認知を制する者は感情(行動)を制す<1>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

積極的に望まなくても、ただ生活をしているだけで、私たちの周りにはさまざまなことが起き、それに巻き込まれてストレスを感じ疲弊したり、巻き込まれなくても影響を受けて気分を波立たせたりします。

今回から<認知><自動思考/自分にある自動思考><自動思考を検証する>と3回に分けて、わかりやすく認知三昧でお話します。

まず、認知が変わると反応が変わることのわかりやすい例を挙げてみます。この場面ではあたなは妻だと考えてください。

例:帰宅した夫が眉間にシワを寄せ、険しい顔をしている。

あなたは、『家事もやったし頼まれた支払いも済ませた』『やましいところもない』のであれば、夫に対し『仕事で疲れたのかな』『何か嫌なことがあったのかな』と考え、「大丈夫?先にお風呂に入ってリラックスしたらどう?」と自然体で言えるでしょう。

これが、出かける前に大ゲンカしていたとなると、『まーだ怒ってる』『私のこと責めてるのかも』『まさか離婚なんて言い出さないよね?』と考え、どう話しかけていいのかわからなくなったり、腫れ物に触るようにぎこちなくなってしまうのではないでしょうか。

夫の“険しい表情”に対し、あなた自身がどう意味づけするのか?は、その状況によって変わりませんか?この、“状況によるあなたの意味づけ”の仕方は、

あなたの普段からの認知の“クセ”により決められる

ことが多いのです。何度か認知についてお話していますが、

認知とは、ものの見方、考え方、受け止め方

です。この、“その人が持つ認知の特徴(偏り/歪み)”が、思っているよりはるかに気分や行動に影響を及ぼすものなのです。(【図1】)

次にワークシートを書いてみましょう。ここでは仕事を例に挙げてみましょう。

こんな感じでしょうか。このように自分の状況を視覚化してみるために【図2】のワークシートを使用します。

次に自分がどのようなことを良い(心地良い)と感じ、どのようなことを嫌だ(不快)と感じるのか、考え方の傾向も視覚化してみましょう。

下の下線部に自分の気持ち(感情)を書き出してみてください。幾つでも構いませんが、一つ以上は書いてください。

  1. 裏切られると、私は(   )
  2. 誰かに怒られると、私は(   )
  3. 褒められると、私は(   )
  4. 約束の時間を大きく超えて遅刻されると、私は(   )
  5. 見知らぬ人ばかりの中に入ると、私は(   )
  6. 自分のことを理解してくれている人に対し、私は(   )
  7. 自分のことばかり話している人を見ると、私は(   )
  8. 偉そうに振る舞う人を見ると、私は(   )
  9. 理不尽だと感じることが起きると、私は(   )
  10. 好意を向けている人がいると、私は(   )
  11. 無視されると、私は(   )
  12. 自分にではなくても、誰かが怒鳴っていると、私は(   )
  13. 電車内で激しく泣く赤ん坊を抱いた母親に対し、私は(   )
  14. 列に横入りされると、私は(   )

これは正誤のない問いで、どのようなこと(時)に自分はどのような気持ちになるのかを、“自分がわかるように視覚化”し、少しだけ自分を客観視してもらうための問いです。

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思考について考えてみる【前篇】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

いきなりですが“考える力”を育むために必要な要素とは何だと思いますか?

それは、

知識力と思考力

です。今回は知識力や思考力、また思考方法などを前篇・後篇で書きたいと思います。

知識力とは、その人自身が持っている知識の量ですが、暗記が得意で知識だけが溢れるほどあっても、思考力が伴っていなければ考える力が高いとは言えません。

知識力と思考力をマスク製作を例に出して考えてみましょう。

マスクを作るために必要な道具(ミシン、縫い針、ハサミなど)や材料(さまざまな布やゴムひもなど)が考えられます。

●道具の使い方やさまざまな布やゴムひもの性質をどれくらい知っているか?

↑これに該当するのが知識力になります。

●どの素材(夏だから接触冷感にしよう、冬は暖かな肌触り。ゴムひもは耳が痛くならないニット製、それとも耐久性のどちらを選ぼうかな)を使い、どんな形のマスク(立体型?プリーツ型?など)を、何を使って(手縫いだけにしようか、ミシンを使おうか)どのような手順で作るのか(先にまとめて裁断しようか、ゴムひもから取り掛かろうか)?

↑これに該当するのが思考力になります。

道具や材料が揃っていても、

  • 何のために
  • どのようなマスクを

をイメージできなければ実際の行動に移すことはできません。取り掛かれても、途中でグダグダになることが目に見えています。

私たちは、

無意識に知識を使い、知識を発展させたり応用するという思考がセットになって行動に繋がっている

ことが分かってもらえたと思います。

一度自分の行動を振り返り、

どのような知識を使い、それを発展、応用しているのかを意識してみる

とわかりやすいと思います。

料理、買い物といった家事、営業や接客、指示されたものを作り上げるといった仕事、そこには蓄えた知識を柔軟に発展、応用しているあなたがいるはずです。

後篇では思考法について考えてみます。

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全5回:感情と表現【5】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【感情マネジメント】の最終回となる今回は、感情ABC分析のB(ビリーフ/思考)と、不快、怒りなどの不健康な感情を引き起こし、悪化させてしまうイラショナル・ビリーフ(歪んだ思考)/イラショナル・セルフトークについてと、自分の感情や考え方のクセを知るために、習慣にしておくと自分を客観的に見る材料となる

ABC分析

気分日記

についてお話します。

まず、私たちが持っているラショナル・ビリーフ/ラショナル・セルフトーク、イラショナル・ビリーフ(イラショナル・セルフトーク)は、幼少期からすでに始まっていて、身近な親兄弟、同年代の友人や知り合い、徐々に広がっていく社会の中で関わりを持つ人、そしてメディアから無意識に学んでいます。

  • ラショナル・ビリーフ:整理されたロジカルな思考
  • イラショナル・ビリーフ:歪んだ思考

と考えてください。

他者からイラショナル・ビリーフを受け取ることはあまりなく、経験やトラウマから自分の中にある無意識なビリーフ(認知/思考)が、イラショナル・ビリーフやイラショナル・セルフトークを私たち自身の中で作り出していきます。

一度作り出されたイラショナル・ビリーフは、私たち自身が気付き、意識して積極的に変えていこうと取り組まない限り、無意識下に存続していきます。

感情マネジメントに取り組むことで、自分にどのようなイラショナル・ビリーフ/イラショナル・セルフトークがあるのかに気付くことができるのです。

私たちは自分のラショナル・ビリーフやイラショナル・ビリーフにより、自分や他者、社会を肯定的、否定的に評価しています。ラショナル・ビリーフ、イラショナル・ビリーフというビリーフが私たちの感情や行動を決定していると言えますね。

長い時間をかけ蓄積されてきたイラショナル・ビリーフには、どのように気付けばいいのでしょうか。

次に幾つか例を出しますので、その中でどれが整理されたラショナルな思考か、イラショナルで歪んだ思考になっているのかを見つけてみてください。

a:友達が言ったことでムカついた。

b:ドラッグストアの店員の言動が自分を不快にさせた。

c:彼が私をぶちギレさせた。彼のしたことを考えれば考えるほど、ますます腹が立った。

d:祖母が話した過去の酷い体験が、その日一日中私を落ち込ませた。

e:一昨日、買い物中に別れた夫に出くわしてから嫌な気分に陥った。

f:改札前でSuicaを忘れたことに気付き、とてもマヌケな思いをした。

ABC分析と気分日記についてお話するのを読み進めていきながら、一番最後にある答えと照らし合わせてみてくださいね。

まず、気分日記をつけることの意味ですが、毎日あるいは1日を通しての気分のベースにあるものを整理できます。『正確に』『記録しなきゃ』というものではなく、“おおよその”で緩く考えてもらって大丈夫です。

自分の感情を意識、注意して見ていくことが、振り返り(フィードバック)、後でそれを修正し改善していくことに役立つのでとても重要です。下記に気分日記の例を出します。

各項目ごとに1日の平均的気分を、1〜10段階評価で表します。備考は身体症状や一番ポイントが高かった項目について内容をサラッと書いてもいいと思います。使っているうちに『ちょっとこれを足そうかな』『うつはいらないかも』になると思いますから、気がかりで注目したい感情を選び、気持ちの項目を自分仕様に変えていき、一番自分に合う形を見つけてくださいね。

ちなみに私は【イライラ】【モヤモヤ】【落ち込み】【怒り】という4項目と、備考に身体症状を書き込んでいます。

気分日記イメージ

自分の感情をよりよく理解するために、思考、行動、睡眠パターンや食事、人間関係や身体感覚(胃痛や頭痛、筋肉の強張りの起こり始め)にもっと目を向ける必要があります。

ABC分析は気分日記をより細かく見ていくことにフォーカスします。

ABC分析図

わかりやすく13歳の息子の私によるABC分析をしてみます。

A → 部活に行ったら無視された。

B → 腹が立った。

C → やってらんねー!と帰宅した。

このBには『せっかく頑張って部活に来たのに』という怒りの気持ちの裏に、イラショナル・ビリーフ/イラショナル・セルフトークの『休んでて久しぶりに来たんだから、みんな優しくするべき』という5つの危険な連鎖だったり、『声くらいかけてくれてもいいのに』という不安や不満が隠れているのがわかりますか?その結果、彼は部活を放り出して帰宅しました(笑)

ABC感情分析は、気分日記よりも詳細な分、記憶を辿らなくてはいけなかったり、嫌な気持ちを再想起しなくてはいけないので、落ち着いて考えられる時でないと感情分析ではなく感情散乱怒りの大爆発になってしまう可能性があるので注意が必要です。

このシートもただの感情のA-B-Cという分析手順を可視化し、記録するためのガイドですから、手順をメモできて見返せるのなら、スマホ、家計簿、手帳・・・何でもいいのです。慣れてくるとシートなんて要らなくなります。

私はイライラモヤモヤした時に脳内分析シートに記録し、即時分析することで自分の認知と行動に向き合うことにしています。

さて、ラショナル・ビリーフ、イラショナル・ビリーフはどれかという問題の答えです。

ラショナル・ビリーフ:b・e

イラショナル・ビリーフ:a・c・d・f

でした。

感情マネジメント、感情分析ABCは、感情と行動について知ることで行動変容に繋げていけるツールなので、またの機会にシリーズでお話しようと思います。

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全5回:感情と表現【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回【2】に続き感情と表現で、感情は認知(受け取り方)によって引き起こされるので、それをどう気づき、どのように改善していけばいいのかを考えていきましょう。

まずABC分析について説明します。

A(Activathing event)
キッカケとなる出来事で、実際に私たちが現実で直面する不快な状況のこと。

B(Belie)
キッカケとなった『A』に関する自分への語りかけ(自己内対話・セルフトークステートメント)。

C(Consequence)
感情、行動両方の結果のこと。これには不安、怒り、絶望などの不快感情の表出や、実際に起こした行動が含まれる。

ほとんどの場合、私たち自身が持つ思い込みや自動思考(アンコンシャスバイアス)、セルフトークステートメントが、実生活で起こるさまざまな出来事や状況が引き起こす感情を混乱させる原因になっています。

かなり極端な例ですが、連絡が取れないことやメールばかりしている夫の浮気を疑った妻サイドに立って、『A』(不快な出来事)、『B』(セルフトークステートメント・思い込み)、『C』(行動)分析をおこなってみましょう(笑)

妻:最近帰りが遅いね、連絡取れないし、一体どこで   何してるの?

夫:なに言ってるんだよ、社員が一人辞めたから仕事   が増えると話したろ?

妻:(B・セルフトークステートメント真っ最中)
<そうは言っても連絡取れないのは浮気しているに違いない、しょっちゅうメールやり取りしてるし>

妻:(C・実際の返し)そんなの知らない!それに最   近冷たいじゃない!もういい!!

(勢いよくドアをバターン!)

『C』という結果(行動)を起こすまでに、『B』が大きく関わっていますよね。

浮気を疑い『A』(不快・不信)、夫に問い詰め返事が返ってきて『B』(セルフトークステートメント)開始、モヤモヤ炸裂でぶちギレた結果、『C』という行動になりました。

このセルフトークステートメントに何が隠れているのか、皆さんはお気づきでしょうか。

そう、連絡が取れない、メールばかりしている・・・これは浮気をしているに違いない!という思い込みの罠に嵌っています。これをどう修正すれば『C』という行動にならなかったのでしょうか。

ポイントは『B』部分にあります。

<連絡が取れない> ➡︎『仕事中は連絡が取れないこともあるかもしれない』

<メールばかりしている>➡︎『仕事のメールかもしれない』『それだけで浮気を疑うのはやり過ぎかもしれない』

このように考え方を少し変えてみるのです。

“ラッシュの車内で思いっきり足を踏まれた”を例に、皆さんでABC分析をやってみてください(笑)

この『A』部分、キッカケになる出来事は思考を刺激し、セルフトークステートメントを呼び起こします。具体的には挫折や逆境、ストレスなどです。また、これらは過去〜現在〜(予測される)未来にわたり、それは現実のこともあれば、ただの想像であったりもしますし、実際に起こった悪い出来事であったり、実現しなければよかった失望であったりします。

前回情動知能についてお話しましたが、幸せでよりよく生きていくためには、一般的な知能より、この情動知能が大きく関わってきます。情動知能は遺伝ではなく、取得していくものなので向上させることも可能です。

認知療法は、誰にでもある無意識の思い込みやアンコンシャスバイアスに自分自身で気づき、修正を加えていけるようになることを目指します。また論理療法では生活の三分野、論理面・情動面・行動面を改善していくことにフォーカスします。

論理面とは【思考】【推理】【認識】、情動面とは【感情】【気分】、行動面とは【振る舞い】【動作】ということになります。

次回(20日)は“不思議な感情を生む危ない連鎖”についてお話していきます。