拝啓 新社会人の皆さん、如何お過ごしですか?

メンタル・イデア・ラボ、AEのスミです。

この4月に晴れて社会人になった皆さん、如何お過ごしですか?

研修中の人、研修も終わりそれぞれの部署に配属された人などさまざまだと思います。社会人になる前(私も含め)、つまり小中高大においての人間関係は極めて年齢の近い人だけの関係だったと思います。

会社という組織に入ると、最初こそ同期(同年代)と一緒に研修を受け、学校時代の延長のような気分だったのではないでしょうか。それが各部署にそれぞれ配属されると、環境は一変します。同期はほぼおらず、先輩、上司しかいません。年齢もさまざまです。ほぼ自分よりも年上ばかりの環境と言っていいでしょう。

そんな環境で緊張と不安が入り混じった状態の新入社員の人もいると思います。その中で皆が皆、優しい先輩とは限りません。業務に忙しそうにしている先輩に遠慮してみたり、言うことが変わったり、単純に取っ付きにくかったり、といろいろな要素が絡み合って、新人にとっては緊張の連続でそれだけでグッタリしている時期だろうと察します。

既に怒られた、という人もいるでしょう。萎縮してしまい出社が怖くなったりする時期でもあります。私もそういう時期がありました。昼休みに一人になれる時間にホッとしたり、緊張と不安を誤魔化しながら必死に頑張っていると思います。会社から帰宅して部屋着になって座った時、どれだけホッとしたことか、あの頃の自分を思い出します。

『そんな不安や緊張なんかないよ』という人はラッキーだと思います。たまたまあなたにとって恵まれた職場環境なのでしょう。新入社員をよく観察していると、4月当初は大体希望に満ちた笑顔が多いのですが、研修が終わり部署に配属されてくると、当初の笑顔は消えています。ちょっと疲れた顔をしています。覚えることも多くわからないことばかりなため、不安げにも見えます。入社3年程度の社員の顔は、会社や業務にも慣れ、力の抜きどころの要領も覚え、ある程度余裕のある顔付きになっています。社内の人間関係の構築もある程度できているのも大きいと思います。彼らはいわゆる学生気分が完全に抜け、社会人の顔付きといった感じでしょうか。

ブラック企業でないことが大前提ですが、私も当時、入社から3年目まではかなりメンタルが不安定な時期でした。この仕事は自分に向いていないんじゃないか、辞めたい、日曜日や連休最後の日が憂鬱だな、これでいいのか、など自問自答の日々だった記憶があります。そんな思いが入れ替わり立ち替わり巡っていました。その時出した結論は、

『とりあえず明日だけ頑張ろう』

というものでした。そうやって『とりあえず明日だけ』、その日が終わればまた『とりあえず明日だけ』という感じです。こんな生活がずっと続くのかと思ったら潰れそうな気がしたので、苦肉の策として『とりあえず明日だけ』は頑張ろう、明後日のことは今考えず明日また考えよう、という感じでした。つまりは騙し騙しですね(笑)

『とりあえず明日だけ頑張ろう』というのは今でも使っています。社会人になって長いですが、いいことばかりはなくツラいこともありますから、そういう時の気持ちの持ちようの一つとして、『とりあえず明日だけ頑張ろう』と思うようにしています。自分で自分から逃げたと後ろめたい気持ちに縛られないためでもあります。

置かれた環境によって感じることは人それぞれ違うと思いますが、今言えることは、一時的なネガティブな感情に惑わされ、流されてはダメだ、ということです。ネガティブな感情になることがダメ、と言っているわけではなく、その感情とどう向き合うかということです。

弊社の心理士である本城ハルに教わったことですが、人に言えるような大したことでなくていいから、寝る前などリラックスしている時に、3つ程度『今日の自分を自分で褒めてやる』というものです。どういうことかというと、今日も遅刻せずに出社した、昨日教わったことが忘れずにできた、など些細なことでも構わないから自分で自分を褒めるということです。私は最近『今日請求書を出した』『今日洗濯した』『缶コーヒー飲むのを我慢した』自分を褒めました(笑)誰にも言う必要がないのだから、どんな小さなことでも、人には当たり前と思われることでもいいのです。こうしたことを毎日繰り返していると自己肯定感が下がりにくくなると言われています。

ネガティブな感情は生きている以上、いつでも抱く感情ですから、そういう感情を否定していてはメンタルが疲れてしまいます。ネガティブ感情を受け入れ、それとどう向き合うか、それが自分の人生を大切にすることに繋がるのかな、と思います。

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社内保健室という考え方

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

アンガーマネジメントやアサーション、マインドフルネスなど、さまざまな社内研修や講習会でも企業に伺っています。一方で“空いた時間にいつでも相談できるカウンセリングルーム”として一定時間社内に私が在室している企業もあります。

カウンセリングと聞くと、最初はクリニックや病院を想像して敷居が高かったり、利用の仕方がよくわからないと感じる人も多かったようですが、「気分が悪かったり、何だか教室にいたくないと感じる時に保健室へ行って、養護の先生にちょっと話をして休むだけでラクになった経験はありませんか?難しく大げさに考えずに、そんな利用の仕方でいいんですよ」と話すと、ラクに利用できるようになるようです。

課題があれば相談者と共に対応策を考えていくのも私の役割ですが、働くことで溜まりやすい小さなストレスを話す(アウトプットする)ことで、ガス抜きしてもらうという側面もあります。

話したことや相談内容が完全に守られることで、話したことがどこからか漏れて人間関係がギクシャクする、人事査定が気になる・・・そのような心配や不安がないことから、肩に背負った重たい荷物(抱えたモヤモヤやストレス)を下ろしに気軽に顔を見せてくれる社員の方も増えてきました。

何を話したらいいのかわからない、何か話さなきゃいけないんじゃないか・・・そんなことはないので、ちょっと気分転換で利用してください、と伝えています。

ただ気持ちを落ち着けたい(カームダウン)、そんな時は何も話さずにいてもいいですし、吐き出したい時はパンパンになった愚痴袋(笑)を片手にいらしていただけたらと考えています。

産業医面談のように最初は緊張感から恐る恐る扉を開けていた人が、何度か顔を合わせるうちに、「また来ちゃいました、話を聞いてください」と気軽に訪れてくれるようになります。社内では誰の耳に入るかわからないし、迂闊に話せない、家庭に愚痴を持ち込むのも(反対に家庭の愚痴を会社に)・・・、友人に愚痴るのも何だか空気を悪くするみたいで申し訳ない、愚痴るほどはないけどちょっとモヤモヤする、など、人それぞれいろんな事情や考え方があります。

コラムでも何度かお話していますが、モヤモヤや愚痴は澱となって蓄積されるので、まずは抱え込まずアウトプットすることが大切です。アウトプットの仕方は“話す”“書き出す”などですが、振り返ることが目的、ただ垂れ流してガス抜きするのが目的、と、目的が違えば対処も違います。

即解決に繋がらなくてもアウトプットすることが溜め込まないコツで、とても大切です。

話すことで頭が整理され、解決策が見つかることも少なくありません。アウトプットするということはガス抜きと同時に、一旦外に置くことで冷静に考えられたり、俯瞰できるという意味もあります。

上手にアウトプットして心の負荷を軽くできるといいですね。

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組織の中のストレス

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

会社で一番の悩みは“人間関係”だと言われており、ストレスやメンタルを病む原因、退職理由も人間関係が多くを占めます。

私生活とは違い組織では上司部下、先輩後輩、同僚同士、取引先など、実に多くの人間関係があります。学校では教師と生徒・保護者という役割・期待もあります。

組織において対人ストレスを軽減し、皆が働きやすい環境に整えるのは上司(部下を束ねる立場/管理する側にある人)の仕事でもあると考えています。もっと言えば、トップの仕事であると考えています。上司でなくともプロジェクトリーダーなども、チームのメンバーが働きやすい環境に整えることも仕事であると思います。

管理職やリーダーという、人の上に立つ立場の人は部下に命令指示し、勤怠“管理”するだけが仕事ではない、ということです。

【役割期待】は、私生活ではパートナーや子供に、学校では教師が生徒に、会社という組織では部下や後輩に対して生まれやすい概念です。自分が期待している役割(仕事・家事など)に相手が応えてくれるとストレスはありませんが、期待している役割に応えてくれなかったり、「そうじゃなくて!」と、トンチンカンなことをされたり、反発を感じるとストレスになります。

こうして見ると、私たちが抱える人間関係のストレスの多くは“役割を期待する”ことから生まれていると考えられませんか?

役割期待は対人関係で誰もが持っている概念なのです。そして、役割を果たされないことや役割期待のズレから生まれるイライラや怒りが対人ストレスの正体です。

私生活だと「僕は仕事が忙しいし家にいる時間が長い妻が家事をやってくれるだろう(やっていて欲しい)」《役割期待》→“僕”が考えるほど家事をやってくれていない、暇そうなのに家事を疎かにしてダラダラしている(ように見える)→イライラ発生。

会社だと上司が部下に「資料作成してくれと昨日言ったよな」《役割期待》→いつまでも上がってこない、報告もない、忘れているのか?どうしてこんな簡単なこともサッサとできないのか?→イライラ発生。

学校だと教師が生徒に「宿題やるように言った(だからやってくるだろう)」《役割期待》→「ほとんどがやってきているのに、どうしてこの子はいつもできないの?」→イライラ発生。

どちらも相手に(誰かに)役割を“期待”して、それに応えられなかったことがイライラに繋がっているのがわかります。期待している役割に相手が応えてくれないことで不満(ストレス)を感じているのが原因です。

そうならないためにはどうすればいいのでしょうか。

とにもかくにも“コミュニケーション”です。

前記の上司であれば「明日の会議で使う資料を○○までに上げて欲しい、今抱えている仕事もあると思うができそうか?(難しそうであればいつまでならできるのか)」と、仕事内容を伝えると同時に『○○までにできるかどうか』も確認する必要がありました。一方、部下は無理そうだなと思っても「できます」と言ってしまいます。そこで上司はもう一歩踏み込んで、助っ人になるような人に根回し「彼(彼女)に資料作成を頼んだから、ちょっと手伝ってやってくれ」と言っておくのもいいでしょう。あるいは、その部下がやっている仕事を別の人に任せて、資料作成を優先させることもいいでしょう。とにかく、一人で背負わせない、頑張らせない環境を作ってやることが大切です。

これを役割期待の擦り合わせと言います。

部下にもやっている最中の仕事があるのに、いとも簡単に「○○までにやっといて」とまったく違う仕事を丸投げする上司がいますが、急ぎで抱えている仕事があると「えっ!?いきなり?」「忙しいのにその量?」「またかよ」と不満を感じ、モチベーションが下がってしまいます。プレッシャーで不安にもなるでしょう。これが連日続いたらその部下はどうなるでしょう・・・いずれは退職していくか、あるいはメンタルを病むか、はたまた最悪の事態に発展しかねません。

命令“だけ”しかできない(しない)上司、今時どれくらいいるのかわかりませんが、悪しき昭和の常識(部下は黙って上司の言うことを聞け)をズルズル引きずっている人に多い気がします。私の勝手な想像ですが・・・。

役割期待は平たく言うと「口に出してはいないけど(言葉にしていない)考えたらわかるよね?くみ取れるでしょ?」から生まれます。期待していると(勝手に)期待に応えてくれなかった、裏切られた、理解されなかった・・・と感じた時にイライラが生まれやすいというのは、誰にでも経験があることではないでしょうか。

今は特にコロナ禍ということもあり、イライラ感情を持ちやすい社会情勢ということもあり、そこここに火種があるように感じます。

コミュニケーションには時として手間や時間がかかる時もあるのですが、そのわずかな手間を面倒だと惜しんで後々イライラするのなら、思いやりのある細やかなコミュニケーション(アサーション)を心掛けてみるほうが生産的な気がします。

自分以外は親でも子でも他者。あなたが思っていること、考えていること、そんなものは口に出して言葉にしなければ伝わりません。

察しがよく伝わる人はいるかもしれませんが、それはたまたまで幸運なことです。これは当たり前ではありません。

命令するのと的確に指示ができることは別です。期待し信じ伸ばすこと。それは言葉足らずな【役割期待】とは違うものです。

自分が誰に対しどのような役割期待があるのか、そこに意思を伝える十分なコミュニケーションはあるのか(言わなくてもわかるでしょ、このくらいわかって当然、やってくれるのが当たり前というコミュニケーションの手抜きはないか)、今一度、自分自身を振り返ってみましょう。新入社員の入社時期でもあります。改めて自己点検してみるのもいいかもしれませんね。

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地味にイラッとする話し方

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は、話をしていると相手を地味に不愉快にし、イライラさせてしまう残念な人のお話です。皆さんは

イライラ3D

をご存知でしょうか?

会話をしている時に、いちいち「でも(DEMO)」「だけど(DAKEDO)」「だって(DATTE)」を付けて話をする人のことですが、案外口癖になっている人が多いことに気付きます。

「最近あんまり彼から電話がなくって・・・」←友達に寂しい気持ちや不安を聞いてほしい。

○「だけど彼も仕事で疲れてるんじゃないの?」←彼女の寂しい気持ちや不安をガン無視。

●「普段はいいんだけど、デートとか旅行とか大事なこと決める時は話したいし、ライン送ってるんだけどね」←ちょっと不安な気持ち。

○「だって、ライン返せないくらい忙しいかもしれないじゃん」←最初の不安や寂しさをガン無視した挙げ句、不満な気持ちもスルー。

これだと「私の気持ち、伝わらないなぁ」と、ここでも寂しくなったりつまらなくなってしまいます。

当たり前ですが、この3Dを頭に持ってくると、

すべて相手が言った話の内容をはね付け“否定”する言葉になります。

●「土曜の映画、待ち合わせ時間や場所、どうする?」
○「渋谷駅前に9時は?」
●「でも渋谷駅前だとわかりづらくない?」
○「じゃぁ、パルコ前に9時15分は?」
●「う〜ん、だけど9時15分だと早くない?」
○「映画が9時半スタートだから、ちょうどいいと思うよ」
●「だって朝早く起きなきゃいけなくなるじゃん」

モヤモヤしませんか?

●「何を食べたい?」
○「何でもいいよ」
●「じゃぁ、中華にしよっか」
○「でも中華はちょっと・・・」
●「そっか、じゃぁパスタは?」
○「あ、でもパスタは昨日食べたし・・・」
●「天ぷらはどう?」
○「うーん、だけど天ぷらは胃もたれしそうだし」

これはイライラしますが、3D以前に“何でもいいと言いながら、ダメなものがあるなら自分で提案しましょうよ”かもしれませんね(笑)

違う意見や考え、想いがあって当然ですし、それを伝えるのも構わないと思います。ただ、相手の考えや言っていることを否定する前に、まずは話を受け取る相づちがあると不愉快にはならないものです。

彼があまり電話くれない、の最初のケースでは、「そっか、それは気になるよね」と話を受けた後、「でも、それは仕事で疲れてるのかもよ」と繋げれば“でも”があってもモヤッとしません。

ミラーリングで相手の話を受けて返すと傾聴姿勢も伝わります。

「彼があまり連絡をくれないんだ」

「そっか、彼があまり連絡をくれないんだね、それは寂しいよね」からの「でも疲れてるのかもよ」という具合です。

これは相手との関係がパートナーでも友人でも、同僚や後輩、部下でも同じです。

“デモデモダッテデモダケド”を繰り出されて気分よく会話が続けられるわけがありません。

コミュニケーションは双方が“話を投げる”“受け取り返す”を繰り返しながら広げていき成立するものなので、一方が“受け取らず(避けて)自分の考え(思い)だけを返す”だと、一方にはモヤモヤが残ってしまうのです。

「でも」「だけど」「だって」を口に出す前に、

【ミラーリング+受け取り】

を意識して、爽やかなコミュニケーションを楽しみませんか?

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ストレスマネジメント【3】補足:リスト化参考例

ストレスマネジメントの3回目で書いた、具体的なストレスマネジメントの方法の例を記載します。

まず、ストレッサー(ストレスの原因)のリスト化の例。

  1. 常に仕事量が多い。
  2. いつも忙しくて時間に追われている。
  3. 上司が忙しく相談できない。
  4. 責任感から人に仕事を頼んだり任せられない

など、上記のようなことが複合的な場合もあると思います。このようにリスト化します。そして深刻度と問題解決の困難度をランク付けしていきますが、例えば、ストレッサーの深刻度を

A<深刻度高> /B<深刻度中>/ C<深刻度低>

にランク分けし、同様に問題解決の困難度を

A<困難度高> /B<困難度中>/ C<困難度低>

に分けます。

迷うところだと思いますがコツがあって、書き出した中から最初に最も深刻度の高いAと、最も深刻度の低いCを決め、残りを割り振っていくと比較的ラクにできると思います。

ストレッサーの例で挙げた1、2は、量的ストレッサーですが、これは会社からの要請のため、個人だけでは解決が難しい、問題解決の難易度が高いストレッサーになります。

4は社内への何らかのアプローチで解決可能な範囲と思われますが、今まで責任感から人に頼むより自分でやったほうが早いし確実だと自分一人で抱え込み、対処してきませんでした。また3も、上司は自分以上に多忙だと知っているために4に比べて問題解決の難易度が高いと判断されます。

こうしてリスト化し深刻度を可視化することにより、そもそもこのストレッサー群は、大元にある業務過多や時間的切迫から派生していることから、解決が困難な我慢するしかない問題だと思っていたのがわかります。

深刻度も解決困難度も低いものから取り組みます。

ここでは4になりますね。

さぁ、コーピングで対処法をできるだけ出していきます。

  1. 同僚や部下に思い切って仕事を割り振る。
  2. 他の事務スタッフに裏方的なサポート仕事を任せて時間を作る。
  3. 有能な部下を自分の下に付けてもらえるよう交渉する。
  4. もう一度部内で仕事の分担を見直す。

など、考えられる対処法を挙げていきます。この中で取り組みやすいと思われるコーピングはどれでしょう?

人の手を借りる1と2あたりが一番現実的で取り組みやすいでしょうか。

出来る出来ないは別にして、例えば、部下や事務サポートスタッフに仕事を割り振るために、今までより30分早く出社して、電話など手を煩わせることがない状況で、彼らに仕事を任せるための準備をおこないます。そして朝のミーティングでは効率よく彼らに指示を出せるように心掛けます(事前に部下や事務サポートスタッフの状況を聞き取り話を通しておくと、よりよいかもしれません)。夕方以降は、残業して一人で片付けることが多かった書類作成や事務処理は、部下や事務サポートスタッフに任せることにより、勤務時間内である程度終わるようになるかもしれません。

夜はそのための残業ではなく、それらを確認し、翌朝にフィードバックするようにしたところ、今までより仕事が効率よく進むようになります。そうすると、多少なり残業時間が減り、早く帰宅できる、時間も増やすことができるかもしれません。

これはほんの一例です。このように進める必要はありません。大事なことは、あなた自身が置かれた状況に即して、

ストレッサーとコーピングを列挙し、それぞれ深刻度と困難度をランク付けして可視化してみる

ことです。

全3回:ストレスマネジメント【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

ストレスマネジメントの最終回となる今回は、心理的ストレス反応の段階や、組織を例に具体的なストレスマネジメントの方法を個人向けに、ストレスが引き起こす関連疾患についてお話しようと思います。

心理的ストレス反応とは、ストレッサー(ストレスの原因)に対するコーピングの結果生じる、

心理的 身体的 行動的

な変化をまとめて指します。ストレス反応はそのままにしておくと、徐々に深刻な状況になってしまいます。

段階を進むごとに、さまざまな適応力を低下させますが、どのような経過を辿り、深刻化するのかを見ていきましょう。

段階1→疲労感
心身ともに疲労感を感じる。
十分寝たはずなのに、起きた時から疲れている、いつも緊張感がありリラックスできない。
段階2→イライラ感
感情のコントロールがしにくく、不安定になる。
今まで気にならなかったわずかな刺激で怒りやすくなり、指図されたと受け取りやすくなったり、感情がかき乱され、すぐに腹が立つ、物にあたる、手を上げることもある。
段階3→緊張感
いつも他者から評価されているような落ち着かなさや、今までできていたことが、今まで通りできないと感じるようになる。
段階4→身体不調
胃が痛む、動悸や異常な発汗、胸を締め付けられるような息苦しさ、ひどくなると突発性難聴などが表れる(私自身、今は治りましたが、以前は凄まじいストレス状態にあった時、突発性難聴になったことがあります。)
段階5→憂鬱感や解離症状
食欲がなくなり、今まであった物事への興味、関心が失われたり、注意力低下からミスが増える。
自分が自分でないように感じるのが解離症。
(私はカサンドラ状態に陥っていた時に、この第5段階の経験がありますが、自分の行動にまったく責任や自信が持てなくなり、無意識にかなり危うい行動をしていたこともあるようです。)

いくつか補足します。

段階1で感じる疲労感の特徴は、

時間的には十分な睡眠時間を取ったのに、睡眠満足感を得ることができない、身体の奥に鉛を抱えたような疲れ

です。

段階2にはイライラ感が表に出てくるので、パートナーや家族など近しい人にトゲトゲしい態度や強い言い方が増え、口論が増えていきます。感情コントロールの舵取りができないと、

不必要に他者と衝突することが増え、人間関係のトラブルを生みやすくなります。

段階3になると、

嫌なドキドキが出てきて、人前に出ることが苦痛になりますが、なぜ自分がそうなのかわからず、自分で自分に困惑する状態

になります。

次に心身症についてです。心身症とはストレス関連の疾患をまとめて言いますが、どのような疾患があるのか見ていきましょう。ただ、この中にはストレス“だけ”が原因で発症するわけではないものもあるので、『〇〇だから原因はストレスだ!』と決め付けないようにしてください。

顎関節症
ストレスから歯ぎしりや噛み締めが起こると、顎関節に症状が現れることがある。

●眼精疲労・眼瞼痙攣
睡眠不足や眼を使いすぎたり、疲れると瞼がピクピクする。

●喘息・過換気症候群
気管支が弱いと喘息になるケースがあり、ストレスが喘息を悪化させる可能性がある。過換気症候群は、発作性の呼吸困難。

●胃潰瘍・十二指腸潰瘍・過敏性大腸炎・心因性嘔吐
胸焼けや胃部不快感、すぐにお腹を下す、食べ過ぎや感染症ではないのに気持ち悪くなり、吐き気が出ることがある。

●蕁麻疹・円形脱毛症
ストレスで蕁麻疹が出やすくなり、アトピーは悪化しやすくなる。円形脱毛症は比較的よく見られる症状ですね。私も見事なハゲを幾つも作った経験があります(笑)

●緊張型頭痛・書痙
書痙とは手が震えて文字が書きにくくなったり、細かな作業がしにくくなる症状。

ストレスは全般的にアレルギーを悪化させると言われていますが、蕎麦アレルギーがストレスでもっと酷くなる、ということは聞かないことから、食物アレルギーはあまりストレスに関連がないのかもしれません。

ストレスがなぜ身体症状として表れるのでしょか?

それは

ホルモン分泌の乱れ、自律神経バランスの崩れ、免疫系バランスの崩れ

などがストレスから身体症状を引き起こしています。それらはどういうことかを少しお話します。

私たちはストレッサーに晒されると、副腎皮質から副腎皮質ホルモンというホルモンが分泌されます。副腎皮質ホルモンは、代謝活性し身体をストレス反応から守る働きがあるのですが、(現在のように)ストレス状態が長引き、ホルモンが分泌され続けると身体バランスが崩れてしまうのです。

知っている人も多いと思いますが、自律神経には【交感神経】【副交感神経】があり、不安や緊張から心臓がドキドキするのは交感神経が活動的になることから起こる生理現象です。いざという時に、身体がすぐに反応できるよう心臓をフルに稼働させている状態です。またリラックスした状態の時には、副交感神経が活動的になります。

このように、【交感神経】と【副交感神経】が交互にバランスを取りながら身体の働きを調整しています。ストレス状態になると、当然交感神経が活性化し、血管拡張や心拍増加、血圧上昇や血液凝固亢進(血栓ができやすくなる)、消化器官活動低下などが起こります。胃腸の働きが弱ると、胃液が溜まり胃が冷えたように感じたり、消化不良からさまざまな胃部不快感、下痢や便秘になりやすくなります。

また免疫系バランスの乱れは身体を守る大切な役割をするリンパ球数が減ったり、その機能が低下することで感染症に罹りやすくなります。慢性的にストレスが持続しても自然免疫に関連するナチュラルキラー細胞の減少が機能低下を引き起こし、ウイルス感染しやすくなります。

次に具体的なストレスマネジメントの方法ですが、今回は組織における個人向けについてお話します。

まずストレッサーを明確にし、具体的に

“負担に感じていること” “困っていること” “苦痛に思っていること”

を書き出してみましょう。どのようなストレッサーがリストアップされましたか?この結果、心に重くのしかかっているストレッサーの原因はひとつの問題ではなく、複数のストレッサーが合わさった重複的なものだと気付いたのではないでしょうか。(別ページ:ストレスマネジメント【3】補足:リスト化参考例参照)

負担を感じる作業ですが、ひとつ一つを細かく書き出していくことで、初めてそれらへの具体的な対処法が見えるようになります。

書き出したストレッサーから深刻度、困難度の低いストレッサーから取り組みます。

問題を解決するのに取り組むランクを決める際に考える基準があり、

【1】他者からサポートを望めるか?
→サポートが望める問題のほうが困難度は低くなります。

【2】その問題が自分が原因なのか、他者が原因となって起きたものか?
→自分が原因となって起きたものは、他者が原因となり起きた問題より困難度が低くなります。

次にコーピングを思いつく限りリストアップします。

以前、コーピングは積極的コーピングが有効だとお話しましたが、ケースによっては消極的コーピングを取ることが必要になることがあるため、この段階では積極的、消極的双方からのコーピングをリストアップしていきます。

【1】ランクを付けた最も低いストレッサーに対し、自信のあるコーピングからスタートする。

【2】緊急度が高くても、失敗するかもしれない深刻度の高いストレッサーに取り組まない。
→上手くいかなかった時にコーピングをおこなおうとすると、失敗の可能性が高くなり、一度コーピングが上手くいかないと次にコーピングにチャレンジするモチベーションが低下するからです。
実際、深刻度の高いストレッサーが原因となり、深刻度の低いストレッサーが含まれるケースも多いことから、遠回りに思われても、深刻度の低いストレッサーに対し、着実にコーピングをおこなっていくことが大切になります。

【3】コーピングの成功、失敗に関係なく、よりランクの上のストレッサーに移行する。
→特定のストレッサーに対しコーピングをおこなって問題解決できなくても、そのストレッサーにだけとらわれず、『自分は努力した』と認めることが、無駄なエネルギーを使わず、コーピングを持続するモチベーションに繋がります。
ここで大切なのは、結果より、問題に対処しようとする姿勢を持続していくことだからです。

コーピングをおこなうためのフローチャートを参考にし、取り組んでみてください。

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全3回:ストレスマネジメント【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回に引き続き、ストレスマネジメントの2回目になります。今回は積極的コーピングやソーシャルサポート、ソーシャルスキルについて考えていきましょう。

前回紹介した【感情優先/積極・消極】【問題優先/積極・消極】ですが、感情を鎮めることを優先するか、問題の解決を優先するのかは個人の性格やケースにより変わってくることもあります。しかし、積極的な対処をするか、消極的な対処をするかは個人の“意志”次第で、ある程度変容できる部分でもあります。

性格自体を変えることは難しくても、気の持ちようは、努力である程度変えられるというわけです。

『自分は〇〇だから』『〇〇だから無理』『前も〇〇だったからできないに違いない』・・・という思いが出てくるかもしれません。以前【認知の歪み】のコラムでも書いた、思い込みによる認知の歪みが邪魔をすることもあることを思い出してください。

積極的コーピング、消極的コーピング、どちらを選択するかは、誰かに強引に決められることなく、任意にあなた自身がその努力を選択することができる『行動』です。

“積極的”“消極的”という表現から『自分は消極的だからダメなんだ』『やはり積極的が優れているんだ』と受け取る人もいると思いますが、決してそうではありません。以前お話した“優性遺伝”“劣性遺伝”を思い出してください。“優”という漢字は“優れた”に使われますが、優性遺伝が優れた遺伝子というわけではありませんでしたよね。

何でもかんでも積極的、積極性が良しで、消極的、消極性が悪、劣っている、ではありません。

下記に積極的コーピング、消極的コーピング、それぞれの行動と心理的ストレス反応を表にしてみました。自分自身がどちらのコーピング傾向にあるのかを、ストレスを伴う困難に遭遇した場合、どのような行動を取ることが多いのか、【行動】の欄を見ながら考えてみてください。

より良いコーピングとは、問題解決の積極的コーピングであることは理解できたと思いますが、より良いコーピングを安定して実践していくために必要なものがあります。それは、

ソーシャルサポート、ソーシャルスキル

という概念です。ソーシャルサポートとは、パートナーや家族、身近な人、友人や知人、職場の上司や同僚も含まれ、あなた自身が周囲から受けられる支援(サポート)のことです。問題解決のために目上の人や尊敬する人からもらう具体的アドバイス、パートナーや友人に悩みを聞いてもらい共感を得たり、理解してもらうという情緒的なサポートになります。

誰でも自分が経験した以上のことを想像したり、自分の身に置き換えて考えるのは難しいものですが、大切な人が悩んでいるツラい気持ちや、一人で抱え込んでいると感じる孤独感や絶望感にそっと寄り添うことはできるものです。ここでは以前お話した【アクティブ・リスニング(傾聴)】が役立ちます。

一旦話が逸れますが、気持ちを落ち着かせたり、荒れくれた気持ちを穏やかにするために重要な働きをする“愛情ホルモン”と言われるオキシトシンというホルモンがあります。

オキシトシン舌下スプレー、オキシトシン点鼻というものがあるのですが、日本では認可されていないので海外から個人輸入して自己責任で使用することしかできません。私は、イライラしがちで感情コントロールが難しい息子に、以前オキシトシン舌下スプレーを試したことがありました。すぐに効き目が表れるような性質のものではないので多少時間はかかりましたが、息子にはかなりの効き目を感じました。息子本人も「いつもより全然イライラしない!」と効果を実感したようでした。

継続していない理由は、海外では認可されていても国内で認可されていないことから、継続するには大いなる責任が伴うことと、何より高額だからです。自閉症スペクトラムへの情緒面の治療薬として期待されていますが、認可にはまだ時間を要しそうです。

しかし国内外のオキシトシン研究で、ハンドタッピングやマッサージにより、手の温もりからこのオキシトシンが分泌されることがわかってきました。愛情ホルモンは別名『幸せホルモン』とも呼ばれ、『安心ホルモン』でもあるので、心細かったりツラい時に愛するパートナーにハグしてもらう、信頼する人に「大丈夫、君ならできるよ」と肩をポンポン叩かれる・・・それで安心したり、気持ちがラクになった経験は誰もが持っているのではないでしょうか。それ、実はオキシトシンパワーです(笑)

私のオキシトシン分泌促進剤的なものは、信頼できるパートナーに話を聞いてもらいハグしてもらうこと、長い付き合いの信頼できる友人たちと話をすること、癒し効果抜群の猫たちと触れ合うことです。効果抜群です。

ソーシャルサポートとは、裏に隠されたオキシトシンパワー、そういう意味合いも含めて持っています。皆さんのオキシトシン分泌促進剤は何ですか?

次にソーシャルスキルですが、この場合のソーシャルスキルとはわかりやすく言うと“人付き合いスキル”で、人付き合いが上手い人は、円滑で友好的に幅広い層の人々と人間関係を構築、持続できるので、それが人脈という資源となり、ソーシャルサポート源になっていきます。

無意識にせよ、他者に対し身勝手な言動や振る舞いを繰り返したり、責任感のない誠意を感じられない対応、マウンティング、ワガママですぐに感情的になりやすいなど、ソーシャルスキルが低いと周りにはあなたを支援しよう、したいと思う人は少なくなってしまいます。そうなると、ソーシャルサポートという安定したコーピングに必要な“人脈”という資源が少なくなるので、ストレス耐性は低くなりがちです。

孤独、孤立はストレス耐性に大きく関わり、ストレスコーピングにも差が表れてきます。ソーシャルスキルがソーシャルサポートに繋がり、より良いコーピングを実現させることに結び付いていくと考えられています。

考えてみましょう。いつもあなたの話をきちんと聞き、寂しさやツラさに寄り添ってくれる友人と、側にはいるけど、こちらの話はろくすっぽ聞いてもくれず、話を被せてきて自分の話に持っていく(会話泥棒と言うそうです)か、口を開けば根性論や自慢、不平不満に文句ばかりのパートナー、お互いが困った事態になり苦しんでいる時、あなたはどちらにも同じように寄り添いたいと思いますか?

幾つもソーシャルサポートを持っていると、ストレッサー(ストレス原因)や心理的ストレス反応を減少させる効果があります。ここでソーシャルスキルを幾つかに分けて、どのような“人付き合いのスキル”があるのか見ていきましょう。

マネジメントスキル:自分への要求や要請を、段取りを考えて行動したり、感情的にならず、わかりやすく他者に伝えたり指示するスキル。

コミュニケーションスキル:他者に自分の意思や考えを的確に伝えたり、他者の考えを自分勝手なフィルターを通さず理解するなど、上手く会話を進めるスキル。

トラブルシューティングスキル:他者との間に勘違いやスレ違いから生じた軋轢を、考えて会話や行動によって良好な状態に修正するスキル。

といったところでしょうか。ここで簡単なソーシャルスキルテストをしてみましょう。

それぞれの問いに、まったくできない<1点>、少しできる<2点>、普通にできる<3点>、かなりできる<4点>、完璧にできる<5点>、をプラスしながら評価してみてください。

  1. 誰とでもあまり会話が途切れない。
  2. いろいろな目標を立てるのを困難だと思わない。
  3. 他者に対して、やってもらいたいことを上手く伝えることができる。
  4. 他者が自分とは違う考えを持っていても、擦り合わせ、上手くやっていける。
  5. 他者への手助けが上手にできる。
  6. 間違いや勘違いなどを指摘された時、感情的にならず、すぐに謝ることができる。
  7. 怒っている相手の話を聞き、上手くなだめられる。
  8. 初対面の人に、上手く自己紹介できる。
  9. 知らない人が相手でも、すぐに会話ができる。
  10. 周囲から矛盾する話が伝達されても混乱せずに処理できる。
  11. 周囲とトラブルが発生しても上手に処理できる。
  12. 自分の気持ちや感情を適切な手段で素直に表現できる。
  13. 恐怖を感じた時に上手くその感情を処理できる。
  14. 仕事上でどこに問題があるのか、すぐに見つけることができる。
  15. 気まずいことがあっても、相手と上手く和解できる。
  16. 相手から非難されることがあっても、上手く片付けることができる。
  17. 仕事ややらなくてはいけないことがある時、何をどうすればよいかを決められる。
  18. 何人かで話をしているところに、話を折らず気軽に参加できる。

如何でしたか?合計点が70点以上(A)は、人付き合いスキルが特上クラスです(笑)。52〜69点(B)であれば、まずまずの人間関係が構築できるとされ、それ以下(C)だと人付き合いは苦手と感じている人たちかもしれません。

また(C)に分類される人たちの多くに、人間関係が拗れた時にさっさと距離を置いたり、身を引く防御型、感情の拳を振り上げ、自分の正当性を主張する攻撃型とに分けられます。どちらも他者に傷つけられることを避けようとする自己防衛の表れです。

どちらも無意識な場合が多いので、『自分にはそういうことがあるかもな』と意識してみることは大切です。まずは自分にある思考や行動の癖に気付かないことには“だったらこう心がけよう”に繋がっていかないからです。点数は伏せますが、私も常に意識し続けている部分はあります。

コラムで代表のスミも書いていましたが、ストレスに晒され苦しい時に、たった一人で抱え込むことは精神的孤立に繋がり、メンタルを削られ疲弊していくので危険です。メンタルが疲弊すると、心身共にやる気を奪われ、正常な判断力、思考力が低下します。精神的な孤立化が進むと、社会的にも孤立しやすくなると同時に、益々気持ちが追い詰められ、知らず知らずに鬱状態に陥ります。

孤立をものともせず、たった一人でも心身生き抜いていけるサバイバーもいますが、強がりではなく本心からそう感じている人や実践できる人は稀ではないでしょうか。私が思い当たるのは“ジョン・ランボー”ぐらいです(笑)

日本が全国的に皆が不安を抱えているこのような状況だからこそ、カッコつけよう、強がろうとせず、『大変なんだよ、不安だ、頑張んなきゃいけないのはわかっているけど疲れたよ』と心の『澱み』『愚痴』を話してください。共感が精神的な孤立化を防ぎ、心の支えや安心感に繋がっていくことを感じるはずです。

最終回となる次回(5月5日)は、心理的ストレス反応の段階や、ストレスが引き起こす関連疾患、引き起こされるメカニズムと、具体的なストレスマネジメントの方法を幾つかお話しようと思います。

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全3回:ストレスマネジメント【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

新型コロナウイルスの影響で、感染拡大懸念から緊急事態宣言、社会活動の制限がおこなわれ、社会、学校、家庭生活とさまざまなところで不自由を強いられ大きな支障が顕れてきています。

我が家も春から中学2年になった息子がいますが、3月2日以降休校になり、終業式も始業式も簡略化、一体いつから通常授業に入れるのか?これだけの学習の遅れはどう埋めるのか?他校に行っている通級はどうなる?・・・など不安が重くのしかかり、先の見えないストレスが尽きません。

本来なら夢膨らみ、新しい門出となる人も多い春のはずが、私も含め先行き不安から胃が痛くなっている人も多いのではないでしょうか。

本当に無茶苦茶、胃が痛いです。

仕事面の不安にプラスし、思春期+超絶面倒な特性を持つ発達障害児と顔を合わせる時間が格段に増え、感情的なぶつかり合いを回避するために、メンタル面をフラットに保つ凄まじい努力が加わり、そのストレスたるや筆舌しがたいものがあります。

今回のようなケースでは、現状を自分の力で変えることはどうやってもできないか限界があり、頑張っても経済不安が解消できるわけではありません。しかし、このような時だからこそ、今回を含め3回に分けてストレスマネジメントについてお話ししたいと思います。

初回となる今回は【ストレスとは?】【ストレスが生まれる仕組み】についてお話しします。

普段からストレス、ストレスと言葉にしていますが、【そもそもストレスって一体ナニ?】というところからです。

ストレスとは、

さまざまな肉体的心理的外部刺激により生じた、“歪み”に対して起こる“心身反応”のこと

です。メンタルヘルス用語だと思われがちですが、実は物理学から来ている用語です。

真っ直ぐな金属棒に両端から力を加えていくと、たわみが生じます。しかし、力を緩めると元の形に戻ろうとしますよね。力が外部から加わった(両端から力を加えた)結果、生じたたわみ(歪み)に金属棒が反発する状態、これを物理学用語で『ストレス』と言います。

一般的にはストレスというと、ストレスの原因(ストレッサー)とストレス反応の両方を指します。高温、寒冷、振動や強い光、大きな音などが身体的外部刺激、人間関係、理不尽な扱い、過度なノルマ、能力以上を求められる、生活が脅かされるなどが心理的外部刺激になります。今回の新型コロナウイルスにより生まれるストレスは、社会不安やイライラ感、鬱や胃痛ということになります。

マイナスイメージしかないストレスですが、現実的にストレスがまったくない生活はあり得ませんし、それが望ましいわけでもありません。ストレス=負荷(負荷は悪い意味だけではありません)とも言えますが、私たちが成長していくために必要なものでもあります。仕事でも、今の能力ではできないことをできるようになりたいと努力する中で、心身に負荷がかかることはよくあると思います。また、逆境が人を強くするとも言われます。

実際、飲食店の中には客足が遠退き、短縮営業を余儀なくされてしまったことで、テイクアウトや通販など、今までやってこなかった方法で何とかこの苦境に立ち向かおうとしている人達がいます。

新型コロナウイルスからくるストレスの是非はともかく、悪者扱いされがちなストレスですが、負荷やプレッシャーは能力を高め、成長を促す役割を持つ源でもあるので、忌み嫌ってはいけない、ということになります。

私自身、息子と衝突を回避するために感情マネジメントにより一層取り組み、生活習慣がこれ以上乱れないように何かできないものかと、あの手この手を考えています。逃げたくても逃げることはできません。

平時に人が一番ストレスを感じるのは人間関係、環境変化だと言われています。仕事でも私生活でも、人間関係のもつれに巻き込まれれば誰でも気が滅入り、憂鬱な気分になるのはわかりやすい因果関係です。これは人間関係のもつれがストレッサー(ストレスの原因)となり、憂鬱な気分になる(ストレス反応)からです。

ストレッサーが同じでも、人によってストレス反応に差があることはご存知でしょう。それは何故だと思いますか?

心理学者のラザラスが打ち出した『心理学的ストレスモデル』で説明されていますが、より分かりやすく噛み砕きます。専門用語でいうところのアプレイザル(判断/評価)とコーピング(対処努力)というプロセスが大切になってきます。

この“アプレイザル(判断/評価)”は、ストレッサーを

  • 負担(望まないけど)
  • 自分を成長させくれる試練

どう捉えるかという私たちの心の中にある“評価プロセス”です。困難で不快な状況に置かれた時に、怒りを覚えるだけの人もいるでしょうし、まったく気にせずスルーできる人もいれば、こんなの大したことはない、これは気付くキッカケだ、厳しい状況だが自分を成長させる貴重な機会だ、など人によって考え方はさまざまです。つまり、この

“負担の受け取り方”次第

ということになります。

ただ、困難な状況に長期間置かれた場合、かなり神経が図太い人でなければ、ストレッサーを負担と感じてしまうのも事実です。

ストレッサー=負担、と受け取ると心理的負担を少しでも軽くしようと『努力』が始まります。ストレスに直面すると、そのストレスを受け取る側でさまざまな刺激を処理する過程があります。これをアプレイザルとコーピングと言います。

ストレッサーを負担と受け取ると、次にこの心理的負担を軽減しようと努力が始まります。コーピングは、ストレッサーを少しでも軽くしようとする“具体的な努力”を意味し、憂鬱な気持ちやイライラ感などのストレス反応を何とかしようとする努力ではありません。ストレッサー(ストレスの原因)と向き合う前向きな努力です。

コーピングは生まれ持った性格ではなく、努力により身につけられるものなので、性格は簡単に変えることはできないものでも、努力で身につくのであれば、よりよいコーピングを身につけることで、ストレッサーから受ける心理的負担の軽減を図ることができます。

コーピングはストレスマネジメントの鍵となる、とても重要な概念です。

同じ種類の、同じレベルの影響力の強いストレッサーに晒されても、表れるストレス反応(イライラ感、疲労感、鬱や胃痛)は人によって変わってくるとお話ししました。その違いを生むのが、

ストレッサーに対処するコーピングというメカニズム

です。

ちょっと専門的になりますが、コーピングには幾つかのタイプがあり【感情優先】と【問題優先】があります。また感情優先には【感情優先消極】と【感情優先積極】が、問題優先には【問題優先消極】と【問題優先積極】があります。

【感情優先】とは、気分の動揺が激しく、辛く苦しいため、まず気持ちを鎮めてから、その後に問題解決するための対策を考えるタイプ。その際の問題解決はストレスの原因を解決することで気持ちの動揺が収まると考え、まず原因の究明を優先するというタイプです。【感情優先】は気持ちの鎮静化に向かうだけで、ストレスの根本原因の解決には向かわないのがほとんどです。気持ちは落ち着いてもストレッサーはなくならないため、抜本的な対策にはなりづらいです。

【感情優先消極】タイプは、ストレッサーに遭遇すると『嫌なことはなかったことにして忘れよう』と、消極的な手段で気分の鎮静化を図り、【感情優先積極】タイプは『趣味や好きなことに没頭して気分転換しよう』と、積極的な行動を起こし、気分の鎮静化を図るタイプです。

【問題優先】にも同じく消極、積極タイプがあり、【問題優先消極】は『しばらくよく観察してみよう』と問題解決にはすぐに向かわず、まず様子を見るタイプ。【問題優先積極】は『よし、できることから対応してみよう』と周囲に相談したり、自ら問題解決のために行動を起こすタイプです。

こうしたコーピングタイプでストレス耐性が変わってくるのですが、ストレッサーの影響を受けやすく、ストレス反応を起こしやすい、いわゆるストレス耐性が低い人は、感情の鎮静化を優先する傾向があります。逆に、ストレス耐性が高い人は問題解決を優先し、積極的なほうが消極的よりもストレッサーに対処する傾向があります。

次回は誰でもチャレンジできる【積極コーピング】についてお話ししたいと思います。

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緊急寄稿:新型コロナウイルスによるメンタルリスク

メンタル・イデア・ラボの代表を務めるスミです。

新型コロナウイルスの影響により、当初は首都圏や関西、福岡に緊急事態宣言が出され、今や全国に緊急事態宣言が出されるに至りました。生活が一変し、日常とは違う生活を強いられていることだろうと思います。一応来月6日までということですが、それで済むかいえば甚だ疑問です。

英国では以前より緊急事態宣言が出されており、そこで静かに社会問題化しているのがDVであることが報道されていました。恐らく虐待も増加していると想像します。

経済的に苦しくなり、徐々にメンタルが不安定になっていった結果、DVや虐待が誰の身にも起き得るということを理解しておくことが大切です。最悪の場合、離婚に発展することもあるようです。『コロナ離婚』という言葉も既に耳にします。

夫の収入が不安定になり(あるいは無くなり)、生活が維持できなくなるのではないか、これからどう生活していけばいいのか、という極度な不安がメンタルを追い詰め、DV、虐待という形で顕れることがあります。それが酷くなれば、当然一緒に生活できないとなり、離婚へ至る夫婦もあるようです。

2019年8月19日のコラムで、弊社の心理士である本城がモラルハラスメントについて書いていますので、それと合わせて読まれることをお勧めします。というのも、今の社会的・経済的不安定の状況にこそ、モラルハラスメントが顕在化し、横行し、今まで他人事だと思っていたことが突如自分の身に起きる可能性が高まるからです。

世間全体が今、我慢を強いられています。テレワーク、在宅勤務ができている人で、収入面でもそれほど心配ではなくても、夫婦関係、親子関係は別であることは肝に命じておくとよいと思います。外出自粛も相まって四六時中一緒に居れば、家庭でも多少の差はあれ、イライラが溜まってくるものです。子供も学校は休校状態であり、子供の面倒を見ながらの在宅勤務、テレワークなど、やはり心理的負担は大きいはずです。

そんな状態が毎日続くわけですから、当然イライラが溜まり、時として心にもなく、“つい”キツい言葉が出てしまうかもしれません。そこからゆっくりと気持ちのスレ違いのようなことが進行し、知らず知らずのうちに溝が出来てしまう、ことになりかねないのです。

収入面での心配が生じてしまっている場合は、よりメンタルを直撃し深刻になりやすくなります。私もリーマンショックの時などは本当に辛かったし、今思えば軽い鬱になっていたのではないかと思うくらいです。しかし今回は、それを上回る規模で景気が急速に後退しつつあります。行政機関からの休業要請もあり、支援金などの制度を活用したところで再開の目処が立たないうちは、不安はまったく払拭されません。このような状況で

どうメンタルを保てばいいのか?

これは経済的な問題と同時に重要な問題です。経済的な問題は死活問題ですから、同時にダイレクトにメンタルにも影響してきます。私がリーマンショックの時に感じた、重苦しく不安しかないメンタル状態にならないために、メンタルをいかに保って難局を乗り越えていくかが、今、最も重要なもうひとつのテーマです。

しかし『これ!』という方法はありません。ただ不安に呑み込まれないようにすることが肝要です。そのためには、

今の自分の現状を受け入れること

出来ることから行動すること(今なら行政機関の支援制度を調べ行動するなど)、

そして親など身内、知人、友人と相談も含めた世間話すること

です。これを【意識的に】おこなうことです。【意識的に】がミソです。この時、心配をかけたくないとか、見栄、羞恥心は最大の敵になるので、そういう類の感情は早く捨てたほうがいいと思われます。社会全体が有事なのですから、ヘンにカッコ付けるのは危険です。社会全体が有事だからこそ、むしろ共感が得られやすいかもしれません。

共感できる人や共感し合える人がいることは、メンタルにとって非常に重要なことです。

どうか共感し合える人を一人でもいいので見つけてほしいと思います。決して独りで抱え込まないことが肝要です。

このように、自分ができる小さなことを行動に移すことで、不安に呑み込まれにくくなります。ただし、不安が解消されるわけではないことに注意してください。不安に呑み込まれにくくなることで、少しずつ出来ることが見えてきたり、夫婦や恋人との会話であれば、思わず前向きな言葉が出てくるかもしれません。こういう時、夫婦や恋人は戦友のように共に励まし、助け合う関係になり、絆がさらに深まる機会でもあります。単身であれば仲間同士で励まし合い、信頼関係が一層深まる機会でもあります。つまり、こういう時は

孤立化しないこと

が重要です。孤立化しなければ、メンタルが不安に呑み込まれにくくなり、深刻な状態に至らない予防になり得ます。

今、新型コロナウイルスに感染しないことが最も重要なことですが、次に重要なのは、意外と見落としがちな【メンタルをいかに保つか?】です。今こそ自分のメンタルのしなやかさが問われています。

メンタルは不安に駆られているうちに壊れていきます。メンタルが壊れてしまっては、出来ることすらする気がなくなります。つまり気力が奪われます。さらに心がささくれ立ち、今まで築き上げた人間関係すら壊してしまうことになりかねません。

この度のことは長期戦が予想されます。この長期戦を乗り越えるには、

自らのメンタルに目を向け、気力を奪われないように、メンタルを自己管理すること

が重要です。

その方法のヒントについては、以前の本コラムに本城が書いていますので参考までに記載しておきます。

2020年1月15日コラム

2019年11月20日コラム

2019年11月15日コラム

2019年10月31日コラム

2019年9月21日コラム

上記以外にもヒントになるコラムがあるかもしれません。どうぞ参考にしてみてください。

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在宅勤務、いかがですか?

メンタル・イデア・ラボの代表を務めるスミです。

世間は新型コロナウイルスの影響でテレワークを実施している企業もあると聞きます。要は在宅勤務ですね。インターネットのニュースでは在宅勤務で逆に『孤立化』が進行しているケースもあるとか。あるいは自宅待機(休日とは違い自宅に居るという勤務状態)を命じられ、いつ会社から連絡が入ってもいいように自宅に居なければならず、それが却ってストレスに感じる職種の人もいるようです。

いずれにしても、慣れないことを強いられているので無理もありません。新型コロナウイルスの影響はメンタルのバランスにも及んでいるようです。

在宅勤務だからといって、企業は安心することは禁物です。在宅勤務だからこそ、新型コロナウイルスの感染リスクは避けられるとしても、上記のような慣れないことでメンタルのバランスを崩す従業員が出るとも限りません。

例えばインターネットのニュースにもあった

在宅勤務による『孤立化』

とはどういうことか?

いつもは毎朝出勤し、上司、同僚、部下、先輩、後輩、顧客などに囲まれて仕事をしています。周囲の人の進捗状況を見たり、コミュニケーションを取りながら仕事をしているわけです。言葉を交わさずとも、そばに人がいる、という職場そのものが孤立化しない環境に自動的になっています。

しかし在宅勤務は、周囲にそんな人はいません。それは何を意味するかというと、周囲の人の進捗状況はわかりにくく、言葉や表情など直接的なコミュニケーションもほぼ取れない状態に陥るということです。コミュニケーションとは言葉を交わすことだけではありません。相手の顔色や態度、表情など、言葉以外の情報を瞬時に整理することもコミュニケーションなのです。それを【ノンバーバルコミュニケーション】といいます。このノンバーバルコミュニケーションがほぼ取れない状態が在宅勤務です。

ノンバーバルコミュニケーションがほぼ取れない環境で考えられるリスクとして、周囲に迷惑をかけないようにしようと無理(あるいは無駄)に仕事をしてしまう、あるいは見えないプレッシャーに常に晒されるなどが考えられます。そういう人は一定数必ず出てくるでしょう。また子育てや介護、家事をしながら業務もしっかり遂行しなければいけないプレッシャーに強い焦りや苛立ちを感じる人も出てくるかもしれません。

仕事の場と生活の場が同じという環境での精神的両立は、かなりのストレスを要することは容易に想像できます。

こうしたことが複合的に絡み合い、やがてメンタルのバランスを崩してしまう人は確実に出てくるでしょう。

崩してしまうと、崩す前に戻すにはかなり時間を要し、場合によっては医療機関を受診する事態になります。そうなっては、従業員の社会復帰は相当難しくなります。

企業はこうしたリスクを考慮しなければなりません。

企業は従業員が完全にメンタルのバランスを崩してしまう前に、適切な対応をおこなう必要があります。

企業の適切な対応には、日頃から従業員のメンタルをしっかりとケアし、サポートする態勢を整えておくことがあります。それは従業員が身体疾患同様、精神疾患で医療機関にかからないように、例えば私たちのような医療機関や行政機関とも連携するメンタルの専門家である心理士を活用し、

予防的【砦】を確保すること

というものです。

産業医に相談することを推奨することも悪くありませんが、医療機関の受診へと進んでしまう恐れがあり、一見安心に思えても、それは予防ではなく疾患となり、通院する負担や処方薬を手放せなくなるなど、従業員のクオリティ・オブ・ライフに何らかの影響を及ぼします。

在宅勤務は皮肉にも今回の新型コロナウイルスが契機となって、これから新たな働き方として広く普及・定着するかもしれません。そうなれば、顔を合わせないリスクの対策として、コミュニケーションをどう円滑化するか、メンタルのバランスをいかに保つか、保たせるか、がこれからの企業の人事課題、労務課題になってくるのではないでしょうか。今からでも決して遅くはありません。

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