セルフモニタリングと認知【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

セルフモニタリング

心理学/精神科領域でよく使われる言葉ですが、最近はビジネスセミナーやコーチングでも頻繁に使われるようになってきたので、耳にしたことがある人も多いかもしれません。

人間関係はもちろん、日々さまざまなストレスに晒され心身が疲弊しがちな現代人。

ストレスコーピングをはじめ、さまざまな感情マネジメントやコミュニケーションスキルが求められます。

セルフモニタリングとはその名のとおり、“自分の状態を観察する”です。

例えば、

●寒気がして頭痛がする(風邪のひき始めかな?)→温かいものを食べて早めに寝よう。●明日午後イチ提出の資料が仕上がらない→●今日残業して、明日朝早めに出社して仕上げよう・・・のように、私たちは日常的にセルフモニタリングをし対応しています。自分の今の状態(状況)がわかっていることで対応できるわけです。

自分の身体状態、自分の置かれた状況を把握できるからこそ、適切な対応が取れるのです。

これはメンタルでも同じです。

自分の心の状態、今の感情、考え方や受け取り方のクセ、それらを把握しておく。

具体的には“怒り”を感じた時に怒りを治めるためにはまず、『自分は怒っているんだ』と感情に目に向けること。アンガーマネジメントはそこからスタートします。

考えのクセを直すには“自分にある考え方のクセ”や“思い込み”を理解し把握しておくことが大切です。

以前にも平たく言えば“考え方”“受け取り方”を認知という話をしました。認知は意識的に自分の感情に目を向けることで気づくことができます。人は案外、自分の考え方のクセには気づきにくいものなので、繰り返し繰り返し観察してみてください。そこに必ず考え方のクセや思い込みがあるはずです。

  • 「子供は親の言うことを聞くべきだ」
  • 「子供は親の言うことを聞かなくてはならない」
  • 「子供は親の言うことを聞くものだ」

どれも表現は違いますが、どこに考え方のクセや思い込みがあるかおわかりでしょうか。

次回は、実際に認知〜感情〜行動をモニタリングしながら、この3つがどのように影響し合い、また周囲に影響を及ぼすのかを分析し考えていきます。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

本年のコラムは12月25日月曜日までです。

セルフ認知再構成法にチャレンジしてみましょう【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回はセルフ認知再構成法の具体例を書いていきます。

私の場合で説明します。

実際に息子が小4の時にあった出来事です。

前提→確定診断が下り、主治医から診断書と意見書(WISC結果もあり)があるにも関わらず、当時通学していた校長がなかなか教育委員会の判定員に繋がないことで通級が叶わず、面談の度にイライラしていました。

※通級へ通わせるためには、公立の場合、在学している学校長がその必要性を認め、教育委員会の判定員に打診することが制度となっている。したがって、保護者は学校長と相談し交渉することが必須となる。

(1)状況
何度目かの校長面談で、またしても「大丈夫ですよ、私たちは教育のプロですし、みんな無事に卒業して中学に進学してますから」「意見書とテスト結果持参してるので見ていただけますか?」「いやテスト結果なんて見てもわからないし(ハッハッハッ!)お母さん気にし過ぎじゃないですか」と、話しが通じていないトンチンカンなことを言われた。

(2)気分
イライラMAXで最悪、怒りと、自分で教育のプロなんて言っちゃうことに驚愕・・・。
怒り:98
イライラ:80
驚愕:100

(3)自動思考
時間の無駄。
どれだけ自信過剰なのだろう・・・ありえない。
人の話を聞けない人。
校長なんて児童一人一人見てないでしょ。
教育者なのに発達障害について知らないなんてプロ名乗っちゃダメでしょ。

(4)根拠
○持参した主治医からの診断書、意見書もテスト結果もテーブルにほったらかしで見ない。
○そもそも会話が噛み合っていない。

(5)反証
息子からはいつも校庭で一緒に遊び、全校児童の名前を覚えていると聞いている。 

(6)適応的思考
判定員にはまだ繋がっていないが、何度も個人面談には応じてくれている。
せっかちなタイプで人の話を最後まで聞くのが苦手なのかもしれない。
発達障害をまだ躾や個性と思ってるのだろう。

(7)今の気分
モヤモヤ:75
怒り:50
呆れ:80

このように、(7)では(2)の時の気持ちや数値が違うのがわかります。
イライラは消え、代わりに無知に対する呆れの気持ちが表れています。

次に上司から理不尽に叱責を受けたという場面で考えてみましょう。

(1)出来事(状況)
上司から大丈夫だと言われていたから見積書類を確認しなかったのに、今日当日になって取引先から「頼んでいた見積書と違う」と言われ、帰りに同行していた上司から「あれほど確認しろと言ってただろう!何やらせても君は中途半端だな」と叱られた。

(2)気分
ムカムカ:90
苛立ち:100
絶望:50
情けなさ:70

(3)自動思考
え、マジ?オレのせい?
大丈夫って言ったの覚えてないの?!
いくら何でも言いすぎでしょ!

(4)根拠
上司に確認しようとしても大丈夫だと言われた。

(5)反証
今まではちゃんと確認してくれてたし、あんな言い方したことないよな。

(6)適応的思考
上司も余裕なかったのかも。
新プロジェクト抱えて毎日残業してるしな。

(7)今の気分
モヤモヤ:65
絶望:22
情けなさ:0

視点を変えて考えてみると感情やその数値が変化するのをおわかりいただけたでしょうか

自分の思考や感情を一歩退いて見てみるのは、意識しなければついついいつもの自動思考に引っ張られてしまいます。

一度じっくりコラム法に取り組んでみると、ストレスマネジメントやアンガーマネジメントにはもちろん、今まで気づかなかった自分の価値観や認知、思考のクセに出会えると思います。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知を歪ませるもの【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

コラムでもしつこいくらい“認知”について書いていますが、今回はその認知を歪ませる要因について考えていきたいと思います。

認知とは限りなく平たく言えば、その人のものの受け止め方です。気質的な遺伝はともかく、生まれ落ちた時は誰もが価値観どころか認知など育まれていません。ということは、認知は先天的なものではなく、後天的要因によりその人の中で育まれていくものだと言えます。価値観ともよく似ていますね。

認知が偏る、歪んでいるとどのような生きづらさが生まれるのでしょうか。

【朝、社内で前から同僚が歩いて来たので挨拶をしたが無視された】

○歪んだ認知
何か気に入らないことをしたかな?(不安)
アイツ、無視しやがった!(不快/怒り)

○歪んでいない認知
何か考え事していて気づかなかったのかな?
声が小さくて聞こえなかったのかな?

不安や怒りといった感情は生まれない。

【パートナーからLINEの返事が来ない/電話に出ない】

○歪んだ認知
何か気に入らないことを言ったかしたかな(不安)。
浮気してるに違いない(決めつけ)。
別れたがっているんじゃないか(思い込み)。

○歪んでいない認知
スマホの近くにいないのかな。
手が離せない用事中かも。
仕事、忙しいのかな。

【人と会っている時に、その人がチラッと時計を見た】

○歪んだ認知
私、何か気に障ることを言ったかな(不安)。
話してても楽しくないに違いない(想像の飛躍)
退屈で早く帰りたがってるんだ(決めつけ)

○歪んでいない認知
この後、用事があるのかな(時間大丈夫か聞いてみよう)。

受け取り方次第で気持ちや感情が違うのをおわかりいただけましたか?

発達障害特性/HSP/パーソナリティ障害なども関係してきますが、認知は生育環境/失敗経験や成功体験から積み重ねられ、その中に形作られていきます。

日常的に否定/抑圧が多く時には暴力。このようにアタッチメント不全になりやすい環境の中ではのびのびと生きられず健全な認知は育まれません。以前にもコラムで認知の歪みについて書いていますので、参考にしてみてください。

・2020年3月15日コラム

流行りの毒親

精神的/肉体的/性的な虐待はもちろん「あなたのためを思って」「お母さん(お父さん)に任せておけば大丈夫」「お母さん(お父さん)の言うとおりにしなさいね」は耳障りよく聞こえても実は“押しつけ”“抑圧”がぎゅうぎゅうに詰まっています。

手取り足取り子供の面倒を見、危なくないように進む道をならす。障害など特別な配慮が必要な場合を除き、それらをやっていいのは小学校低学年までではないでしょうか。

次回は私が経験した実例を挙げながら、どれほど認知の歪みが本人の生きづらさはもちろん、周りを振り回すことになりかねないのかお話ししたいと思います。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知と自動思考【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は認知再構成法についてお話しします。

認知再構成とは、今ある認知を変化させることです。今ある認知を見直し、“再び”構成していく、で認知再構成です。

認知を変化させるとあなたの中にある自動思考が変化します。

自動思考が変化することで、引き起こされる感情に変化が表れます。

認知を変える→引き起こされる感情を変えることができる、ということです。

前回の社内試験に合格できない人を例にお話をします。

【現状→社内試験に自分だけが合格できない】

これを前回とは認知を変えて考えてみましょう。

「誰でも失敗するし、上手くいかない時はあるよな。誰でも失敗すれば落ち込むのは当たり前だ。大切なのは落ち込んでも前に進み続けようとすることだ、うん、そうだ!」

「足を引っ張ってしまい自分を疎ましく思う人がいるかもしれないが、自分には絶対に味方になって応援してくれる人がいる!」

こう変えることで落ち込み過ぎて絶望したり、必要以上の孤独感を感じることは薄くなります。

認知再構成により、感情をより良い方向に変えていく方法を認知再構成法といい、数ある認知行動療法のひとつです。

落ち込むことがあると悲観的な気持ちになるのは誰もが経験することです。

落ち込むな、ではありません。落ち込んだ後にリカバリーする力、“レジリエンス”を意識した考え方が認知再構成かもしれません。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知と自動思考【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

以前コラムで“認知”とはその人が持つ物事に対する捉え方/考え方という話をしたので覚えている人もいると思います。

2020.10.25コラム 2020.10.30コラム 2020.11.5コラム

また、“思考”とはその人が認識した物事についての解釈であり、【自動思考】とは無意識に自動的に頭に浮かぶ思考を言います。

認知(自動)思考に反映され、感情(自動)思考により引き起こされます。←一瞬のことなので気づかないかもしれませんが、誰もが思考する前に感情は先立っています。

そして、“感情は認知を変えれば変化する”←これがさまざまな認知療法のベースになっています。

今回は誰にでもある自動思考について、ちょっと深掘りしていきましょう。

思考が感情を生み出すという話はしました。

自動思考は勝手に自動的に頭に浮かび思考してしまうので、その人自身が意識することができません。

(自動)思考がどのように感情を生み出すのか簡単な例を挙げてみます。

(現状/状況の把握 A)
今回も社内試験に合格しなかった。
        ↓
(頭に浮かぶ自動思考 B)
同期は全員試験に合格しているのに、自分は足を引っ張っててダメな人間だ。きっとみんな無能だと思っているに違いない。
        ↓
(そこから生まれる感情 C)
絶望感と疎外感など。

実際は、

(A)現実の状況把握をすると、その解釈を脳が自動的におこなう。

(B)解釈した内容が思考として頭に浮かぶ。

思考の結果、

(C)さまざまな感情が想起される。

タバコをポイ捨てする人を見た。→やはり喫煙者は非常識だ!→腹が立つ/嫌悪する。

こんな感じでしょうか。

認知はその人自身の育ってきた環境や関わってきた人たちにより、生まれたその人自身の価値観や考え方が強く影響しますから、多少乱暴ですが限りなく平たく考えると、

認知=自動思考

と言えるかもしれませんね。

次回は認知再構成法についてお話しします。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知を制する者は感情(行動)を制す<3>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

3回目となる今回は、ネガティブな人に見られがちな自動思考と、例を挙げてワークシートでその妥当性を検証してみましょう。

ネガティブが人(鬱になっている人にも)に見られがちな自動思考。

  • 私は誰からも必要とされない。
  • 私の人生は何もかも上手くいかない。
  • 私は取り柄のない人間だ。
  • 私は負け犬だ。
  • 私には価値がない。
  • 誰も私のことをわかってくれない。
  • 楽しいことなんか一つもない。
  • 私はもう終わりだ。
  • 何をやっても上手くいかないに決まっている。
  • 生きていても良いことなんかない。
  • 我慢するなんて耐えられない。
  • 自分が嫌で仕方ない。
  • 消えてなくなりたい。

例を挙げますので、それが正しいのか誤りかを検証するための<4つのプロセス>で自動思考が及ぼす影響を書き出してみます。

●自動思考の例

食事中に夫に話しかけたのに返事がそっけなかった。
私をもう嫌いになったのかも、私の話なんてどうでもいいに違いない。→心の読み過ぎによる決め付け。

記入例を参考に自分でも記入してみてください。

<4つのプロセス>自動思考の妥当性を検証するために『自分に質問する』。

①→自分がそう考えている根拠は何か?

▶︎自分の考えていることと事実を混同していないか?(事実ではない“かも”しれない)
▶︎確かめていないのに早合点したり思い込みはないか?
②→何か他に別の見方はないか?

▶︎自分の考えやモノの見方だけがすべて正しいと言えるのか?
③→そう考えることでどのような影響がある?

▶︎そう考えることが自分の役に立つか?邪魔になるか?
▶︎そう考えることで、自分にとってどのような利益(良い面)と不利益(望まない面)があるか?
▶︎答えの出ない(ない)質問になっていないか?
④→どこかに思考の誤りはないか?

▶︎0ー100思考、自動思考、全無的な思考に陥っていないか?
▶︎思考の中に極端な表現はないか?
▶︎望まない/悪い面だけに目を向け過ぎていないか?
▶︎たった一つのことだけに気を取られ、自分だけに非があるように思っていないか?
▶︎自分と関係ないことまで自分と関連づけて考えていないか?
▶︎自分の責任とは限らないのに、自分に責任があると思い込んでいないか?
▶︎物事をあるがままに受け止めず、“こうでなければ”“〜すべき”と対処法を考えていないか?
▶︎確認もせず自分一人で先走り、勝手に予想していないか?

次に【考え(思考)と気分(感情)の記録シート】のワークシートを使用しながら、普段の自分の考え方の癖を見つけ、考え方から生まれる気分(感情)がどのようなものなのかを改めて意識してみましょう。

少し横道に逸れますが、「今の気分は?(感情は?)」を聞いても、考え(思考)と混同して答え方がわからなくなる人も多いので、気分(感情)の例を挙げてみます。感情表現が苦手な人ほど、気分(感情)と考え(思考)を混同しやすい傾向があるようです。

<気分(感情)の例>

不安、悲しみ、困惑、寂しい、同情、傷心、義務感、恨み、虚しい、焦燥感、批判的、無気力、絶望感、混乱、心配、劣等感、孤独感、恥ずかしい、イライラ、悲哀、憂鬱、猜疑心、見捨てられ感、距離感、恐怖、落胆、モヤモヤ、憐憫、不全感、万能感、敗北感、後悔などなど。

ほんの一部を抜き出してみましたが、まだまだたくさんの気分(感情)があるのです。なかなか目を向ける機会がない気分(感情)に、一番適切な“名前”は何か、を考えてみるのもよいかもしれませんね。

自分の考え方の癖を見つけて、“それが正しい根拠”は簡単に見つけられても、“それが正しくない根拠”はなかなか見つけにくいものです。そんな時は、

  • 自分の一番の友人や大切な家族、大好きな人がそう考えていたら、自分は何と声をかけるだろうか?
  • 過去に同じこと、似たような状況はなかったか?それはいつだっただろうか?今回と似ていても、以前との違いは何がある?
  • 今の考えが“完全に正しい”と言えなかった経験はない?
  • 今から10年後に今の状況を振り返った時に、今とはどのように違って見えるだろうか?
  • 自分でコントロールできないことまで自分でコントロールしようとしていないか?

これも自問自答して【考え(思考)と気分(感情)の記録シート】のワークシートと共に検証する際のヒントにしてみてください。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知を制する者は感情(行動)を制す<2>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

二回目のとなる今回は、前回からの続きと、自動思考についてお話します。

前回、自分の気持ちを観察してみるワークシートを書いてみましたが、今回はそれを少し発展させたワークシートを書いてみましょう。良かったことと嫌だったことの2つを例に挙げています(【図3】)。

記入した中から“嫌だったこと”にフォーカスし、より詳細に自分を分析して書き込んでいきます。印象的な出来事一つを抜き出してみるので、今回は嫌だったことを抜き出していますが、嬉しいことでも嫌なことでも構いません。【図4】を参考に、自分がわかる形でササッと楽な書き方で大丈夫です。

こうやって“嫌だったこと”を改めて書き出してみると、思い出してますます憂鬱な気分になってきませんか?下のようなワークシートをベースにして、今度は自分で記入してみてください。

ここで『こんなことやったって嫌な気持ちになるだけだ!』と挫けないでください。これは、

出来事を→【振り返り】→気付き→次回に活かす

の振り返り部分で、嫌〜な気分になった

“考え(自分の中に浮かんだ心の声)”(←ここが今回の一番のポイント)

に中に、あなた自身の【認知の特徴】を知るヒントが隠されているのです。【図4】で言えば、『親は心配しているんだから、連絡くらいは入れたほうがよかった。ひどい言い方をして悪かった』になります。

誰でも最初は自分の考え(思考)は間違っていない、正当だ、と考えます。自動思考(アンコンシャスバイアス)は、繰り返し表れるあなたのパターン化した思考、思い込みですが、自分でその存在に気付くのは難しいという特徴があります。

他者から指摘されても『(自分だけじゃなく)みんなそう思うものだろう』『普通は(男は・女は・新人は・部下は・上司は)そんなものだ』と感情的な決め付けが顔を出し、自分が陥っている自動思考に目を向けることができない人も多く見られます。まさに、『みんなそう思うものだろう』や『男はそんなものだ』が紛れもない【自動思考】なのですが(笑)

それは“あなた自身”の考えであり、万人がそうではない、に気付くこと、自分にある自動思考を把握すること、これが最初の作業になります。

そのために、<起こった出来事に対し、あなたがその時に心の中にどんなセリフが浮かんだか(思考)、またその時の気持ち(感情)>を第三者視点で眺めてみることが大切で、視覚化することで自分の認知のクセを見つけやすくなります。

次回は、ネガティブな人がよく持つ幾つかの自動思考を挙げ、その自動思考が妥当か?を検証していきましょう。

【番外編】

常々意識していることがあって、それはインド独立の父、マハトマ・ガンジーの言葉から来ています。

建設的な思考を持ちなさい。なぜならば、その思考があなたの言葉となるからです。

建設的な言葉を語りなさい。なぜならば、その言葉があなたの行動となるからです。

建設的な行動をしなさい。なぜならば、その行動があなたの習慣を築くからです。

建設的な習慣をつけなさい。なぜならば、その習慣があなたの価値となるからです。

建設的な価値をつけなさい。なぜならば、その価値があなたの人生そのものになるからです。

Mahatma Gandhi

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知を制する者は感情(行動)を制す<1>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

積極的に望まなくても、ただ生活をしているだけで、私たちの周りにはさまざまなことが起き、それに巻き込まれてストレスを感じ疲弊したり、巻き込まれなくても影響を受けて気分を波立たせたりします。

今回から<認知><自動思考/自分にある自動思考><自動思考を検証する>と3回に分けて、わかりやすく認知三昧でお話します。

まず、認知が変わると反応が変わることのわかりやすい例を挙げてみます。この場面ではあたなは妻だと考えてください。

例:帰宅した夫が眉間にシワを寄せ、険しい顔をしている。

あなたは、『家事もやったし頼まれた支払いも済ませた』『やましいところもない』のであれば、夫に対し『仕事で疲れたのかな』『何か嫌なことがあったのかな』と考え、「大丈夫?先にお風呂に入ってリラックスしたらどう?」と自然体で言えるでしょう。

これが、出かける前に大ゲンカしていたとなると、『まーだ怒ってる』『私のこと責めてるのかも』『まさか離婚なんて言い出さないよね?』と考え、どう話しかけていいのかわからなくなったり、腫れ物に触るようにぎこちなくなってしまうのではないでしょうか。

夫の“険しい表情”に対し、あなた自身がどう意味づけするのか?は、その状況によって変わりませんか?この、“状況によるあなたの意味づけ”の仕方は、

あなたの普段からの認知の“クセ”により決められる

ことが多いのです。何度か認知についてお話していますが、

認知とは、ものの見方、考え方、受け止め方

です。この、“その人が持つ認知の特徴(偏り/歪み)”が、思っているよりはるかに気分や行動に影響を及ぼすものなのです。(【図1】)

次にワークシートを書いてみましょう。ここでは仕事を例に挙げてみましょう。

こんな感じでしょうか。このように自分の状況を視覚化してみるために【図2】のワークシートを使用します。

次に自分がどのようなことを良い(心地良い)と感じ、どのようなことを嫌だ(不快)と感じるのか、考え方の傾向も視覚化してみましょう。

下の下線部に自分の気持ち(感情)を書き出してみてください。幾つでも構いませんが、一つ以上は書いてください。

  1. 裏切られると、私は(   )
  2. 誰かに怒られると、私は(   )
  3. 褒められると、私は(   )
  4. 約束の時間を大きく超えて遅刻されると、私は(   )
  5. 見知らぬ人ばかりの中に入ると、私は(   )
  6. 自分のことを理解してくれている人に対し、私は(   )
  7. 自分のことばかり話している人を見ると、私は(   )
  8. 偉そうに振る舞う人を見ると、私は(   )
  9. 理不尽だと感じることが起きると、私は(   )
  10. 好意を向けている人がいると、私は(   )
  11. 無視されると、私は(   )
  12. 自分にではなくても、誰かが怒鳴っていると、私は(   )
  13. 電車内で激しく泣く赤ん坊を抱いた母親に対し、私は(   )
  14. 列に横入りされると、私は(   )

これは正誤のない問いで、どのようなこと(時)に自分はどのような気持ちになるのかを、“自分がわかるように視覚化”し、少しだけ自分を客観視してもらうための問いです。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

連載:錯覚【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【錯覚】や【妄想】について2回目となる今回は、ランダムに詰め合わせで、心理的、脳科学の【錯覚】【法則】をお届けします。

ネタとして『あるある!』『へぇ、そんな現象に名前があったんだ』『初めて知った!』と前回のシミュラクラ現象のような感じで軽く楽しんでくれたら幸いです。

いきなりですが、

フレゴリ錯覚

という現象があります。ただこれは“錯覚”と付いていますが、正しくは

“誰を見ても、それが特定の人物に見えてしまう妄想”

です。また、初めて会う人を自分がよく知る人物と思い込んでしまうこともあります。

よく似た妄想にカプグラ症候群というものがあり、これは、身近な人(パートナーや家族、友人)が、瓜二つの他人に入れ替わっていると思い込んでしまう現象です。まるでSF映画のようですが、案外頻繁にあるのです。

フランスの精神科医ジョセフ・カプグラからカプグラ症候群と名付けられました。疑心暗鬼に囚われて毎日疲弊しそうですよね。

錯覚や妄想とは少し違いますが、社会生活を営む中で、私たちは無意識に多くの情報を選択し、処理しています。無意識を使った(そもそも“使った”という意識すらありませんが)判断は、膨大な情報を処理していく中で物事の判断を一瞬でおこなえるので、効率よく選択できる反面、不合理でメリットのない選択もしてしまうもので、この“不合理な選択”をすることを心理学では

認知バイアス

と言います。この認知バイアスとは人なら誰にでも当てはまるであろう(そうでない人もいますが)人間の特性とも言えます。わかりやすい認知バイアスをお話しします。

【バーナム効果】
誰にでも当てはまるであろうことを、自分にだけ当てはまっていると錯覚してしまう。
→占いや血液型がその例で、人間が持つ“当たり前の特徴”を特定の人に当てはめ信じ込ませます。

・あなたは神経質なところがありますね。
<誰にでも大雑把な部分と神経質な部分を持ち合わせています。その種類やレベルが違うだけです。>
・過去にとても辛い思いをしていますね。
<生きていれば楽しいことだけのわけがありません。>
・人に誤解されやすいようですね。
<誰にでも相性や認知、コミュニケーションのクセがありますし、そもそも誰が相手であっても他者なのですから、場面や相手によってはまったく誤解がないなんてあり得ません。>
【フレーミング効果】
意思決定をする時に、説明や質問のされ方で選択結果が変わる。
→本来の意味が同じでも、表現や状況の違いで心理的解釈が違ってくることで起こります。

・死亡率10%と生存率90%では、死亡率10%と説明された病気を恐れる。
・脂肪分5%カットのヨーグルトより、無脂肪分95%と表示していあるヨーグルトのほうがよく売れる。広告によく使われている手法かもしれません。
【ハロー効果】
他者や物の価値を一番目立つ特徴で決めようとする。
・政治家だから人物的にも優れた人物に違いない。
・Aさんは優しいから子供好きだろう。
・Bさんは見た目が怖いから動物を虐待しそう。など。
【代表性バイアス/ステレオタイプ】
一般論だろうことから直感的に判断する。
・値段が高いから、こちらが良いものだろう。
・メガネをかけて大きなリュックを背負っているからオタクかも。など。
【バンドワゴン効果】
流行しているだけで、その流行しているものに価値があると思う。
・行列ができている店は美味しい。
・口コミ評価が高いから、いい商品だろう。など。
【アンカリング効果】
最初に印象が強かった数字が、その後の判断に影響する。ビジネストークでも使われる心理テクニックですね。
・クルマを買う時に、最初に500万円と言っておき、徐々に安くしていく(お得に買えたと思わせられる)。
・5,000円の値札が線で消されて1,000円になっている(良いものが安く買えたと思う)。など。

他にもたくさんありますが、今回はこれぐらいで(笑)

思い当たる法則はありましたか?

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知の歪みって?

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

最近は認知症という意味だけでなく、“認知”“認知の歪み”という単語もよく聞くようになってきましたよね。

今回は中学生でもわかる内容で、“認知の歪み”について、とても簡単にわかりやすく説明しようと思います。

認知とは平たく言うと、

その人のものの捉え方 

その人の持つ思考スタイル

と言えます。それでは“認知の歪み”とは一体どんなものなのでしょうか。

読者の皆さんは、こんなところはありませんか?

  • 一度失敗したら二度と挑戦しようとしない。
  • 「いつも」「絶対に」ダメだと思ってしまう。
  • ついネガティブな想像をしてしまう。
  • 100点でなければ0点も同じだと考える。
  • 理由は特にないのに自信がない。

それは、もしかしたら“認知の歪み”が原因で引き起こされているかもしれません。

例えば会社でAさんがBさんに挨拶をして、Bさんから返答がなかったとしましょう。Aさんが『Bさんは私をわざと無視した!』と考えれば“怒り”が生まれます。怒りが生まれると、今度はAさんがBさんを無視したり、嫌な態度を取るかもしれません。こうした思考スタイルが重なって人間関係がギクシャクしていくこともあります。

もしAさんが『私の声が小さくて聞こえなかったのかも』『Bさんは何かに夢中だったのかも』などと考えれば、怒りは生まれませんよね。怒りが生まれなければAさんはBさんを無視したり、冷たくすることはないでしょう。

『私は何をやってもダメだから、次も絶対うまくいかない』

『前に失敗したからまた失敗する』

『周りのみんなに嫌われてるに違いない』

など、

現実に違うかもしれない思い込みや捉え方、考え方を“認知の歪み”と呼びます。

誰でも落ち込むことはありますし、落ち込んだ時にネガティブになってしまうことはありますが、それが毎日続いて気持ちがツラくなっていませんか?

認知の歪みは自覚するだけでも効果があります。もし出来そうなら、他の考え方や捉え方を探してみましょう。

一人では難しいので、家族や信頼できる身近な人に自分の考え方について客観的にアドバイスをもらったり、専門家に相談することもオススメです。

<運営会社:Jiyuuku Inc.