番外篇:感情解放

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

良くも悪くも“感情”は、私たちをザワつかせ振り回します。

嬉しい楽しいといったポジティブな感情は解放しやすいのですが、不安やイライラ、妬み、悔しい、怒り、悲しい、孤独というネガティブな感情は、無意識に自身で恐怖や不安という堤防を作るので、解放しにくいと言われています。

解放=(誰かに)ぶつける

ではありません。

そもそも“感情”とは一体何なのでしょうか?

感情は潜在意識(無意識)と深く結びついています。自分の感情を意識し受容していくことは、自分自身を深く知ることにも繋がっていくのです。

厄介なことに潜在意識は抑え込もうとすればするほど反発する性質があります。悲しい時に我慢して泣きもせず、悲しい気持ちから目を逸らしても、いつまでも突き刺すような悲しみがそのままの形で心の底に澱(オリ)のように降り積ります。

私たちは感じたくない、受け入れたくないネガティブな感情をよくないもの、邪魔なものと考え意識の外や横に追いやろうとしたり、何とか抑え込もうとします。先ほど書いたように、感情は抑え込もうとすればするほど反発する性質があります。

感情とは形を持たない“力”であり“エネルギー”です。

見えなくても確かに存在する掴みどころのないもので、数値化も難しく視覚化もできません。それは経過と共に形を変えることもありますし(不安→不信→怒りや孤独など)、人を動かす大きな影響力もあります。以前【感情は感染する?】というコラムでも書きました。

感情は何も他者に向けるだけではありません。上手くいかないことがあると不安になりますし、プレゼン前には緊張もするでしょう。大丈夫だと思っていたのに失敗すると、そんな自分に腹が立つこともあります。

ポジティブな感情も受け入れたくないネガティブな感情も共にエネルギーで、表出しやすい/表出しにくいだけの差です。

言葉にしなくても感情は伝わりますよね。険しい表情をしていれば怒りや不快感だとわかりますし、ニコニコしていれば「いいことでもあったのかな」とわかります。

そう、感情はあなたがあなた自身を知るため、他者があなたを知るための大切なノンバーバルコミュニケーションでもあるのです。

ネガティブな感情にフタをせず、ありのままを受容していくのは怖くもあり不安でもあるものです。その恐怖から感情に抗ったり見て見ぬフリをしたり、何とか収まらないかと気を紛らわせてみたり・・・。

マインドフルネス、聞いたことがあると思います。『今ここ』に意識を集中し、あらゆることを感じ、ありのままを受け入れていく一つのストレスマネジメント方法です。

いつも口だけで有言不実行な同僚にイライラする→自分は今とてもイライラしている、を意識します(イライラの原因を追求するのではありません)。→ただただ「ああ、自分は今とてもイライラしているんだな」と自身の感情に向き合い、感情を把握するだけです。

それが“あるがまま”です。

「イライラしちゃいけない」と自分の感情を否定することも、「イライラするのは自分の心が狭くて余裕がないからだ」と分析してもいけません。

受容するというのは、そもそも“受容する”ことがどういうことかを知らなくてはできません。

どんな感情もジャッジせず、目も背けず、そのままの状態で取り出すイメージです。

今、怒っている。今、嬉しいと感じている。今、妬んでいる。今、悲しい気持ち・・・

自分を知るために、感情に振り回されないために感情を解放する練習をしてみると、少しだけ自分がラクになります。

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メタ認知【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

お盆はいかがお過ごしでしたか?コロナ禍でもあるので、私は自宅でのんびりしていました。まぁ普通に生活していただけですね(笑)

さて本題です。メタ認知、聞いたことがある人もいるかもしれません。メタ認知はアメリカのフラベルという心理学者が提唱した概念で認知心理学用語ですが、その概念自体はとても古く、遡るとギリシャの哲学者ソクラテスにまで行き着きます。

「彼らは何も知らないのに知っていると思い込んでいる。だが私は何も知らないということを知っている。」

有名はソクラテスの言葉、“無知の知”です。知っている人も多いのではないでしょうか。ここからもソクラテスのメタ認知能力がとても高かったことが窺い知れます。

最近では認知心理学だけではなく、教育現場や組織でも広く【メタ認知の重要性/メタ認知を鍛える】など聞くようになりました。あまり拡げると訳がわからなくなるので今回は割愛しますが、

この【メタ認知】、実は人間関係やコミュニケーション能力とも深く関わりがあるのです。

イマイチわからないメタ認知だと思いますので、【1】【2】で理解していきましょう。

【メタ認知】
自分が認知していることを客観的に把握し、制御すること。→認知していることを認知する。

何やらますます何のことやら・・・?ですよね。限りなく平たく言うと、“自分の思考の矛盾に気付く”、“自分なりにやりやすいように方法を考え実践する”、“頭を整理するために書き出し視覚化する”などもメタ認知になります。

メタとは『より高次な』という意味で、メタ認知は自分自身を高い所から見ている自分、という感じでイメージしてみてください。メタ認知は概念で思考活動ですから体を動かしておこなう活動ではなく、語弊はありますが、思考の幽体離脱みたいな感じかもしれません(笑)

自分が認知している【感情】【思考】【学習】【記憶】などを高次な視点から俯瞰する、ということがメタ認知です。

メタ認知が高いと、自分自身の認知活動(感情/思考/学習/記憶)を客観的、冷静に見ることができ、それを見直したり調整することで高い目標設定〜達成する力(実行/遂行)や問題解決の向上に繋がるといった大きなメリットがあります。組織が求めるのはこの辺りの能力だと考えられます。もっと具体的に言えば、管理職や経営層になればなるほど、このメタ認知能力が求められる、と言ってもいいかもしれません。

“自分の思考について思考している”ような場面で発揮されている能力がメタ認知で、こうなるともうガッツリ哲学領域ですが・・・。

このメタ認知には二つの種類があり、それぞれ【メタ認知的知識】【メタ認知的技能】と呼びます。

【メタ認知的知識】
自分についてわかっていること → 自分は人見知りで初めて会う人と話すことや大勢の人の前は苦手だ、自分は短気で怒りっぽいところがあり、すぐに機嫌が悪くなる、自分は繊細過ぎて傷つきやすい、自分は無神経なところがあって意図しないのに人を不快にしてしまうところがあるようだ・・・などなど、自分を理解し自分について知っていること(自分は何者か、自分は何を知っているのか、知らないのか)です。

例を挙げると、『今、自分は怒っている』←怒っている自分をわかっている、あるいは『嫌な汗をかいている』←道に迷い、その焦りから嫌な汗をかいている自分をわかっている、などがわかりやすいでしょう。

難しい話が長くなってしまいましたので【1】はおしまいです。【2】ではメタ認知的技能についてスタートします。

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エゴグラムで自分を知ろう【後篇】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前篇では質問に答えて点数を出してもらい、グラフに書き込んでもらいました。

エゴグラムは善悪を判断したり、優劣を決めたりするテストではありません。

私たちは、一人ひとりが

自らが持つ感情・思考・行動の総責任者

です。そして、

過去も他者も変わらない

が事実です。ならば、

自分を変えるほうが【生産的】

ですよね。

そのためには、まず自分を知らなくては始まりません。

自分を知るひとつの材料として、前篇で記載した簡易エゴグラムを上手に活用し、『へぇ、自分ってこんな面があったのか。こんなふうに心掛けるといいんだな』に気付いてもらえると良いな、と思っています。また、新型コロナウイルスの影響でさまざまに環境が変わった人が多いと思います。こういう時こそ自分を知り、この難局とどう向き合うか、自分に合った方法を見出す機会にしてもらえたら幸いです。

5つの要素から【やめたい言葉/態度】、【心掛けたい言葉/態度】と説明していきます。前篇での低い点数の部分を意識的に高めていくことが改善に繋がります。

<CP>
【やめたい言葉】
・「私は関心ない」「どうでもいい」「何とかなるだろう」など。

【やめたい態度】
・自分の考えや意見を持とうとしない無関心。
・ミスを注意せず、やり過ごす。
・約束やルールをいい加減に考えて守らない。
・遠慮ばかりする、すぐに諦める。

【心掛けたい言葉】
・「私は〇〇だと思います」とはっきり考えや意見を述べる。
・「〇〇が好きです」「〇〇は苦手です」と言える。

【心掛けたい態度】
・決めたことをきちんとやる。
・時間や金銭的なことを管理する。
・物事は自分の責任で決める。
・何ごとも最後までやり切る。
・これでよいのかセルフチェックをする。
<NP>
【やめたい言葉】
・「それじゃダメ」「しっかりして」「何やってるんだ」など。

【やめたい態度】
・相手の気持ちや感情を考えない自分勝手な態度。
・一方的に自分だけが話す。
・ヘルプやサポートをしない。

【心掛けたい言葉】
・「よくできたよ」など良い点を褒める。
・「困ってることはない?」と相手を思いやり気遣う。
・ネガティブワードをポジティブワードに置き換える。→「これじゃダメ」を「こうすればもっと良くなるね」など。
・相手を思いやり、気遣う言葉を多用する。

【心掛けたい態度】
・自分から挨拶をしたり声を掛ける。
・良い点に気付いたら、すぐに褒める。
・相手の話に相槌をうち、個人的関心を示す。
<A>
【やめたい言葉】
・「わかりません」「知りません」「できません」。
・「でも」「だって」「だから」を減らす。
・相手に興味を示さず「興味ありません」など。

【やめたい態度】
・直ぐに感情的に反応する。
・反省しない。
・「なぜ?」「どうやれば?」に関心がない。
・最後まで他者の話を聞かない。
・時事問題に関心がない。ニュースを見ない、社説を読まない。

【心掛けたい言葉】
・「あなたが言いたいことは〇〇という意味ですか(ね)」と確認する。
・「もう一度お願いします」「詳しく説明してもらえますか」など。

【心掛けたい態度】
・伝えたいことやしたいことを文章化。
・自分の行動の無駄を見直す。
・何ごとも当たり前と考えず、疑問を持ち調べる。
・同じ場面で、自分以外の他者はどうするかを考える。
<FC>
【やめたい言葉】
・「嫌だ」「つまらない」「面白くない」「楽しくない」など。

【やめたい態度】
・ため息をつく。
・舌打ちをする。
・嫌な気持ちにいつまでも浸る。
・楽しい会話に加わらない。
・受け身ばかりの姿勢。

【心掛けたい言葉】
・「面白そうだね」「やってみようかな」。
・感嘆詞を使う、など。

【心掛けたい態度】
・長時間、不快感情に浸らない。
・楽しい、嬉しい、美味しいという気持ちを表現する。
・友人、恋人、家族と一緒に過ごし、豊かな感情を持つ。

ACについては、今回は飽くまで自分を知る目的のためにエゴグラムを活用するので、敢えてAC行動を増やすところに目を向ける必要はないと考えます。

どうでしたか?明日からすぐにやれることもあると思います。あなたのほんの小さな変化を身近な人は気付くものですし、それがプラス変化だと、自分も周りも幸せな気持ちになれるものです。

円滑な人間関係を築く、そのために長い付き合いになる自分にもう少し目を向けてみる

と、案外『あ、自分って良いとこあるじゃん』にも気付けるかもしれません。

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エゴグラムで自分を知ろう<前篇>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は自分を知る(自己分析)のひとつの手段として、誰でも簡単にできるエゴグラムについてお話します。

性格は親から受け継いだ気質、育った環境、積み重ねてきた経験など、さまざまな要素で作り上げられています。エゴグラムでは、性格は【親の自分(P)】【大人の自分(A)】【子供の自分(C)】の3つを柱に、それをさらに【5つの私】に分けた性格から成り立っていると考えます。

エゴグラムを活用することで、今の自分の心の働きを客観的に知り、より良い望む方向へ自分を変えていくことができます。

  • CP:批判的な親
  • NP:養護的な親
  • A:合理的な大人
  • FC:自由な子供
  • AC:従順な子供

という分類に分けて各10問に、はい(○)、どちらでもない(△)、いいえ(×)で答え、○=2点、△=1点、×=0点で計算し、下のグラフに書き込みます。

それでは質問です。

<CP>
①何事もきちんとしないと気が済まないほうだ。
②人が間違ったことをした時に、なかなか許せない。
③自分は責任感が強いと思う。
④自分の考えや意見を譲らないで、最後まで主張し押し通そうとする。
⑤礼儀作法やルールに厳しい。
⑥何事もやり始めたら最後までやり切らないと気が済まない。
⑦上の人からの指示や意見には従う。
⑧「〜しなくてはいけない」「〜すべき」という言い方をよくする。
⑨時間やお金にルーズだと許せない。
⑩自分が親になったら子供を厳しく育てると思う。
<NP>
①人から道を聞かれたら親切に教える。
②人を褒めることがよくある。
③人の世話をしたり面倒をみるのが好き。
④人の短所より長所を見るようにしている。
⑤気落ちしている人がいたら、慰めたり元気づけようとする。
⑥人のために何かをすることが好き。
⑦頼まれたり助けを求められたら断れず引き受ける。
⑧失敗した人がいても、からかったり責めたりせず許せる。
⑨自分より弱者に対し、思いやりを持ち優しく接する。
⑩困っている人には積極的に助ける。
<A>
①いろいろな本を読む。
②上手くいかないことがあってもイライラしたりカッとしない。
③何かを決める時には人の意見も聞く。
④初めてのことに取り組む時にはよく調べる。
⑤何かをする場合、自分にとって損得をよく考える。
⑥わからないことや知らないことがあると、人に聞いたり相談できる。
⑦体調が悪い時に無理をしないよう気をつけられる。
⑧感情的にならず他者と冷静に話し合いができる。
⑨仕事や勉強をテキパキ片付けていくほうだ。
⑩迷信や占いは絶対に信じない。
<FC>
①楽しいことやオシャレが好き。
②騒いだりはしゃいだりすることが好き。
③「わぁ」「すごいね!」などの感嘆詞をよく使う。
④言いたいことは遠慮なく言う。
⑤嬉しい、悲しい時などに表情や動作で自由に表現する。
⑥欲しいものは手に入れないと気が済まない。
⑦誰とでもすぐに打ち解け話ができる。
⑧絵を描いたり歌ったり、自分を表現することが好き。
⑨嫌なことは、はっきり嫌と言う。
⑩人の好き嫌いは、あまりないほうだ。
<AC>
①人の顔色や行動を気にする。
②自分の気持ちを抑えてしまう。
③劣等感が強い。
④頼まれてもすぐにやらず、引き延ばす癖がある。
⑤人からよく思われようと無理をすることがある。
⑥他者の言うことに影響されやすい。
⑦憂鬱な気持ちになることが多い。
⑧消極的で遠慮がち、引っ込み思案である。
⑨他者の機嫌を取ろうとすることがある。
⑩内心不満があっても、表面では満足しているように振る舞う。

以上です。

グラフに書き込み、高いところ、低いところに目を向けてみましょう。

最も高いところは『あなたらしさ』に繋がっている部分ですので、そこを変えるのは無理があります。低い部分を高めることで全体のバランスが良くなります。

ここでわかりやすくそれぞれが持つ長所、短所をみてみましょう。

<CP>
長所:責任感が強い、ルールやマナーを守る。
短所:批判的、偏見や思い込みが強い。
<NP>
長所:面倒見がよい、親切。
短所:お節介、甘やかす。
<A>
長所:合理的、計画性がある。
短所:機械的、人間味に欠ける。
<PC>
長所:元気がある、明るい、ユーモアがある、人懐っこい。
短所:自己中心的、感情的、ワガママ。
<AC>
長所:協調性がある、慎重。
短所:依存的、本心がわからない。

低い部分を高めようとする時、自分の中に、ある種の“抵抗”を感じるはずです。変化を妨げようとするのは、ほとんどの場合、一番高い部分です。そのジレンマが生まれるのは自然なことだと理解し、無理のない範囲で取り組んでいくことが大切です。

後篇では、それぞれを伸ばすために心掛けたい言動についてお話します。

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