ストレス対処のための情動ラベリング【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

情動ラベリングには効果をあげるためのポイントが幾つかあります。2回目となる今回はそのポイントやコツをお話ししたいと思います。

①感情を表す言葉の語彙を増やしましょう。

例えば、ただ漠然と『モヤモヤする』よりも、言いたいことが伝わらないから『寂しい』や『やるせない』、頭じゃわかってるけど気持ちがついていかなくて『もどかしい』などです。

たくさんの感情を表すワードを知っていると、今の自分の感情に一番しっくりくる言葉が見つかりやすくなります。しっくり来る言葉で口に出す方がより効果が上がります。

怒りの感情を、子供がワガママばかり言って『腹が立つ』、いつも口だけでやってくれないご主人が『憎たらしい』など(笑)

感情を細分化してみる、次に自分の気持ちにしっくりくる言葉を探す。

②実際にモヤモヤし始めたら感情ラベリングをスタートしましょう。

「何にモヤモヤしてるのかな?(自分)」「何度言ってもわかってくれないから“怒ってる”のかな?(自分)」「いやいや言ったことを否定されることが負けたように感じて“悔しい”のかな?(自分)」と、自分に問いかけてみて下さい。

もう1人の自分が問いかけ、それを受けてあなた自身がより具体的に今の感情にしっくりピッタリはまる言葉を探していきます。それは一つとは限りません。まだ何か“モヤモヤ”が残っている時は他の感情を探してみましょう。“モヤモヤ”の背後には“怒り”や“悔しい”の他に“悲しい”という気持ちはありませんか?

感情ラベリングをやっている最中に浮かぶ様々な感情(感情を表す言葉)を、『そんなこと思う自分ってダメだな』『短気な自分って良くない』と、ジャッジしないことも大事なポイントです。

モヤモヤイライラしている自分にもイライラ・・・これはモヤモヤするのは、イライラするのは良くない(悪い)ことだという思い込みから発生します。

だから、何もジャッジしない、です。もちろん『イライラさせるアイツが悪い』も絶対にナシです。

③次にどんなモヤモヤ(怒り/もどかしさ等)なのかを、より詳細に感情に意識を向けてみましょう。

『もどかしくて足踏みしたくなる感じ』『頭が沸騰して耳から噴火しそう』のように。その感情は10段階でどのくらいですか?

「私はモヤモヤしてるなぁ。このモヤモヤは理解されないもどかしさから来てるっぽいぞ。怒り2割、もどかしさ8割くらいだ。そうだな、もどかしい色を表すと深緑にグレーが混じった感じ」のように観察し、口に出します。

全部口に出さなくていいんです。「私はもどかしい!だから怒ってる」と口に出す程度でかまいません。

情動ラベリングはマインドフルネスに通じています。今のありのままを感じ、ジャッジせずただ感じる。

慣れないうちは怒りは怒りのままかもしれません。『私は怒っている』それだけを何度か口に出すだけでも効果があります。

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ストレス対処のための情動ラベリング【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

ポジティブシンキングやネガティブな気持ちを無くそうだとか、世の中はやたらとポジティブ善に傾いている気がしませんか?

私たちはネガティブな感情(不安、不快、恐怖、怒り)を忌み嫌い避けようとしますが、実はそれが逆効果であることを案外知りません。

生きていれば楽観的(ノーテンキ?)にポジティブでいられない時も多いものですし、必ずしもネガティブ悪ではないのですが、何かと悪者扱いされてしまうネガティブ感情。

ただ、やはりネガティブな感情は気持ちを波立たせたり辛さを伴う時が多く、それが強いストレスになりますよね。ネガティブ塗れだと眠れなくなったり胃に穴が開いたり、ハゲ散らかしたりするのでそれなりの対処は必要だと思っています。

ネガティブ→ポジティブにはなれないまでも、せめてフラットに近い状態を保ちたいと誰もが思うはずです。

そのために効果的なのが“情動(感情)ラベリング”という方法です。

なぜ情動ラベリングが有効なのか、その理由ややり方をお話ししたいと思います。

感情ラベリングとは科学的に根拠があり効果が出ている手法であり、誰でも高度なテクニックいらずで簡単に始められることが特徴です。

認知行動療法や認知再構成法にはワークがあったりシートを使ったり書き出したりと準備が必要な時もありますが、感情ラベリングに必要なもの(?)はあなたの“感情”だけ。

手ぶらスタートできるわけです。まるでchoco ZAPみたいですね(笑)

今感じている不快、不安、恐怖、怒りといったネガティブな感情を認め(否定しない)言葉として口に出すことにより感情を司っている“扁桃体”とう脳の一部の活性を抑制する事ができるとわかっています。

口に出すと言ってもそれを目の前にいる人にぶつけたり、関係ない誰かに八つ当たりするのではなく、独り言のように口に出すだけ。

●自分のネガティブ感情を認め→言葉にして口に出す。

これが感情ラベリングです。

高度なテクニックは必要ありませんが、効果的に行うコツというものがありますので、次回は引き続き感情ラベリングのコツをお話ししたいと思います。

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占い依存【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

占い依存症の一番の原因は、心の中にある不安感です。

自分の人生やパートナーとの関係などどうなるかわからない不確定な未来への強い不安感から占いを心の拠り所にしてしまうのです。

残念ながら未来のことは誰にもわかりません。占いがなければ不幸になる(今より事態が悪化する)という考えは、ただの思い込みです。

占い依存症になりやすいのは、どのような人達なのか考えていきます。

実は占いに限らず、依存症に陥る人にはいくつかの特徴があることがわかっています。

自分に自信がない(自己肯定感が低い)

占い依存症になりやすい人は、自分に自信がない傾向にあります。自分の考えに自信が持てないので、周囲の人や占いに頼ろうとします。占い師に相談することで、自分(の考えや出そうとしている解)に自信がなくても解決できるという安心感から、繰り返し鑑定を依頼するようになります。

迷いがある時に占い師に道を示してもらえると安心するからです。それがどのように影響するのか?

人任せで自分で考えることがなくなっていくので、判断力が低下し何事に対しても占い結果が最良と考え、占いに依存していくのです。

周囲に相談できる人がいない

腹を割って話せる友人や信頼できる家族など、周囲に相談できる人がいない人も占い依存症に陥りやすくなります。誰かしら信頼できる相談者が近くにいるというのは、非常に心強いものですよね。しかし、周囲に相談できる人がいない人は自分一人で抱え込んでしまいがちなので、すがる思いで占い師に相談します。

誰かに悩みを打ち明けられる、アドバイスがもらえるという安心感から、占い依存症に陥ってしまうと考えられます。

真面目な性格

真面目な性格の人も占い依存症になりやすい傾向があります。ストレスや不安を溜め込みやすい真面目な人が不安な生活から目を背けたい、今より良くなりたいという気持ちから占いにのめり込んでしまいます。また、真面目な人は占い結果や占い師のアドバイスをそのまま信じ込みやすい傾向にあります。

占ってもらった結果どおりに行動しているうちに、占ってもらわないと精神的に落ち着かない不安定な状況になっていきます。

ただ、だからといって不真面目を推奨しているわけではないので誤解しないでくださいね。

スピリチュアルを信じる

スピリチュアルを信じる人も占い依存症に陥りやすいです。占いには血液型や生年月日から鑑定するものから、トランプ、タロット、オーラ占いなど直感的な占い方法などさまざまな種類があります。直感的な占いはスピリチュアルを信じる人がハマりやすい傾向があります。

自分の性格や悩みを言い当てられたことで『霊的な力がある!』と思いハマっていくのです。スピリチュアルや占いを信じることは悪いことではないと思っていますが、まずは自分の気持ちや考えを大切に考えて行動しましょう。

ストレスが溜まっている

これは誰もが当てはまることですが、日頃ストレスが溜まっている人も占い依存症に陥りやすい人の特徴です。ストレス耐性が低い人、普段から人間関係や仕事、恋愛など日常的に不安や不満を抱え込んでしまいがちです。

日頃の不安や不満を解消する手段として占いを利用するのです。

占い師に相談することで気分がスッキリし、自分で考えなくても占い師からアドバイスをもらえます。何度も利用するうちに盲信的になり、占い依存症に陥っていたということも少なくありません。

如何でしたか?もちろんこれらは絶対ではなく傾向なので、皆がみな、そうだと言っているのではありません。しかし誰もが陥る可能性があることは理解できると思います。これらのことを意識するのと意識しないのとでは大きく違うので、依存症にならないために意識してもらえたらと思います。占いをしてもらっても、支配されないように心がけたいものですね。

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バウンダリーとは?【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

バウンダリーという言葉をご存じですか?

パウンダリーとは、自分と他者の間に引く【心理的境界線】のことです。

今回は【1】【2】【3】に分けて、それぞれのためバウンダリーについてとバウンダリーを守るにできることをお話しします。

適切なバウンダリーに大切なことは、

  • 自分の問題と他者の問題を混同したり、他者の問題を自分の問題にしない。
  • 他者のやるべき役割を自分の役割にしない。
  • 他者の責任と自分の責任を分けて考える

ことです。

バウンダリーが引けていないと、さまざまな人間関係(親子/恋愛/夫婦関係/仕事)に歪みを起こしやすくなったり、自身がストレスフルになり疲弊します。

バウンダリーを引けないことで、どのようなストレスを感じるのか考えてみましょう。

本来やりたくない(断りたい)と思っていることをやらなくてはいけないストレス。

望まずして他者のサポートやケアをおこなうことになってしまうストレス。

他者領域に踏み込みやすくなることで、思いどおりにならないこと(支配できない)ストレス。

などになります。

具体的に見ていきましょう。

<親子関係>
→子供に自分の理想を押し付ける。
→親が喜ぶような良い子になろうとする。
→いつまでも口出しをし、子供の自己決定を認めない。
→子供は自分とは違う価値観があることを認められない。
→本来子供がやるべきことを親がやってしまう。
<職場>
→本来自分の仕事ではないことをやらされている。
→頼んでもいないアドバイスをされる(アドバイスをする、も含む)。
→残業が当たり前になっている。
→上司や同僚、部下の仕事をついやってしまう。
→自分とは関係ない業務担当者に仕事の口出しをする(される、も含む)。
<恋愛/夫婦関係>
→自分ばかりが我慢をしている。
→家事や仕事、育児のほとんどがどちらかに偏って担っている。
→話を聞くばかりで自分の話は聞いてもらえない。
→暴言暴力がある。
→経済的なことをどちらか片方だけで決める。
→素の自分でいられない。
→上下関係がある。
→頼まれると断れない。

心当たりありませんか?

親の過干渉はとてもわかりやすい例ですね。

次回では自分のバウンダリーを守るために心掛けたいこと、できることについてお話しします。

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組織のメンタルヘルスについて考える【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

脳とメンタルヘルス(ストレス)は密接な関係があり、うつ状態は神経伝達物質であるノルアドレナリンとセロトニンの働きが低下することにより起こると言われています。

セロトニンが十分分泌されていると気分が安定し安らぎを感じることができます。気分が安定し安らいだ状態だと、体も心も元気でいられる、ということです。セロトニンが不足すると、イライラしやすく不安も感じやすくなります。

組織全体でセロトニン対策を講じるとすれば、マインドフルネスが効果的です。マインドフルネスはストレス対策として導入する企業も増えてきました。

当ラボでもマインドフルネス、アンガーマネジメント研修は人気で、その企業に一番合った形で研修会や講習会、パーソナルトレーニングをおこなっています。

企業を挙げて全従業員が一緒に取り組むことが一番でも現実的ではないので、まずは『マインドフルネスとは何ぞや?』を知ってもらい、部署ごとにどのように導入すれば効果的かを一緒に考えていきます。

研修をやれば大丈夫、話を聞いたからできるようになる、というものでもないため、その組織にマッチした方法で計画を立て、研修内容を考え、フィードバック(アフターフォロー)がなければ最大限の効果は望めません。

企業、組織においてこのような取り組みをおこなう意義は、従業員に如何にモチベーションを保持し生産性を高め業務を遂行してもらうか、に他なりません。これは結果的に利益を出せる企業、組織の可能性を高めることになり、従業員も活き活きと活躍できる環境ということで、双方にとって好循環なことだと言えます。

たまに、メンタルヘルスに取り組めば売り上げが伸びるのか?と質問を受けることがありますが、例えば社員食堂を設置している企業は、売り上げを伸ばすために設置しているでしょうか。決してそうではないはずです。『従業員の健康』がまずあって設置していると思います。そして従業員がいつまでも健康で会社に貢献することで、それが結果的に売り上げ増に繋がれば、ということではないでしょうか。企業によっては従業員への利益還元策の一環かもしれませんね。メンタルヘルスへの取り組みも社員食堂を設置することと似ています。福利厚生とはそういうものではないかと思うのです。

個人においては、メンタルクリニックなどで処方される薬に頼らなくても、日常生活の中に取り入れると簡単にセロトニンを増やせる行動があるので、是非やってみてください。

ゆっくり散歩、ではなく、少し早歩き(ジョギングとウォーキングの間くらい)で30分程度歩く。

自分の呼吸や歩くリズムといった“今”に意識を向け、集中するとより効果的です。呼吸に集中するのは鬼滅の刃ではなくとも、大切で意味があることなのです。

セロトニンを増やすサプリメントなどもありますが、できれば食事で摂取したいものです。セロトニン合成に必要なトリプトファンは、豆腐や納豆といった大豆製品や乳製品に多く含まれます。ここは社員食堂の出番かもしれませんね(笑)

質の良い睡眠、自分に合ったストレスコーピング、適度な運動、日々の食生活。メンタルを守るためにできることもたくさんありますから、取り組みやすいところから意識を変えていくといいと思います。

繰り返しになりますが、日常の小さなイライラモヤモヤを放置するとメンタル不調を引き起こします。

あなたがイライラ、モヤモヤするのはどんな場面ですか?

一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

私は思春期真っ只中の可愛げのない息子の言動/態度に日々イライラしています(笑)手強い発達障害の息子と生活していると、残念ながら胃が痛くなったり円形ハゲができることもありますが、私がメンタル不調にまでならないのは、アンガーマネジメントにじっくり取り組んできていること、何かあればすぐに書き出し、視覚化してストレスコーピングすることが習慣化しているからです。

ストレスはなくならないものです。仲良くはなれないかもしれませんが、少しでもストレスとラクに付き合いたいものですね。

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組織のメンタルヘルスについて考える【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回から引き続き組織のメンタルヘルスについてで、【2】では個人が直面するストレスについてからスタートします。

ストレスと聞くと“絶対悪!”と考えられがちですが、実は「喜ばしいことなのにストレス?」と思われることも大きなストレスになります。

具体的には、

  • 昇進/昇格/栄転
  • 結婚
  • 出産
  • 就職/転職
  • 起業/独立

などです。

ネガティブな方向に出やすいものだと、

  • 仕事の失敗
  • 就職/転職/転勤
  • 失業
  • 離婚
  • 家族の問題(健康・教育・介護など)
  • 災害
  • 事故/事件(巻き込まれるのはもちろん目撃するなども)

などです。

なぜ一般的に喜ばしいと言われることもストレスになるのでしょうか?

ライフステージの変化やライフイベントには新たな課題や環境の変化を伴うことが多く、それらに慣れるまでには時間がかかったり多少の労力が必要になるため、大なり小なりストレスがかかるものだからです。

人生一番の幸せなライフイベントと言われる結婚を例に考えてみます。多くは今までライフスタイルも違い、一定期間交際していても別々の生活を送っていた二人が結婚を機に共同生活を送ることになります(別居婚はまだ一般的ではないので除外します)。結婚(同居)とは、今まで離れていたことで見えづらかった生活スタイルの細々とした違いや、さまざまな価値観の相違が露わになるスタートと言えます。子供が生まれれば教育の考え方の違いを嫌でも味わうことになると思います。また姑、舅との新たな人間関係も発生します。

自分一人で誰に文句を言われるでもなく、何もかも自己決定し誰とも擦り合わせる必要がなかった生活上の些細なことも、パートナー(他者)との生活で見過ごせなくなると擦り合わせが必要になります。時に譲り面倒なことも感情的にならず、建設的に意見を交わし合い着地点を模索する・・・

案外ストレスと隣り合わせだと思いませんか?

個人のストレス耐性が低く、ソーシャルサポーター(公的機関や専門家に限らず信頼できる友人や親族なども含む)が整っていなければ、あっという間にメンタル不調を引き起こします。

<ストレス耐性+ソーシャルサポーター>を“袋”と例えると、袋が柔らかく大きければライフステージの変化やライフイベントによるストレスを袋に収めることができ、メンタル不調は起きにくくなりますが、この袋が固く小さいとストレスが溢れてしまい、メンタル不調を起こしやすくなります。

個人ができることはさまざまな経験を重ね、ストレス耐性を強くしていくことですが、組織としても従業員個々のソーシャルサポーターであることをまず認識し、ライフステージの変化や大きなライフイベントが重なった従業員に対し、サポート体制を整えておくことが重要になります。

誕生日休暇、アニバーサリー休暇などを導入している組織は従業員のソーシャルサポーターであることを認識しているかはわかりませんが、【休暇】以外のサポート体制も整えておくことも、これからの人事労務には重要だと考えます。

最終回では、脳とメンタル不調についてお話ししようと思います。

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組織のメンタルヘルスについて考える【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回から3回にわたり、組織のメンタルヘルスについてお話しします。

なぜ組織でのメンタルヘルス対策は必要なのでしょうか?

  • リスクマネジメント
  • 生産性
  • コンプライアンス

この3点になります。

鬱で離職者や自殺者などメンタル不調者が出ると、労災請求や民事訴訟に発展する可能性があります。これらは実際にコストが発生します。そして何より長年培ってきた企業あるいはブランドのイメージダウンに繋がり、本来の業務ではない部分での労力が必要になってきます。社会的信用の失墜も免れません。

メンタル不調者が出ることで個人はもちろん、その部署、あるいは企業全体の生産性が下がります。休職者や離職者が増えることで業務は滞り、そのしわ寄せは残っている従業員が負うことになります。当然不満が溜まると職場のムードは悪くなり、人間関係もギスギスしたものになりますし、オーバーワークや人間関係の悪化から次のメンタル不調者が出る可能性が高まり、さらに休職者や離職者を生むという悪循環に陥ります。これでは生産性が下がらないわけがありません。

ストレスがメンタルの不調を引き起こす一番大きな要因となりますが、残念ながらストレスがまったくない人はいません。生きている限り、大なり小なり付きまとうものと言って異を唱える人はいないと思います。

同じ出来事があってもストレス耐性には個人差があり、ソーシャルサポートのあるなしでもストレス反応の強さは変化します。また、その日その時の気分によってもストレス反応は変化する実にデリケートな変数がストレスです。

※参考コラム:アンガーマネジメント【1】

私たちは私生活や職場など外的影響によりストレス反応を起こします。緊張状態や嫌なことで動悸がしたり、胃が痛くなったり冷や汗をかいたことはありませんか?人によっては下痢もあるかもしれません。これがストレス反応です。

うつ病と一括りにされますが、ここで典型的なうつ病と近年目立つようになってきた新型うつ病について少し説明しようと思います。

典型的なうつ病は責任感が強く目標達成に努力を惜しまない真面目なタイプがなりやすいのですが、新型うつ病の場合、困難から逃避する性格の人がなりやすいと言われています。

より具体的には“元々あまり仕事熱心ではない”、“自立心や責任感に乏しい”、“役割から逃避しやすい”タイプで、自己愛が強く社会性が未熟、他責(他罰)傾向が強く過度な自己尊重、自己評価が高すぎる人に多く見られます。

また、一般的に典型的なうつ病の人は周りから勧められやっと受診、休養するのに対し、新型うつ病の人は積極的に医療機関を探して受診します。仕事を休むことに躊躇いがなく、すぐに診断書を提出します。典型的なうつ病が自責に向かうのに対し、新型うつ病は他責的です。平日は倦怠感など身体症状に見舞われますが、休みになると元気に遊びに行く、これが特徴かもしれません。

組織にメンタルヘルスに戻ります。組織のメンタルヘルスにおいてのストレスとは、

プレッシャーや対応困難な事案にぶつかった時に生まれる感情的な反応

と位置付けます。

よく「上司(あるいは先輩・同僚)がストレスの元凶だ」というのを聞きます。上司、先輩、同僚の言動にムカつき、「許せない!」とイキり立った時にほとんどの人は「ストレスだ」と感じると思います。しかし実はこれは自身の「許せない!」という怒りの感情により自分が振り回されていること、そしてそれこそが【ストレス】の正体なのです。

小さなイライラ、モヤモヤ一つひとつでは大したストレスではないかもしれませんが、積み重なっていくとストレス反応が増え、メンタル不調に繋がっていきます。自分の中にある小さなイライラ、モヤモヤを書き出し視覚化し、一度整理してみるとよいと思います。

【2】では、個人のメンタル不調がどのように組織へ影響するのか?からスタートします。

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社内保健室という考え方

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

アンガーマネジメントやアサーション、マインドフルネスなど、さまざまな社内研修や講習会でも企業に伺っています。一方で“空いた時間にいつでも相談できるカウンセリングルーム”として一定時間社内に私が在室している企業もあります。

カウンセリングと聞くと、最初はクリニックや病院を想像して敷居が高かったり、利用の仕方がよくわからないと感じる人も多かったようですが、「気分が悪かったり、何だか教室にいたくないと感じる時に保健室へ行って、養護の先生にちょっと話をして休むだけでラクになった経験はありませんか?難しく大げさに考えずに、そんな利用の仕方でいいんですよ」と話すと、ラクに利用できるようになるようです。

課題があれば相談者と共に対応策を考えていくのも私の役割ですが、働くことで溜まりやすい小さなストレスを話す(アウトプットする)ことで、ガス抜きしてもらうという側面もあります。

話したことや相談内容が完全に守られることで、話したことがどこからか漏れて人間関係がギクシャクする、人事査定が気になる・・・そのような心配や不安がないことから、肩に背負った重たい荷物(抱えたモヤモヤやストレス)を下ろしに気軽に顔を見せてくれる社員の方も増えてきました。

何を話したらいいのかわからない、何か話さなきゃいけないんじゃないか・・・そんなことはないので、ちょっと気分転換で利用してください、と伝えています。

ただ気持ちを落ち着けたい(カームダウン)、そんな時は何も話さずにいてもいいですし、吐き出したい時はパンパンになった愚痴袋(笑)を片手にいらしていただけたらと考えています。

産業医面談のように最初は緊張感から恐る恐る扉を開けていた人が、何度か顔を合わせるうちに、「また来ちゃいました、話を聞いてください」と気軽に訪れてくれるようになります。社内では誰の耳に入るかわからないし、迂闊に話せない、家庭に愚痴を持ち込むのも(反対に家庭の愚痴を会社に)・・・、友人に愚痴るのも何だか空気を悪くするみたいで申し訳ない、愚痴るほどはないけどちょっとモヤモヤする、など、人それぞれいろんな事情や考え方があります。

コラムでも何度かお話していますが、モヤモヤや愚痴は澱となって蓄積されるので、まずは抱え込まずアウトプットすることが大切です。アウトプットの仕方は“話す”“書き出す”などですが、振り返ることが目的、ただ垂れ流してガス抜きするのが目的、と、目的が違えば対処も違います。

即解決に繋がらなくてもアウトプットすることが溜め込まないコツで、とても大切です。

話すことで頭が整理され、解決策が見つかることも少なくありません。アウトプットするということはガス抜きと同時に、一旦外に置くことで冷静に考えられたり、俯瞰できるという意味もあります。

上手にアウトプットして心の負荷を軽くできるといいですね。

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全3回:ストレスマネジメント【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回に引き続き、ストレスマネジメントの2回目になります。今回は積極的コーピングやソーシャルサポート、ソーシャルスキルについて考えていきましょう。

前回紹介した【感情優先/積極・消極】【問題優先/積極・消極】ですが、感情を鎮めることを優先するか、問題の解決を優先するのかは個人の性格やケースにより変わってくることもあります。しかし、積極的な対処をするか、消極的な対処をするかは個人の“意志”次第で、ある程度変容できる部分でもあります。

性格自体を変えることは難しくても、気の持ちようは、努力である程度変えられるというわけです。

『自分は〇〇だから』『〇〇だから無理』『前も〇〇だったからできないに違いない』・・・という思いが出てくるかもしれません。以前【認知の歪み】のコラムでも書いた、思い込みによる認知の歪みが邪魔をすることもあることを思い出してください。

積極的コーピング、消極的コーピング、どちらを選択するかは、誰かに強引に決められることなく、任意にあなた自身がその努力を選択することができる『行動』です。

“積極的”“消極的”という表現から『自分は消極的だからダメなんだ』『やはり積極的が優れているんだ』と受け取る人もいると思いますが、決してそうではありません。以前お話した“優性遺伝”“劣性遺伝”を思い出してください。“優”という漢字は“優れた”に使われますが、優性遺伝が優れた遺伝子というわけではありませんでしたよね。

何でもかんでも積極的、積極性が良しで、消極的、消極性が悪、劣っている、ではありません。

下記に積極的コーピング、消極的コーピング、それぞれの行動と心理的ストレス反応を表にしてみました。自分自身がどちらのコーピング傾向にあるのかを、ストレスを伴う困難に遭遇した場合、どのような行動を取ることが多いのか、【行動】の欄を見ながら考えてみてください。

より良いコーピングとは、問題解決の積極的コーピングであることは理解できたと思いますが、より良いコーピングを安定して実践していくために必要なものがあります。それは、

ソーシャルサポート、ソーシャルスキル

という概念です。ソーシャルサポートとは、パートナーや家族、身近な人、友人や知人、職場の上司や同僚も含まれ、あなた自身が周囲から受けられる支援(サポート)のことです。問題解決のために目上の人や尊敬する人からもらう具体的アドバイス、パートナーや友人に悩みを聞いてもらい共感を得たり、理解してもらうという情緒的なサポートになります。

誰でも自分が経験した以上のことを想像したり、自分の身に置き換えて考えるのは難しいものですが、大切な人が悩んでいるツラい気持ちや、一人で抱え込んでいると感じる孤独感や絶望感にそっと寄り添うことはできるものです。ここでは以前お話した【アクティブ・リスニング(傾聴)】が役立ちます。

一旦話が逸れますが、気持ちを落ち着かせたり、荒れくれた気持ちを穏やかにするために重要な働きをする“愛情ホルモン”と言われるオキシトシンというホルモンがあります。

オキシトシン舌下スプレー、オキシトシン点鼻というものがあるのですが、日本では認可されていないので海外から個人輸入して自己責任で使用することしかできません。私は、イライラしがちで感情コントロールが難しい息子に、以前オキシトシン舌下スプレーを試したことがありました。すぐに効き目が表れるような性質のものではないので多少時間はかかりましたが、息子にはかなりの効き目を感じました。息子本人も「いつもより全然イライラしない!」と効果を実感したようでした。

継続していない理由は、海外では認可されていても国内で認可されていないことから、継続するには大いなる責任が伴うことと、何より高額だからです。自閉症スペクトラムへの情緒面の治療薬として期待されていますが、認可にはまだ時間を要しそうです。

しかし国内外のオキシトシン研究で、ハンドタッピングやマッサージにより、手の温もりからこのオキシトシンが分泌されることがわかってきました。愛情ホルモンは別名『幸せホルモン』とも呼ばれ、『安心ホルモン』でもあるので、心細かったりツラい時に愛するパートナーにハグしてもらう、信頼する人に「大丈夫、君ならできるよ」と肩をポンポン叩かれる・・・それで安心したり、気持ちがラクになった経験は誰もが持っているのではないでしょうか。それ、実はオキシトシンパワーです(笑)

私のオキシトシン分泌促進剤的なものは、信頼できるパートナーに話を聞いてもらいハグしてもらうこと、長い付き合いの信頼できる友人たちと話をすること、癒し効果抜群の猫たちと触れ合うことです。効果抜群です。

ソーシャルサポートとは、裏に隠されたオキシトシンパワー、そういう意味合いも含めて持っています。皆さんのオキシトシン分泌促進剤は何ですか?

次にソーシャルスキルですが、この場合のソーシャルスキルとはわかりやすく言うと“人付き合いスキル”で、人付き合いが上手い人は、円滑で友好的に幅広い層の人々と人間関係を構築、持続できるので、それが人脈という資源となり、ソーシャルサポート源になっていきます。

無意識にせよ、他者に対し身勝手な言動や振る舞いを繰り返したり、責任感のない誠意を感じられない対応、マウンティング、ワガママですぐに感情的になりやすいなど、ソーシャルスキルが低いと周りにはあなたを支援しよう、したいと思う人は少なくなってしまいます。そうなると、ソーシャルサポートという安定したコーピングに必要な“人脈”という資源が少なくなるので、ストレス耐性は低くなりがちです。

孤独、孤立はストレス耐性に大きく関わり、ストレスコーピングにも差が表れてきます。ソーシャルスキルがソーシャルサポートに繋がり、より良いコーピングを実現させることに結び付いていくと考えられています。

考えてみましょう。いつもあなたの話をきちんと聞き、寂しさやツラさに寄り添ってくれる友人と、側にはいるけど、こちらの話はろくすっぽ聞いてもくれず、話を被せてきて自分の話に持っていく(会話泥棒と言うそうです)か、口を開けば根性論や自慢、不平不満に文句ばかりのパートナー、お互いが困った事態になり苦しんでいる時、あなたはどちらにも同じように寄り添いたいと思いますか?

幾つもソーシャルサポートを持っていると、ストレッサー(ストレス原因)や心理的ストレス反応を減少させる効果があります。ここでソーシャルスキルを幾つかに分けて、どのような“人付き合いのスキル”があるのか見ていきましょう。

マネジメントスキル:自分への要求や要請を、段取りを考えて行動したり、感情的にならず、わかりやすく他者に伝えたり指示するスキル。

コミュニケーションスキル:他者に自分の意思や考えを的確に伝えたり、他者の考えを自分勝手なフィルターを通さず理解するなど、上手く会話を進めるスキル。

トラブルシューティングスキル:他者との間に勘違いやスレ違いから生じた軋轢を、考えて会話や行動によって良好な状態に修正するスキル。

といったところでしょうか。ここで簡単なソーシャルスキルテストをしてみましょう。

それぞれの問いに、まったくできない<1点>、少しできる<2点>、普通にできる<3点>、かなりできる<4点>、完璧にできる<5点>、をプラスしながら評価してみてください。

  1. 誰とでもあまり会話が途切れない。
  2. いろいろな目標を立てるのを困難だと思わない。
  3. 他者に対して、やってもらいたいことを上手く伝えることができる。
  4. 他者が自分とは違う考えを持っていても、擦り合わせ、上手くやっていける。
  5. 他者への手助けが上手にできる。
  6. 間違いや勘違いなどを指摘された時、感情的にならず、すぐに謝ることができる。
  7. 怒っている相手の話を聞き、上手くなだめられる。
  8. 初対面の人に、上手く自己紹介できる。
  9. 知らない人が相手でも、すぐに会話ができる。
  10. 周囲から矛盾する話が伝達されても混乱せずに処理できる。
  11. 周囲とトラブルが発生しても上手に処理できる。
  12. 自分の気持ちや感情を適切な手段で素直に表現できる。
  13. 恐怖を感じた時に上手くその感情を処理できる。
  14. 仕事上でどこに問題があるのか、すぐに見つけることができる。
  15. 気まずいことがあっても、相手と上手く和解できる。
  16. 相手から非難されることがあっても、上手く片付けることができる。
  17. 仕事ややらなくてはいけないことがある時、何をどうすればよいかを決められる。
  18. 何人かで話をしているところに、話を折らず気軽に参加できる。

如何でしたか?合計点が70点以上(A)は、人付き合いスキルが特上クラスです(笑)。52〜69点(B)であれば、まずまずの人間関係が構築できるとされ、それ以下(C)だと人付き合いは苦手と感じている人たちかもしれません。

また(C)に分類される人たちの多くに、人間関係が拗れた時にさっさと距離を置いたり、身を引く防御型、感情の拳を振り上げ、自分の正当性を主張する攻撃型とに分けられます。どちらも他者に傷つけられることを避けようとする自己防衛の表れです。

どちらも無意識な場合が多いので、『自分にはそういうことがあるかもな』と意識してみることは大切です。まずは自分にある思考や行動の癖に気付かないことには“だったらこう心がけよう”に繋がっていかないからです。点数は伏せますが、私も常に意識し続けている部分はあります。

コラムで代表のスミも書いていましたが、ストレスに晒され苦しい時に、たった一人で抱え込むことは精神的孤立に繋がり、メンタルを削られ疲弊していくので危険です。メンタルが疲弊すると、心身共にやる気を奪われ、正常な判断力、思考力が低下します。精神的な孤立化が進むと、社会的にも孤立しやすくなると同時に、益々気持ちが追い詰められ、知らず知らずに鬱状態に陥ります。

孤立をものともせず、たった一人でも心身生き抜いていけるサバイバーもいますが、強がりではなく本心からそう感じている人や実践できる人は稀ではないでしょうか。私が思い当たるのは“ジョン・ランボー”ぐらいです(笑)

日本が全国的に皆が不安を抱えているこのような状況だからこそ、カッコつけよう、強がろうとせず、『大変なんだよ、不安だ、頑張んなきゃいけないのはわかっているけど疲れたよ』と心の『澱み』『愚痴』を話してください。共感が精神的な孤立化を防ぎ、心の支えや安心感に繋がっていくことを感じるはずです。

最終回となる次回(5月5日)は、心理的ストレス反応の段階や、ストレスが引き起こす関連疾患、引き起こされるメカニズムと、具体的なストレスマネジメントの方法を幾つかお話しようと思います。

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全3回:ストレスマネジメント【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

新型コロナウイルスの影響で、感染拡大懸念から緊急事態宣言、社会活動の制限がおこなわれ、社会、学校、家庭生活とさまざまなところで不自由を強いられ大きな支障が顕れてきています。

我が家も春から中学2年になった息子がいますが、3月2日以降休校になり、終業式も始業式も簡略化、一体いつから通常授業に入れるのか?これだけの学習の遅れはどう埋めるのか?他校に行っている通級はどうなる?・・・など不安が重くのしかかり、先の見えないストレスが尽きません。

本来なら夢膨らみ、新しい門出となる人も多い春のはずが、私も含め先行き不安から胃が痛くなっている人も多いのではないでしょうか。

本当に無茶苦茶、胃が痛いです。

仕事面の不安にプラスし、思春期+超絶面倒な特性を持つ発達障害児と顔を合わせる時間が格段に増え、感情的なぶつかり合いを回避するために、メンタル面をフラットに保つ凄まじい努力が加わり、そのストレスたるや筆舌しがたいものがあります。

今回のようなケースでは、現状を自分の力で変えることはどうやってもできないか限界があり、頑張っても経済不安が解消できるわけではありません。しかし、このような時だからこそ、今回を含め3回に分けてストレスマネジメントについてお話ししたいと思います。

初回となる今回は【ストレスとは?】【ストレスが生まれる仕組み】についてお話しします。

普段からストレス、ストレスと言葉にしていますが、【そもそもストレスって一体ナニ?】というところからです。

ストレスとは、

さまざまな肉体的心理的外部刺激により生じた、“歪み”に対して起こる“心身反応”のこと

です。メンタルヘルス用語だと思われがちですが、実は物理学から来ている用語です。

真っ直ぐな金属棒に両端から力を加えていくと、たわみが生じます。しかし、力を緩めると元の形に戻ろうとしますよね。力が外部から加わった(両端から力を加えた)結果、生じたたわみ(歪み)に金属棒が反発する状態、これを物理学用語で『ストレス』と言います。

一般的にはストレスというと、ストレスの原因(ストレッサー)とストレス反応の両方を指します。高温、寒冷、振動や強い光、大きな音などが身体的外部刺激、人間関係、理不尽な扱い、過度なノルマ、能力以上を求められる、生活が脅かされるなどが心理的外部刺激になります。今回の新型コロナウイルスにより生まれるストレスは、社会不安やイライラ感、鬱や胃痛ということになります。

マイナスイメージしかないストレスですが、現実的にストレスがまったくない生活はあり得ませんし、それが望ましいわけでもありません。ストレス=負荷(負荷は悪い意味だけではありません)とも言えますが、私たちが成長していくために必要なものでもあります。仕事でも、今の能力ではできないことをできるようになりたいと努力する中で、心身に負荷がかかることはよくあると思います。また、逆境が人を強くするとも言われます。

実際、飲食店の中には客足が遠退き、短縮営業を余儀なくされてしまったことで、テイクアウトや通販など、今までやってこなかった方法で何とかこの苦境に立ち向かおうとしている人達がいます。

新型コロナウイルスからくるストレスの是非はともかく、悪者扱いされがちなストレスですが、負荷やプレッシャーは能力を高め、成長を促す役割を持つ源でもあるので、忌み嫌ってはいけない、ということになります。

私自身、息子と衝突を回避するために感情マネジメントにより一層取り組み、生活習慣がこれ以上乱れないように何かできないものかと、あの手この手を考えています。逃げたくても逃げることはできません。

平時に人が一番ストレスを感じるのは人間関係、環境変化だと言われています。仕事でも私生活でも、人間関係のもつれに巻き込まれれば誰でも気が滅入り、憂鬱な気分になるのはわかりやすい因果関係です。これは人間関係のもつれがストレッサー(ストレスの原因)となり、憂鬱な気分になる(ストレス反応)からです。

ストレッサーが同じでも、人によってストレス反応に差があることはご存知でしょう。それは何故だと思いますか?

心理学者のラザラスが打ち出した『心理学的ストレスモデル』で説明されていますが、より分かりやすく噛み砕きます。専門用語でいうところのアプレイザル(判断/評価)とコーピング(対処努力)というプロセスが大切になってきます。

この“アプレイザル(判断/評価)”は、ストレッサーを

  • 負担(望まないけど)
  • 自分を成長させくれる試練

どう捉えるかという私たちの心の中にある“評価プロセス”です。困難で不快な状況に置かれた時に、怒りを覚えるだけの人もいるでしょうし、まったく気にせずスルーできる人もいれば、こんなの大したことはない、これは気付くキッカケだ、厳しい状況だが自分を成長させる貴重な機会だ、など人によって考え方はさまざまです。つまり、この

“負担の受け取り方”次第

ということになります。

ただ、困難な状況に長期間置かれた場合、かなり神経が図太い人でなければ、ストレッサーを負担と感じてしまうのも事実です。

ストレッサー=負担、と受け取ると心理的負担を少しでも軽くしようと『努力』が始まります。ストレスに直面すると、そのストレスを受け取る側でさまざまな刺激を処理する過程があります。これをアプレイザルとコーピングと言います。

ストレッサーを負担と受け取ると、次にこの心理的負担を軽減しようと努力が始まります。コーピングは、ストレッサーを少しでも軽くしようとする“具体的な努力”を意味し、憂鬱な気持ちやイライラ感などのストレス反応を何とかしようとする努力ではありません。ストレッサー(ストレスの原因)と向き合う前向きな努力です。

コーピングは生まれ持った性格ではなく、努力により身につけられるものなので、性格は簡単に変えることはできないものでも、努力で身につくのであれば、よりよいコーピングを身につけることで、ストレッサーから受ける心理的負担の軽減を図ることができます。

コーピングはストレスマネジメントの鍵となる、とても重要な概念です。

同じ種類の、同じレベルの影響力の強いストレッサーに晒されても、表れるストレス反応(イライラ感、疲労感、鬱や胃痛)は人によって変わってくるとお話ししました。その違いを生むのが、

ストレッサーに対処するコーピングというメカニズム

です。

ちょっと専門的になりますが、コーピングには幾つかのタイプがあり【感情優先】と【問題優先】があります。また感情優先には【感情優先消極】と【感情優先積極】が、問題優先には【問題優先消極】と【問題優先積極】があります。

【感情優先】とは、気分の動揺が激しく、辛く苦しいため、まず気持ちを鎮めてから、その後に問題解決するための対策を考えるタイプ。その際の問題解決はストレスの原因を解決することで気持ちの動揺が収まると考え、まず原因の究明を優先するというタイプです。【感情優先】は気持ちの鎮静化に向かうだけで、ストレスの根本原因の解決には向かわないのがほとんどです。気持ちは落ち着いてもストレッサーはなくならないため、抜本的な対策にはなりづらいです。

【感情優先消極】タイプは、ストレッサーに遭遇すると『嫌なことはなかったことにして忘れよう』と、消極的な手段で気分の鎮静化を図り、【感情優先積極】タイプは『趣味や好きなことに没頭して気分転換しよう』と、積極的な行動を起こし、気分の鎮静化を図るタイプです。

【問題優先】にも同じく消極、積極タイプがあり、【問題優先消極】は『しばらくよく観察してみよう』と問題解決にはすぐに向かわず、まず様子を見るタイプ。【問題優先積極】は『よし、できることから対応してみよう』と周囲に相談したり、自ら問題解決のために行動を起こすタイプです。

こうしたコーピングタイプでストレス耐性が変わってくるのですが、ストレッサーの影響を受けやすく、ストレス反応を起こしやすい、いわゆるストレス耐性が低い人は、感情の鎮静化を優先する傾向があります。逆に、ストレス耐性が高い人は問題解決を優先し、積極的なほうが消極的よりもストレッサーに対処する傾向があります。

次回は誰でもチャレンジできる【積極コーピング】についてお話ししたいと思います。

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