発達障害【ADHD】の困り感〜大人編〜

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

子供編に続きADHDを持つ人が成長し、大人になった時に、どのような困り感が表れやすいのか“生活”と“仕事”から見ていきます。

【多動性】【不注意】【衝動性】のうち、行動としての多動は貧乏揺すり程度に落ち着く人が多いのですが、個人差はあるものの、不注意、衝動性は残ります。

行動面の多動性は落ち着いても、頭の中にいろいろな考えが次々に浮かび、忙しなく落ち着かないという、脳内の多動や散らかりは残る人が多いようです。

【生活面での困り感】

  • うっかりが多い。
  • ゴミを出せない。
  • 公共料金を払い忘れる。
  • 忘れ物が多く、すぐに物を失くす。
  • 段取りが悪く、部屋が片付かない。
  • 約束の時間を忘れたり、しょっちゅう遅刻してトラブルになる。
  • 人の話を聞かない。
  • 人の話を遮って話をしてしまう。
  • 待つことが苦手でイライライしやすい。
  • 衝動買いが止められない。
  • 欲求が我慢できないのでいろいろな依存症に陥りやすい(実際、ギャンブル依存症やインターネット・ゲーム依存はとても多い)。
  • 目先の興味関心がコロコロ変わり、どれも長続きしない。
画像はイメージです。

【仕事面での困り感】

  • 提出書類が間に合わない。
  • 遅刻が多い。
  • 忘れ物が多く、重要な物を忘れたり失くしたりする。
  • 仕事に集中できず、指示を聞き漏らす。
  • ミスが多い。
  • ぼんやりする。
  • いくつもの指示だと忘れる。
  • 机やロッカーが片付けられない。
  • 電話を受けながらメモが取れない。
  • アポイントなどを忘れる。
  • 最後まで話を聞かず、取り掛かりミスをする。
  • メモを取っても忘れる。メモを取ったことすらも忘れる。
  • 焦ると余計にミスが増える。
  • 勝手にやり方を変える。
  • 思ったことをすぐに口に出す。
  • 誤字脱字が多い。
  • 仕事の優先順位がつけられない。
  • 単純作業に集中が続かない。
  • 計画を立てて仕事ができない。
  • 報告・連絡・相談ができない。
  • アドバイスなのか指示なのかがわからない。
  • 時間の使い方がわからない。
画像はイメージです。

子供の頃とは違い、シングルタスクや独特の時間感覚で困り感が増えてきます。

まずは自分の苦手(不得手)はどこなのかを知ることからがスタートです。知ることでできる対策も多くあります。

ADHD当事者ができる対策、職場ができる対策は後日改めて書きたいと思います。

2019年のコラムはこれで終わります。今年の夏から書き始めたコラムですが、ご愛読いただきましてありがとうございました。

来年は1月10日金曜日から毎月5の倍数日にコラムを掲載していきますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。それでは良いお年を。

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発達障害【ADHD】の困り感〜子供編〜

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

何度かシリーズでもお話している【発達障害】ですが、今回はADHDについて、主に学校生活で表れる困り感についてお話したいと思います。

足が不自由で引き摺りがある、目が見えないから白杖を持つ、などいわゆる目で見てわかる肢体不自由の人に比べ、パッと見てすぐにわからないのが発達障害です。

それゆえ、多動で立ち歩きがあり教室から脱走する、片付けられない、癇癪を起こすなどわかりやすい行動が表れていなければ、本人はもちろん、保護者や学校側もわかりづらいことが多く、中には強引に「何がなんでも全部個性」と言い張る保護者もいます。脳の偏りもまた個性と言えなくもないのでそれはいいのですが、いずれ本人が困り感を自覚した時に苦しむのは子供自身です。

まず以前コラムにも書いたことをおさらいします。ADHDの主な特徴は、

【多動性】【不注意】【衝動性】

の3つです。

●多動性:落ち着きがなく、じっとしていることができない。

●不注意:自分の興味関心がない物事に集中できず、忘れやすい。

●衝動性:唐突に思いつきの行動をとる、順番待ちが苦手。

などですが、これらの特徴とその程度は個人差が大きく、環境や関わりを持つ相手によっても差が見られるので、家庭と学校では様子が異なることもあります。

また、ADHD、ASDに共通する特性や行動もあるので、次に示す行動があるからといってADHDとは限りませんし、ADHDとASDを重複しているケースも多いことを先にお断りしておきます。

ADHDの行動には“気付かれやすい行動”と“気付かれにくい行動”があります。

<気付かれやすい行動>
【多動性】【衝動性】からくる行動で、友人関係のトラブルが中心、周囲を巻き込み大きな問題へ発展することがあるので気付かれやすい。

<気付かれにくい行動>
【不注意】からくる行動で、忘れ物が多く成績不振など、本人や保護者だけが困ることが多く、周囲に迷惑をかけることが比較的少ないため見過ごされやすい。

この、<気付かれやすい行動><気付かれにくい行動>が学校生活でどのような形で見受けられるのかを具体的に見てみましょう。

=気付かれやすいADHDの行動=

【多動性による行動例】

  • 席にじっと座っていられず、常にそわそわしている。
  • おしゃべりが止められない。
  • 意味もなく手足を動かす。
  • 静かにしていなければいけない場面で走り回ったり騒ぐ。
  • 集団行動ができない。

【衝動性による行動例】

  • 感情のコントロールができない。
  • 順番を持てず列に割り込む。
  • 些細なことで大声を出したり暴れる。
  • 勝手に話を始めたり、他の子への質問に答えてしまう。
  • 他の子の邪魔をしたり、ちょっかいを出してケンカになる。
  • 他の子の持ち物に勝手に触ったり、持って行ってしまいトラブルになる。

=気付かれにくいADHDの行動=

【不注意からくる行動例】

  • 学習用具などを机から落としやすい。
  • 興味関心が低いことは忘れてしまう。
  • 忘れ物が多い。
  • 字が汚い。
  • 机の中やランドセル、身の回りの整理整頓ができない。
  • 他の子より、よく怪我をする。
  • 教科により集中できない。
  • 文章を飛ばして読んだり、自分の思い込みで読む。
  • 指示の聞き漏らしがあるので行動が遅れる。
  • 好きな教科と嫌いな教科で意欲の差が激しい。
  • 課題や活動を順序立てておこなうことが困難。
  • テストで似た問題でも点数のバラつきが激しい。
  • 友達との約束を忘れたり約束が重複してしまう。
  • 話しかけても上の空に見える。

【その他の行動例】

  • 姿勢が崩れやすい。
  • 一人で遊んでいることが多い。
  • 友達に避けられている。
  • 日中眠そうにしている。
  • 後回しにするクセ(先送りグセ)がある。
  • 手先が極端に不器用。
  • 気持ちの切り替えがうまくいかない。
  • 知的な遅れはないのに成績が悪い。
  • 好きなことには時間をかけて取り組める。
  • 複雑な運動が苦手で、鉄棒や縄跳び、跳び箱などの上達に時間がかかる。

などがあります。

それでは不注意優勢(気付かれにくいADHDの行動)の場合、子供の学校生活ではさまざまな困り感がどのような場面で、どのように起こるのかを一日の時系列で具体的に見ていきます。

登校時:目にするいろいろなものに意識がいくため、集団の列から外れやすい、周りに注意を払わず歩くため、自転車や人と接触しがち、転びやすい。

朝会:遅刻が多い、眠そう、先生が来る前に他の子とトラブルを起こしている。

授業中:よく物を落とす、教科書や必要なものを頻繁に忘れる。座姿勢が悪い、関係ないおしゃべりが止められず注意される、指示を聞き漏らし行動が遅れ、周りの様子を見てから行動する、単純な計算は得意だがケアレスミスが多い、文章を読んで解く教科は苦手、板書に時間がかかる。

給食:おしゃべりが止められないかボーッとしていて時間内に食べ終わらない。

休み時間:休み時間が終わっても教室にいない、次の授業の準備ができていない。

体育や図工など身体を動かしたり作業する授業:説明を聞いていないため、怪我や失敗が度々起こる、計画を立てて作業ができないため最後まで終わらない、好きなことには集中して取り組むので時間がきても止められない。

掃除:掃除道具を振り回してふざけたり、いろんな場面で雑なので物を壊したりする。

友人関係:他者の話をよく聞いていないため、思いつきで関係ない話をしたり行動する、集団行動ができず孤立しがち、約束を忘れてトラブルになる。

不注意だけでも学校生活がかなり大変そうに見えます。3つの特徴(多動性・不注意・衝動性)をそれぞれの割合で併せ持っているケースがほとんどなので、年齢に沿って至るところでさまざまな困り感が表れてきます。また、行動の多動性は大人になると薄くなる傾向にありますが、行動に表れない見えない脳内での多動は残る人も多いようです。

本人に悪気はなく、気をつけよう、頑張ろうと思ってもできないことがあるのが“障害”で、他者との違いに気付き比較する年齢になった時に、困り感や生きづらさを本人が感じるようになります。

ちなみに、中学1年の息子が確定診断を受けたのは小学4年ですが、それまでは私の違和感や困り感はあっても本人の困り感はあまりなかったようで、息子本人が『何かいろいろうまくいかない』と気付いたのは小学5年、そこからさまざまな場面で学校生活に生きづらさを感じることが多くなったそうです。

このさまざまな場面に表れる行動特性は、人により表れ方も濃さも違い、また、視覚認知に問題を抱えるケースもあるため、対策の取り方も少しずつ変わってきます。

息子を例にとると、書字の苦手さや字のバランスの悪さは、不注意と同時に視知覚認知機能の“目と手の協応”と、眼球運動が大きく関わっており、わかりやすい不注意部分だけの対策を取っても、本人の困り感解決にあまり有効的ではありませんでした。

視知覚認知や眼球運動に問題があると、学習効果が思ったように表れず成績が振るわない・・・ということが起こります。視知覚認知や眼球運動とはどのようなもので、それにより何がわかるのかなどは、視覚認知でお話ししたいと思います。

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来年4月から施行される改正児童虐待防止法についての私見

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は近年激増する児童虐待に、とうとう厚生労働省がガイドラインを設け指針案を発表したことについて、私見を書いてみようと思います。

罪のない子供の命を守る、子供の人権を守り個人を尊重するという観点からそれ自体は大賛成ですし、虐待問題は社会全体として重く考えるべき課題だと思っています。イギリスやカナダには公的なアドボケイト制度があります。

アドボケイトとは子供(当事者)の意向に寄り添い、聞き取り、その権利を擁護代弁していくことで、その擁護代弁していく人のことをアドボケイターと言います。海外では弁護士がその役割を担うケースも多く見られますが、日本ではこの取り組み自体が新しく、ようやくアドボケイターの養成に着手したところです。

しかし一方で、今回の指針案の内容を読んで違和感を覚え、考えさせられたのも事実です。

自分の職業云々の前に、私も思春期男子の母親であり、今まで散々子供の教育、躾に悩んできましたし、今もその最中にいます。そして、まだしばらく続くであろうことでもあり、ゲンナリもしています。

実際罰則はないとはいえ、今回の指針案を見ると、かなりの“ダメ”が明記されており、仮にこれを家庭できっちり守り、やり切ろうとすると相当な無理が生じるような気がします。親を辞めたくなる人が続出しそうです。

厚生労働省指針案による

今までは家庭の考えや方針のもと、教育や躾は個々の家庭に委ねられてきました。アメとムチ、という言葉があるように、そのアメやムチをどう使い分け、我が子を躾けていくのか?だった気がします。虐待のガイドラインが設定されたことで、今回『ムチは全面禁止』となるわけです。

我が家ではどうだったのか?を考えてみました。子供に正座をさせたこともありますし、お尻ペンペンもやりました。頭ゴンッ!とゲンコツを喰らわせたことも、結果晩ご飯抜きになってしまった・・・もあります。でも、こぼしながらご飯を食べた、言うことを聞かなかった(広義ではそうなりますが)などの理由ではありません。

自分(子供自身)や他者を重大な危険にさらす可能性のある行為、公序良俗に反したり、他者に重大な不利益や迷惑をかけるかもしれない行為に対しては『じっくりしっかり言い聞かせる』は後に回し、とにかく今すぐに“手をピシャリ”、“頭ゴンッ!”で理解させなくてはいけない場面もあるのではないでしょうか。

親側が不快になる、大変な思いをする、思い通りにならない・・・などの理由で感情をぶつける意味での殴る蹴る、ひっぱたくは明らかに虐待と言えますが、日常的に起こるさまざまなことに対峙し、その場その場で対応していくのは保護者、今はまだもっぱら母親がその役割を担うことが多く、それゆえに追い詰められやすいのも母親です。

虐待したくてする親はいない、私はそう思っています。ならば、実現不可能に近い虐待のガイドラインを作り、あれダメこれダメを設定するよりも、

虐待しそうになるとても苦しく孤立を感じた時に適切な支援をおこなう、毎日必死でいっぱいいっぱいになっている保護者の小さな訴えに24時間いつでも話を聞いてもらえる窓口が、もっともっと身近に必要ではないか

と考えます。一応民間を含めいろいろな電話相談窓口はありますが、とにかく繋がりません。本当に何回、何十回かけても繋がらないのです。

余談ですが、中学1年の息子は重複の発達障害を持っていて、発達性協調運動や眼球運動、微細運動や粗大運動にも問題を抱えています。とても見落とされやすく、表面だけを見ると障害があることさえわかりません。「あなたが発達障害を作ったんじゃないの?」「そんなふうに見えないんだけど・・・。普通じゃない?神経質過ぎ」などなど、無知からくる無理解極まりない人たちにゴリゴリと心を削られてきました。

学校はもちろん、考えうるすべての支援機関と繋がり、専門家の支援やアドバイスをもらっている私でさえ、一歩間違えれば取り返しのつかないことをしてしまったであろう場面が幾度となくありました。それを支えてくれているのは、私自身を取り巻く状況を誰よりも知るパートナー、そして長い付き合いの大切な友人たちです。彼らがいなければ、母子心中してもおかしくなかったと思います。

わからないことはすぐに調べ上げてフットワーク軽くどこへでも出向き、必要とあらば発達障害に関する資格をいくつも取得する私でも、学校や支援機関、行政機関の窓口と手続きの複雑さや煩雑さ、細かな申し送りがなされなかった時の不便さ、もどかしさを知っています。

必要なのは虐待の細かい指針を決め『これを守りましょう』『これはやってはダメです』と親を執拗に縛ることではなく、追い詰められてもいろんな事情で助けの声を上げられない、上げ方がわからない、訴える場所もわからない、ゆえに孤立していく(かもしれない)

育児難民(予備軍)を生まない枠組み

を考えることではないか、と私は思います。

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薬物乱用と依存症

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

音楽業界や芸能界の薬物汚染は今に始まったことではありませんが、近年、普通に暮らす主婦から真面目な学生にまで、さまざまな種類の薬物がじわじわと拡がる傾向にあります。

アルコール、ギャンブル、薬物、最近ではゲーム・・・とさまざまな依存症と名がつく

精神病(ここ重要)

があります。この中で、本人や家族の健康被害だけでなく社会的に影響を及ぼし、事件事故にも繋がる可能性が高い依存症の一つが薬物です。

薬物は厳しく法規制(覚醒剤、麻薬など法規制薬、危険ドラッグ)されており、法律に反した行為が一度でもあれば【乱用】になります。危険ドラッグは次々に新しいものが出現しては規制される・・・が繰り返され、イタチごっこが続いているのが現状です。

常習性があるなしに関わらず、【乱用】と見なされる背景には、薬物の高い依存性や耐性が関わってきます。また、未成年の飲酒、喫煙、指示された処方薬を指示どおりに飲まない(オーバードーズ:過剰摂取)など、ルールに反する行為も【乱用】になります。

薬物の場合だと、乱用の繰り返しの結果、徐々に薬物依存(自己コントロールが出来ずに止められない、強迫的使用)へと進行します。乱用の繰り返しが耐性・渇望→薬物入手のための探索行動に結び付き、身体的、精神的依存を強め、離脱が困難になっていくのです。

薬物依存症は薬物の薬理作用、個人的要因、社会的要因に家族要因などが複雑に重なり合うことにより発病すると言われ、性別、年齢、学歴、職業に関係なく、誰でも陥る可能性がある身近な病気です。

依存性薬物にはシンナーやラッカーなどの有機溶剤、覚醒剤や大麻、コカイン、危険ドラッグなどの薬物、ライターのガスやカセットコンロのガスを吸引、市販薬、医療機関の処方薬などがあります。

身近なところではチョコレートも実はそうなのですが、チョコレートを過剰摂取したところで痛むのは財布、身体的には肥満、糖尿病、ニキビだらけ、虫歯程度で、社会や他者への迷惑度は極めて低く、まして事件に発展することはないと言っていいでしょう。

薬物には薬理作用がもたらす『興奮』『幻覚』『覚醒』『鎮静』『抑制』があり、その作用を体験するためや薬物が体内から抜けていく苦痛(離脱症状)から逃れるために周期的に薬物を摂取せずにはいられなくなります。先に『渇望』と書きましたが、まさに渇望で、自分の意思ではコントロールできなくなるのが薬物依存症です。

乱用から依存症が進行していくと、依存症者の頭の中は『次にどうやって薬物を手に入れるか』だけに支配され、本来の正常な判断ができなくなります。その結果引き起こされるのが、

家族機能崩壊と社会機能低下

です。薬物を入手するために借金を繰り返し、窃盗にまで手を染める、時には死に至る重大な健康問題の発生など時間とともに問題は深刻化していきます。肝機能障害、脳の萎縮などは薬物を断っても二度と元に戻ることはありません。

友人に勧められた、安易な気持ちで、嫌なことが忘れられる、ストレス解消・・・などと“ついうっかり”手を出してしまうと、どっぷり取り込まれ、自力で抜け出すことができなくなるのが薬物の怖さで、「一度だけだし」「自分は大丈夫」「意志が強いからやめられる」が一切通用しない強い薬物作用が働き、『死んだほうがマシ』という凄まじい禁断症状、『手に入れるためならなんでもやってやる』という目的達成のための【渇望】に襲われます。

以前は、覚醒剤=注射使用、だったので“医療行為である注射を自分で自分に”という部分がストッパーになりやすかったのですが、今は形を変え罪悪感を薄め問題意識を持ちづらくなっているようです。これは覚醒剤に限らず、強い幻覚作用を引き起こすLSDも同じです。

ただ、形を変え罪悪感を持ちづらくなったとしても、犯罪に変わりはありませんし、作用も同じです。心身を蝕み正常な社会生活が送れなくなる点でも何ら変わりはありません。考えてみてください。簡単に離脱できるなら、これほど再犯が多いわけがありませんよね。犯罪の中でも再犯が多いのが薬物です。

1980年代にあったキャッチコピー、覚えている人もいるのではないでしょうか。

覚醒剤やめますか それとも人間やめますか(※)

大げさだと思うかもしれません。現実的に考えると、人間自体やめることは不可能で、人間が猿になることもシマウマになることもできませんから。この強烈で印象的なキャッチコピーにすべてが表されているのです。

(※)乱用防止・啓蒙として一定の意味がある一方で、薬物依存に陥った人の社会的排斥の風潮を生み、治療のキッカケを掴みにくくしている弊害も指摘されている。

失われる今までの社会生活や人間関係。失うものや時間の大きさ。今一度考える時期に来ているのではないでしょうか。

メディエーター介入によるトラブル解決法とは?

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は人間関係においてつきまとう、さまざまな“トラブル”について、ひとりひとりが身につけておくと良いだろうスキルについてお話します。

第三者に介入してもらい(第三者として介入し)ながら、冷静に解決していくためのルールや心構えを

【AL’S(アルス)の法則】

といいます。

これは当事者同士でトラブルを解決しようとして感情的なぶつかり合いが起き、さらに悪化するだけでなく『そもそものトラブル原因って何だったっけ?』と訳がわからなくなって互いに嫌な感情だけを残す、このような本末転倒なことにならないために身に着けておくスキルで、何かの時に参考になると思います。

当事者同士だけでなく、どちらにも片寄らない(偏らない)メディエーター(第三者)が入り、話し合うことで解決を試みることはとても理にかなっています。

ただ当たり前ですが、

誰にメディエーターとして介入してもらうか

が重要になります。弁護士による介入はよく耳にすると思いますが、弁護士に依頼するほどのことではなかったり、職場における人間関係だったりすると、弁護士による介入が果たして現実的かと言えば、そうとは言えないケースがありますよね。むしろそういうケースのほうが日常的に多いのではないでしょうか。

仮に弁護士に依頼したとしても相手も弁護士に依頼すれば、結果弁護士同士の話し合いとなり、その時点で弁護士はメディエーターとは言えず、また弁護士は依頼者の利益を法的に最大限引き出すことが仕事ですから、そういう観点からもメディエーターとは言い難いでしょう。

メディエーターの条件として、

感情的にならない。

対立している二人に対し和解策を見出し、サポートする気持ちを持っている。

両者の言い分を自分フィルターを掛けずに(先入観を持たず)聞くことができ、冷静に解決に導き援助する姿勢がある。

です。

おわかりのように、どちらかに肩入れする人が偏った認識で介入(例えば、恋愛問題にどちらかの友達が「私はアナタの味方だからね!」で加勢するようなケース)しようとすれば、問題はより複雑化し、取り返しのつかないことにもなりかねないので、メディエーター選び(メディエーターとしての関わり方)はかなり重要になります。

両者の間に立つメディエーターを軸に、

(Agree)→合意する。話し合いのルールを守る。

・お互いに正直に自分の気持ちを話す。
・言葉を決して遮らず、一旦お互いに話を聞く。

●(Listen)→傾聴する。お互いに聴き合う。

・感情や思い込みを排し、相手の話に耳を傾ける。

●(Solve)→解決する。妥協点を探る。

・お互いに解決しようと努力する。

それぞれの頭文字を取り、【アルスの法則】といいます。

どちらかが友人の場合、自分のバイアスや感情を挟まず上手くメディエーターの役割を果たすことはとても困難です。無意識に自分が好意(思い入れ)を持つほうに引っ張られて冷静さを失いがちになるからです。それはとても自然な感情なので否定はしません。しかし、メディエーターとしては失格です。

話し合いを持つことで<勝敗>を決めるのでなく、“理解(相手の本意を知る)”を促し、目指すところは“和解”だからです。

いますよね「仲裁しなきゃ!」と善かれと考えて関わり、結果、引っ掻き回すだけで却って拗れて収拾がつかなくなるケース。誰でも一度は経験があると思います。

関わるな!ではありません。

【アルスの法則】を頭のどこかに置きながら、両者のために適切な介入ができることで、あなたの人間関係トラブル解決力は格段にアップします。

管理職やプロジェクトリーダー、グループリーダーなど組織の中で人をまとめる立場の人ほど【アルスの法則】を知っておいても損はないかもしれませんね。