようと努力していることを知っているからこそ、気持ちに寄り添えますし、

共感の気持ちを持ち、その愚痴を“愚痴”とは思わずに話を聞くことができる

のです。

上手に愚痴をこぼせる

これも人間関係に影響します。積極的に愚痴をこぼしていいと思っていますし、そう話をしています。ただ、相手を選び、相手の状況も考慮したほうがいいでしょう。←ここを間違えると“いつも不満だらけで話を聞くのが疲れる人”になってしまいます。もちろん【会話泥棒】なんてもってのほかです。

愚痴=前向きなガス抜き

愚痴≠不満の垂れ流し

ちょっと意識してみませんか。

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