組織のメンタルヘルスについて考える【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回から3回にわたり、組織のメンタルヘルスについてお話しします。

なぜ組織でのメンタルヘルス対策は必要なのでしょうか?

  • リスクマネジメント
  • 生産性
  • コンプライアンス

この3点になります。

鬱で離職者や自殺者などメンタル不調者が出ると、労災請求や民事訴訟に発展する可能性があります。これらは実際にコストが発生します。そして何より長年培ってきた企業あるいはブランドのイメージダウンに繋がり、本来の業務ではない部分での労力が必要になってきます。社会的信用の失墜も免れません。

メンタル不調者が出ることで個人はもちろん、その部署、あるいは企業全体の生産性が下がります。休職者や離職者が増えることで業務は滞り、そのしわ寄せは残っている従業員が負うことになります。当然不満が溜まると職場のムードは悪くなり、人間関係もギスギスしたものになりますし、オーバーワークや人間関係の悪化から次のメンタル不調者が出る可能性が高まり、さらに休職者や離職者を生むという悪循環に陥ります。これでは生産性が下がらないわけがありません。

ストレスがメンタルの不調を引き起こす一番大きな要因となりますが、残念ながらストレスがまったくない人はいません。生きている限り、大なり小なり付きまとうものと言って異を唱える人はいないと思います。

同じ出来事があってもストレス耐性には個人差があり、ソーシャルサポートのあるなしでもストレス反応の強さは変化します。また、その日その時の気分によってもストレス反応は変化する実にデリケートな変数がストレスです。

※参考コラム:アンガーマネジメント【1】

私たちは私生活や職場など外的影響によりストレス反応を起こします。緊張状態や嫌なことで動悸がしたり、胃が痛くなったり冷や汗をかいたことはありませんか?人によっては下痢もあるかもしれません。これがストレス反応です。

うつ病と一括りにされますが、ここで典型的なうつ病と近年目立つようになってきた新型うつ病について少し説明しようと思います。

典型的なうつ病は責任感が強く目標達成に努力を惜しまない真面目なタイプがなりやすいのですが、新型うつ病の場合、困難から逃避する性格の人がなりやすいと言われています。

より具体的には“元々あまり仕事熱心ではない”、“自立心や責任感に乏しい”、“役割から逃避しやすい”タイプで、自己愛が強く社会性が未熟、他責(他罰)傾向が強く過度な自己尊重、自己評価が高すぎる人に多く見られます。

また、一般的に典型的なうつ病の人は周りから勧められやっと受診、休養するのに対し、新型うつ病の人は積極的に医療機関を探して受診します。仕事を休むことに躊躇いがなく、すぐに診断書を提出します。典型的なうつ病が自責に向かうのに対し、新型うつ病は他責的です。平日は倦怠感など身体症状に見舞われますが、休みになると元気に遊びに行く、これが特徴かもしれません。

組織にメンタルヘルスに戻ります。組織のメンタルヘルスにおいてのストレスとは、

プレッシャーや対応困難な事案にぶつかった時に生まれる感情的な反応

と位置付けます。

よく「上司(あるいは先輩・同僚)がストレスの元凶だ」というのを聞きます。上司、先輩、同僚の言動にムカつき、「許せない!」とイキり立った時にほとんどの人は「ストレスだ」と感じると思います。しかし実はこれは自身の「許せない!」という怒りの感情により自分が振り回されていること、そしてそれこそが【ストレス】の正体なのです。

小さなイライラ、モヤモヤ一つひとつでは大したストレスではないかもしれませんが、積み重なっていくとストレス反応が増え、メンタル不調に繋がっていきます。自分の中にある小さなイライラ、モヤモヤを書き出し視覚化し、一度整理してみるとよいと思います。

【2】では、個人のメンタル不調がどのように組織へ影響するのか?からスタートします。

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生きていく中で一番重要なスキル

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

見た目や価値観の違い、仕草や話し方、声など誰にでも苦手なタイプや相性が悪いと感じる人はいると思います。

「誰とでも仲良くしましょう」は園児だけに通用するもので(それを強制されるのが園児〜小学校低学年)、大人になれば相手が苦手なタイプでも「縁を切れない関係上」「仕事だから仕方なく」という場面が増えます。

プライベートであれば自分がある程度取捨選択できるのと、大人になるまでに荒波に揉まれ対人スキルも上がるので、相性が合わない苦手な人とも“それなり”の付き合い方ができるようになるものです(嫁姑など永遠のテーマはまた別です(笑))。

でも苦手な人ばかりだと人間関係のストレスは半端ないと思います。

往々にして苦手な人の言動や行動は目に付きやすいので、些細なことでモヤモヤしたりイラッとするものです。

うまくリフレーミングしたり、無理やり見方と認識を変えて気持ちのどこかに放り込むしかなくなります。でも生理的に苦手となると、そうは言ってられないかもしれませんが・・・。

ただ、どんなに苦手な人がいても、そのほとんどは“あなたの大切な人生に影響を与えるほどではない取るに足らない、躓きもしない道端の小さな石ころ程度”の存在です。

例えば、いちいちマウンティングしていくる人には「マウンティングが生き甲斐なんだ、人間ちっさ!」「マウンティング選手権あったら上位入賞間違いなし!」と心で呟きながら「凄いですね〜、さすがです」「私にはとても真似できません」をループしていればいいですし、人の悪口ばかりの人には「うんうん、不満ばかりでつまんない人生で可哀相」「人間生き方が顔に出るよねー、残念!」と心で呟き、くれぐれも巻き込まれないように口では「へぇ〜」「ほー」「ふ〜ん」を能面リピート(笑)。

いちいち反応してあなた自身の貴重なエネルギーや時間を無駄にするのは勿体ないですよね。エネルギーバンパイアにエネルギーを吸い取られないようにして、無益な時間を極力低減したいものです。

何が言いたいかというと、

人生に必要なスキルは『スルースキル』なんだな、

ということです。

いちいち人の話に「でも」「だって」「だけど」の否定でしか返してこない人にイライラするより、「お!出た3D星人」と受け止め(受け入れる必要なし)、目の前で3D星人の毛穴の開きや鼻毛探しをしながら話半分で聞いたほうが精神衛生上良さそうです(笑)

※3D:スリーディーとは読まず『さんディー』と読む。

まるでストレス解消の八つ当たりのようにどうでもいいお小言がグチグチ始まったら「おー、怪獣オコゴトン到来!」で、眉間にシワの数を数えたり、頭を垂れ反省しているフリをしながら床の埃の動きや「マントルって深さどのくらいからだっけ?」と華麗にスルーすれば良いのです。心の中で相手の靴の手入れ具合を評価するとかでもOKです(笑)

因みに私の苦手なタイプは、「あ〜、間に合わない〜、“アセアセ”」「これ美味しい〜“モグモグ”」「お願いしま〜す“ペコ”」と全部口に出す“じぶんマンガ”な人、それから「でも」「だって」「だけど」の3D会話の人です(笑)

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アンガーマネジメント【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

モヤモヤやイライラ、怒りを生んでしまう背景には社会不安からくる焦燥感や不満はもちろんですが、“忙しさ”や“多様化する価値観”というものがあります。

多様化する価値観が悪いのではなく、価値観を認め合うことができないから生まれてしまうイライラと、多様化する価値観を擦り合わせる場面が増えることで生まれるイライラです。

【2】でもお話しましたが、立場や意見の違い(多様性)をお互いに認め合うことができず感情を適切にコントロールできないと、イライラや“怒り”を“個人のやりたいことを優先、押し通そうとする”ぶつかり合いの道具にしかできなくなります。

この価値観の多様化が進むと、自分“以外”の意見や立場がうまく通らなくなると思い、不機嫌な人達で溢れ返ることになってしまいます。

会社でも私生活でも“自分の思い通りにならない”“自分の思った通りの反応が返ってこない”“自分の都合を考えてくれない”と、「自分の、自分が」ばかりで、それが叶わないとすぐに不機嫌になり、イライラオーラを撒き散らし、言動に表す“お子ちゃま”はいませんか?

適切に怒りをコントロールできなければ、“扱いづらい人”“感情的になる面倒な人”“話し合いができない人”という、対人的マイナス評価にしか繋がらず、結果あなたに良いことは何一つありません。

怒りが生まれる3段階というものがあります。

アンガーマネジメント【1】で取り上げた例を思い出しながら考えてください。

<第一段階>
“出来事に遭遇する”:スマホ歩きをしていた人にぶつかられる。

<第二段階>
“出来事の意味づけをする”:同じ出来事でも、彼女にプロポーズしようとウキウキな時と、仕事でやらかしてしまった時ではイライラ度合いが違いましたよね。起こった出来事が同じでも自分の置かれた状況が違えば、まったく違う感情が生まれることがおわかりいただけたはずです。

<第三段階>
怒りの感情が発生する

第一段階の“スマホ歩きでぶつかられた”だけの“出来事だけ”では、あなたを怒らせることはできません。

起こった出来事に対し、怒りの感情が生まれるかどうかは、第二段階の【意味づけ】があり、その結果、第三段階の【怒りの発生】へと繋がっていくのです。

アンガーマネジメントでは、この【意味づけ】の部分に意識的に目を向けることで、怒りの感情をコントロールしていくテクニックを学びます。

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地味にイラッとする話し方

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は、話をしていると相手を地味に不愉快にし、イライラさせてしまう残念な人のお話です。皆さんは

イライラ3D

をご存知でしょうか?

会話をしている時に、いちいち「でも(DEMO)」「だけど(DAKEDO)」「だって(DATTE)」を付けて話をする人のことですが、案外口癖になっている人が多いことに気付きます。

「最近あんまり彼から電話がなくって・・・」←友達に寂しい気持ちや不安を聞いてほしい。

○「だけど彼も仕事で疲れてるんじゃないの?」←彼女の寂しい気持ちや不安をガン無視。

●「普段はいいんだけど、デートとか旅行とか大事なこと決める時は話したいし、ライン送ってるんだけどね」←ちょっと不安な気持ち。

○「だって、ライン返せないくらい忙しいかもしれないじゃん」←最初の不安や寂しさをガン無視した挙げ句、不満な気持ちもスルー。

これだと「私の気持ち、伝わらないなぁ」と、ここでも寂しくなったりつまらなくなってしまいます。

当たり前ですが、この3Dを頭に持ってくると、

すべて相手が言った話の内容をはね付け“否定”する言葉になります。

●「土曜の映画、待ち合わせ時間や場所、どうする?」
○「渋谷駅前に9時は?」
●「でも渋谷駅前だとわかりづらくない?」
○「じゃぁ、パルコ前に9時15分は?」
●「う〜ん、だけど9時15分だと早くない?」
○「映画が9時半スタートだから、ちょうどいいと思うよ」
●「だって朝早く起きなきゃいけなくなるじゃん」

モヤモヤしませんか?

●「何を食べたい?」
○「何でもいいよ」
●「じゃぁ、中華にしよっか」
○「でも中華はちょっと・・・」
●「そっか、じゃぁパスタは?」
○「あ、でもパスタは昨日食べたし・・・」
●「天ぷらはどう?」
○「うーん、だけど天ぷらは胃もたれしそうだし」

これはイライラしますが、3D以前に“何でもいいと言いながら、ダメなものがあるなら自分で提案しましょうよ”かもしれませんね(笑)

違う意見や考え、想いがあって当然ですし、それを伝えるのも構わないと思います。ただ、相手の考えや言っていることを否定する前に、まずは話を受け取る相づちがあると不愉快にはならないものです。

彼があまり電話くれない、の最初のケースでは、「そっか、それは気になるよね」と話を受けた後、「でも、それは仕事で疲れてるのかもよ」と繋げれば“でも”があってもモヤッとしません。

ミラーリングで相手の話を受けて返すと傾聴姿勢も伝わります。

「彼があまり連絡をくれないんだ」

「そっか、彼があまり連絡をくれないんだね、それは寂しいよね」からの「でも疲れてるのかもよ」という具合です。

これは相手との関係がパートナーでも友人でも、同僚や後輩、部下でも同じです。

“デモデモダッテデモダケド”を繰り出されて気分よく会話が続けられるわけがありません。

コミュニケーションは双方が“話を投げる”“受け取り返す”を繰り返しながら広げていき成立するものなので、一方が“受け取らず(避けて)自分の考え(思い)だけを返す”だと、一方にはモヤモヤが残ってしまうのです。

「でも」「だけど」「だって」を口に出す前に、

【ミラーリング+受け取り】

を意識して、爽やかなコミュニケーションを楽しみませんか?

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感情は感染する?

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は他者にさまざまな感情が伝わり、影響を及ぼす

【情動感染】

についてお話しようと思います。

『感染』と聞くと、まるでウイルスや細菌のようですが、風邪以上に感染力が高いのが“感情”です。

ポジティブな感情も感染するのですが、ネガティブな感情、不安やストレスより怒りの感情のほうが感染しやすく広がりやすい特徴があります。怒りのエネルギーがどんな感情よりも強いことがわかります。

情動感染にはミラーニューロンが関係しています。以前ミラーリング効果の話が出ましたね。ミラーニューロンとは神経細胞で、それによって私たちは他者の感情に共感したり理解します。ほとんどの人が『アクビがうつる』という経験をしたことがあるのではないでしょうか。これもミラーニューロンの働きです。

ニューロンイメージ

激疲れの人がいると、自分の脳のミラーニューロンもその疲れを感知します。良くも悪くも優秀なミラー(鏡)ですよね。

イライラしている人の側にいると何だか落ち着かなくなったり、嫌な気分になったりしませんか?これもミラーニューロンの仕業です。怒りという感情が伝播しやすいということはSNSをやっている人はよくわかると思います。

これは社会生活にも大きく影響してきます。

常にイライラしている人の側にいるとイライラしてくるもので、上司がそうだとしたら、社内が張りつめてピリピリした空気になりませんか?おおらかで温和な人に囲まれていると、和やかで空気の流れも穏やかに感じ、居心地の良い空間になるはずです。

人は目に見えない感情に、いとも簡単に感染し影響を受け、生活の質や仕事のパフォーマンスにまで大きく関係してくるものだとおわかりいただけたと思います。

自分には関係ないことでイライラされ、無意識とはいえ間接的にでも八つ当たりなんてされた日には、イライラMAXになるのは当たり前です。

イライラモヤモヤを瞬時解消が一番良いのですが、

頭でわかっていても気持ちがついてこない

それが人間ですし、そんな器用なことは私にもできません。ただ心掛けていることはあります。

その日のイライラ その日のうちに

行き場のない感情は紙にひたすら書き出し、整理しにくい思考はマインドマップ(プサンのマインドマップ情報から引用)で視覚化します。

ここでポイントですが、マインドマップは何度も見返すものですが、怒りや強い感情に任せて書き殴ったいわば“毒気にあてられた物質”の紙は、グッシャグシャにして破り捨てましょう。なので、できれば記録として残ってしまう(消せばいいのですが、グッシャグシャに破り捨てるという行為も意味があるので)スマホやパソコンに毒を吐くのではなく、アナログですが【紙とペン】をオススメします。

嫌なことがあったら紙に書いて破り捨てる、これを習慣にするだけでずいぶん気持ちがラクになるので、ぜひやってみてください。

できれば穏やかで優しい時間をまとっていたいですよね、自分に関わる大切な人たちと自分自身のために。

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