メンタルと三大欲求の関係性:メンタルヘルスマネジメント

メンタル・イデア・ラボを運営する代表のスミです。今回は本城に代わり、私が寄稿します。今後もたまに寄稿することがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

今回はメンタルと三大欲求の関係性から

メンタルヘルスマネジメント

について自分の体験を踏まえた私見を書きたいと思います。

その前にここでの三大欲求を定義します。人によって食欲、睡眠欲、所属欲などいろいろ言われているようですが、ここでは日本で一般に言われている【食欲】【睡眠欲】【性欲】を三大欲求とします。三大欲求という表現は日本独自のようです。また宗教によってもさまざまな欲求が唱えられています。欲求といっても意外といろいろあるものだなと思いました。

さて本題です。メンタルが不調になると三大欲求のどれか、あるいはすべてに影響が表れた経験はないですか?私はメンタルの不調の度合いによって三大欲求に何らかの影響が表れます。

私の場合、男性だからか最初に性欲に影響が出ます。性欲が無くなるというと語弊がありますが、著しく減退するという感じでしょうか。そして異性に興味を持つことが極めて薄くなります。一般に男性は女性より性欲を司る脳の視床下部は2倍大きく、テストステロンというホルモンの分泌量は女性より10〜20倍多いと言われています。そう考えると身体としての機能が備わっているにもかかわらず、著しく性欲が減退する、異性への興味が薄くなるということは

個人的に男性(雄)として危機的状態

にあるのではないか?と思ってしまいます。

メンタルヘルスの不調がさらに深刻化すると、私は不眠状態になります。そうは言っても眠ることは眠るのですが、寝付きがものすごく悪くなり、明け方になってようやく眠りに就くも睡眠時間はとてつもなく短く、程なくして目覚めてしまいます。普段の寝付きは1分〜2分以内なので、明け方まで眠くならない、睡魔が来たとしてもすぐに目覚めてしまうことが連日続くと、日中は無気力な状態で、夜は極度な焦燥感に襲われました。

生命力が衰弱していく感覚

すら覚えました。

その時は『さすがに睡眠薬に頼ろうか』とも思いましたが、睡眠薬なしでは眠れなくなることが怖くて我慢しました。

食欲については幸い不振になった記憶はありません。ここ15年ぐらい、一日一食ということもあるのかもしれませんが、食欲不振になるのは風邪を患った時ぐらいです。ただ、料理を味わい幸福感を得るという人間的、文化的な食事というより、単に何か食べるだけの原始的な行為だった気がします。メンタルヘルスの不調により、人によっては過食症や拒食症になるとか・・・。

以上のことから私は、メンタルの不調と三大欲求のいずれかは密接に関係していると実感しました。その表れ方については人それぞれだと思います。またメンタルの不調の度合いや深刻度によっても程度に差が出ることでしょう。私も私なりにその時はかなりしんどかったです。しかし病院を受診するとか専門家に相談するという発想は浮かびませんでした。今思えば理由は二つありました。一つは私にとってそれらは、

まったく身近な存在ではなかった

一つは、

相談機関の存在を知らなかった

ということです。ただ一人で耐えるしかないこと、と思い込んでいました。

このメンタルヘルスと三大欲求の関係性を体感したことから、身体にまで悪影響が表れること、それはつまり社会生活に悪影響が出ることを痛感しました。そう考えた時、メンタルヘルスは

自分らしく生きるための根源

ではないだろうか、と思うようになりました。もっと自分のメンタルに身体同等に意識を向け、自分自身のメンタルの状態を確認し把握することが重要だと気付きました。それは

大切に自分を生きること

になるのでは、と思うのです。

そのためには体調不良の時に薬を服用したり、休養をとったり、あるいは栄養のあるものを食べたりするのと同様に、メンタルヘルスを意識し、戦略的に予防したり、労ったり、しなやかさを保つコツだったりなど、自分に合った心的栄養補給や心的健康管理を実践する

メンタルヘルスマネジメント

が肝心ではないかと思うのです。ここまで考えると、もはや科学的根拠のない今までの我流では不安なので、やはり心理士のような専門家の力を借り、そうした予防技術や手法、心的習慣を享受したほうが安全で安心ではないかと思うのです。身体でいうところの健康診断のようなイメージでしょうか。

趣味に没頭する、親しい人と話す、美味しいものを食べる、カラオケをするなどは、日常の一時的なストレスの発散にはなるかもしれませんが、自分のメンタルと意識的に向き合い、マネジメントすることとはニュアンスが違うと思います。

クオリティ・オブ・ライフやワーク・ライフ・バランスという概念が盛んに言われていますが、それを可能にする土台となるのは、

ボディ&メンタルヘルス(心身共に健康)

ではないでしょうか。当然といえば当然ですが、メンタルヘルスの体制は現状とても脆弱に過ぎると思って止みません。特に国や企業としての取り組みはOECD加盟国の中で日本は十数年遅れています。その証左として、メンタルヘルスの不調による経済的損失は日本全体で2.7兆円にもなるそうです。

働き方が多様化、複雑化する中で、メンタルのセーフティネットとして、心理士などいよいよメンタルの専門家による

【科学に基づいた予防的メンタルケア体制】

の充実が社会全体に必要な時期にきていると、素人ながらに思うのです。

精神科医や心療内科医は何らかの疾患を発症し、それを治療する専門家であって、セーフティネットとしての専門家とは違う気がします。

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愚痴の効用/副作用

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

普段からさまざまなストレスに囲まれて生活する私たちにとって、切っても切り離せない【愚痴】、今回は愚痴についてお話します。

愚痴には、

前向きな愚痴

ただ垂れ流す愚痴

の二種類があることをご存知でしょうか。

誰でも嫌なこと(理不尽、不快、怒り、悲しみ)がなければ愚痴はこぼしません。

その愚痴には、

  • 気持ちを落ち着ける。
  • 気分を切り替える。
  • 口に出すことで頭(あるいは気持ち)を整理する。

という効用があります。これは愚痴をこぼす側からの視点です。

愚痴をこぼされる側の視点で効用を考えると・・・、

  • 何で怒って(不快になっているのかわかることで、その人をより理解することに繋がる。
  • 自身の傾聴力が上がる。
  • 傾聴姿勢を持つことで、その人との間に信頼関係が生まれる。

こういったところでしょうか。

愚痴にはマイナスイメージばかりで、特に男性には『カッコ悪い(みっともない)から愚痴は吐きたくない』という人が多いように思います。世代にもよるかもしれませんが、私のパートナーもまさにこのタイプです(笑)。

確かに、会えば愚痴、口を開けば愚痴オンリー、では疲れるものです。ただ頑張っている人の愚痴(弱音と言い換えてもいいかもしれません)と現状を変える気もなく努力もしていない人の愚痴には、聞く側の気持ちは違うと思いませんか?

「共働きなのに旦那が全然家事を手伝わないのよっ!」という愚痴を例に考えてみると・・・。

毎回イライラを吐き出すだけで改善策(感情的にならず落ち着いて家事分担について話し合う)を講じず、「手伝ってくれない!」という愚痴だけを延々とリピートされるのと、最初は「家事を手伝わない!」という愚痴でも、次に「ちゃんと話をしようとしてるんだけど、『疲れてる』とか『今度聞くから』とか言って話し合いから毎回逃げるんだよね・・・(どうすれば話し合えるかなぁ)」になると、多少前進しているように感じませんか?

同じ話を何の進歩もなく(ないように感じる)、何の努力もしていない(ように感じる)と、愚痴を聞かされる側は疲れてくるものだとわかっていただけましたか?

関係や距離をわきまえず、誰かれ構わず話といえば愚痴や他者の悪口ばかり・・・そんな人もいます。聞いているだけで負のパワーがこちらのエネルギーを吸い取りそうです。一定の関係、距離で、ある程度の信頼関係がないと、愚痴を聞かされる側はその人物の性格や背景がわからないことで、『また(同じ)愚痴か・・・』とウンザリするものです。

先ほど、パートナーは愚痴をこぼさないタイプだと書きました。突然彼がポツポツ愚痴(らしきもの)をこぼすようになったのは、信頼関係がしっかり出来てからだったように思います(それまで数年は要した気がします)。側にいて彼の頑張りを見てきている私は、ようやく愚痴をこぼしてくれるようになったと嬉しく思ったものです。でも、親友以外の相手や馴染みの飲み屋などではまったく愚痴は言わないか、あるいは言いたくない心理が強く働き、それは今でも変わらないようです(笑)

●コップから溢れそうだから、溢れないためにこぼす愚痴。
●コップから溢れてしまった部分を愚痴としてこぼす愚痴。

二つの意味が愚痴にはあると考えています。

私も信頼関係があり、互いの背景がわかっている時には愚痴を言います。一旦立ち止まり頭を整理する、疲れたからリカバリーする・・・ための愚痴ですね。

愚痴を受け止めてくれる存在の、長い付き合いの親しい友人たちやパートナーは、私の今までの経緯や背景をよく知っており、共感と共に聞いてくれます。ただ聞いて共感してくれる、手厳しいアドバイスをくれる、どちらも本当にありがたいと思っていますし、周りに恵まれていることに感謝しています。

彼らも当然愚痴をこぼすことはありますが、ただただ垂れ流すだけの疲れる愚痴ではなく、もがき悩み、何とかしようと努力していることを知っているからこそ、気持ちに寄り添えますし、

共感の気持ちを持ち、その愚痴を“愚痴”とは思わずに話を聞くことができる

のです。

上手に愚痴をこぼせる

これも人間関係に影響します。積極的に愚痴をこぼしていいと思っていますし、そう話をしています。ただ、相手を選び、相手の状況も考慮したほうがいいでしょう。←ここを間違えると“いつも不満だらけで話を聞くのが疲れる人”になってしまいます。もちろん【会話泥棒】なんてもってのほかです。

愚痴=前向きなガス抜き

愚痴≠不満の垂れ流し

ちょっと意識してみませんか。

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ストレスマネジメント【3】補足:リスト化参考例

ストレスマネジメントの3回目で書いた、具体的なストレスマネジメントの方法の例を記載します。

まず、ストレッサー(ストレスの原因)のリスト化の例。

  1. 常に仕事量が多い。
  2. いつも忙しくて時間に追われている。
  3. 上司が忙しく相談できない。
  4. 責任感から人に仕事を頼んだり任せられない

など、上記のようなことが複合的な場合もあると思います。このようにリスト化します。そして深刻度と問題解決の困難度をランク付けしていきますが、例えば、ストレッサーの深刻度を

A<深刻度高> /B<深刻度中>/ C<深刻度低>

にランク分けし、同様に問題解決の困難度を

A<困難度高> /B<困難度中>/ C<困難度低>

に分けます。

迷うところだと思いますがコツがあって、書き出した中から最初に最も深刻度の高いAと、最も深刻度の低いCを決め、残りを割り振っていくと比較的ラクにできると思います。

ストレッサーの例で挙げた1、2は、量的ストレッサーですが、これは会社からの要請のため、個人だけでは解決が難しい、問題解決の難易度が高いストレッサーになります。

4は社内への何らかのアプローチで解決可能な範囲と思われますが、今まで責任感から人に頼むより自分でやったほうが早いし確実だと自分一人で抱え込み、対処してきませんでした。また3も、上司は自分以上に多忙だと知っているために4に比べて問題解決の難易度が高いと判断されます。

こうしてリスト化し深刻度を可視化することにより、そもそもこのストレッサー群は、大元にある業務過多や時間的切迫から派生していることから、解決が困難な我慢するしかない問題だと思っていたのがわかります。

深刻度も解決困難度も低いものから取り組みます。

ここでは4になりますね。

さぁ、コーピングで対処法をできるだけ出していきます。

  1. 同僚や部下に思い切って仕事を割り振る。
  2. 他の事務スタッフに裏方的なサポート仕事を任せて時間を作る。
  3. 有能な部下を自分の下に付けてもらえるよう交渉する。
  4. もう一度部内で仕事の分担を見直す。

など、考えられる対処法を挙げていきます。この中で取り組みやすいと思われるコーピングはどれでしょう?

人の手を借りる1と2あたりが一番現実的で取り組みやすいでしょうか。

出来る出来ないは別にして、例えば、部下や事務サポートスタッフに仕事を割り振るために、今までより30分早く出社して、電話など手を煩わせることがない状況で、彼らに仕事を任せるための準備をおこないます。そして朝のミーティングでは効率よく彼らに指示を出せるように心掛けます(事前に部下や事務サポートスタッフの状況を聞き取り話を通しておくと、よりよいかもしれません)。夕方以降は、残業して一人で片付けることが多かった書類作成や事務処理は、部下や事務サポートスタッフに任せることにより、勤務時間内である程度終わるようになるかもしれません。

夜はそのための残業ではなく、それらを確認し、翌朝にフィードバックするようにしたところ、今までより仕事が効率よく進むようになります。そうすると、多少なり残業時間が減り、早く帰宅できる、時間も増やすことができるかもしれません。

これはほんの一例です。このように進める必要はありません。大事なことは、あなた自身が置かれた状況に即して、

ストレッサーとコーピングを列挙し、それぞれ深刻度と困難度をランク付けして可視化してみる

ことです。

全3回:ストレスマネジメント【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

ストレスマネジメントの最終回となる今回は、心理的ストレス反応の段階や、組織を例に具体的なストレスマネジメントの方法を個人向けに、ストレスが引き起こす関連疾患についてお話しようと思います。

心理的ストレス反応とは、ストレッサー(ストレスの原因)に対するコーピングの結果生じる、

心理的 身体的 行動的

な変化をまとめて指します。ストレス反応はそのままにしておくと、徐々に深刻な状況になってしまいます。

段階を進むごとに、さまざまな適応力を低下させますが、どのような経過を辿り、深刻化するのかを見ていきましょう。

段階1→疲労感
心身ともに疲労感を感じる。
十分寝たはずなのに、起きた時から疲れている、いつも緊張感がありリラックスできない。
段階2→イライラ感
感情のコントロールがしにくく、不安定になる。
今まで気にならなかったわずかな刺激で怒りやすくなり、指図されたと受け取りやすくなったり、感情がかき乱され、すぐに腹が立つ、物にあたる、手を上げることもある。
段階3→緊張感
いつも他者から評価されているような落ち着かなさや、今までできていたことが、今まで通りできないと感じるようになる。
段階4→身体不調
胃が痛む、動悸や異常な発汗、胸を締め付けられるような息苦しさ、ひどくなると突発性難聴などが表れる(私自身、今は治りましたが、以前は凄まじいストレス状態にあった時、突発性難聴になったことがあります。)
段階5→憂鬱感や解離症状
食欲がなくなり、今まであった物事への興味、関心が失われたり、注意力低下からミスが増える。
自分が自分でないように感じるのが解離症。
(私はカサンドラ状態に陥っていた時に、この第5段階の経験がありますが、自分の行動にまったく責任や自信が持てなくなり、無意識にかなり危うい行動をしていたこともあるようです。)

いくつか補足します。

段階1で感じる疲労感の特徴は、

時間的には十分な睡眠時間を取ったのに、睡眠満足感を得ることができない、身体の奥に鉛を抱えたような疲れ

です。

段階2にはイライラ感が表に出てくるので、パートナーや家族など近しい人にトゲトゲしい態度や強い言い方が増え、口論が増えていきます。感情コントロールの舵取りができないと、

不必要に他者と衝突することが増え、人間関係のトラブルを生みやすくなります。

段階3になると、

嫌なドキドキが出てきて、人前に出ることが苦痛になりますが、なぜ自分がそうなのかわからず、自分で自分に困惑する状態

になります。

次に心身症についてです。心身症とはストレス関連の疾患をまとめて言いますが、どのような疾患があるのか見ていきましょう。ただ、この中にはストレス“だけ”が原因で発症するわけではないものもあるので、『〇〇だから原因はストレスだ!』と決め付けないようにしてください。

顎関節症
ストレスから歯ぎしりや噛み締めが起こると、顎関節に症状が現れることがある。

●眼精疲労・眼瞼痙攣
睡眠不足や眼を使いすぎたり、疲れると瞼がピクピクする。

●喘息・過換気症候群
気管支が弱いと喘息になるケースがあり、ストレスが喘息を悪化させる可能性がある。過換気症候群は、発作性の呼吸困難。

●胃潰瘍・十二指腸潰瘍・過敏性大腸炎・心因性嘔吐
胸焼けや胃部不快感、すぐにお腹を下す、食べ過ぎや感染症ではないのに気持ち悪くなり、吐き気が出ることがある。

●蕁麻疹・円形脱毛症
ストレスで蕁麻疹が出やすくなり、アトピーは悪化しやすくなる。円形脱毛症は比較的よく見られる症状ですね。私も見事なハゲを幾つも作った経験があります(笑)

●緊張型頭痛・書痙
書痙とは手が震えて文字が書きにくくなったり、細かな作業がしにくくなる症状。

ストレスは全般的にアレルギーを悪化させると言われていますが、蕎麦アレルギーがストレスでもっと酷くなる、ということは聞かないことから、食物アレルギーはあまりストレスに関連がないのかもしれません。

ストレスがなぜ身体症状として表れるのでしょか?

それは

ホルモン分泌の乱れ、自律神経バランスの崩れ、免疫系バランスの崩れ

などがストレスから身体症状を引き起こしています。それらはどういうことかを少しお話します。

私たちはストレッサーに晒されると、副腎皮質から副腎皮質ホルモンというホルモンが分泌されます。副腎皮質ホルモンは、代謝活性し身体をストレス反応から守る働きがあるのですが、(現在のように)ストレス状態が長引き、ホルモンが分泌され続けると身体バランスが崩れてしまうのです。

知っている人も多いと思いますが、自律神経には【交感神経】【副交感神経】があり、不安や緊張から心臓がドキドキするのは交感神経が活動的になることから起こる生理現象です。いざという時に、身体がすぐに反応できるよう心臓をフルに稼働させている状態です。またリラックスした状態の時には、副交感神経が活動的になります。

このように、【交感神経】と【副交感神経】が交互にバランスを取りながら身体の働きを調整しています。ストレス状態になると、当然交感神経が活性化し、血管拡張や心拍増加、血圧上昇や血液凝固亢進(血栓ができやすくなる)、消化器官活動低下などが起こります。胃腸の働きが弱ると、胃液が溜まり胃が冷えたように感じたり、消化不良からさまざまな胃部不快感、下痢や便秘になりやすくなります。

また免疫系バランスの乱れは身体を守る大切な役割をするリンパ球数が減ったり、その機能が低下することで感染症に罹りやすくなります。慢性的にストレスが持続しても自然免疫に関連するナチュラルキラー細胞の減少が機能低下を引き起こし、ウイルス感染しやすくなります。

次に具体的なストレスマネジメントの方法ですが、今回は組織における個人向けについてお話します。

まずストレッサーを明確にし、具体的に

“負担に感じていること” “困っていること” “苦痛に思っていること”

を書き出してみましょう。どのようなストレッサーがリストアップされましたか?この結果、心に重くのしかかっているストレッサーの原因はひとつの問題ではなく、複数のストレッサーが合わさった重複的なものだと気付いたのではないでしょうか。(別ページ:ストレスマネジメント【3】補足:リスト化参考例参照)

負担を感じる作業ですが、ひとつ一つを細かく書き出していくことで、初めてそれらへの具体的な対処法が見えるようになります。

書き出したストレッサーから深刻度、困難度の低いストレッサーから取り組みます。

問題を解決するのに取り組むランクを決める際に考える基準があり、

【1】他者からサポートを望めるか?
→サポートが望める問題のほうが困難度は低くなります。

【2】その問題が自分が原因なのか、他者が原因となって起きたものか?
→自分が原因となって起きたものは、他者が原因となり起きた問題より困難度が低くなります。

次にコーピングを思いつく限りリストアップします。

以前、コーピングは積極的コーピングが有効だとお話しましたが、ケースによっては消極的コーピングを取ることが必要になることがあるため、この段階では積極的、消極的双方からのコーピングをリストアップしていきます。

【1】ランクを付けた最も低いストレッサーに対し、自信のあるコーピングからスタートする。

【2】緊急度が高くても、失敗するかもしれない深刻度の高いストレッサーに取り組まない。
→上手くいかなかった時にコーピングをおこなおうとすると、失敗の可能性が高くなり、一度コーピングが上手くいかないと次にコーピングにチャレンジするモチベーションが低下するからです。
実際、深刻度の高いストレッサーが原因となり、深刻度の低いストレッサーが含まれるケースも多いことから、遠回りに思われても、深刻度の低いストレッサーに対し、着実にコーピングをおこなっていくことが大切になります。

【3】コーピングの成功、失敗に関係なく、よりランクの上のストレッサーに移行する。
→特定のストレッサーに対しコーピングをおこなって問題解決できなくても、そのストレッサーにだけとらわれず、『自分は努力した』と認めることが、無駄なエネルギーを使わず、コーピングを持続するモチベーションに繋がります。
ここで大切なのは、結果より、問題に対処しようとする姿勢を持続していくことだからです。

コーピングをおこなうためのフローチャートを参考にし、取り組んでみてください。

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全3回:ストレスマネジメント【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回に引き続き、ストレスマネジメントの2回目になります。今回は積極的コーピングやソーシャルサポート、ソーシャルスキルについて考えていきましょう。

前回紹介した【感情優先/積極・消極】【問題優先/積極・消極】ですが、感情を鎮めることを優先するか、問題の解決を優先するのかは個人の性格やケースにより変わってくることもあります。しかし、積極的な対処をするか、消極的な対処をするかは個人の“意志”次第で、ある程度変容できる部分でもあります。

性格自体を変えることは難しくても、気の持ちようは、努力である程度変えられるというわけです。

『自分は〇〇だから』『〇〇だから無理』『前も〇〇だったからできないに違いない』・・・という思いが出てくるかもしれません。以前【認知の歪み】のコラムでも書いた、思い込みによる認知の歪みが邪魔をすることもあることを思い出してください。

積極的コーピング、消極的コーピング、どちらを選択するかは、誰かに強引に決められることなく、任意にあなた自身がその努力を選択することができる『行動』です。

“積極的”“消極的”という表現から『自分は消極的だからダメなんだ』『やはり積極的が優れているんだ』と受け取る人もいると思いますが、決してそうではありません。以前お話した“優性遺伝”“劣性遺伝”を思い出してください。“優”という漢字は“優れた”に使われますが、優性遺伝が優れた遺伝子というわけではありませんでしたよね。

何でもかんでも積極的、積極性が良しで、消極的、消極性が悪、劣っている、ではありません。

下記に積極的コーピング、消極的コーピング、それぞれの行動と心理的ストレス反応を表にしてみました。自分自身がどちらのコーピング傾向にあるのかを、ストレスを伴う困難に遭遇した場合、どのような行動を取ることが多いのか、【行動】の欄を見ながら考えてみてください。

より良いコーピングとは、問題解決の積極的コーピングであることは理解できたと思いますが、より良いコーピングを安定して実践していくために必要なものがあります。それは、

ソーシャルサポート、ソーシャルスキル

という概念です。ソーシャルサポートとは、パートナーや家族、身近な人、友人や知人、職場の上司や同僚も含まれ、あなた自身が周囲から受けられる支援(サポート)のことです。問題解決のために目上の人や尊敬する人からもらう具体的アドバイス、パートナーや友人に悩みを聞いてもらい共感を得たり、理解してもらうという情緒的なサポートになります。

誰でも自分が経験した以上のことを想像したり、自分の身に置き換えて考えるのは難しいものですが、大切な人が悩んでいるツラい気持ちや、一人で抱え込んでいると感じる孤独感や絶望感にそっと寄り添うことはできるものです。ここでは以前お話した【アクティブ・リスニング(傾聴)】が役立ちます。

一旦話が逸れますが、気持ちを落ち着かせたり、荒れくれた気持ちを穏やかにするために重要な働きをする“愛情ホルモン”と言われるオキシトシンというホルモンがあります。

オキシトシン舌下スプレー、オキシトシン点鼻というものがあるのですが、日本では認可されていないので海外から個人輸入して自己責任で使用することしかできません。私は、イライラしがちで感情コントロールが難しい息子に、以前オキシトシン舌下スプレーを試したことがありました。すぐに効き目が表れるような性質のものではないので多少時間はかかりましたが、息子にはかなりの効き目を感じました。息子本人も「いつもより全然イライラしない!」と効果を実感したようでした。

継続していない理由は、海外では認可されていても国内で認可されていないことから、継続するには大いなる責任が伴うことと、何より高額だからです。自閉症スペクトラムへの情緒面の治療薬として期待されていますが、認可にはまだ時間を要しそうです。

しかし国内外のオキシトシン研究で、ハンドタッピングやマッサージにより、手の温もりからこのオキシトシンが分泌されることがわかってきました。愛情ホルモンは別名『幸せホルモン』とも呼ばれ、『安心ホルモン』でもあるので、心細かったりツラい時に愛するパートナーにハグしてもらう、信頼する人に「大丈夫、君ならできるよ」と肩をポンポン叩かれる・・・それで安心したり、気持ちがラクになった経験は誰もが持っているのではないでしょうか。それ、実はオキシトシンパワーです(笑)

私のオキシトシン分泌促進剤的なものは、信頼できるパートナーに話を聞いてもらいハグしてもらうこと、長い付き合いの信頼できる友人たちと話をすること、癒し効果抜群の猫たちと触れ合うことです。効果抜群です。

ソーシャルサポートとは、裏に隠されたオキシトシンパワー、そういう意味合いも含めて持っています。皆さんのオキシトシン分泌促進剤は何ですか?

次にソーシャルスキルですが、この場合のソーシャルスキルとはわかりやすく言うと“人付き合いスキル”で、人付き合いが上手い人は、円滑で友好的に幅広い層の人々と人間関係を構築、持続できるので、それが人脈という資源となり、ソーシャルサポート源になっていきます。

無意識にせよ、他者に対し身勝手な言動や振る舞いを繰り返したり、責任感のない誠意を感じられない対応、マウンティング、ワガママですぐに感情的になりやすいなど、ソーシャルスキルが低いと周りにはあなたを支援しよう、したいと思う人は少なくなってしまいます。そうなると、ソーシャルサポートという安定したコーピングに必要な“人脈”という資源が少なくなるので、ストレス耐性は低くなりがちです。

孤独、孤立はストレス耐性に大きく関わり、ストレスコーピングにも差が表れてきます。ソーシャルスキルがソーシャルサポートに繋がり、より良いコーピングを実現させることに結び付いていくと考えられています。

考えてみましょう。いつもあなたの話をきちんと聞き、寂しさやツラさに寄り添ってくれる友人と、側にはいるけど、こちらの話はろくすっぽ聞いてもくれず、話を被せてきて自分の話に持っていく(会話泥棒と言うそうです)か、口を開けば根性論や自慢、不平不満に文句ばかりのパートナー、お互いが困った事態になり苦しんでいる時、あなたはどちらにも同じように寄り添いたいと思いますか?

幾つもソーシャルサポートを持っていると、ストレッサー(ストレス原因)や心理的ストレス反応を減少させる効果があります。ここでソーシャルスキルを幾つかに分けて、どのような“人付き合いのスキル”があるのか見ていきましょう。

マネジメントスキル:自分への要求や要請を、段取りを考えて行動したり、感情的にならず、わかりやすく他者に伝えたり指示するスキル。

コミュニケーションスキル:他者に自分の意思や考えを的確に伝えたり、他者の考えを自分勝手なフィルターを通さず理解するなど、上手く会話を進めるスキル。

トラブルシューティングスキル:他者との間に勘違いやスレ違いから生じた軋轢を、考えて会話や行動によって良好な状態に修正するスキル。

といったところでしょうか。ここで簡単なソーシャルスキルテストをしてみましょう。

それぞれの問いに、まったくできない<1点>、少しできる<2点>、普通にできる<3点>、かなりできる<4点>、完璧にできる<5点>、をプラスしながら評価してみてください。

  1. 誰とでもあまり会話が途切れない。
  2. いろいろな目標を立てるのを困難だと思わない。
  3. 他者に対して、やってもらいたいことを上手く伝えることができる。
  4. 他者が自分とは違う考えを持っていても、擦り合わせ、上手くやっていける。
  5. 他者への手助けが上手にできる。
  6. 間違いや勘違いなどを指摘された時、感情的にならず、すぐに謝ることができる。
  7. 怒っている相手の話を聞き、上手くなだめられる。
  8. 初対面の人に、上手く自己紹介できる。
  9. 知らない人が相手でも、すぐに会話ができる。
  10. 周囲から矛盾する話が伝達されても混乱せずに処理できる。
  11. 周囲とトラブルが発生しても上手に処理できる。
  12. 自分の気持ちや感情を適切な手段で素直に表現できる。
  13. 恐怖を感じた時に上手くその感情を処理できる。
  14. 仕事上でどこに問題があるのか、すぐに見つけることができる。
  15. 気まずいことがあっても、相手と上手く和解できる。
  16. 相手から非難されることがあっても、上手く片付けることができる。
  17. 仕事ややらなくてはいけないことがある時、何をどうすればよいかを決められる。
  18. 何人かで話をしているところに、話を折らず気軽に参加できる。

如何でしたか?合計点が70点以上(A)は、人付き合いスキルが特上クラスです(笑)。52〜69点(B)であれば、まずまずの人間関係が構築できるとされ、それ以下(C)だと人付き合いは苦手と感じている人たちかもしれません。

また(C)に分類される人たちの多くに、人間関係が拗れた時にさっさと距離を置いたり、身を引く防御型、感情の拳を振り上げ、自分の正当性を主張する攻撃型とに分けられます。どちらも他者に傷つけられることを避けようとする自己防衛の表れです。

どちらも無意識な場合が多いので、『自分にはそういうことがあるかもな』と意識してみることは大切です。まずは自分にある思考や行動の癖に気付かないことには“だったらこう心がけよう”に繋がっていかないからです。点数は伏せますが、私も常に意識し続けている部分はあります。

コラムで代表のスミも書いていましたが、ストレスに晒され苦しい時に、たった一人で抱え込むことは精神的孤立に繋がり、メンタルを削られ疲弊していくので危険です。メンタルが疲弊すると、心身共にやる気を奪われ、正常な判断力、思考力が低下します。精神的な孤立化が進むと、社会的にも孤立しやすくなると同時に、益々気持ちが追い詰められ、知らず知らずに鬱状態に陥ります。

孤立をものともせず、たった一人でも心身生き抜いていけるサバイバーもいますが、強がりではなく本心からそう感じている人や実践できる人は稀ではないでしょうか。私が思い当たるのは“ジョン・ランボー”ぐらいです(笑)

日本が全国的に皆が不安を抱えているこのような状況だからこそ、カッコつけよう、強がろうとせず、『大変なんだよ、不安だ、頑張んなきゃいけないのはわかっているけど疲れたよ』と心の『澱み』『愚痴』を話してください。共感が精神的な孤立化を防ぎ、心の支えや安心感に繋がっていくことを感じるはずです。

最終回となる次回(5月5日)は、心理的ストレス反応の段階や、ストレスが引き起こす関連疾患、引き起こされるメカニズムと、具体的なストレスマネジメントの方法を幾つかお話しようと思います。

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全3回:ストレスマネジメント【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

新型コロナウイルスの影響で、感染拡大懸念から緊急事態宣言、社会活動の制限がおこなわれ、社会、学校、家庭生活とさまざまなところで不自由を強いられ大きな支障が顕れてきています。

我が家も春から中学2年になった息子がいますが、3月2日以降休校になり、終業式も始業式も簡略化、一体いつから通常授業に入れるのか?これだけの学習の遅れはどう埋めるのか?他校に行っている通級はどうなる?・・・など不安が重くのしかかり、先の見えないストレスが尽きません。

本来なら夢膨らみ、新しい門出となる人も多い春のはずが、私も含め先行き不安から胃が痛くなっている人も多いのではないでしょうか。

本当に無茶苦茶、胃が痛いです。

仕事面の不安にプラスし、思春期+超絶面倒な特性を持つ発達障害児と顔を合わせる時間が格段に増え、感情的なぶつかり合いを回避するために、メンタル面をフラットに保つ凄まじい努力が加わり、そのストレスたるや筆舌しがたいものがあります。

今回のようなケースでは、現状を自分の力で変えることはどうやってもできないか限界があり、頑張っても経済不安が解消できるわけではありません。しかし、このような時だからこそ、今回を含め3回に分けてストレスマネジメントについてお話ししたいと思います。

初回となる今回は【ストレスとは?】【ストレスが生まれる仕組み】についてお話しします。

普段からストレス、ストレスと言葉にしていますが、【そもそもストレスって一体ナニ?】というところからです。

ストレスとは、

さまざまな肉体的心理的外部刺激により生じた、“歪み”に対して起こる“心身反応”のこと

です。メンタルヘルス用語だと思われがちですが、実は物理学から来ている用語です。

真っ直ぐな金属棒に両端から力を加えていくと、たわみが生じます。しかし、力を緩めると元の形に戻ろうとしますよね。力が外部から加わった(両端から力を加えた)結果、生じたたわみ(歪み)に金属棒が反発する状態、これを物理学用語で『ストレス』と言います。

一般的にはストレスというと、ストレスの原因(ストレッサー)とストレス反応の両方を指します。高温、寒冷、振動や強い光、大きな音などが身体的外部刺激、人間関係、理不尽な扱い、過度なノルマ、能力以上を求められる、生活が脅かされるなどが心理的外部刺激になります。今回の新型コロナウイルスにより生まれるストレスは、社会不安やイライラ感、鬱や胃痛ということになります。

マイナスイメージしかないストレスですが、現実的にストレスがまったくない生活はあり得ませんし、それが望ましいわけでもありません。ストレス=負荷(負荷は悪い意味だけではありません)とも言えますが、私たちが成長していくために必要なものでもあります。仕事でも、今の能力ではできないことをできるようになりたいと努力する中で、心身に負荷がかかることはよくあると思います。また、逆境が人を強くするとも言われます。

実際、飲食店の中には客足が遠退き、短縮営業を余儀なくされてしまったことで、テイクアウトや通販など、今までやってこなかった方法で何とかこの苦境に立ち向かおうとしている人達がいます。

新型コロナウイルスからくるストレスの是非はともかく、悪者扱いされがちなストレスですが、負荷やプレッシャーは能力を高め、成長を促す役割を持つ源でもあるので、忌み嫌ってはいけない、ということになります。

私自身、息子と衝突を回避するために感情マネジメントにより一層取り組み、生活習慣がこれ以上乱れないように何かできないものかと、あの手この手を考えています。逃げたくても逃げることはできません。

平時に人が一番ストレスを感じるのは人間関係、環境変化だと言われています。仕事でも私生活でも、人間関係のもつれに巻き込まれれば誰でも気が滅入り、憂鬱な気分になるのはわかりやすい因果関係です。これは人間関係のもつれがストレッサー(ストレスの原因)となり、憂鬱な気分になる(ストレス反応)からです。

ストレッサーが同じでも、人によってストレス反応に差があることはご存知でしょう。それは何故だと思いますか?

心理学者のラザラスが打ち出した『心理学的ストレスモデル』で説明されていますが、より分かりやすく噛み砕きます。専門用語でいうところのアプレイザル(判断/評価)とコーピング(対処努力)というプロセスが大切になってきます。

この“アプレイザル(判断/評価)”は、ストレッサーを

  • 負担(望まないけど)
  • 自分を成長させくれる試練

どう捉えるかという私たちの心の中にある“評価プロセス”です。困難で不快な状況に置かれた時に、怒りを覚えるだけの人もいるでしょうし、まったく気にせずスルーできる人もいれば、こんなの大したことはない、これは気付くキッカケだ、厳しい状況だが自分を成長させる貴重な機会だ、など人によって考え方はさまざまです。つまり、この

“負担の受け取り方”次第

ということになります。

ただ、困難な状況に長期間置かれた場合、かなり神経が図太い人でなければ、ストレッサーを負担と感じてしまうのも事実です。

ストレッサー=負担、と受け取ると心理的負担を少しでも軽くしようと『努力』が始まります。ストレスに直面すると、そのストレスを受け取る側でさまざまな刺激を処理する過程があります。これをアプレイザルとコーピングと言います。

ストレッサーを負担と受け取ると、次にこの心理的負担を軽減しようと努力が始まります。コーピングは、ストレッサーを少しでも軽くしようとする“具体的な努力”を意味し、憂鬱な気持ちやイライラ感などのストレス反応を何とかしようとする努力ではありません。ストレッサー(ストレスの原因)と向き合う前向きな努力です。

コーピングは生まれ持った性格ではなく、努力により身につけられるものなので、性格は簡単に変えることはできないものでも、努力で身につくのであれば、よりよいコーピングを身につけることで、ストレッサーから受ける心理的負担の軽減を図ることができます。

コーピングはストレスマネジメントの鍵となる、とても重要な概念です。

同じ種類の、同じレベルの影響力の強いストレッサーに晒されても、表れるストレス反応(イライラ感、疲労感、鬱や胃痛)は人によって変わってくるとお話ししました。その違いを生むのが、

ストレッサーに対処するコーピングというメカニズム

です。

ちょっと専門的になりますが、コーピングには幾つかのタイプがあり【感情優先】と【問題優先】があります。また感情優先には【感情優先消極】と【感情優先積極】が、問題優先には【問題優先消極】と【問題優先積極】があります。

【感情優先】とは、気分の動揺が激しく、辛く苦しいため、まず気持ちを鎮めてから、その後に問題解決するための対策を考えるタイプ。その際の問題解決はストレスの原因を解決することで気持ちの動揺が収まると考え、まず原因の究明を優先するというタイプです。【感情優先】は気持ちの鎮静化に向かうだけで、ストレスの根本原因の解決には向かわないのがほとんどです。気持ちは落ち着いてもストレッサーはなくならないため、抜本的な対策にはなりづらいです。

【感情優先消極】タイプは、ストレッサーに遭遇すると『嫌なことはなかったことにして忘れよう』と、消極的な手段で気分の鎮静化を図り、【感情優先積極】タイプは『趣味や好きなことに没頭して気分転換しよう』と、積極的な行動を起こし、気分の鎮静化を図るタイプです。

【問題優先】にも同じく消極、積極タイプがあり、【問題優先消極】は『しばらくよく観察してみよう』と問題解決にはすぐに向かわず、まず様子を見るタイプ。【問題優先積極】は『よし、できることから対応してみよう』と周囲に相談したり、自ら問題解決のために行動を起こすタイプです。

こうしたコーピングタイプでストレス耐性が変わってくるのですが、ストレッサーの影響を受けやすく、ストレス反応を起こしやすい、いわゆるストレス耐性が低い人は、感情の鎮静化を優先する傾向があります。逆に、ストレス耐性が高い人は問題解決を優先し、積極的なほうが消極的よりもストレッサーに対処する傾向があります。

次回は誰でもチャレンジできる【積極コーピング】についてお話ししたいと思います。

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緊急寄稿:新型コロナウイルスによるメンタルリスク

メンタル・イデア・ラボの代表を務めるスミです。

新型コロナウイルスの影響により、当初は首都圏や関西、福岡に緊急事態宣言が出され、今や全国に緊急事態宣言が出されるに至りました。生活が一変し、日常とは違う生活を強いられていることだろうと思います。一応来月6日までということですが、それで済むかいえば甚だ疑問です。

英国では以前より緊急事態宣言が出されており、そこで静かに社会問題化しているのがDVであることが報道されていました。恐らく虐待も増加していると想像します。

経済的に苦しくなり、徐々にメンタルが不安定になっていった結果、DVや虐待が誰の身にも起き得るということを理解しておくことが大切です。最悪の場合、離婚に発展することもあるようです。『コロナ離婚』という言葉も既に耳にします。

夫の収入が不安定になり(あるいは無くなり)、生活が維持できなくなるのではないか、これからどう生活していけばいいのか、という極度な不安がメンタルを追い詰め、DV、虐待という形で顕れることがあります。それが酷くなれば、当然一緒に生活できないとなり、離婚へ至る夫婦もあるようです。

2019年8月19日のコラムで、弊社の心理士である本城がモラルハラスメントについて書いていますので、それと合わせて読まれることをお勧めします。というのも、今の社会的・経済的不安定の状況にこそ、モラルハラスメントが顕在化し、横行し、今まで他人事だと思っていたことが突如自分の身に起きる可能性が高まるからです。

世間全体が今、我慢を強いられています。テレワーク、在宅勤務ができている人で、収入面でもそれほど心配ではなくても、夫婦関係、親子関係は別であることは肝に命じておくとよいと思います。外出自粛も相まって四六時中一緒に居れば、家庭でも多少の差はあれ、イライラが溜まってくるものです。子供も学校は休校状態であり、子供の面倒を見ながらの在宅勤務、テレワークなど、やはり心理的負担は大きいはずです。

そんな状態が毎日続くわけですから、当然イライラが溜まり、時として心にもなく、“つい”キツい言葉が出てしまうかもしれません。そこからゆっくりと気持ちのスレ違いのようなことが進行し、知らず知らずのうちに溝が出来てしまう、ことになりかねないのです。

収入面での心配が生じてしまっている場合は、よりメンタルを直撃し深刻になりやすくなります。私もリーマンショックの時などは本当に辛かったし、今思えば軽い鬱になっていたのではないかと思うくらいです。しかし今回は、それを上回る規模で景気が急速に後退しつつあります。行政機関からの休業要請もあり、支援金などの制度を活用したところで再開の目処が立たないうちは、不安はまったく払拭されません。このような状況で

どうメンタルを保てばいいのか?

これは経済的な問題と同時に重要な問題です。経済的な問題は死活問題ですから、同時にダイレクトにメンタルにも影響してきます。私がリーマンショックの時に感じた、重苦しく不安しかないメンタル状態にならないために、メンタルをいかに保って難局を乗り越えていくかが、今、最も重要なもうひとつのテーマです。

しかし『これ!』という方法はありません。ただ不安に呑み込まれないようにすることが肝要です。そのためには、

今の自分の現状を受け入れること

出来ることから行動すること(今なら行政機関の支援制度を調べ行動するなど)、

そして親など身内、知人、友人と相談も含めた世間話すること

です。これを【意識的に】おこなうことです。【意識的に】がミソです。この時、心配をかけたくないとか、見栄、羞恥心は最大の敵になるので、そういう類の感情は早く捨てたほうがいいと思われます。社会全体が有事なのですから、ヘンにカッコ付けるのは危険です。社会全体が有事だからこそ、むしろ共感が得られやすいかもしれません。

共感できる人や共感し合える人がいることは、メンタルにとって非常に重要なことです。

どうか共感し合える人を一人でもいいので見つけてほしいと思います。決して独りで抱え込まないことが肝要です。

このように、自分ができる小さなことを行動に移すことで、不安に呑み込まれにくくなります。ただし、不安が解消されるわけではないことに注意してください。不安に呑み込まれにくくなることで、少しずつ出来ることが見えてきたり、夫婦や恋人との会話であれば、思わず前向きな言葉が出てくるかもしれません。こういう時、夫婦や恋人は戦友のように共に励まし、助け合う関係になり、絆がさらに深まる機会でもあります。単身であれば仲間同士で励まし合い、信頼関係が一層深まる機会でもあります。つまり、こういう時は

孤立化しないこと

が重要です。孤立化しなければ、メンタルが不安に呑み込まれにくくなり、深刻な状態に至らない予防になり得ます。

今、新型コロナウイルスに感染しないことが最も重要なことですが、次に重要なのは、意外と見落としがちな【メンタルをいかに保つか?】です。今こそ自分のメンタルのしなやかさが問われています。

メンタルは不安に駆られているうちに壊れていきます。メンタルが壊れてしまっては、出来ることすらする気がなくなります。つまり気力が奪われます。さらに心がささくれ立ち、今まで築き上げた人間関係すら壊してしまうことになりかねません。

この度のことは長期戦が予想されます。この長期戦を乗り越えるには、

自らのメンタルに目を向け、気力を奪われないように、メンタルを自己管理すること

が重要です。

その方法のヒントについては、以前の本コラムに本城が書いていますので参考までに記載しておきます。

2020年1月15日コラム

2019年11月20日コラム

2019年11月15日コラム

2019年10月31日コラム

2019年9月21日コラム

上記以外にもヒントになるコラムがあるかもしれません。どうぞ参考にしてみてください。

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エゴグラムで自分を知ろう【後篇】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前篇では質問に答えて点数を出してもらい、グラフに書き込んでもらいました。

エゴグラムは善悪を判断したり、優劣を決めたりするテストではありません。

私たちは、一人ひとりが

自らが持つ感情・思考・行動の総責任者

です。そして、

過去も他者も変わらない

が事実です。ならば、

自分を変えるほうが【生産的】

ですよね。

そのためには、まず自分を知らなくては始まりません。

自分を知るひとつの材料として、前篇で記載した簡易エゴグラムを上手に活用し、『へぇ、自分ってこんな面があったのか。こんなふうに心掛けるといいんだな』に気付いてもらえると良いな、と思っています。また、新型コロナウイルスの影響でさまざまに環境が変わった人が多いと思います。こういう時こそ自分を知り、この難局とどう向き合うか、自分に合った方法を見出す機会にしてもらえたら幸いです。

5つの要素から【やめたい言葉/態度】、【心掛けたい言葉/態度】と説明していきます。前篇での低い点数の部分を意識的に高めていくことが改善に繋がります。

<CP>
【やめたい言葉】
・「私は関心ない」「どうでもいい」「何とかなるだろう」など。

【やめたい態度】
・自分の考えや意見を持とうとしない無関心。
・ミスを注意せず、やり過ごす。
・約束やルールをいい加減に考えて守らない。
・遠慮ばかりする、すぐに諦める。

【心掛けたい言葉】
・「私は〇〇だと思います」とはっきり考えや意見を述べる。
・「〇〇が好きです」「〇〇は苦手です」と言える。

【心掛けたい態度】
・決めたことをきちんとやる。
・時間や金銭的なことを管理する。
・物事は自分の責任で決める。
・何ごとも最後までやり切る。
・これでよいのかセルフチェックをする。
<NP>
【やめたい言葉】
・「それじゃダメ」「しっかりして」「何やってるんだ」など。

【やめたい態度】
・相手の気持ちや感情を考えない自分勝手な態度。
・一方的に自分だけが話す。
・ヘルプやサポートをしない。

【心掛けたい言葉】
・「よくできたよ」など良い点を褒める。
・「困ってることはない?」と相手を思いやり気遣う。
・ネガティブワードをポジティブワードに置き換える。→「これじゃダメ」を「こうすればもっと良くなるね」など。
・相手を思いやり、気遣う言葉を多用する。

【心掛けたい態度】
・自分から挨拶をしたり声を掛ける。
・良い点に気付いたら、すぐに褒める。
・相手の話に相槌をうち、個人的関心を示す。
<A>
【やめたい言葉】
・「わかりません」「知りません」「できません」。
・「でも」「だって」「だから」を減らす。
・相手に興味を示さず「興味ありません」など。

【やめたい態度】
・直ぐに感情的に反応する。
・反省しない。
・「なぜ?」「どうやれば?」に関心がない。
・最後まで他者の話を聞かない。
・時事問題に関心がない。ニュースを見ない、社説を読まない。

【心掛けたい言葉】
・「あなたが言いたいことは〇〇という意味ですか(ね)」と確認する。
・「もう一度お願いします」「詳しく説明してもらえますか」など。

【心掛けたい態度】
・伝えたいことやしたいことを文章化。
・自分の行動の無駄を見直す。
・何ごとも当たり前と考えず、疑問を持ち調べる。
・同じ場面で、自分以外の他者はどうするかを考える。
<FC>
【やめたい言葉】
・「嫌だ」「つまらない」「面白くない」「楽しくない」など。

【やめたい態度】
・ため息をつく。
・舌打ちをする。
・嫌な気持ちにいつまでも浸る。
・楽しい会話に加わらない。
・受け身ばかりの姿勢。

【心掛けたい言葉】
・「面白そうだね」「やってみようかな」。
・感嘆詞を使う、など。

【心掛けたい態度】
・長時間、不快感情に浸らない。
・楽しい、嬉しい、美味しいという気持ちを表現する。
・友人、恋人、家族と一緒に過ごし、豊かな感情を持つ。

ACについては、今回は飽くまで自分を知る目的のためにエゴグラムを活用するので、敢えてAC行動を増やすところに目を向ける必要はないと考えます。

どうでしたか?明日からすぐにやれることもあると思います。あなたのほんの小さな変化を身近な人は気付くものですし、それがプラス変化だと、自分も周りも幸せな気持ちになれるものです。

円滑な人間関係を築く、そのために長い付き合いになる自分にもう少し目を向けてみる

と、案外『あ、自分って良いとこあるじゃん』にも気付けるかもしれません。

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エゴグラムで自分を知ろう<前篇>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は自分を知る(自己分析)のひとつの手段として、誰でも簡単にできるエゴグラムについてお話します。

性格は親から受け継いだ気質、育った環境、積み重ねてきた経験など、さまざまな要素で作り上げられています。エゴグラムでは、性格は【親の自分(P)】【大人の自分(A)】【子供の自分(C)】の3つを柱に、それをさらに【5つの私】に分けた性格から成り立っていると考えます。

エゴグラムを活用することで、今の自分の心の働きを客観的に知り、より良い望む方向へ自分を変えていくことができます。

  • CP:批判的な親
  • NP:養護的な親
  • A:合理的な大人
  • FC:自由な子供
  • AC:従順な子供

という分類に分けて各10問に、はい(○)、どちらでもない(△)、いいえ(×)で答え、○=2点、△=1点、×=0点で計算し、下のグラフに書き込みます。

それでは質問です。

<CP>
①何事もきちんとしないと気が済まないほうだ。
②人が間違ったことをした時に、なかなか許せない。
③自分は責任感が強いと思う。
④自分の考えや意見を譲らないで、最後まで主張し押し通そうとする。
⑤礼儀作法やルールに厳しい。
⑥何事もやり始めたら最後までやり切らないと気が済まない。
⑦上の人からの指示や意見には従う。
⑧「〜しなくてはいけない」「〜すべき」という言い方をよくする。
⑨時間やお金にルーズだと許せない。
⑩自分が親になったら子供を厳しく育てると思う。
<NP>
①人から道を聞かれたら親切に教える。
②人を褒めることがよくある。
③人の世話をしたり面倒をみるのが好き。
④人の短所より長所を見るようにしている。
⑤気落ちしている人がいたら、慰めたり元気づけようとする。
⑥人のために何かをすることが好き。
⑦頼まれたり助けを求められたら断れず引き受ける。
⑧失敗した人がいても、からかったり責めたりせず許せる。
⑨自分より弱者に対し、思いやりを持ち優しく接する。
⑩困っている人には積極的に助ける。
<A>
①いろいろな本を読む。
②上手くいかないことがあってもイライラしたりカッとしない。
③何かを決める時には人の意見も聞く。
④初めてのことに取り組む時にはよく調べる。
⑤何かをする場合、自分にとって損得をよく考える。
⑥わからないことや知らないことがあると、人に聞いたり相談できる。
⑦体調が悪い時に無理をしないよう気をつけられる。
⑧感情的にならず他者と冷静に話し合いができる。
⑨仕事や勉強をテキパキ片付けていくほうだ。
⑩迷信や占いは絶対に信じない。
<FC>
①楽しいことやオシャレが好き。
②騒いだりはしゃいだりすることが好き。
③「わぁ」「すごいね!」などの感嘆詞をよく使う。
④言いたいことは遠慮なく言う。
⑤嬉しい、悲しい時などに表情や動作で自由に表現する。
⑥欲しいものは手に入れないと気が済まない。
⑦誰とでもすぐに打ち解け話ができる。
⑧絵を描いたり歌ったり、自分を表現することが好き。
⑨嫌なことは、はっきり嫌と言う。
⑩人の好き嫌いは、あまりないほうだ。
<AC>
①人の顔色や行動を気にする。
②自分の気持ちを抑えてしまう。
③劣等感が強い。
④頼まれてもすぐにやらず、引き延ばす癖がある。
⑤人からよく思われようと無理をすることがある。
⑥他者の言うことに影響されやすい。
⑦憂鬱な気持ちになることが多い。
⑧消極的で遠慮がち、引っ込み思案である。
⑨他者の機嫌を取ろうとすることがある。
⑩内心不満があっても、表面では満足しているように振る舞う。

以上です。

グラフに書き込み、高いところ、低いところに目を向けてみましょう。

最も高いところは『あなたらしさ』に繋がっている部分ですので、そこを変えるのは無理があります。低い部分を高めることで全体のバランスが良くなります。

ここでわかりやすくそれぞれが持つ長所、短所をみてみましょう。

<CP>
長所:責任感が強い、ルールやマナーを守る。
短所:批判的、偏見や思い込みが強い。
<NP>
長所:面倒見がよい、親切。
短所:お節介、甘やかす。
<A>
長所:合理的、計画性がある。
短所:機械的、人間味に欠ける。
<PC>
長所:元気がある、明るい、ユーモアがある、人懐っこい。
短所:自己中心的、感情的、ワガママ。
<AC>
長所:協調性がある、慎重。
短所:依存的、本心がわからない。

低い部分を高めようとする時、自分の中に、ある種の“抵抗”を感じるはずです。変化を妨げようとするのは、ほとんどの場合、一番高い部分です。そのジレンマが生まれるのは自然なことだと理解し、無理のない範囲で取り組んでいくことが大切です。

後篇では、それぞれを伸ばすために心掛けたい言動についてお話します。

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自律訓練法<後篇>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

後篇は、標準公式に次いで黙想練習についてお話します。

黙想練習は、常日頃の言語的論理思考からイメージによる視覚的思考をおこなっていくものです。第一黙想練習から第四黙想練習まであります。

かなり難しいです(笑)自律性状態を30分以上維持しなくてはいけませんし、うっかり寝てしまわないように気を付ける必要もあります。

自律状態とは、前篇で練習した①〜⑥の公式を身に付けていることで、黙想練習に取り掛かるためには、その状態へ短時間で移行できること、その状態を長時間保つことができないと・・・寝てしまいます。つい寝てしまいます。

私も5回に1回は寝てしまいました(笑)

それでは第一黙想練習(自発的色彩心象視)に取り組んでみましょう。

この練習は、目を閉じた時に視覚的イメージに自然に現れてくる色彩を意識してみるものです。

瞼の裏をスクリーンとして、色を感じるイメージです。

標準練習(前篇の①〜⑥)によって、四肢や練習部位に自然に意識を向け集中します。そして閉じた瞼の裏へ自然に意識を向けていくと(無理やり見ようとするものではありません)瞼の裏をスクリーンに、色が浮かび上がってきませんか?色を感じている、という表現が近いかもしれません。

いきなり全面に色が現れず、端のほうにだけ現れたり、次々と色が変わったり、複数の色が混ざり合って現れたり、さまざまな現れ方がみられます。焦点を合わせようとすると頭痛が起きたり、気持ち悪くなったりするので、飽くまで“色を感じる”を意識してください。

練習を繰り返していくと、視野全体に単一の色が瞼の裏というスクリーンに安定して見られるようになり、時間も長く維持できるようになります。

この色彩は人により異なり、個人色(パーソナルカラー)と言われます。この個人色は、似合う似合わないというパーソナルカラー、衣類のパーソナルカラー診断などとはまったく違うものです。私の個人色は薄青でした。

黙想練習の時間は40〜60分ですが、終了してみると日によって短く感じたり、いつもより長く感じることもあります。標準練習から引き続きおこなうと時間も必要になるので、うっかり寝てしまっても大丈夫なようにタイマーをセットしておくとよいでしょう。本来はうっかり寝てしまうと意味がなくなるので、覚醒していながら心身はリラックスしている状態を長く維持しなくてはならず、そのために<前篇>の標準練習が重要になってきます。

したがって、疲れ果ててグダグダな時には標準練習も黙想練習をするには良いタイミングではないということになります。

次に第二黙想練習(特定色彩心象視)に進んでみましょう。この練習は本来スーパーバイザー(指導者)が指定した色が見えるようになるための練習ですが、第一黙想で個人色が安定してイメージとして現れるようになってからの次のステップです。

スーパーバイザーがいなければ近しい人が指定する色を目指してもいいと思いますが、その場合、個人色に近い色を選択すると取り組みやすいでしょう。

自発的個人色が【青】であれば【青紫】【青緑】、【黄緑】であれば【黄】【緑】のような具合です。

こうしてイメージできる色のレパートリーを増やしていきます。指定された色がスクリーンに現れにくい時は、その色と関連した具体物をイメージしてみてください。例えば、【赤】を瞼スクリーンに見えにくければ、リンゴを思い浮かべる・・・という補助手段を取ります。

ここで大切なのは、飽くまで色彩に意識を向けることが第二黙想練習なので、リンゴという形態には捉われないということです。リンゴに意識が向き、詳細イメージをしないように気を付けるという意味で、目的は瞼スクリーンに【赤】をイメージし写し出せること、だからです。

第一黙想練習で2〜4週間、第二黙想練習では2週間〜半年程度と、人によりかなりの差があります。練習しても自転車になかなか乗れるようにならない人と、なぜかあっという間にコツを掴み乗れるようになる人の違いくらいと思ってもらえればいいでしょう。

次に第三黙想練習(具体物心象視)です。

この練習は特定の何かを見ようするものではなく、自発的色彩心象視のように、色彩の代わりに具体物が自然に閉じた瞼のスクリーンに現れてくるのを待ちます。

雑念から普段使っている馴染み深いコップが浮かぶ・・・ではなく、具体物は一般的なものとして見えてくるものが良いです。日常的な具体物として、例えば自転車、ペン、トイレットペーパーなどを選びましょう。具体物は人によりさまざまですので、やはり誰かが選んだものを心象視することが良いかもしれません。

はっきり具体物の心象視ができるようになってから、第四黙想練習(抽象概念心象視)に進みます。

抽象概念、ただでさえ難しいものを心象視しスクリーンに現れるようにするわけですから、ここはとても時間がかかる部分です。

『感情』『平和』『危険』『愛』『自由』『親切』『情熱』『平等』など、その人自身の中にある抽象的な概念を視覚化(閉じた瞼の裏スクリーン)していきます。これもスーパーバイザー的な人にお願いして、どんな抽象的なワードでどのような場面や絵、写真が浮かんだのか記録を詳細に取っていきます。

一連の黙想練習(心象視)の最終的テーマは、

自分の存在はどういったものだろうか?

自分の役割は?

自分にある最大の問題は何?

最も腹立たしいことは何だろう?

どうすれば今より良くなるか?

などを受動的注意集中を維持しながらイメージすることで、幾つもものステップを踏みながら、心身リラックス状態で落ち着いて考えられるようになるための訓練と言えます。

前篇の標準練習だけでも自律神経失調症には効果がありますので、ユルユルと取り組んでみてはいかがでしょうか。