ADHDの課題【時間管理】について<5>:心理的抵抗に対処する。

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

本連載最後となる5回目は、ADHDの人の【心理的に集中を妨げるもの】や【集中力のコントロール】についてお話を進めます。

ADHDを持つ人は、引っ張られやすい不安感情や抑うつに加え、何かしら他者に対してイライラと不満を持ちやすい(面倒、難しい要求ややりたいことへの制限など)ことを自覚し、“怒っている自分、これまでずっと変えたいと思いつつ、自分には絶対無理だと感じる自分”、【変容に反抗している自分】に気付き、自分の認知(思考)を同定し反論してみる練習をしてみましょう。

今までの連載<1>〜<4>でお話したことの振り返りになりますが、おさらいしてみます。

  • 達成できる小さな、簡単なことからスタート。
  • 難しく面倒なことは、達成できるであろう大きさに分解(分割)。
  • スケジュールを組む時には対処しやすい“まとまり”に分解し、まとまりを終了できた時には“強化”(自分へのご褒美を計画)。
  • 完了と同時にTO DOリストの項目に完了印をつける(視覚的に“できた”を感じるモチベーションが維持しやすくなります)。
  • 強化(ご褒美)は随伴的であり、やらなくてはいけないことを完了していなければ、自分にご褒美を与えてはいけません。←「後でやるから先にご褒美」はダメ!

自分にとって集中を妨げるものには何があるのか考えてみます。

ADHDの人は、刺激に敏感に反応し集中が分散してしまうので、そうならないために、目や耳に余計な情報が入らないよう先に対策を取っておくのは有効です。

●携帯電話は遠くに置くか、留守電にしてサイレントモードに設定。
●本や雑誌は目につかない場所に。
●テレビ、パソコンなどは消す。
●家族にも上記を宣言し協力してもらう。

外部からの音を柔らかく遮断するイヤーマフデジタル耳栓、集中しやすいリラックス状態を保つために、ホワイトノイズ発生装置(レクトロファンマイクロ)も役立つと思います。もちろん音量は耳障りにならない音量で、ですが。

ADHDの人は、目の前の自分にとって楽しい報酬を、遠い先のより自分にとっては大きな報酬より選ぶ誘惑に駆り立てられがちです。ここで自分との闘いになると思います。実際に、闘っては毎回負けている息子を毎日見ています(笑)。この重要な岐路に、目先の楽しさを取ることと、課題をやった後の報酬、達成感、自信、他者からの評価といった現実的な報酬を書き出してみましょう。

△明日提出のやらなくてはいけない課題があるのに、見たいテレビがあり、我慢できずに見る。→取り組むのが億劫になり、お風呂から上がったら・・・ご飯食べたら・・・と先送り癖が出現。→「うーん、明日、早起きしてやればいっか」→早起きできない、もしくは早起きしてもいつもの「まだ時間があるから大丈夫」癖が出て、結局巻きに巻いて雑な仕上がりか、まったく手をつけていないことになる。→当然叱られる、呆れられる、信用を無くす・・・結果評価が下がる。→自己嫌悪から自己評価も下がり、「ダメな自分」から自己肯定感も下がる。

こうならないために

○見たいテレビは録画にして、明日提出の課題に取り組む。→終わった後に「完了させた!」という満足感と達成感。→ご褒美の動画を観る(気持ちを引っ張るものがないので動画を楽しむことに集中できる)。→次の日に胸を張って提出(できなかった(やらなかった?)言い訳をしなくていいので気が重くない)。→完了させたことへのそれなりの評価。→やり遂げた自分への自己評価アップ。

これを自分に当てはめて視覚化してみてください。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

ADHDの課題【時間管理】について<4>:認知面の気付きと対策を考える。

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

4回目、次回5回目は、ADHDの時間管理/認知面の気付きと対策について考えていきます。

認知(思考)の歪みには、不安や抑うつを生む自動思考と呼ばれるものも多く含まれますが、あまりにも普段の思考に密接であることから、なかなか気付きにくいものです。

自動思考とは、起こった出来事に対する咄嗟の評価

で、その評価が正しいこともあれば、そうでもない時もあります。

ASDやADHDを持つ人は、“失敗”から自動思考が知らないうちに徐々に歪んでいくので、不安や抑うつに引き込まれやすい傾向にあります。

自分の【自動思考の中にある認知の歪み】に気付くことが第一歩になります。

克服するための第二歩が、

【歪んだ自動思考に気付き、その思考に自ら反論し、それに代わる合理的反応を自身で持てるようになる】ことです。

起こった出来事に対する【認知】が【感情】を生み出すのですが、この“認知(思考)”は、出来事が起こった瞬時に自動的に生み出されるものなので(だから自動思考)、その結果生まれる感情にばかり目を向けがちで、【認知】そのものはほったらかし、意識しないことがほとんどです。

認知の歪みを引き起こす自動思考にはさまざまな出どころがあるのですが、本題から外れるので認知について掘り下げてお話する機会に取っておきます。

自動思考、認知の歪みに気付くためには、感情そのものではなく、感情が生まれた出来事に対し、自分が“どのように受け取ったか”に意識を向ける練習が必要になります。

“不快”“辛い”“不安”“怒り”という感情の変化が起こった時にメモを取り、その感情にラベル付けしてみます。←毎回やるのは大変ですから、やれる環境にある時に意識的にやってみましょう。

前提)明日の大切なプレゼン用資料作りを任され、それを今夜中に仕上げなくてはいけないので徹夜になりそうです。資料作りに取り掛かろうとした時に憂鬱な気持ちに襲われるかもしれませんし、想像しただけで強い感情に襲われるかもしれません。

自動思考は何らかの感情と直接関係しています。今回、具体的にどのような自動思考が表れやすいのか見ていきましょう。

●それが【不安】からの場合
「どうしよう、もし失敗したらどうすればいいんだ・・・」「もうプロジェクトから外されるかもしれない」

●それが【抑うつ】からの場合
「あーダメだダメだ、こんなんじゃダメに決まってる!」「自分はなぜこんなことも満足にできないんだ」

●それが【怒り】からの場合
「自分一人にこんな膨大な資料を作らせるなんて上司は酷すぎる!」「要求レベルが高すぎる!きっと私に失敗させようとしてるんだ」

このように、起こった出来事(明日までに作成しなければならないプレゼン資料)により湧き上がってきた自分の感情(不安、抑うつ、怒り)を俯瞰し、じっくり観察してみることで、感情や行動(完璧主義や回避傾向)のトリガーとなる自動思考を同定していきます。

【認知の歪み】の具体例

●二分割思考(0か100か)完璧主義
物事を白か黒か、0か100かの両極端でしか捉えられない。
例:「もしこれで契約が取れなければ、もう自分は終わりだ」

●過度な一般化
一つのネガティブな出来事だけを根拠に、すべて悪いほうに捉える。
例:「自分は何一つまともにできない」「自分は幸せになんかなれない」

●“すべき”思考
過度に「〜すべき」「〜しなければならない」と考え過ぎ、それが実現できないと罪悪感や自罰傾向が高まる。自分の中の“べき”に則った行動をしてしまう。
例:「良くないおこないをする人には、どう思われてもその人のために注意すべきだ」「自分はクズなんだから、何を言われても黙って甘受しなくてはならない」

●レッテル貼り
たった一度の出来事で、自分や他者にネガティブなレッテル貼りイメージを固定してしまう。
例:「どんな綺麗事を言ったってどうせ裏切られる」「所詮女(男)はこういうものだ」

●結論の飛躍
結論が正確かもわからないのに(そのような事実はないのに)、ネガティブな解釈をする。<心の読み過ぎ、空気の読み過ぎ>と<根拠があるわけでもなく相手に確認もしていないのに、相手は自分に対しネガティブな反応をしていると思い込む>という二通りのタイプがある。
例:「自分が話をしていたのにスマホを見た、きっと話が面白くないに違いない」

●先読みの誤り
起きてもいないのに、悪い結果になると勝手に予想し、その予想が確立した事実と思い込む。
例:「同窓会で嫌な思いをするに決まってる、だから行くものか」

●選択的注意(以前お話した“選択的注意”とは違います)
小さな一つのネガティブな側面だけを取り出し、他を無視してそのことだけを考える。
例:「その髪型似合うね、髪の色はもう少し暗いほうがいいかも」に対し「どうせ似合わないと思ってるんだろう」

●自分への関連付け
実際に自分に責任がないことでも、ネガティブな出来事をすべて自分のせいだと考えてしまう。
例:「私が発表しているのにあの人が出て行ったのは、私の話が退屈だったからだ」←たまたま電車の時間だったかも、具合が悪く席を立ったのかも、と思わない。

●破滅思考
もし○○が起こったら、もしくは、〇〇が起こらなかったら破滅だ、と決めつけて考えてしまう。
例:「もし面接に落ちたらおしまいだ、自分は耐えられないだろう」「彼がいなくなったらもう生きていけない」

認知の歪みは極端な思考を呼び、不快感や不安、怒りといった強い感情を生み出しやすくなります。認知→感情、の感情にだけ目を向けるのではなく、感情の出どころ(認知)に意識を向ける練習を続けると、自分の自動思考に気付けるようになります。

自分の自動思考における認知の歪みを同定できたら、合理的な反論で、その歪みに自分で反論してみます。自動思考→認知の歪み→その認知に反論した合理的反応・・・の例を一つ出して考えてみましょう。

<例:やっとこぎ着けた就職の三次面接前夜>

  • 自動思考:次こそ面接で上手くやらなくては。はぁ、ちゃんとやれるのか本当に心配だ。毎回こんな時は神経質になってしまって、本来の自分が見せられたことが一度もない。もう10回目の面接だ・・・でも、こんな好条件な仕事は二度と私には巡ってこない。
  • 認知の歪み:破滅化、過度の一般化、先読みの誤り
  • 合理的反応:「いかんいかん、自分は少し神経質になってるのかも。でも、面接なんて誰でも緊張したり神経質になるものだよな。緊張するなんて面接する側もわかってるはずだし。よし!履歴書も職務経歴書も丁寧によく出来てる、緊張して多少上手く話せなくてもこれで自分をわかってもらえるだろう。」

もう一つ例を出します。

<何日も前から親に「片付けるように」と言われていた散らかった部屋、「そういえば片付けたの?」と聞かれました。>

  • 自動思考:「あっ、何もやってないや。はぁ、つくづく自分って怠け者でダメダメな人間なんだろうな」
  • 認知の歪み:過度な一般化
  • 合理的反応:「確かに自分を片付けは苦手で時間もかかる。でも、だからといってすべてにおいて怠け者というわけではないよな。まとめては難しいけど、今日はタンスだけ明日は机と机周り、というふうにやれば自分でもできるぞ!」

合理的反応を目指すためには、まず【認知の歪み】やそこからくる【自動思考】に気付かなくては始まりません。

ちょっと自己分析してみませんか?

<運営会社:Jiyuuku Inc.

ADHDの課題【時間管理】について<3>:優先順位をつけましょう。

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

8月からのコラムの続きで3回目となる今回は、ADHDの時間管理/“優先順位”“TO DOリスト”について考えていきます。

優先順位を決める。
スケジュール帳を使って、優先順位をつける。

を目標に、TO DOリストの作成や優先順位をつけるコツを身に付けましょう。

優先順位をつけることがなぜ重要なのかお話します。

日常やらなければならないこと(やりたいことも含む)をすべて終わらせるために、残念ながら自分が思うほどの時間はないのが現実です。 ADHDがないほとんどの人でも、TO DOリストに挙げた全部に取り掛かり終わらせることは難しいものなのです。ADHDを持つ人は、今その瞬間に興味が向いた、目に入った目先の関心事に注意が向く傾向が強く、注意を持続することや注意の転換も苦手です。

参照: “注意”をADHD(ADD)の特性から考える 分割的注意とは?

また衝動性が高いのでそれを意識して抑える積極的努力も必要となります。そのため、ADHDを持つ人には【TO DOリストを視覚化 → 優先順位をつける】ことが特に重要となります。

先延ばしや後回しクセもあるので、提出物や支払期限が過ぎてしまうことを防ぐためにも、まずはTO DOリストを作成しましょう。TO DOリストは、1週間〜毎日のリストを作ります。そのためには、やらなくてはいけないことを優先順位云々気にせず、全部を書き出すことからになります。期日や時間を気にせず、思い付くまま書き出す場所を持ち(カレンダーやチラシの裏で十分です)、これは全体像として取っておきます。

次に、リストの項目横に優先順位や緊急性によりわかりやすく印をつけます。例えば、振り込み、支払い、引き落としの期日が決まっている、提出間近といった緊急性から<1:家賃やカード引き落とし、2:仕事、役所などの提出書類を書く、3:印鑑が必要、4:○日までに提出する>というように。

ゴミ収集は決まった曜日に毎週あるものですから、そこそこ大切でも重要度はそれほど高くありません。忘れても大丈夫とは言いませんが、やらかした感満載で真っ青になるほどのことではないですよね(笑)。

全体的なリストを書き出したら、重要度や緊急性が高いものを取り出し、1週間または1日ごとのTO DOリストを作成しましょう。ここまでやってからそのリストをスケジュール帳の予定に組み込みます。

●重要度、緊急性をもとに、優先順位、類似性によりやらなくてはいけないことを分類します。
→電話連絡しなくてはいけない用件などは一度に済ませたり、請求書はできる限りまとめて支払いなど。

●【今すぐ/なるべく早め/後で(少し後でも大丈夫)】を【A/B/C】というようにわかりやすく優先順位のルールを決める。
→ABCや★☆、●○など馴染みやすい記号などが目に入りやすく、意識に留まりやすいですよね。

優先順位をつけるコツが幾つかありますので、参考にしてみてください。

  1. 仕事に必要な時間を見積もり、スケジュールの中で時間配分をする。
  2. 会社(職務)以外の家庭や友人関係の用事は、就業時間外の時間や休日に限定する。
  3. 常時スケジュール帳を持ち、確認する。
  4. 自分の体内時計を意識し、疲れておらず、もっと集中できる時に、時間がかかったり面倒な事柄を予定に入れる。
  5. 効率を上げるため、類似性を考えてスケジュールを組む。
  6. できるようなら、面倒なことと楽しいことを抱き合わせてやる(掃除は大好きな音楽を聴きながらなど)。
  7. 常にやるべきことに優先順位をつけ、優先順位から外れたこと(自分がやりたいことや関係ないこと)をやりたい欲求が出たら、全力で抗う。←欲求に流されない意識。

何度か出ていますが、

【取り掛かれないのは最初のステップが大き過ぎる】

ので、対処しやすく分解しましょう。

次回は、時間管理における情緒的な問題を考えていきます。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

ADHDの課題【時間管理】について<2>

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

2回目となる今回は、ADHDの時間管理/随伴性自己強化を使い、気が進まないタスクを少しでも楽しいものにする、についてお話します。

複雑な仕事や気が進まない事柄を対処しやすく分解する。

随伴性自己強化を使う。→やりたくない(不快感を伴う)ことを終わらせた後に、自分自身に報酬/ご褒美を与える計画を立てる。

自分への強化子(具体的な報酬、ご褒美)リストを作る。

この3つが今回のキーワードです。

単調な繰り返しがひたすら続く。

・興味がなく退屈な仕事。

・複雑で細かく時間がかかる仕事。

などは、ADHDを持つ人にとって完遂が特に困難です。

これらに対処するために効果的なのが、

【仕事(やらなくてはいけないこと)を大きな塊と見なさず、無理なく取り組める程度に小分け、“まとまり”に分解し、“まとまり”となった仕事が一つ完了するごとに自分に報酬(ご褒美)を与える】

というやり方です。

大きな仕事(複雑で時間がかかる、手順が面倒など)がドーン!と目の前にあると、山のようにやらなくてはならないことばかりに意識が向き、途方に暮れて、どこから手を付ければいいのかわからず、ますます手を付けるのが億劫になります。

そこで、自分がやろうと思っている仕事のボリューム、それを完了させるために費やす時間(あるいは労力)を“これなら容易に終わらせられる”と感じられる程度(のまとまり)まで小分けします。

大枠で<大掃除>を例にとると、「やることは何だかいっぱいだし大変そうメンドクサー」・・・になるので、“今日はすべての部屋の窓だけ”“トイレだけ”“バスルームだけ”と計画を立て、『他はやらない』と決め、小分けしたそのまとまりにだけ取り組む感じです。まとまりの一つである“今日はすべての部屋の窓だけ”を終わらせた後に、“好きなDVD(動画、ゲームなど)を1時間半”というふうに、随伴性自己強化のために前もって書き出していた“ご褒美リスト”から、自分に対し“強化子(ご褒美)”を与えます。

難しいのは、「ご褒美を先にもらっておいて後から頑張ればいいや」という、いつもの先送りしそうな気持ちが持ち上がることです。ADHDは極度に面倒臭がりでもあるのです。息子は毎回このパターンで、自分一人ですぐに終わりそうなことも完遂できず、鼻先にぶら下げるニンジンを先に欲しがるので(笑)、私がストッパーや柔らかい鞭になっています。

前記の“すべての部屋の窓だけ”掃除も、『うちには○枚窓があるから、だいたいこの位の時間がかかるな』と見通しを立てなくてはなりませんから、ここで必要なのが、【1】でもお話した

自分はこの(ボリュームの)仕事を終わらせるのに、どのくらいの時間が必要か

の見通しを立てられることが重要になってきます。時間を少なく見積もると焦って雑になったり抜き落ちが出てきますし、多く見積もり過ぎると、「まだ時間あるから大丈夫だし〜」とダラダラやりながら目についたテレビや雑誌などに注意が逸れてしまいます。なので、

今の自分の集中が続く時間を自分自身がわかっていないといけない

のです。

ADHDを持つ人には【手を付けられないのは最初のステップが大き過ぎる】というのがあるので、前記の“今の自分で容易に終わらせるだろう”程度の小さなまとまりにし、取り掛かるハードルを下げるのです。

より細かく大掃除を例にみてみましょう。

やる気があっても、気持ちとやる気だけが大きく、いざとなると取り組む(実行)ハードルが高いのがADHDです。

初めは【すべての部屋の窓だけ】でしたね。窓掃除に必要なものは何でしょうか。それをイチから探して準備するところからだと、ADHDにはそれだけで面倒で面白くないひと仕事になってしまい、本来の目的である窓掃除に辿り着く前に集中が途切れる可能性がありますから、前日準備という予備日を用い【窓掃除に必要な掃除用具を全部揃え、2日目にすぐに取り掛かれるように目につくところに置いておく】を目標にしてみましょうか。

バケツに雑巾、洗剤に必要ならスクレイパーや下に洗剤が垂れないように敷く新聞紙、汚れものを捨てるビニール袋など。1日目はまず、考えながら何が必要か最初に書き出し、それからひとつひとつ準備していきます。1日目は【窓掃除】はしなくていいわけですから、終わりの見通しが立てやすいですよね。集中も持続できるはずです。

2日目、もう窓掃除の準備は終わっていますから、それを見れば大掃除で窓掃除をする予定だったことは思い出しますし、すぐに作業に取り掛かれます。仮に『(今日の、今の)自分の集中は40分が限度かな』と思うなら、ひと部屋の窓だけならラクに終わらせられると考えられるので、まずは目先のひと部屋の窓を終わらせ、強化子(例えば好きなお菓子を食べて15分休憩などのご褒美、報酬)を与え、次の部屋の窓掃除をするとよいと思います。

家に何十枚も窓がある人を想定していないので、ひと部屋終わるごとにお菓子を食べて15分休憩しても、1日あればすべての窓掃除が終わります(笑)。

仕事を絶対に終わらせられる小分けの量にして、「おー!できたできた終わった!頑張ってできたよ、自分」という

小さな小さな成功体験を積み重ねていくことが重要

なのです。最初に、自分自身に報酬(強化子)を与える計画を立てると話しました。←(随伴性自己強化)これは自分の好きなことで構いません。ウォーキング、友達に電話、ネット、おやつ、散歩、テレビや動画視聴など。取り掛かることや完了させることができずに悩んでいるのなら、仕事が終わったらすぐに手に入れらるような強化子を考えてみるとよいでしょう。

時間記録、時間見積にはこのような雛型があるとすぐに書き込めると思いますので参考にしてみてください。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

ADHDの課題【時間管理】について<1>

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

ADHD(重複含む)を持つほとんどの人にとって、時間管理はとても厄介な問題です。

いつの間にか時間が経っていた、時間がなくなった・・・と感じることが多いのに、やらなくてはならないことがある時に、なぜか時間が足りません。きっと時間経過に謎を感じている人も多いのではないでしょうか。忘れやすさや時間管理に衝動的な言動、衝動買い。困り感に目を向けると、ADHDには生活上困る要素がたくさんあります。

今回から数回にわたり【時間管理】についてお話していきますが、初回となる今回は、さまざまな困り感の中から【時間管理/時間を意識する、スケジュールを組む】について考えていきましょう。

①自分の中にある時間意識を改善する。

スケジュール帳を使い、あなた自身の日々の活動に必要な時間を記録していきます(起床〜身支度〜食事〜出掛けるまでなど)。

とても骨の折れる面倒な作業ですが、効率よく予定を立てるためには物事を終わらせるのに“自分は”どれくらいの時間がかかるのか見当をつける必要があるからです。常に目につくところに時計がなければ時間をうまく管理することは不可能ですから、どの部屋にも目につくところに時計を置き、支障がない範囲でできれば見やすい腕時計を身につけ、「何時かわからなかったから」という自分への甘えをなくしましょう。もちろん、置いておくだけでは時間管理はできませんから、時計を意識して見ることが大切です。

「時計なんて見なくて大丈夫」と思った途端、問題に陥ります。時間はその経過を意識して追っていかないと、知らない間に過ぎ去っていくものだからです。←結果『私の時間、どこいった?』になります。

②スケジュール帳を準備しましょう。

スケジュール帳は1冊だけにし、時間とスケジュールが書き込めるよう1マスが大きいものや、1日を時間軸で書き込めるものを選び、開くとすぐにわかるようなものにしましょう。

時間管理を身につけるために日々使うものですから、見た目や可愛さやカッコよさではなく、自分が書き込みやすく見やすいものを厳選し、その1冊に専念し途中で放り出さないようにしてください。すぐに取り出し書き込めるように、ペンホルダーをつけたり、差し込めるペンを選び、常にペンも一緒にしておきます。お気に入りの使いやすいペンや付箋を使うとモチベーションも高まると思います。

ADHDの面倒臭がりが発動すると、すぐそこにペンがなければ、わざわざペンを持ってくることや探すことすら面倒になり、結局スケジュール帳を書かなくなるか、先送り癖が出て「後で書くからいいや(本人は覚えておけるつもりでも実際忘れ去ること多→結果書かない)」になります。

今は便利なアプリもあるようですが、私は敢えてアナログな手書き、スケジュール帳を勧めています。これは『アプリは悪!』ではないので、自分に一番合ったやり方で構わないと思っています。

③やらなくてはいけないことや約束の時間など、すべてスケジュール帳に記入する。

やらなくてはいけないことや約束を書くことで、スケジュールが確約するのだと意識してみてください。

④毎日、少なくとも朝、昼、夜にスケジュール帳をチェックする。

計画なしで1日をスタートさせない癖をつけましょう。いくらスケジュール帳に書き込んでも、定期的にチェックしなければ意味がないので、チェックすることを毎日繰り返し繰り返し習慣にしてください。

夜は、翌朝にやらなくてはいけない服薬や持っていく物、提出課題、人と会う予定があるなら待ち合わせ時間や移動交通機関などの確認、朝はスケジュール帳をチェックし、やらなくてはいけないことをやり、何にどれだけ時間がかかったのかも記録します。少なくとも1日1回はスケジュール帳を更新し、完了していない項目や変更があった部分のスケジュールを立て直してください。書いて終わり、見て終わり、だと時間管理になりません。

最初はスケジュール帳をチェックするのも忘れがちかもしれないので、スケジュール帳チェックのキーワードや合図を自分の行動の中に関連付けて決めましょう。例えば・・・朝顔を洗ったら、コーヒーを淹れる時、ランチ終了後すぐ、歯磨きが終わったら、お風呂から出たら、などです。

⑤うまくスケジュールを組むコツを身につけましょう。

繰り返しおこなうこと(服薬、朝シャワーの人はシャワー、月末の請求書払い、銀行など)は毎回同じ時間に予定してください。

毎月決まった日の支払いなど、予定を立てる上でわかっていることはスケジュール帳に書き込んでおきます。難しいことや時間がかかると思われることは、最もやる気がある(疲れていない)と考えられる時に設定してください。

「自分は今とてもやる気がある、元気だ」と感じた時には、やりたいことではなく最も面倒、困難だと思われることから取り掛かりましょう。これには今まで先延ばしにしてきたことも含まれます。

面倒、困難なことに取り掛かった場合、途中で「後でまたやろう」と先延ばしにすることは止めましょう。止めたことを再開するのは、最初に取り掛かった時よりもはるかに困難だからです。

小さな事柄は“すき間時間”に組み入れます。例えば、列に並んで待っている時、バスや電車に乗っている時、お風呂に浸かっている時間やお湯を沸かしている時間、洗濯待ちをしている時間など。

スケジュールはキツキツに組まず、必ず“リラックスタイム”を挟みます。キツキツにスケジュールを組むと、焦りから抜け落ちが増えたり、息つくひまがない!という気持ちから心身疲労が高まります。

すき間時間にできる小さなことは何かを考えてみましょう。ざっくりスケジュールを立てる、郵便物を開封したり請求書を仕分ける、夕食や週末の予定を決める、読もうと思っていた本を読んだり音楽を聴く、など。

すき間時間は時間の断片です。この小さな“時間の断片”を有効活用することで時間を節約できるので、改めてこの“すき間時間”を意識し、何ができるかを考えてみましょう。スケジュール帳を見返すことで、あなたにも絶対にあるすき間時間がどこにあるのか、わかると思います。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

神出鬼没?【会話泥棒】にご注意

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【会話泥棒】

ご存知でしょうか。

泥棒と付いていると何やら穏やかではありませんが、“物を盗み取る”という泥棒ではありません。

皆さんの周りにもいませんか?話をしていると、まだ話し終わっていないのに「聞いて聞いて私も〜」と話を被せてきたり、「私なんかさ・・・」「私だって・・・」と、自分の話に持っていってしまう人。

持っていってもすぐに話をしていた人にバトンを戻せばいいのですが、大概奪ったバトンは奪いっぱなしです。

A:ちょうど出かけてる時に雨が降ってベランダの洗濯物が濡れたよ、最悪。
B:そうそう、いきなりの夕立だったよね。
A:買い物も中途半端、洗濯やり直しで散々!大丈夫だった?
B:タッチの差で取り込めたから大丈夫だけど、雨で買い物に行きたくなくなっちゃった、洗剤買わきゃもうないのに・・・。
C:うちも洗い直しになっちゃった。午前中に買い物を済ませてたのが救いだったかな。洗剤切らすと困るよねー。

↑これは会話のキャッチボールが上手くできている状態。

A:ちょうど出かけてる時に雨が降ってベランダの洗濯物が濡れたよ、最悪。
B:そうそう、いきなりの夕立だったよね。
A:買い物も中途半端、洗濯やり直しで散々!大丈夫だった?
B:タッチの差で取り込めたから大丈夫だけど、雨で買い物に行きたくなくなっちゃった、洗剤買わな・・・。
C:うちも洗い直しになっちゃった。ていうかさ、この前雨が降った時、うちの主人ったらさ〜・・・

↑これ、会話泥棒が混じってますが、誰が会話泥棒になってしまっているかわかりますか?二人で話している時はもちろん、数人で話をしていても無意識に平気で“自分の話”に持っていく人がいます。

話しを相槌を打ちながら聞くのは、聞いてもらう側にとっても心地好い会話を楽しめるものですが、話を被されたり途中から自分の話にすり替えて会話ごと自分の話したい流れに持っていってしまうこと、これはいけません。

ここに発達障害が加わると・・・

ADHDなら、“雨”“買い物”“ベランダ”など会話に含まれる、自分が気になったキーワードから話したいことを抑え切れずに(衝動性)、話を被せてきたり、話さずにいられなくなり、結果会話泥棒になってしまうことも。

重複がある息子は、目に見える多動はないものの(脳内多動のみ)、ADHD衝動性も強いので、誰かと話しているとそれが電話でも、気になったキーワードに反応して口を挟んでくるので「人の話にいきなり割り込まないで」「話を被せてこないように」「いきなり自分の話始めない!」と口を酸っぱくして注意することの繰り返しです。地味に疲れます・・・。

誰でも話を遮られたり、いきなり割り込まれたり、最後まで話したいのに勝手に話題を変えられたらムッとするものです。電車移動をしていると、聞こうとしなくても自然と会話が耳に入ってきて、「あ、会話乗っ取られてる」と思うことがあります(笑)

行動観察がてら注意を向けていると、乗っ取られてしまった人が一瞬「え?」の後、ムッと表情に出したことにも気付かず話を続けているので、乗っ取られた人は相当面白くないだろうな〜と思います。

これが毎回続いたらどうなるでしょう?

「あの人と話しても何だか楽しくない」

「いつも自分の話ばっかり」

「人の話をまったく聞かない」

こう思われてしまうのです。

何故か嫌われてしまう人の中には、この【会話泥棒】が原因の人もいるので、今一度自分のコミュニケーションスタイルを振り返ってみるとよいかもしれません。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

視覚機能って?

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回はASD・ADHD重複を持つ息子を例にしながら、【視覚】についてさまざまな角度から簡単にお話したいと思います。

発達障害と言っても、<先の見通しを立てることが苦手><こだわりが強くて融通が利かない><部屋が片付けられなくてカオス><忘れ物が半端ない><先送り癖がヒドイ>といった、比較的わかりやすい特性だけを取り出して『ASDなんだから』『ADHDだし』と、困り感を一言で表すことはできません。

仮に診断名が同じであっても、特性の表れ方や濃淡には差がありますし、元となる性格の違い、見落とされがちですが、成育歴や取り巻く環境によっても本人の困り感、周りの困り感の表れ方が違うからです。

発達障害の中には、息子のように視覚機能に弱さがあるケースも非常に多く見られます。視力も数ある視覚機能の一つですが、視覚機能は視力だけを指すのではなく、

  • 眼球運動や両眼の使い方、それを調節する【入力機能】。
  • 視覚情報を記憶、認知したり想像する【処理機能/視覚認知】。
  • 見たものを体と協調させる【出力機能】。

があり、これらをまとめて【視覚機能】と呼びます。

視覚機能の“入力系”に弱さがあると、

  • 読むのにかなり時間がかかる。
  • 本を読む時に文字や行を読み飛ばしてしまう。
  • 読んでいるところがわからなくなる。
  • 板書を写すことに時間がかかる。
  • キャッチボールや球技が苦手。

“処理系”に弱さがあると、

  • 漢字やひらがなを覚えることが苦手。
  • 同じ間違いや反転文字(鏡文字)が多い。
  • 身振り手振りを真似することが苦手。

眼球運動機能や空間認知もこの能力に関係しています。

“出力系”に弱さがあると、

  • 細かい手作業が苦手。
  • スポーツが苦手(球技、縄跳び、跳び箱など)。

いろいろな場面で<不器用>という形で困り感が表れます。

視力だけが良くても、目で見た情報を処理する機能が上手く働かなければ、脳でその情報を処理できず体が動けなくなってしまいます。不器用さは手先指先だけのことと思われがちですが、実は視覚機能と深い関係があるのです。

次から次へと山のように困り感が噴出中の息子を例にすると、彼は学力に大きな問題がないにも関わらず、

●板書を写すこと。
●文字の大きさを揃えてバランスよく書くこと。
●スポーツ全般、特に球技。
●自転車に乗ること(乗れることは乗れます)。
●よく物を失くし見つけられない。
●紐を蝶結びしたり、ビニール袋を丸めて片結び。
●(服などの)ボタンを留める。
●工作や裁縫。

など多くのことに困り感があります。本人の自己理解や障害受容がまだまだのため、困り感といっても実際には本人はどこ吹く風の状態で、専ら私を含め、周りが支援だ、トレーニングだ、自己理解だ、と対応策に追われているのが実情です。

学校生活を送る彼の、視覚機能で一番の課題は“眼球運動”です。人は誰でも【眼球運動(情報入力)→ 視空間認知(情報処理)】という過程を辿りますが、眼球運動に弱さがあると、かなり生活に影響が出てきます。

この“眼球運動”には追従、跳躍とあり、追従はゆっくりめに眼球を動かす運動、跳躍は素早く眼球を動かす運動です。例えば、“右(左)から左(右)へ向け、ゆっくり移動させる指先を顔を動かさず目だけ(視点)で追う”は追従、“両手を広げて左右の指を一本立て、その間を顔を動かさず目(視点)だけで素早く移動させる”は跳躍、になります。

息子は追従運動にはさほど苦手ではありませんが、跳躍運動には問題を抱えており、ビジョントレーニングを継続していますが、頭痛まで加わりかなり疲れるようです。

視覚機能のチェックポイントの“入力系”“処理系”を見ていくと、幾つかの特徴があります。これはあくまで学校生活から見たチェックポイントになりますが、大人でも当てはまる部分があるので参考までに。

〜入力系〜
▷文字を読むのに時間がかかる。
▷読んでいるところがわからなくなる。
▷読む時に文字や行を読み飛ばしてしまう。
▷ボールの受け取りがとても苦手。
▷作業時に忙しなく視線を動かす。
▷板書や文字の書き写し(辞書を見ながらノートを写すなど)に時間がかかる。
▷図形が苦手。
〜処理系〜
▷左右を間違えやすい。
▷ひらがなや漢字を覚えることが苦手、同じ間違いや反転文字(鏡文字)が多い。
▷目で見て動き(体操、ダンス)を真似ることがとても苦手、あるいはできない。

『学校の勉強、全然できなくて・・・頭悪かったもんなぁ』が、知的な問題ではなく、実は視覚機能に何らかの弱さがあったのかもしれません。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

全3回:息子を例に発達障害を考える【3】

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

最終回の【3】では、軽く視知覚認知機能や視空間認知機能に触れながら、それらの弱さからくる困り感を、日常起こりやすい事例を交えながらお話します。

彼らは無意識に物を置きますが、次々に物を重ね置き、無秩序にあちこち置くので、下にあった物が埋もれ見えなくなります。

その見えなくなった物は【ない】もしくは【失くなった】になります。

例えば消しゴムの上にポイッと請求書、その上に読みかけの本、その上に脱いだ服といった具合です。こうなると、消しゴムはもちろん、請求書も読みかけの本も忘却の彼方へスッポリと抜け去ってしまいます。

ASDは散らかった中から必要な消しゴムをすぐに取り出せても、ADHDは消しゴムを探し出すことはできません。なぜなら『失くなった』(視界から消えた)からです。引っ掻き回して消しゴムを探すうちに、読みかけの本を見つけて読み始め、本来の“消しゴムを探す”目的はスッポリ抜け落ち、これまた忘却の彼方へ・・・。これは『ADHDあるある』のようです。

散らかっているという認識が薄い時は、自分にそのような無意識に思い込みや視知覚認知フィルターがかかっている状態なので、肉眼ではなくデジタルカメラやタブレットで撮影し、それを通して見ることで自分本意な視知覚認知フィルターを外し、多少客観的に見ることができます。画像データを通して客観的視点で見てみる、という感じでしょうか。

頑張って片付けた時に、部屋の全体像や片付けた場所、片付け方を撮り、それを見える場所に貼って見本にしながら片付けるやり方も効果があります。

話は戻りますが、【2】で息子の独特な認知特性が人間関係の躓きを生んでいるという話をしましたが、学習面における困り感の原因のひとつである視知覚認知についてお話します。

視知覚認知機能とは私たちが普段<見える、見えない、目が遠い>と言っている視力のことではなく、

見 る 力 】

のことで、

  • ふたつの目が負担なく機能しているか?
  • 見るものを正しく目で捉えられているか?
  • 目の動きに無理はないか?
  • 目から入った情報を正しく認識、処理、出力(書く、読む、写す、四肢を動かす)できているか?

などの機能です。これに目からの情報を処理して空間全体をイメージする機能、視空間認知が加わります。この視知覚認知機能に不具合があると、

・文字を読むのに時間がかかる。
・字が覚えられない。
・左右認識が苦手。
・探し物を見つけられない。
・長時間集中して作業できない。
・本を読むのに、行を飛ばしたり同じ場所を読む。
・図形理解が苦手。
・板書を写せない。
・ケアレスミスが多い。
・手足の連動を必要とする運動が苦手。
(キャッチボール、自転車、テニス、縄跳びなど)
・手先が不器用で、手先を使う作業が上手くできない。
(折り紙、コンパス、裁縫作業など)
・服のボタンのかけ違いが多い。
・不注意であちこちにぶつけたり挟む。
・よくつまずく。

などといった、ADHDの“不注意”からくる特徴にも被る困り感が表れます。

視覚なのに運動?と思いますよね。視覚と身体感覚には深い関係があり、手足の連動にも大きく関わってくるのです。

また視空間認知は

・形や色の認識。
・形や方向に関係なく同じ形を「同じ」と把握できる。
・対象にするものと背景の区別。
・対象にするものとの距離を測る。

といった機能です。

これに加え、発達障害では発達性協調運動障害というものもあり、微細運動(はみ出さずに塗り絵をする、コンパスを上手に使う、箸を上手く使う)や、粗大運動(スキップや跳び箱、大縄跳び)に問題を持つケースも多く見られます。ザックリ言うと、

とても不器用で大雑把、動作が雑

に見えます。実際息子はしょっちゅう物を落としたり、コップやお椀をひっくり返しますし、一つ一つの動作が雑で、脱いだ衣類をきちんとハンガーに掛けることや畳むことも苦手です。またADHDには脳機能の中にある実行機能と報酬系という部分の機能低下が見られるので、先送りグセやマルチタスクが苦手という特徴で表れます。

実行機能とは、

  • 行動を分析、組み立て、優先順位をつけて遂行する能力。
  • 一時的に記憶を保持しながら他の作業をおこなう(ワーキングメモリー)。
  • 感情がモチベーション、覚醒の自己調整能力。
  • 他者との会話の内在化

です。これらの機能低下で行動制御に不具合が起こり、結果、

何から行動すればよいのかわからなくなり、順序立てた行動が取れず、すぐに取り掛かれない。

記憶(情報)を保持しながら他の作業ができないことで、他に注意が向くと前のことを忘れてしまうといった症状が表れる(消しゴムの例)。

感情のコントロールが難しく、イライラ感を持ちやすく爆発しやすかったり、思ったことをすぐに口に(行動に移す)出してしまうなどの症状としても表れる。

報酬系とは、

満足感、充実感や達成感を得る系で、この働きの低下で充足感が不十分になり、報酬の強化が十分におこなわれず、衝動的な行動や注意を拡散し、気を紛らわせるなどの代償行動として、多動性や不注意が表れる。

この、神経伝達物質ドーパミンとノルアドレナリンが関わる部分に対しては薬物療法が有効とされ、息子も何種類かの薬を服用しています。

これは飽くまでも息子の本人談ですが、薬効について聞き取りをしたところ、服薬するしないでは“集中や衝動性”には自覚できる大きな変化があるそうです。ただ、不注意にはあまり変化がなかったようでした。

主治医の判断と、作用副作用の出現の仕方も個人差が大きく、薬が万能というわけではありません。やはり、どのような薬であっても服用に関しては個々が慎重に考えるべきだと思っていますので、あえて服用中の薬の内容については言及を避けます。

避けたくて避けても生活に影響がない困り感ならば、敢えて避けるというのもライフハックと言えますが、社会生活、日常生活に影響が出やすい困り感には、自分にマッチした対応策があるとQOLにも大きく関わってきます。

そのためには苦手や困り感に目を向け、必要とあらば適切な医療機関の受診、関係機関との連携を取り、自分に合った対応策を考えていく(一緒に考えてもらう)ことが大切だと思っています。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

全3回:息子を例に発達障害を考える【2】

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【1】に引き続き【2】となる今回は、生きづらさやさまざまな困り感が生活、学校でどのように表れ、その原因は何なのか、どう対応していっているのかをお話していきたいと思います。

息子には小学校高学年から徐々に特徴が表れてきましたが、大きく分けると認知、視知覚認知からで至るところで細々と重なり合った困り感として表れました。

まず認知面ですが、「友達に気に入らないことを強く言われた」と泣いて帰り、時間をかけ聞き取りをしていくと、端々で独特の捉え方をしていることや傷つきやすさを持っていることがわかりました。ASDにありがちな“前後の文脈に関係なく言葉の字面そのものを受け取る”“思い込みが強く修正が利かない”ところからです。

「掃除時間にふざけている人がいたから班長として注意した。そしたら、笑いながら『バッカじゃねーの、うぜー!』と言われた。」「僕は間違ったことはしていないしバカじゃない。お母さんも人にバカなんて言っちゃいけないって僕に言ったよね?僕『バッカじゃねーの』って言われた。とても傷ついた、これはイジメだと思う!」この翌日、登校渋りになりました。

確かに人に向かって「バカ」「うぜー」は意識的にせよ無意識的せよ、どちらでも良くはないと思います。でも、そんなに深く傷つき重たく捉えることなのか?と疑問に思う私がいるのは確かです。

画像はイメージです。

ここは本人の性格だと思いますが、サラッと「ちゃんと掃除やらないといけないよー」ではなく、結構強く言ったらしいのです。クソ真面目で自分なりのマイルール“だけ”は守ろうとし、そこから外れるのはどうにもこうにも認められない、

許せないというASDの特徴と、思ったことを思ったまま後先考えず且つ我慢できず口に出してしまうADHDの衝動性の両方の特徴

が表れています。

小学6年にもなると、言い方やタイミングを考えなければ『いい子ぶりやがって』と受け取られ、「バッカじゃねーの、うぜー!」と反発を喰らうと思います。こんなことばかりが学校生活で起こると、当然クラスメイトからは『面倒なヤツ』と思われ距離を置かれたり、クラスでの居心地が悪くなるのもわかります。

何度「正義が王道とは限らない。いくら正しいことを言っても、タイミングや言い方を間違えば反発を喰らい嫌われてしまう。そうなると自分の居心地も悪くなるんだよ」と話しても、残念ながら今のところまったく入りません。人の間違いに対しては、思ったことを思ったタイミングで言葉を選ばず(選べず)キリッ!と強く指摘し、思ったとおりの反応がなかったり反発されると「傷ついた」「嫌なことを言われた」そして「学校行きたくない」になってしまいます。多い時はこれが毎朝です。

明るく元気で成績も良く、素行にも問題なし、率先して手伝いもするし、できるできないはともかく何事にもクソ真面目に取り組み、困ったらすぐに先生に相談という姿勢は、先生達の評価は高くても、係などに立候補するだけしておいて、その係の仕事はサボり気味(ADHD特有の飽きっぽさ)でペアの児童に負担をかけまくり、そのくせ『すぐに先生に言いつける』『偉そうに注意する』『話をしていると割って入り、話したいことだけ話して人の話は聞かない』、これでは自分勝手極まりなく映るのは当たり前で、クラスメイトには嫌われやすいですし、遠巻きにされます。

これが独特の認知面から人間関係の拗れやぶつかりとして表れました。書き切れないほど多くのエピソードがあり、『そうきたか!』と驚きの日々です。

一度失敗(傷つき体験)すると、似た場面から全力で逃げようとするので(自分の心を守る防御反応でもありますが)、“振り返りからの反省”に上手く結び付けることができません。起こった出来事を繋がりではなく『嫌なことがあった、嫌なことを言われた』の一部だけを取り出し、ネガティブメモリーとして残るからで、これはASD独特の認知特性とも言えます。

それに加えて息子がややこしいのは、

ADHDも重複していることで、起こった出来事の嫌な部分だけは残るのに(ASD)、すぐに忘れて反省できない(ADHD)が重なり、対応がとても取りづらくなっている

のが現実です。

話は逸れますが、【散らかった部屋】を例にASDとADHDの違いを見てみましょう。

ASDには、キチッとラベリングして整然と片付けるタイプと、あちこちに物を置き一見散らかっているように見えるタイプがいるのですが、後者のタイプでも「どこに何があるか」は本人がちゃんと把握しており、片付けをしようと他者が勝手に物を動かすことをとても嫌います。自分なりの使いやすさやルールに則って置いてあるからで、無秩序に見えて実は彼らなりの秩序があるからなのです。

ADHDは、ただただとっ散らかします(笑)まるで、整理整頓という概念が備わっていないかのような無秩序&無秩序な散らかりようで、解決するには究極のミニマリストとして生きるか、自ら暮らしやすいライフハックを身に付けるか、親元で生活するか、お世話が気にならない面倒見のよいパートナーに恵まれるか・・・でないと、“瞬く間に物が消えるのに散らかりまくったカオスな空間”の住人になってしまいます。

なぜ片付けられないのか?は不注意や衝動性だけではなく、視知覚認知も関わってきます。

次の【3】では、軽く視知覚認知、視空間認知についての説明と視知覚認知機能、視空間認知機能がどのような形で日常動作に影響を及ぼし、どのような困り感を生んでいるのかなどをお話します。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

全3回:息子を例に発達障害を考える【1】

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

コラムにも何度か出ていますが、中学1年の息子は発達障害のASD+ADHDの重複ケースです。

今回は息子を例に、ASD、ADHD単体で語られがちな発達障害ですが、発達障害の半数が重複だと言われている中で、重複だとどのようなことが起こってきたのかを、生育歴ベースの【1】、家庭生活・学校生活の【2】、困り感を生んでいる要因の【3】に分けてお話ししようと思います。

2歳前後、クレーン現象(※)と思われる動作やミニカーをやたら並べたがるところから私の違和感が始まりました。息子は普通の保育園、幼稚園ではなく、インターナショナルスクールから集団生活をスタートしてから普通の保育園だったのですが、一度も後追いすることなく、親子とも日本語禁止のかなり特殊な環境からスタートしたにも関わらず、集団生活にもすぐに馴染み、食べ物の好き嫌いはまったくなく、友達関係でトラブルを起こすこともありませんでした。連れ去られるのでは?と思うほど人懐っこく、まったく人見知りしなかったことも違和感でした。

※クレーン現象:子供が何かしてほしい時、相手の手を持って、その何かを達成しようとする動作。

日本語より先に英語が出ましたが、乳児〜追視できるようになってからはベビーサインを使っていたことも理由か、日本語発音は多少遅かったようです。出始めると怒涛の煩しさになりましたが・・・。

生後すぐから4歳になる前までに済ませる数々の健康診査、その度に保健師や小児科医に上手く伝わらない違和感と不器用さを訴えてきましたが、「お母さん気にし過ぎ」「初めてのお子さんだから神経質になってませんか、もっとおおらかにいきましょう」とスルーされてきました。

今思えば、4歳の時点でWPPSI-III(ウィプシ・スリー)をお願いすればよかったと思っています。もちろん就学前検診でも一応訴えてはみたのですが、やはり予想どおりスルーされました。

そして無事に小学校入学、その後転校するもすぐに馴染み、幸い成績もとても良かったこともあり「あの違和感は気のせいだったのか?」と思い始めた3年生の時、私から見える子供の困り感が、家庭より先に学校生活で表れるようになってきました。

まず気付いたのは、並外れた不器用さや動作の雑さ、字の汚さ、服のボタン掛けに時間が掛かり嫌がる、折り紙は角を合わせて上手く折ることができない、線に沿ってハサミで切れない、糊が手につく(手が汚れる)ことを異常に嫌がる、蝶結びができない、ランドセルの中が常にカオス・・・でした。

2年生までは時間割を見ながら一緒に学校の準備をし、やり方を教えていたのですが、3年生になって見守り側になった途端、忘れ物も増えランドセルの中はカオスです。

学校から配布されるあらゆるプリントは蛇腹状になり、ランドセルの底に追いやられ、家や学校に毎日何か忘れていました。挙げ句、忘れ物キングというありがたくない称号までもらってくる始末です。

画像はイメージです。

そして恐れていた友達関係のトラブルが起きるようになったのが4年生です。苗字をもじったあだ名にネガティブな反応をした息子が泣きながら帰宅、それ以降似たことが続き、スクールカウンセラーに話をしても埒があかないので、発達障害専門の児童精神科に育児観察日誌と本人を連れて駆け込み、育児生育歴を聞き取り、CBCL、WISC Ⅳ、数度にわたる行動観察などから、ASD、ADHDの発達障害重複と確定診断が下りました。

この時ほどホッとしたことはありません。

ほとんどの保護者は、最初「子供に発達の偏りがある、障害があるかもしれない、障害児です」という現実を受け入れるどころか受け止めることすら出来ず、気持ちが荒れることがほとんどだそうです。長く違和感を抱えてきた私にはまるで天の声で、点と点だったあらゆる違和感が線で繋がり、心から安心しました。

もとより、発達“障害”はバランスの問題で

“個々の違い”

という認識を持っていたことも大きいかもしれません。

苦手がわかれば対策が取れる、私が子供をしっかり理解すれば二次障害を防ぎ適切な対応ができる、私で足りない知識や経験は今から勉強すればいい、あとは専門機関の助けを借りよう、そう考え、周辺支援や環境整備など何もわからないゼロから児童相談所や教育相談所、自治体の支援課や保健所と連携を取り始めました。

成績は良く、他害行動や癇癪がまったくない息子は通常クラスに在籍、情緒級への通級が適切ではないかと考え、主治医の診断書に意見書と心理所見まで添えて学校側と話をすることにしたのですが、これがまた長い苦難の幕開けとなりました。

専門医による十分な資料が揃っているにも関わらず、当時の校長が「お母さん、男の子なんてみんなそんなもんです。そんな子供たちも無事に卒業して、ちゃんと中学校へ行けてるんだから大丈夫!小さいことは気にしない、気にしない!え?心理所見?検査データ?いやぁ、わからないなぁ、専門家じゃないし」という、まさに無知からくる無理解のズレっズレな考えの持ち主だったことで、スムーズに行けば年に二回ある教育委員会支援判定員による学校生活観察、教育委員会での通級適不適会議に上げ、最短で通級に繋げられるはずが、まったく進まない事態に陥りました。

画像はイメージです。

早ければ早いほうが良い療育、成長著しい子供にとって1年を無駄にしないために、また冒頭にも書いた二次障害を防ぐために、児童相談所を巻き込みパイプとなってもらい、何度も何度も校長面談を重ね交渉にあたり、時には激しいやり取りもおこなわれました。

通級するには保護者側からの通級希望申し出→校長承認の後、校長が教育委員会との窓口になり教育委員会から判定員来校し、判定会議に上げられ、適不適が判定されます。

年二回しかない判定会議なので、なかなか長い道のりです。実際、ようやく校内情緒級に通級できるようになったのは、子供が6年生になってから(校長が定年退職し後任の校長に変わってからで、それがなければ小学生のうちに情緒級には通級できなかったかもしれません)。既に5年生からは登校渋りが出始め、不登校に移行するのは時間の問題と思われました。その時は相談のため私が毎日学校に“登校”している状態でした。

当時の通級担任は長い経験があり、今までの困り感や生きづらさに悩む子供と、それを一人で支える私への理解が早かったことと、常時校内にいるため学校生活で起こるツラさや困り感があると、すぐに子供ともども対応してもらえたので、学業不振にも完全不登校にもならず、無事に卒業にこぎ着けました。

進学した中学校には情緒級がないため、今は近隣の他校にある情緒級に通級しながら普通級在籍です(中学校すべてに情緒級があるわけではない)。少しでも多い療育の機会を、と各関係機関にも密に関わってもらい表面化する課題に対応しながらSST(ソーシャルスキル・トレーニング)に取り組んでいます。

現在、県立、都立高校への支援級設置の積極的な動きがあるので、子供が高校生になる頃には公立高校すべてとまでいかないにしろ、今より支援級が設置されていると思います。

次回【2】では、複雑に表れる発達障害重複について、家庭生活、学校生活でどのようなことが、何が原因で起こっているのかをお話したいと思います。

<運営会社:Jiyuuku Inc.