組織のメンタルヘルスについて考える【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

脳とメンタルヘルス(ストレス)は密接な関係があり、うつ状態は神経伝達物質であるノルアドレナリンとセロトニンの働きが低下することにより起こると言われています。

セロトニンが十分分泌されていると気分が安定し安らぎを感じることができます。気分が安定し安らいだ状態だと、体も心も元気でいられる、ということです。セロトニンが不足すると、イライラしやすく不安も感じやすくなります。

組織全体でセロトニン対策を講じるとすれば、マインドフルネスが効果的です。マインドフルネスはストレス対策として導入する企業も増えてきました。

当ラボでもマインドフルネス、アンガーマネジメント研修は人気で、その企業に一番合った形で研修会や講習会、パーソナルトレーニングをおこなっています。

企業を挙げて全従業員が一緒に取り組むことが一番でも現実的ではないので、まずは『マインドフルネスとは何ぞや?』を知ってもらい、部署ごとにどのように導入すれば効果的かを一緒に考えていきます。

研修をやれば大丈夫、話を聞いたからできるようになる、というものでもないため、その組織にマッチした方法で計画を立て、研修内容を考え、フィードバック(アフターフォロー)がなければ最大限の効果は望めません。

企業、組織においてこのような取り組みをおこなう意義は、従業員に如何にモチベーションを保持し生産性を高め業務を遂行してもらうか、に他なりません。これは結果的に利益を出せる企業、組織の可能性を高めることになり、従業員も活き活きと活躍できる環境ということで、双方にとって好循環なことだと言えます。

たまに、メンタルヘルスに取り組めば売り上げが伸びるのか?と質問を受けることがありますが、例えば社員食堂を設置している企業は、売り上げを伸ばすために設置しているでしょうか。決してそうではないはずです。『従業員の健康』がまずあって設置していると思います。そして従業員がいつまでも健康で会社に貢献することで、それが結果的に売り上げ増に繋がれば、ということではないでしょうか。企業によっては従業員への利益還元策の一環かもしれませんね。メンタルヘルスへの取り組みも社員食堂を設置することと似ています。福利厚生とはそういうものではないかと思うのです。

個人においては、メンタルクリニックなどで処方される薬に頼らなくても、日常生活の中に取り入れると簡単にセロトニンを増やせる行動があるので、是非やってみてください。

ゆっくり散歩、ではなく、少し早歩き(ジョギングとウォーキングの間くらい)で30分程度歩く。

自分の呼吸や歩くリズムといった“今”に意識を向け、集中するとより効果的です。呼吸に集中するのは鬼滅の刃ではなくとも、大切で意味があることなのです。

セロトニンを増やすサプリメントなどもありますが、できれば食事で摂取したいものです。セロトニン合成に必要なトリプトファンは、豆腐や納豆といった大豆製品や乳製品に多く含まれます。ここは社員食堂の出番かもしれませんね(笑)

質の良い睡眠、自分に合ったストレスコーピング、適度な運動、日々の食生活。メンタルを守るためにできることもたくさんありますから、取り組みやすいところから意識を変えていくといいと思います。

繰り返しになりますが、日常の小さなイライラモヤモヤを放置するとメンタル不調を引き起こします。

あなたがイライラ、モヤモヤするのはどんな場面ですか?

一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

私は思春期真っ只中の可愛げのない息子の言動/態度に日々イライラしています(笑)手強い発達障害の息子と生活していると、残念ながら胃が痛くなったり円形ハゲができることもありますが、私がメンタル不調にまでならないのは、アンガーマネジメントにじっくり取り組んできていること、何かあればすぐに書き出し、視覚化してストレスコーピングすることが習慣化しているからです。

ストレスはなくならないものです。仲良くはなれないかもしれませんが、少しでもストレスとラクに付き合いたいものですね。

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ストレスチェック制度

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

ようやくメンタルヘルスの重要性が認知され、ストレスチェック制度を導入する企業も増えてきました。改正労働安全衛生法68条にあるように、ストレスチェックとは心理的症状の確認ではなく、心理的負担の程度を把握するためにおこなう検査です。

またストレスチェックには定期的に従業員のストレス状況について検査をおこなうことで従業員への気付きを促すことや、高ストレス者を早期に発見し医師や臨床心理士、産業カウンセラーなどの面談に繋げること、職場にあるストレッサーを評価し職場環境の改善に取り組むことでストレス要因そのものを低減させる目的があります。

ストレッサーが低減することで従業員のメンタルヘルスが守られ、メンタル不調からの休職者、離職者を減らすことにも繋がります。

ほとんどの企業が57項目版職業性ストレス簡易調査票という調査票を使っていると思います。ストレスチェックは従業員が正直に答えていることが前提になりますが、実は他にも課題があります。

  • 企業に産業医(臨床心理士や産業カウンセラー)がおり、きちんと機能しているか?
  • 高ストレスと判定された従業員が医師や臨床心理士、産業カウンセラーなどの面談を受けやすいスキームが整っているか?
  • 従業員が正直に回答できるような体制、スキームを確保できているか?
  • ストレスチェックの性質上、さまざまな人間や組織が関係してくるが、個人情報管理は徹底できているか?

などです。

また、結果が本人通知のみのため高ストレス者であっても、その後の対応は本人に委ねられており、実際は「気になるなら心療内科へ行ってね」「カウンセラーに話を聞いてもらってね」と、やりっぱなし感は否めません。

日本ではメンタルクリニックや心療内科という場所は、「風邪っぽいから内科に行こうかな」のように気軽に門をくぐれる場所ではないのが正直なところではないでしょうか。

まだ大丈夫、大したことない、みんな大なり小なり悩みやストレスはあるものだ、自分だけじゃない・・・そう考えて相談も吐き出すこともできない従業員が多いのが現実です。

▶︎産業医がストレスチェックをおこなっていない場合、組織は誰が高ストレス者なのか一切情報が入らない。

▶︎産業医、臨床心理士、産業カウンセラーなどの面談がおこなわれ、環境調整や個別配慮の進言があった場合、組織はそれらの意見を尊重し、高ストレス者に対応できるのか?

▶︎高ストレス者の負担軽減に配慮した場合、望まない配置換えや給与面での待遇などでトラブルにならないか?

▶︎産業医がメンタルヘルスに関する問題に十分対応できるのか?

▶︎産業医に時間的な余裕はあるか?

これらも大きな課題となります。

あなたの悩みや苦しみは誰かと比べるものではありません。体の同じ場所を同じように怪我しても自分と他者では痛みの感じ方や度合いが違うのは当たり前ですよね?心もまったく同じです。

ストレスを感じる場面が同じでも、そのストレス度合いや表れ方は人により違いがあります。ストレスチェックは、やって結果が出たらハイおしまいではありません。

自分のストレス状況を自分自身が正確に把握し、心身に不調をきたさないように心の負荷を軽減していく場を持ったり、ストレスコーピングテクニックを身に付け、柔軟な対応力を上げていくのも大切なことだと考えます。

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アンガーマネジメント【5】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

シリーズ最後となる今回は怒りを感じた場面でどう考えて(行動して)いくのかを具体的にトレーニングしていきます。

私たちが普段行動している根幹には

【その人自身の信念、善悪の判断をしているもの=コアビリーフ】

があり、コアビリーフはその人の“価値観そのもの”と言えます。

このコアビリーフが「〜であるべき」を引き起こす(コア)ので、人それぞれにあるコアビリーフが怒りをコントロールする重要なカギになります。

困ったことに、このコアビリーフには一般常識や他者の理屈は通用しません。人の数だけ存在するのがコアビリーフなのです。

わかりやすいコアビリーフの例を挙げてみます。

<例>
「子供は親に言うことを聞くものだ」というコアビリーフを持っていると、「子供は親の言うことを聞かなくてはいけない」から「子供は親の言うことを聞く“べき”だ」が生まれやすくなります。

子供は親の所有物ではなく、親とは違う考えや感情、意思を持ち、親とは違う人生を送る血の繋がりはあるけれど“別人格の他者”という現実が薄くなってしまい、“頭で”わかっていても(わかっていない人もいますが)、思いどおりにならず言うことを聞かない子供に対し、「あなたのためを思って←(これすら押し付けで虐待ですが)」と怒りを感じやすくなります。

私も発達障害を持つ手強い中学2年男子の母親なのでイライラする気持ちは物凄くわかりますし、課題が多くオレ様論をぶちかます息子に怒りを覚えます。

ただ、アンガーマネジメントを知らなかった以前とアンガーマネジメントに取り組んでいる今は、コアビリーフを知り、怒りを客観視できるようになり、一層感情マネジメントができるようになりました。それは、気持ちの折り合いがつけやすくなったことや、いつまでもイライラしなくなったこと、なかなか話の通じない息子ですが、コミュニケーションを積極的に取る時間を作るようになったことで、相互理解に繋がったのではないかと感じます。

アンガーマネジメントを身につけていく上で重要なのは、

  • 最初の6秒。
  • 自身がどのようなコアビリーフに持っているのかを知る。
  • 私たちを怒らせるものの“正体”を知る(図2)。
  • 課題の修正/行動の修正(図1)。

です。

  • コアビリーフを知るためには、怒りを感じた時にアンガーログという記録を取っていきます(図3)。
  • アンガーログを記録する時に、イライラ/怒りの点数を一緒に計りましょう(スケールテクニック)(図4)。

面倒なことだと思いますか?では、あなたはどのようになりたいのかを想像してみてください。

“怒りに任せて行動して失敗したくない”、“売り言葉に買い言葉で人間関係を悪くしたくない”、“自分の意見や考えに対し反対意見があっても、感情的にならず冷静に対処できるようになりたい”、“ぶちギレた後に自己嫌悪に陥ったり後悔したくない”、大体このような感じではないでしょうか。

怒りを感じた時の自分を、“紙に書く”ことで、感情を客観的に認識するのが目的なので、最初のうちは図3のようなアンガーログを付けていくことが必要です。

私は“パートナーを大切にしたい、無駄な強い怒りで心を荒ませたくない、感情的なやり取りで子供の心を傷つけたくない”が最初のモチベーションでした。すぐに記録できるように小さなメモ帳を持ち歩き、すぐに書くことがコツです。スマホ使用に問題がない場所なら、スマホ記録でも構いません。

わかりやすく図を書きましたが、必要な項目は

  • 日時
  • 出来事(怒りを感じた状況を簡単に)
  • 思ったこと(その状況をどう思ったか)
  • 感情(その時にどのような感情を持ったか)
  • 感情の強さ
  • 行動(自分がどんな行動を取ったのか)
  • 結果(あなたの行動の結果、どのような結果になったか)
  • 違う考え方(他の視点から考えることはできなかったのかを書く)

です。

「いちいち書き出すなんて面倒くさい」「そんなことしなくたって自分はアンガーマネジメントできる」「怒っても周りに迷惑なんかかけないし(無人島でもなければ誰かを不快にしているものなので、自分を客観視できていないただの勘違い)」「自分を怒らせるほうが悪い(オレ様何様殿様気質でスペシャル身勝手ですね)」などと思う人は、途中で放り出す可能性が高いので、アンガーマネジメントには不向きかもしれません。そういう人は、

ハッキリ言います、やるだけ無駄です。

誰でも簡単に身につけられるアンガーマネジメントですが、多少の面倒くささは伴います。何かを身につける、覚えて応用していくにはそれなりの【努力】をしてきたことを思い出してください。

何度もおはじきを数えて数を覚え、学校で漢字小テストのためにノートにひたすら漢字を書き、九九はお風呂でのぼせるほど繰り返し、語呂合わせで歴史年表を覚えてきませんでしたか?資格試験のために参考書に線を引き、ノートで問題を解きませんでしたか?仕事も覚えるまでは【多少の面倒くささと努力(あるいは忍耐)】を伴ったはずです。何かを身につけることは口で言うほど簡単なことではありません。

アンガーマネジメント自体は簡単です。ただ、身につけるまでには今まで気にも留めなかったことに目を向けたり、意識し考えていくステップがあるので面倒に感じます。企業で働いていれば、多かれ少なかれ部下なり後輩は必ずいると思います。彼らとの相互理解を短時間で深める、あるいは信頼関係を短時間で築いていく【スキル】である、と考えたらどうでしょう。アンガーマネジメントも仕事の一部となれば話は違ってくるのではないでしょうか。

他者を変えることは困難です。でも、自分自身の認識をほんの少し変えるだけで、あなたに対する周りの見方や評価、あなたへの接し方にも変化が表れます。

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アンガーマネジメント【4】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

適切な感情コントロールやコミュニケーションスキル(アンガーマネジメント、アサーション)を身につけることは、相互理解が深まるだけでなく、健全なコミュニケーションが社内の風通しを良くし、モチベーションアップや生産性にも関係してきます。

わかってはいるけど、どう手をつけたらいいのかわからない、まず役員から取り組んでみたい、もっと社員皆に知ってもらいたい、よりパーソナルに取り組みたい・・・など、さまざまな理由でいろいろな企業や個人からの要望や相談があり、カウセリングだけではなく研修会、スキルトレーニングの機会も増えてきました。

アンガーマネジメントは、何より“あなた自身”のメンタルヘルスを守り、ストレスになりやすい人間関係の根元改善に役立ちます。

本を読んで「そうか、わかった」、一度だけの研修会で「できるできる」と思っていても、実際は一人で努力をしてもフィードバックが上手くいかず、途中で「面倒くさい」「無理無理、できない」と放り出してしまう人も多いので、研修会だけではなく個人個人がどう取り組んでいるのかをフィードバックしていくことが有効です。

怒りの種類には問題となる4つの怒りがあります。

  • 強度が強い➡︎わずかな出来事でも激昂する、強く怒り過ぎる(事柄に対し不必要な強さの怒り)。
  • 持続性がある➡︎ 思い出して怒る、根に持つ。
  • 頻度が高い➡︎カチンとくることが多く、しょっちゅうイライラする。
  • 攻撃性がある➡︎自分や他者を傷つけたりモノを壊す(モノに当たる)。

直近1週間で、このような怒りはありませんか?

自分の怒りを客観的に見るために視覚化してみましょう。

また、自分の怒りをどう思うかを他者に聞いて照らし合わせてみましょう。

氷山モデルで考えると、怒りは第二次感情(氷山の見えている上の部分)です。

下にある見えない表に現れない部分が第一次感情で、それらは“不安”、“苦しい”、“嫌悪”、“心配”、“寂しい”、“後悔”、“虚しい”、“辛い”などの一次感情です。

怒りを伝える時に、第二次感情でぶつけるのではなく、第一次感情で説明します。そのためには、自分の怒りにある隠された第一次感情を理解する必要があるのです。

怒りという強い衝動をコントロールするには最初の6秒がとても大切です。瞬間的に怒る“反射”は絶対にNGです。

最初の強い怒りが持続するのは長くても6秒と言われているので、この6秒を無事に(?)やり過ごすことができれば怒ってはいても瞬間的に反射せず、かなり冷静になります。

6からカウントダウンで数字を数えるでもよし、例えばリンゴやバナナを思い浮かべ、それを頭の中で数えても、池のアヒルでも、目の前のボールペンでも構いません。

まず6秒を意識してください。

怒り沸騰中の6秒は案外長く感じるものですが、この6秒が最初にトレーニングする要となる部分になります。

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全5回:感情と表現【4】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【3】に続き【感情マネジメント】についてで、4回目となる今回は、『不健康な感情を生む危ない連鎖』についてお話したいと思います。

ほとんどの人は、自分の中にある“must”“should”、強い要求を満たせなかった時に『危ない連鎖』を作り出してしまう傾向があります。この“must”と固く凝り固まり絶対的な“should”の相乗作用で、ネガティブ感情の不安や怒り、鬱といった感情に結び付いていきます。

具体的に危ない連鎖とはどのようなもので、どういった形で表れるのでしょうか。

【恐れ】

意図せず予想もしない出来事が起こった時に『最悪!』という場合、それは“100%以上”の悪いことを指します。しかし、実際『最悪!』というほどに100%以上悪い場面は少ないものなので、まず、自虐的になる『物凄く悲惨だ』『酷すぎる、最悪!』『これでは破滅だ』という感情的な言葉は使わず、セルフトークの時には『不便だ』『不愉快だ』『面倒だ』という、自分の気持ちを把握するような言葉に置き換えるようにしてみてください。

【絶対的な普遍(いつも/絶対)】

言動や行動に腹立たしい人がいたり、イライラする不快な状況が、いつも絶対変わることはない、と信じ込んでいる状態のことです。 状況や他者がいつもある特定のまま変わらないものだ、と思い込むのはあまり現実的ではありません。状況や他者への感情的な反応は、意識することで確実に変えていくことができるので、『あなたはいつだって絶対そう』『絶対そう言うと思う』『絶対そうする!』といった“いつも”“絶対”を使ったセルフトークを止めるようにしてみてください。 ゴリゴリに固まった認知は、不安や怒りを引き起こしやすくなります。肩凝りも、凝り固まった認知も、身体の健康、心(メンタル)の健康には良くないものです。

【無価値】

わかりやすく言うと自己否定感情です。私なんかまったくダメで役立たずだし、価値のない人間なんだ、と思い込んでしまうことです。でも、考えてみてください。誰でも間違いや過ちを犯しますよね。生きていれば、小さな失敗もあれば、とんでもない失敗をやらかして周りに迷惑を掛けることもあるでしょう。恥ずかしながら、私も外出する度に街中で遭難し、パートナーに面倒を掛けまくっていますが、なかなか改善できない“究極の方向音痴”です(笑)

私たちは、誰でも長所短所を併せ持っているので、現実的に真のダメ人間なんてあり得ないのです。『まったく価値がないんだ』という気持ちは、低い自己受容、自尊心の無さ、羞恥心や鬱へと繋がっていきます。セルフトークする時に、自分に否定的な総合評価を“決めつけ”で与えるのは避けるように心掛けましょう。

非難や罵倒

非難し罵倒する例をクルマの運転時で挙げると『クソ、このヤロー!この下手くそ運転手!ったく邪魔だ、前を走るな!どけー!事故ってしまえ!』と言うことです。これには他者への非難だけではなく、自分への非難罵倒も含まれていて、人生のさまざまな状況で処罰や破滅を望むことです。このセルフトークはさらに怒りを増幅し、時として他者に対し暴力的な行為を引き起こしてしまいます。

自分も他者も思い通りにはならないものだし、間違いも起こすものです。ここでも口に出したりセルフトークで『前のクルマの運転手が下手くそで私は不愉快になっている』と冷静な言葉で自分の感情を確認してみることをオススメします。

「耐えられない!」

『こんなこと耐えられない!』→ 低い欲求不満耐性 → イライラ上昇 → 不安や怒りを生み鬱になる、です。欲求不満耐性が低いと「こんなの耐えられない!」が多くなり、これが元でさらに欲求不満が募り、自分や他者にイライラしやすくなります。極端な思考に走らず『確かにツラい。とてもツラい。でも、耐えられない、死んでしまう!と思うほどではないかもしれない』とセルフトークできるようになると、イライラから増しがちな欲求不満耐性が少し上がります。

最終回となる次回(25日)は、自分の感情に気付き、改善していくことと、自分の感情傾向を知ることに有効な“気分日記”についてお話しようと思います。

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全5回:感情と表現【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【1】に続き感情マネジメントについてですが、【2】では

感情とストレス

についてお話します。

まず前回の終わりに

感情とはいったいどこから来ると思いますか?

という質問があったと思います。

感情を引き起こし影響を与えているのは、脳の原始的中枢の、とある部分です。そこは言語を使うことでもっと高等な脳中枢部の影響を受け、支配されています。

私たち人間の感情と行動は、思考と起こった出来事をどのように受け取り、評価するかの影響によって生まれていると考えられています。

よく言われる「お父さんに似て短気だよね」という遺伝的要因は、その人の性格傾向に多少の影響を与えますが、実際はほんのわずかです。『ウチの家系はみんな爪の形が丸い』とはまったく違うのです。

次に感情がストレスを生み、健康に及ぼす影響についてお話します。

誰にでもあるストレスですが、同じ事が起こってもある人にはストレス、他の人にはストレスにならないことがあります。

なぜそのようなことが起こるのでしょうか?

それは不快な出来事をその人自身がどう解釈、評価するのかによって心が動揺するかどうか、またその動揺の振れ幅で決まるからです。ストレスの原因となる不快な感情を例にとり意識的、無意識的両面から、身体にはどのような症状が表れるのかを考えてみましょう。

無意識に筋肉が緊張し強張ることから、肩凝りや頭痛が引き起こされ、偏頭痛の原因にもなります。不快感情である怒りや恐怖は、血圧の上昇と同時に血栓を増加させる物質が分泌され血栓ができやすくなります。慢性的な情緒不安定は免疫力を弱めてしまい、風邪をはじめさまざまな感染症を引き起こしやすくなり、湿疹や脱毛も現れることがあります。円形脱毛症はよく耳にすると思います。

ストレス性胃炎があるように、継続した悩みや苦しみを抱え続けることで、胃が刺激され胃酸過多となり胸焼けや胃炎、嘔吐や下痢といった胃腸に症状が現れます。

ストレスは完全になくすことはできませんし、完全になくすことが必ずしも善とは言えません。ただ、気持ちを落ち込ませ、荒ませるストレスは生活の質と仕事のパフォーマンスを低下させてしまうので、ストレスを生んでしまう自分の感情を理解し、コントロールできないと健康面だけでなく、家庭、社会生活へのモチベーションが下がり、やる気がなくなり無気力無関心、抜け殻のようになってしまいます。

自分の感情を理解し、コントロールできないことで、自分自身の健康だけでなく、人間関係や目標達成などクオリティ・オブ・ライフに知らず知らずのうちに影響を及ぼしかねないのです。

こうして考えていくと、そうならないためには、メンタルにおける健康をいかに意識し維持していくかがポイントとなると言えます。

次回(15日)は、感情と行動を振り返り改善していく方法を、認知療法や論理療法(REBT)を交えながら思考、感情、行動をABC分析してみましょう。

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