アンガーマネジメント【番外編】

メンタル・イデア・ラボのスミです。本城に代わり、シリーズ途中ではありますが、番外編として今回は私が書こうと思います。

私は本城のような専門家ではないためアンガーマネジメントは語れませんが、前回本城が書いた『〜べき』思考を、リアルに体験した時を綴ることで、『〜べき』思考を受けた側の気持ちを書こうと思います。

リアルの場、つまり会社でのミーティングや会議の場のことです。私がまだ広告制作会社の社員だった時のことを思い出しながら綴ろうと思います。

広告制作は簡単に言えば、クライアント企業からの依頼を受け、クライアントの希望を聞きながらコンセプトやデザイン、コピーなど表現を考える仕事です。私はプロデューサーで制作一切を取り仕切る立場でした。スタッフは同僚に留まらず、外部のフリーランスのスタッフ(デザイナーやカメラマンなど)も起用し、クライアントの窓口となって、制作コンセプトを企画立案し、それを具体化していく仕事を担当していました。

まず企画会議があり、制作会議があります。そこで外部スタッフを交えながら方向性を決めていくのですが、その場でしばしば『〜べき』思考に遭遇します。

大体において議論が白熱してくると『〜べき』思考が頻発します。もちろん言っている側は相手を言い負かすつもりで言っているのではありません。飽くまでも、その人が考える最適なコンセプトや表現方法を主張しているのです。それはとても貴重で有り難いことですが、他の人の意見を聞き入れない姿勢が垣間見えると、いくら優秀であっても、そのスタッフとは仕事のやりにくさを感じ、活発が失われた雰囲気に包まれます。

つまり、『〜べき』思考で自分の考えが一番良いという空気を前面に出されてしまうと、

周囲にコミュニケーションを取りづらい雰囲気を醸し出す

傾向があります。その人にヘンに気を遣ってしまうあまり、その人の意向が強く働くことになりかねません。もちろんスタッフが納得しての話ならば問題は顕在化しませんが、そうでない場合は誰のために仕事をしているのか混乱し、どこかで不満が表出します。

コミュニケーションが取りづらくなることは、仕事を遂行していく上でリスクです。クライアントの意向が最優先なのに、違う方向へ向かってしまうリスクがあるからです。広告制作には変更や修正も当たり前です。一度決まってもクライアントから修正指示が飛んできます。その時に『〜べき』思考の強いスタッフに伝えることに憂鬱感を覚えます。これもリスクです。伝える側に無用なストレスを抱えさせることになるからです。それが蓄積すればどうなるか、モチベーションが下がり、いい仕事が出来なくなります。最悪の場合、退職してしまうかもしれません。

『〜べき』思考が強いと、少なくとも周囲に良い影響は決して与えないと言えます。現に私もうんざりした記憶があります。なるべくあの人とは一緒に仕事はしたくないな、と思ったものです。仕事ができるできない以前に、コミュニケーションを取りやすいかどうかが、やはり重要だと痛感しました。

それは広告制作という仕事に留まらず、広くどんな仕事にも普遍的に言えることではないでしょうか。入社試験もスキルや可能性、求める人材像かどうか、即戦力になるかどうかも重要なファクターではありますが、この人と一緒に仕事をしてみたい、と採用担当者に感じてもらうかがカギのような気がします。

映画『釣りバカ日誌』のハマちゃんは、仕事ができるできないはともかく、コミュニケーションスキルが物を言うという意味では象徴的なキャラクターではないでしょうか。

経験則から言うと、仕事にストイックな人ほど『〜べき』思考の人が多い、というのが私の印象です。仕事に対する自分にストイックなら素晴らしい姿勢ですが、その姿勢を他の人に求めたり、相手の意見や考えを否定する言動になってしまうと、いわゆる“人望”を失うことになりかねません。人望を失えば必然的に出世できない、下手をすれば今の時代、早期希望退職という美名の元、退職勧告を受けるかもしれません。仕事にストイックであればあるほど、相手の意見や考えを尊重することが本当のストイックというものではないかと思うのです。

『〜べき』と言う時は、普遍的な規範や道徳を言う時、あるいは人の背中を押す時に使うことが適当だろうと思います。例えば、猛暑には水分は摂る“べき”、せっかくここまで頑張ってきたのだから結果がどうあれ挑戦してみる“べき”、今時期なら入学試験がそうかもしれませんね。このプレゼンは絶対取る“べき”、など人を応援する時の“べき”は、その人に勇気を与えることがあるかもしれません。

多様な考え方がある世の中で、しかもダイバーシティやインクルージョンという価値観がこれからの時代の世界的潮流だと考えると、“一方的”というニュアンスのある『〜べき』思考は、自分自身を貶める可能性を孕んだリスキーな思考だと言えなくもない反面、その分シチュエーションやタイミングによっては、とても力強い応援思考でもあるかもしれませんね。

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